宇宙戦艦ヤマト外伝 ガミラス地球再侵略計画   作:ウイング・三条

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前編 地球再侵攻への序曲

「我らの前に勇者無く、我らの後に勇者なしだ!」

冥王星基地を壊滅され、帰る場所もなく、全てを賭けてヤマトに挑むシュルツ以下の冥王星基地残存部隊。

しかし自らの命と引き換えにヤマトへの体当たりを敢行した残存艦隊も、その最後の一隻までヤマトに砲撃され、全滅を余儀なくされていた。

冥王星基地最後の生き残りもヤマトの前に散っていったのだった。

太陽系辺境のカイパーベルト地帯の一角にはその名残の残骸が空しく漂っていた。

それを背にヤマトは、ただひたすらにイスカンダルの旅路を急いでいた・・・

 

地球を滅亡の危機から救うため、ガミラスと戦いながらも必死にイスカンダルを目指すヤマト・・・

しかし、その一方で残された地球とガミラスの地球攻略前線の間でもそれに勝るとも劣らない攻防があった・・・

 

ヤマトが冥王星前線基地の残党と戦い、シュルツを撃滅したころ、バラン星司令室では銀河系方面司令長官であるゲールがソファでくつろぎ、そばには女を侍らせて悦に耽っていた。

そこへ伝令の兵士が飛び込んでくる。

「ゲール司令!冥王星前線基地の部隊が全滅した模様です!」

その報告に驚き、女を突き飛ばして立ち上がるゲール。

「全滅だと?どういう事だ?」

「はっ!最後の通信内容が『われ、これよりヤマトへ体当たりを敢行する、大ガミラス

帝国に栄光あれ!デスラー総統万歳!』で終わっており、その後、通信が取れません。

状況から考えて全滅したものと思われます」

「シュルツの愚か者め!一体何をしておったのだ?」

事の重大さにさすがに冷や汗を流し、しばし考えるとそばにいた部下に命令を出す。

「ええい!ガンズベルクを呼べ!」

「はっ!」

女たちを下がらせ司令室で一人いらいらとして歩き回っているゲール。

そこへ一人のいかにも生真面目といった感じの屈強な上級士官が入ってくる。

「ガンズベルク、参りました!」

「ガンズベルク!貴様に冥王星基地司令を任命する!」

突然の命令に驚くガンズベルク。

「はっ、しかし現司令のシュルツめは、いかがしましたか?」

「奴は冥王星基地が壊滅した後、艦隊ごと全滅して死におったわ」

「戦死…しかしあの基地を再建するとなると船団の用意が大変ですな」

「どれだけかかる?」

「あれほどの規模の基地ですと船団の用意と現地での建設に2年以上はかかるかと・・・」

「そんなに待っていられるか!」

ガンズベルクの目算に癇癪を爆発させるゲール。

「しかし、木星前線基地も壊滅した今となっては、ゼロに近い状態から再建する事になり、物資もほとんどこのバラン星から運ばなければならず・・・」

淡々と説明するガンズベルクに対してゲールがさらに癇癪を起こす。

「ええい! 当座は旗艦を仮司令部とし、宇宙艦隊の発着・補給設備だけで良い」

「はっ、それでしたら3ヶ月もあれば何とか手配可能かと」

「それではすぐに取りかかるのだ」

「はっ」

猛り狂って命令をするゲールに対して淡々と従い、部屋を出て行くガンズベルク。

「3ヶ月か・・・」

ゲールがつぶやく。

 

ヤマトが冥王星基地を壊滅させた後、地球防衛軍司令部では今後の作戦をどうするか、

藤堂長官が幕僚と共に会議室で作戦会議を開いていた。

「諸君!ヤマトの活躍により、ガミラスの木星及び冥王星基地は壊滅した。

しかしいつかまた、いや!確実に再びガミラスはやってくる。

その日に備えて我々は早急に力をつけねばならぬ!

 まずは宇宙艦隊の再建が急務である

例えヤマトが放射能除去装置を持ち帰っても、その間に新たなガミラス軍に地球が

滅ぼされていたのでは全く意味がない

また、逆に万一ヤマトが失敗したとしてもヤマト級、もしくはそれに準ずる宇宙艦隊を持ってすれば、ガミラスに対して互角以上の戦いが可能な事が証明されたのだ。

 そこで宇宙艦隊の再建計画だが、さしあたっては現在地球防衛軍で保有している

英雄型戦艦、雪風型駆逐艦のエンジンを低出力波動エンジンに改造し、急場をしのぐ事になる。現在の保有戦力はどれほどか?」

司令長官の問いに参謀の一人が答える。

「はっ、現在稼動可能な戦闘艦はありませんが、英雄型戦艦は冥王星会戦で帰還した沖田艦を改装中、今週中に終了予定です。他に建造中の物が2隻、合計で3隻、雪風型は今月中に10隻は完成の予定です。

英雄型・雪風型共に低出力波動エンジンに換装し、ワープこそ出来ませんが、フェーザー砲の出力も15倍以上に強化され、威力・射程共に大幅に向上する予定です」

「やはり完全な波動エンジン搭載は無理か?」

「はっ、元々の船体構造が亜光速エンジン用ですので、完全な波動エンジンの搭載は無理かと…何しろあのヤマトですら月・火星間のワープで船体に亀裂が入った程ですから…」

「うむ、仕方がないな・・・造船所と新型艦の方はどうなっている?」

長官の質問に別の幕僚が壁の画面にパッと映った巡洋艦の完成予想図を見せながら答える

「はっ、ガミラスによって壊滅させられていた月面基地を既に再建中、新型の宇宙艦に

合わせた工場を作り、設計段階から波動エンジン搭載を視野に入れた、まったく新しい形の戦闘艦を建造する予定です。すでにヤマトに準じた波動砲装備の新型艦の設計も

完了しており、2ヶ月以内には最初の艦が完成、3ヶ月後には数隻の巡洋艦と駆逐艦クラスの戦闘艦が就航する見込みです」

「うむ、当面の所、敵主力であるガミラスの70m級駆逐艦を凌駕するために、火力、速力、防御力全ての性能を向上させた100m級の駆逐艦、また波動砲を搭載する戦闘艦として150m級の巡洋艦を建造する」

長官の説明にうなづく一同。

「また冥王星にはガミラスの前進基地跡にこちらの防衛基地を再建する、ガミラスの物を流用すれば0から再建するよりは早いだろうし、我々より進んだガミラスの科学力を吸収する、またとない機会である」

長官の冥王星基地計画に、おお・・、まったくだ・・・と同調する幕僚たち。

「さらに冥王星の他にエリス、セドナ、マケマケ、ハウメアの各準惑星に監視所を設け、ガミラスの再来襲に備える。何か意見は?」

一人の幕僚が手を上げて説明を求める

「それで長官、沖田司令のいない今、新しく急造される艦隊の司令は誰に?」

「それは私が現在人選している。近日中に決定するつもりだ」 

 

地下都市にある宇宙戦士訓練学校の校長室。

そこで藤堂と土方が向き合って座っている。

「単刀直入に言おう、新しい宇宙艦隊の総司令は土方君、君にやってもらいたい」

身を乗り出して要請をする藤堂司令長官に対して足と腕を組んだまま不敵な笑いを浮かべながら土方が答える。

「ふふ・・・司令長官がわざわざ宇宙戦士訓練校まで何をしにきたのかと思いきや

 そういう事でしたか」

「沖田君もいない今、この艦隊司令を任せられるのは君しかいない!やってくれるね?」

「現在率いる船が1隻も無い宇宙艦隊司令ですか?」

ニヤリと笑いながら皮肉る土方を気にも留めず、説得を続ける藤堂。

「だからこそだ!今度の宇宙艦隊は波動エンジンを積んだ全く新しい艦隊となる、

今までの宇宙戦闘艦とは違う戦闘、異なる航行方式、経験のない武装となる艦隊だ。

ゼロから初めて仕上げられるのは君しかおるまい!」

立ち上がって懇願するかのように土方を説得する藤堂長官。

「はてさて…まあ、学校の方は山南君に任せるとして・・・」

「やってくれるかね?」

「及ばずながら引き受けましょう」

「ありがとう!よろしく頼む!」

公的な話が済むとホッと一安心したように椅子に座る藤堂。

その姿を見てかつて藤堂・沖田と同級生だった土方がニヤリと笑って話しかける。

「何しろ沖田たちが戻ってきた時に帰る場所がなくなっていたら、我々の責任だからな

 藤堂・・・」

「そうだな、土方君」

 

 

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