宇宙戦艦ヤマト外伝 ガミラス地球再侵略計画 作:ウイング・三条
冥王星基地の陥落から早数ヶ月が過ぎた頃、地球は宇宙艦隊の再建と、わずかながらに完成した、その新たなる艦隊の運用に全力をあげて取り組んでいた。
そこへ突然、謎の大船団が太陽系内にワープアウトしてくる。
いち早く発見したエリス基地の観測員が迎撃艦隊と地球に連絡を取る。
「こちらエリス基地。ただいまおびただしい数の次元振動を発見、ガミラス艦隊の
ワープアウトを確認しました!進路から計算して目的地は冥王星と思われます。
冥王星軌道まで約2時間! 敵の規模は大型戦艦1、戦艦5、巡洋艦10、
駆逐艦50、他に工作艦や輸送艦らしき艦が多数、総数80隻以上です」
その報告を聞いた藤堂長官が直ちに命令を下す。
「直ちに土方総司令に連絡!迎撃艦隊は現在どこにいる?」
通信手の報告に藤堂長官が問う。
「運良く、冥王星宙域で演習中です」
「繋いでくれ」
ビデオパネルに土方の顔が出る。
「土方君!」
「長官、報告は聞きました。艦隊の構成から推測した結果、予想通り奴らは
冥王星基地の再建を目的とした艦隊でしょう」
「私もそう思う。ならばプランAで対応可能だと思う」
「同感です。それではこれより対ガミラス艦隊迎撃作戦を実行します」
「頼む、土方君」
うなづきパネルから消える土方。
一方、ガミラス艦隊では新たな太陽系方面司令のガンズベルクが艦隊に注意を促す。
「そろそろ冥王星宙域だ。ヤマトがいないといえ、気をつけろよ、監視を怠るな」
そう言うそばから観測員が報告をする。
「敵艦隊発見!」
敵発見の報告に、さもありなんと落ち着いて指示を出すガンズベルク。
「詳細を報告せよ」
「戦艦3、駆逐艦15・・・データによると、あれは地球の戦艦と駆逐艦です」
その貧弱な艦隊数に思わずガンズベルクから笑いが吹き出る。
「ふっ、たった18隻だと?わが軍の4分の1にも満たないではないか・・・」
「はっ、多少改装されている所はありますが、過去のデータと一致します」
「・・・というとワープも出来ない原始的な宇宙船か?」
「はっ、エネルギー出力値も微弱です、これではワープなど出来ません」
観測員の報告にくっくっくっと笑うガンズベルク。
最初は自分たちに対して迎撃態勢を整えていた事に、少なからず警戒をしたガンズベルクも、その艦隊の規模と性能を知ると、むしろ敵の哀れさに笑いを隠す事もできない。
「しょうこりもなくまたガラクタ船を作りおったか…まあ良い、基地再建の前の血祭りだ、軽く捻ってやろう。全艦!戦闘用意!」
そのガミラス再侵攻艦隊を冥王星宙域で待ち構えていた地球艦隊旗艦の艦橋では、土方が敵の出方を伺っていた。
「敵艦隊、わが前衛艦隊に正面から堂々と近づいてきます」
「やはりな・・・いいか、まだだぞ・・・まだエンジン出力を5%以下に抑えておけよ」
「あと3秒で双方の有効射程距離に入ります!」
「よし!出力100%!主砲フェーザー発射用意!」
「有効射程距離に入りました!」
「前衛艦隊主砲発射!」
「前衛艦隊主砲発射!」
一斉に火を吹く地球艦隊の改造英雄型戦艦と改造雪風型駆逐艦。
その数十条の火線がまだ遠いガミラス艦隊に延びていく。
無駄な小細工も無く、自信満々に地球艦隊の攻撃に向かうガミラス艦隊。
その旗艦艦橋では余裕を持って司令官たるガンズベルクが指揮を執っていた。
「有効射程距離に入りました!」
「ふふふ、まだよい。奴らのガラクタ船の射程距離に入るまではまだ間があろう。
十分引き付けて一気に葬り、奴らの戦意を無くしてやろう。
もっとも我らの攻撃を受ければ、あの程度の艦隊では戦意を失う以前に艦隊が
丸ごと無くなってしまうかもしれんがな、そこまでは責任は持てん・・・」
しかし、ネズミを弄ぶ猫のようにニヤリと笑って考える艦隊司令の顔色は観測員の報告により、即座に変わる。
「地球艦隊が攻撃を開始しました!」
「なんだと?奴らは狂ったのか?愚か者が!この距離で奴らの砲撃が届くわけが・・・」
そう言う間もなく、旗艦の近くにいた巡洋艦が激しい爆発をして四散する。
ヤマト型以降にしか搭載されていないショックカノンと違い、英雄型、雪風型は威力の弱いフェーザー砲しか搭載されていなかった。
しかし、波動エンジン搭載により、その威力はかつてのフェーザー砲の15倍以上になり、ガミラス艦の装甲も充分に貫く事が可能となっていた。
艦橋でその様子を肉眼で目の当たりにして、驚くガンズベルク。
その艦橋に次々と各所からの報告が届く。
「5番艦撃沈!一撃です!」
「なんだと?」
「16番艦撃沈!こちらも一撃です!」
「攻撃!司令!地球艦隊からの攻撃です!」
「馬鹿な!奴らの射程距離がこんなに長いわけが・・・
いや、そもそも奴らのフェーザー砲ごときで我らガミラス艦の装甲が
破壊できる訳が・・・」
ガンズベルクが驚いている間にも次々と報告が入る。
「27番艦撃沈!他の艦も被害を受けています!」
観測員が悲鳴のような声で報告をする。
「敵のエネルギー出力値が5倍・8倍?・・・いえ!20倍以上になっています!」
「なんだと!?」
驚くガンズベルクに横にいた副官が諭す。
「司令!我々は一杯喰わされたのです!あれは・・・!あれは見た目は以前のままでも
中身はおそらく波動エンジンを搭載した別物です!
しかも先ほどまではエンジンの出力を押さえ、旧型の出力値で動かし、
我々を欺いていたのです!」
「くっ!小賢しいマネを・・・!」
「司令!攻撃命令を!」
「当然だ!撃て!」
ガンズベルクの命令の下、一斉に火を噴く数十隻のガミラス艦隊。
たちまち地球艦隊の数隻が一撃で火達磨になり爆発を起こして撃沈される。
中には砲撃がかすった程度でも爆発炎上している艦すらある。
そのあまりのあっけなさに逆にガミラス艦隊が驚く。
「敵駆逐艦7隻同時に撃破、全て一撃です!」
観測員の報告にあっけに取られていたガンズベルクが笑い出す。
「は・ははは!見ろ!あの様を!
奴らは小賢しいトリックを使って我々に奇襲をしたが、所詮そこまでなのだ!
まともな戦闘を出来ないからそうなるのだっ!
だがっ!我がガミラス帝国の科学・軍事力は宇宙一ィィィ!
我ら勇敢なるガミラス艦隊に敵など、この宇宙にいっなぁぁ~~い!
我らの前に立ちはだかる者は蹴散らすのみだ!
さあ、このまま進撃して地球人どもを狩り立ててくれる!
全艦!前進して地球艦隊を攻撃しろ!」
そう叫びながら命令をくだすガンズベルク。
一気に攻勢に出て地球艦隊を追いたてるガミラス艦隊。
それに対して反転し、全速力で逃げ出す地球艦隊。
その先には冥王星がある。
「まもなく、地球艦隊は冥王星を通過します!」
「ふふ、ちょうどいい!基地再建設の生贄だ。
奴らを冥王星に撃ち落し、そこを墓場としてやれ!」
ガンズベルクが命令すると、ほぼ同時に冥王星からピカッ!と1本の光が発射される。
その光はガミラス艦隊とは関係の無い方向へと伸びて行く。
正体不明の光を補足した旗艦の観測員が報告をする。
「司令!」
「なんだ?」
「冥王星から強力なエネルギー波が発射されました!」
「どういう事だ?」
「はっ!強力なエネルギー波ですが、わが艦隊と全く関係のない方向へ・・・
あっ!方向が変わりました!こちらに接近します」
「何!?」
ズガーン!とまたもや被害をこうむるガミラス艦隊。
強力なエネルギー波が旗艦も掠め、大きく船内が揺れる。
「がっ!何だ?今のは!?」
驚くランズベルクに観測員が報告をする。
「は!発射地点から推測して冥王星からの反射衛星砲による攻撃だと思われます」
「反射衛星砲だと?あのシュルツ自慢のか!」
「はっ!反射衛星は無傷だったため、どうやら地球軍が発射装置を修理して、
そのまま再利用した模様です」
そう言っている間にも次々と反射衛星砲の攻撃を受けるガミラス艦隊。
その地球軍の手際の良さにガンズベルクが三度驚く。
「なんだ!なぜこんなに連続して攻撃を受ける?」
「はっ!敵はどうやら発射装置を多数設置したもようです」
「ぬぅ~なんたる事だ!味方の武器に翻弄されるとは!」
「ええい!退け!反射衛星砲の射程外まで退くのだ!」
だが、油断をしていたガミラス艦隊が深入りしていたために反射衛星砲の射程外に出るまでにまたもや数隻が餌食になっていく。
ようやく反射衛星砲の射程外に脱して、ガミラス艦隊が一安心する。
「全く、次々と小賢しい手を打ってきおって…」
強気を装うものの、かなりの数の艦隊を失い、顔色を失うガンズベルク。
「司令!最初の敵の奇襲と今の攻撃で、わが艦隊は半数近くが壊滅です!」
「うろたえるな!ガミラス軍人はうろたえないッ!
なるほど、地球人にしては奇襲攻撃や意表をついた攻撃でこれまではよくやった。
だが、奴らの艦隊は攻撃力はあっても防御力は無きに等しい!
ましてや残りはほんの数隻、数が半減した今の我々と比較しても相手にならん数だ。
我々の勝利は確定している!
このまま敵艦隊を追撃する!残存艦隊を集結させろ!
冥王星基地の方は奴らを全滅させた後でゆっくりと料理してくれるわ」
追い散らされ、残りほんの数隻になって逃げて行く地球艦隊を獲物を狩る猟犬のように追い立てていくガミラス艦隊。
・・・だがその地球艦隊の逃走する方向から別の艦隊が迫りつつあった。
追撃していたガミラス艦隊がその艦隊を発見する。
「司令!敵艦隊逃走方向に未確認艦隊出現!」
「なんだと!数と構成は?」
「艦種は不明、やや大型艦が3隻、中型艦が5隻です」
「おそらく地球艦隊だと思われますが、過去のデータにはありません!」
「生意気に伏兵か!しかし、たかが8隻、まとめて始末してくれる!
まずは目の前の艦隊を血祭りにあげろ!」
ガンズベルクの命令の下、さらに追撃速度を上げて地球艦隊に迫るガミラス艦隊。
しかし、その射程内に入る前に再び観測員の報告が入る。
「あっ!逃げていた敵艦隊が急速に上下左右に散開して行きます!」
「なに?どういう事だ?」
「前方の敵旗艦らしき艦に異常な高エネルギー反応!これは!これは・・・!」
ガミラス艦隊が反射衛星砲に追われている頃、地球艦隊の本隊旗艦、最新型航空巡洋艦「もがみ」の艦長席で土方は敵の来るのを待ち受けていた。
腕組みをして不動の状態で報告を待つ土方についに待望の報告が入る。
「敵艦隊!補足しました!」
その報告に待ちかねた土方が直ちに指示を出し始める。
「よろしい!諸君、これから敵にする攻撃は新型兵器「拡散波動砲」による、
初めての実践攻撃だ。しかし慌てる事はない、訓練どおり、落ち着いて行動したまえ」
そう言って一息つくと、命令を下す。
「全艦、拡散波動砲発射用意!拡散数は副長に任せる」
土方の指令を副長が復唱する。
「はっ!全艦、拡散波動砲発射用意!拡散束数は各艦300とする!」
「エネルギー注入80%」
「波動エネルギー、拡散方向制御!問題なし」
「全艦、拡散束数を300に制御!敵艦47に対して拡散束総数900!
敵、予測命中確率280%から570%!」
各部署からテキパキと報告が返ってくる。
「総員!対ショック、対閃光防御!」
「エネルギー充填120%」
「全艦、拡散波動砲発射用意完了!」
その報告に待ちかねたように土方が命令を出す。
「・・・全艦隊、拡散波動砲発射!」
土方の命令一下、旗艦「もがみ」以下、「とね」「ちくま」3隻の航空巡洋艦から地球艦隊最新兵器の拡散波動砲が発射される。
放たれた3本のエネルギーの束がガミラス艦隊に伸びていくと、その直前でパッ!とそれぞれ数百本の光の束に分かれる。
花火のように数百に分かれた光の矢がスコールのようにガミラス艦隊に降り注ぐ。
そのシャワーのような光の矢に次々と射抜かれるガミラス艦隊。
1艦に対して最低でも1本、多い艦では5本以上の光の矢に貫かれる。
しかもその一見細く見える光の一本一本が、波動砲だった。その破壊力は強化されたフェーザーはおろか、ショックカノンと比べても、比較にならないほどだった。
その光の矢に貫かれた部分は、ひしゃげ、捻じ曲がり、空間的に畳み込まれて、その存在空間ごと消滅をしていった。
その凄まじいまでの破壊力にガミラス艦隊のほとんどの艦があっという間に大破し、火達磨になって戦闘不能に陥っていく。
その様子を見て旗艦艦橋で驚愕するガンズベルク。
「なんだ!今の砲撃は?」
「不明です!全く未知の攻撃兵器です!
冥王星基地から報告があったヤマトの大型砲に似ていますが、
別の兵器と推測されます」
「ぬう~何と言う事だ…」
「第1砲塔被弾!発射不能!」
「補助エンジン消滅しました!」
「メインエンジン出力25%まで低下! まもなく機能停止します」
各所から被害報告が届き、そのどれもが回復しがたい状況を示している。
「むぅ!」
「司令!味方はほとんど壊滅です!」
「散開していた敵の前衛艦隊と後方の中型艦がこちらに向かってきます」
「ぬうぅ・・・ 攻撃しろ!我々は最後まで栄光あるガミラス軍人だ!」
地球艦隊旗艦、もがみの艦橋で土方がテキパキと指令を下す。
「全艦タキオン通信妨害波展開!以後の指令は通常波、もしくは信号灯で伝達!
前衛無人艦隊、及び本隊の駆逐艦は残敵を掃討せよ!」
「もがみ以下、全航空巡洋艦はコスモタイガーⅠを発進、敵艦隊を攻撃せよ!」
土方の命令の下、全艦隊が前進し、まだエネルギーが回復しない航空巡洋艦3隻からはブラックタイガーをより発展させた試作戦闘機「コスモタイガーⅠ」が発艦して敵の攻撃に向かう。
「本艦を含む全航空巡洋艦もエネルギーが回復次第、直ちに主砲攻撃を開始!」
「いいか!工作船だろうと輸送船だろうと容赦するな!徹底的に叩け!
1隻でも逃したら敵の司令部に報告をされるぞ!
今回の戦いの経過を敵に知らせてはならん!
全艦、エネルギーが尽きるまで怒りを込めて撃ち尽くせ!」
今回の戦いの様子を報告されれば、次の戦いには敵もその対抗策を考えてくる。まだまだ地球はまともにガミラス艦隊と戦えばひとたまりもない。そのためにも今回の戦いの経過を敵に報告させる訳にはいかなかった。
生き残りの地球前衛艦隊と5隻の駆逐艦、それに3隻の航空巡洋艦から発進した18機のコスモタイガーⅠが満身創痍のガミラス艦隊に襲い掛かる
元より今までヤマト以外にガミラスに対して勝った例のない地球艦隊だけに、その憎悪、復讐の念は小さい物ではなかった。一方的にやられていた悔しさ、戦友を失った空しさを込めて地球艦隊はガミラス艦隊に対して容赦などする筈もなく、拡散波動砲の攻撃により大破・中破し、辛うじて浮いているようなガミラス艦隊に対して完膚なきまでに叩き潰し、原型を留めいている船などない有様になった。
「ゲール司令・・・面目ない・・・デスラァー総統ッ!万歳ィィィィ~~~~!」
エネルギーが回復した航空巡洋艦の主砲攻撃を受けて、遂に轟音と共に砕け散るガミラス艦隊旗艦。
「敵旗艦、撃沈を確認!」
観測員の報告に土方が答える。
「引き続き残敵を掃討せよ。
敵の攻撃、及び通信が完全に沈黙するまで攻撃の手を緩めるな!」
「はっ!」
やがて残ったガミラスの攻撃もまばらになり、ついに攻撃もなくなり、通信も途絶える。
「敵艦隊完全に沈黙!1隻残らず撃破しました、逃がした艦はありません!」
「こちらの被害は?」
「前衛無人艦隊は残存、旧式戦艦1、雪風型突撃艦2、他は全滅です。
本隊は駆逐艦が3隻小破、負傷者は数名いますが、死者はいません」
「敵の通信の様子は?」
「通信網も完全に沈黙しています!」
「そうか・・・戦闘態勢解除、タキオン通信妨害波は念のため今しばらく続けておけ」
タキオン通信による超光速通信さえ妨害しておけば、通常の電波でいくら通信されても恐れる事はない。
「はっ」
「よし、全艦へ繋げ」
「はっ」
通信士が回線を開くと土方が話し始める。
「全艦隊乗組員諸君、艦隊総司令の土方だ、みんなよく頑張ってくれた。
おかげで地球はまだ生き延びる事が出来た。ありがとう」
簡潔に勝利宣言をし、乗組員をねぎらった土方が通信を切ると、艦橋内でも「はぁ~」と安堵のため息が流れる。
しかし、その直後、旗艦に通信が入ってくる。
「司令、わが前衛艦隊より通信が入っております」
「繋げ」
「はっ」
ビデオパネルを繋ぐとそこには艦長服を着て、無理やり艦長帽を頭にのせた、アナライザー型のロボットが猛り狂った様子で出てくる。
その横にはコインダー型のロボットも一緒にいる。
「だからっ!早く司令をだせって…! あっ!総司令!
まったく計画通りとは言え、何て戦いをするんですか?
ロボット権侵害ですよ?こりゃ~」
そのあまりの言い様にロボットを制止する副官。
「こら!貴様は司令に対してなんという口の利き方を・・・」
怒る副官をなだめる土方。
「まあいい、確かに今回は彼らなしには勝利はなかった。
無人艦隊の自動装置だけではあれだけの艦隊行動は取れなかったからな。
彼らが囮になってくれなければ、あれだけの艦隊相手に勝てたか怪しいものだ。
人間の乗組員諸君同様、君達前衛艦隊のロボット乗組員にも感謝する、ありがとう」
ねぎらいながら敬礼する土方にロボットも態度が和らぐ。
「ま・まあ・・・わかってくれればいいんですよ、総司令」
「艦長、味方の収容を・・・」
アナライザー型艦長がおとなしくなったのを見計らってコインダー型の副長ロボットが指揮を促す。
「わかってるって、副長。では総司令これより味方の収容をします」
おとなしくなって敬礼をしながら通信を切るロボット。
「まったく・・・なぜあの型のロボットは口が悪いのが多いのでしょうな・・・」
首をかしげながら話す副官。
「さあな、それより副官、我々も破壊された前衛艦隊のロボット達を可能な限り収容・・・それと、もしいれば敵艦隊の生き残りもな・・・」
「はっ!」
「そして地球司令部に報告、我勝てり・・・と」
「はっ!報告します」
事が終わり、艦長席で天を仰ぎながら呟く土方。
「今回は…何とか勝てたか・・・」
険しい表情でつぶやく。
だが次の瞬間、フッと笑い顔になる
(沖田・・・そっちはどうしてる? 古代や島みたいな青二才を連れて、さぞ苦労しているだろうな。だが、安心して帰ってこい。お前達の帰る場所は俺達が必ず守る)
その頃のバラン星司令室
今や銀河系方面「副」司令官となったゲールが将校から報告を聞いている。
そのそばには銀河系方面司令として着任したばかりのドメルがいる。
「全滅だと? 一体どういう事だ?」
猛り狂うゲールに恐る恐る報告をする士官。
「はっ、太陽系方面再制圧艦隊と連絡が取れません。おそらく全滅したかと・・・」
「おそらくとはなんだ!おそらくとは!」
「はっ、申し訳ありません。何分にも連絡が取れなくては如何ともしがたく・・・」
ワナワナと報告を聞くゲールの後ろで冷静にその報告を聞いているドメル。
「着任早々こんな報告を聞く事になるとは、な・・・ゲール」
「ド、ドメル・・・司令」
つい昨日までは自分が司令であったゲールがその呼び名に戸惑う。
「ゲール、地球の事はしばらく放っておけ。
まずはヤマトだ。ヤマトさえ倒してしまえば地球の希望は消え、抵抗する気力も
なくなる。我々はそれから再度じっくりと地球を料理すればよいのだ」
「はっ・・・」
ニヤリと笑うドメル。
宇宙の狼ドメルと地球の名将沖田との戦いの幕開けであった。
――― 終わり ―――
【この話の各種設定】
<前衛ロボット艦隊 大型艦>
全長60m
旧・英雄型戦艦を改造した。外見はほぼ同じ。
低出力波動エンジンを搭載し、出力は20倍以上向上しているが、元々の設計が起因して完全な波動エンジンを搭載不能なためにワープは出来ない。
攻撃力は大きいが、装甲は以前とさほど変わらないために防御力は弱い。
ガミラス戦により戦闘員は元より人間そのものの絶対数が少なくなり、人員減員及び、自動化実験目的のために、改装時にほとんどが自動化され、艦橋のみで全ての運用が可能、必要な乗員は5~10名ほどで、今回はその部分も艦長・副長以下、全てロボットが任務を行う。
<前衛無人艦隊 突撃艦>
全長45m
旧・雪風型駆逐艦を改造した。外見はほぼ同じ。
大型艦同様に低出力波動エンジンを搭載し、出力は10倍以上になっているが、ワープは不可能。
改造型旧式戦艦同様に攻撃力は大きいが、装甲は以前とさほど変わらないために防御力は涙を誘うほど弱い。
人員減員目的のために、改装時にほとんどが自動化され、艦橋のみで全ての運用が可能、乗員は艦長と砲術長、通信士、航海士、機関長の5名で、今回はその部分もロボットが操作する。
<地球艦隊航空巡洋艦「もがみ」>
全長約160m。
ヤマト型戦艦を参考にして建造された新型兵器・拡散波動砲装備の航空巡洋艦一番艦。 主力戦艦やアンドロメダがまだ作られていないこの世界では地球防衛軍最強の船。再来したガミラス軍に対して初の拡散波動砲攻撃を行う。ヤマトを参考に機動力、戦闘力を可能な限り維持しつつ、小型化・自動化を目指して建造された試作艦のため、航空兵力である新型機コスモタイガーⅠも6機搭載している。「とね」・「ちくま」はやや航空兵力を重視した設計でコスモターガーⅠ以外にも偵察機を搭載する。後の巡洋艦や航空戦艦の原型ともなる。
<地球艦隊駆逐艦>
全長約100m。
ガミラスのデストロイヤー艦を参考にして互角以上に戦えるように設計建造された戦闘艦、速力、火力、防御力、全てがデストロイヤー艦を上回る。
試作型として作られたが、問題点も無く、性能がよかったので、ほぼそのまま大量生産化。
対白色彗星帝国時に大量生産された物とほぼ同型の地球標準型駆逐艦。
<アナライザー型ロボット>
旧型戦闘艦を無人艦にするための乗組員
能力が高いため、今回は各艦の艦長に任命される
アナライザーを始め、能力は高いが、何故か全般的に口が悪い者が多い
<コインダー型ロボット>
旧型戦闘艦を無人艦にするための乗組員
命令を忠実に実行し、淡々と遂行する。
アナライザー型と違い、全員礼儀正しい。
今回の戦いでは副長以下、各乗組員となり陽動作戦を決行する。