アルトリウスと紅魔館面々のお話です
「..大丈夫か?」
攻撃はふりかかること無く、目の前にボロボロのアルトリウスが妖夢に手を差しのべていた
「あ、アルトリウス..」
鎧にはマヌスにやられたであろう傷、群青のマントは更にボロボロになり、あの特徴的な大剣は刃が折れて3分の一程になっている
「そんな顔をするな、マヌスには結界を張った..あまり強力ではないが数年間は持つ、それより私のミスでウーラシールの市民..いや、あの化物が数千体近く放たれてしまった」
「そう..良かったです、じゃあ早くここ..か...ら...」
「..妖夢?大丈夫か」
何体もの敵を相手に傷を負った妖夢は気絶してしまった
(余程の無理をしていたんだな..とはいえ此処で気を失うとは)
自分の事を心配してくれた事を嬉しく思いながら妖夢を背負い地上へとアルトリウスは向かう
▼人里
「ふいー..やっと終わったぜ」
魔理沙はその場で座り込む
「あ〜疲れたぜ..神社に行って片付けたって知らせないとな..」
周りには化物の死体があるがその片付けは後にする事に決め魔理沙はその場を後にした
▼紅魔館
「お嬢様!」
咲夜は息を切らし戻ってきた
「あら、遅かったじゃない」
「申し訳ございません..道中化物を片付けておりました」
「まぁ全然いいんだけどね、余裕だったし、ね」
レミリアは悠々と空を飛び、全く疲れたそぶりを見せない
「よゆーだったよ!私大活躍したんだよ咲夜〜!」
フランが咲夜に笑顔で駆け寄る
「流石妹様です。お怪我はありませんか?」
「ないよ〜、めーりんがちょっと怪我したみたいだよ」
フランが門の所でへばっているのを美鈴を指差す、美鈴は昨夜の視線に気付き苦笑いしている
「いやぁハハ..ちょっと油断しまして、このくらい大丈夫ですよ咲夜さん」
怪我している腕を隠し平然を装うが咲夜は厳しい顔をして言う
「確かに頑丈かもしれないけど手当は必要よ、中に来なさい」
美鈴は はーい と渋りながらもついて行った
「じゃあ私達も戻りましょうか」
レミリアが言うと皆、紅魔館の中へと戻っていった
▼白玉楼
「ほら、幽々子、私の言った通りでしょ」
「そうみたいね」
紫は背を向けながらもアルトリウスが来たことに気づいた
「すまない、私のせいで妖夢が傷を負ってしまった。手当は頼んだ」
「いえ、妖夢の自業自得だし貴方が謝る必要は無いわ、ありがとう」
幽々子は妖夢を見やり、深傷では無いことを知りそっと布団へと寝かせる
アルトリウスは去ろうとすると紫に呼び止められる
「で、どうなったの」
少し間が空いてから
「倒す事は無理だった、結界は張ったが持って数年だ」
「そう、残念だったわね」
「すまなかった」
そう言ってアルトリウスは去っていった。その時、紫は肩が僅かに震えていたように見えた
▼
特に行くあてもなくアルトリウスは人気のない所にたどり着き、身体を休める。
地上をある程度見回ったが、霊夢達が上手く守っていてくれたようでウーラシール市民の被害は人里の屋台や店で人に被害は及んでいなかった
アルトリウスは折れた大剣を見て自分が情けなくなった、マントも紋章が見えない程に穢れている
次は仕留める、そう折れた大剣に近い意識が沈む
▼
アルトリウスがマヌスを結界で封じ込め日から3日が立った
まだボロボロの店があるものの、人里には以前のように活気に溢れかえっていた
博麗神社付近に避難していた人も今や居ない
「紫から聞いたけどアルトリウス、失敗したんだって、何か結界張ったって言ってたわよ」
「ほえー、帰ってきたなら顔くらい見せろよな〜!誰も責めやしないってのに」
「倒せなかったから後ろめたさでもあるんじゃないの、魔理沙はそういう事気にしなさそうだけど」
「本の事か?アレは借りてるだけだぜ、だから問題ない!」
「モノはいいようね..ちなみにアルトリウス、行方不明らしいわよ」
その言葉に魔理沙は驚いた
「はぁ!?本当なのか、それ」
「ええ、知ってそうな人に聞いたけど全然だったわ」
「何してんだ..生きてるならいいけど、妖夢んとこいってこの事教えてやろうぜ」
「そうねー、どんな反応するんでしょうね..」
▼白玉楼
「妖夢その傷..どうしたの?」
霊夢はまず妖夢の傷に驚いた
「これは..アルトリウスを助けに行ったらこうなりました、すぐ気を失ってしまったんですけどね」
少し悲しそうな顔で妖夢は話す、何も出来なかった事を悔やんでいた
「まあ生きてて良かったぜ、で、当のアルトリウスは行方不明だって知ってたか?」
「はい..幽々子様によると私を此処に連れてきた後何処かに行ったみたいです」
「そうなのか、幽々子」
「そうよー、あんまり探さない方がいいと思うわよ、今はそっとしておいてやりなさい」
幽々子は何処にアルトリウスが行ったか知っているふうな言い方だった
「まぁ..そうだな。気が変わったらそのうち出てくるだろうしな!さーて霊夢、次行こうぜ」
「次ってまだ行くの...ゆっくりしたいんだけど私...んじゃジャマしたわ、妖夢安静にね」
「無理すんなよ〜」
「はい、ありがとうございます」
2人は次の情報収集のため白玉楼を後にした
「何処に行ったのでしょうか...」
妖夢は誰に聞くこともなく呟いた
「さあね〜、今は自分の心配でもしてなさい、アルトリウスが戻ってきた時に言いたい事言ってあげればいいわ」
「そうですね..」
▼
アレから人里からは離れできるだけ単独行動を取れるようにしていた、妖夢達を巻き込む事になるのは嫌だった
マヌスの闇魔法をこの身に受けてから気持ち悪い何かがまとわりついている気がする
しかしいつまでもこんな身を晒している場所では襲われる可能性や見つかる可能性かある、何処か建物はいかと周りを見渡すと真っ赤な館が見えた
周りは 塀で囲まれ、真ん中に門が1つあったが人がいる気配はない。それを悠々と飛び越え館へと侵入する
長い廊下に部屋がいくつもある、更にかなり綺麗で手入れされている
誰もいないのか、と思い次の扉を開こうとした時
「あなた、だぁれ?お姉さまに何か用でもあるの?」
振り向くとそこには背丈は小さいが背中には奇妙な羽のようなものが生えており特徴的な帽子を被っている少女がいた
「..そうだ」
誰かは分からないが、ここで面倒事を起こすのは不味い。別れた後ここを出ようと思った
「今お姉さまは大事な話してるからダメだよ〜、咲夜もめーりんも皆集まってさー..つまんない」
目の前の少女はムッと顔をしかめ納得いかないという様子だったが好都合だと思い早急に立ち去ろうとしたが
「だから、お姉さまが戻るまでフランと遊ぼ!ね、いいでしょ!」
おっと...それは予想外だった、フランという少女は腕を掴みグイグイとどこかに連れていこうとする、その目はキラキラしていた
「はいはい!ここ座って、今からいいもの見せてあげる!」
連れていかれた部屋にはぬいぐるみや人形が多くその殆どが壊れていた、ベッドに座らされ、フランはおもむろにぬいぐるみを手に取った
次の瞬間、突如ぬいぐるみが消し飛んだ
「どう?凄いでしょ!」
「あ、あぁ。今まで見た事のない能力だ、凄いな」
褒めてと言わんばかりの顔でこちらを見るので褒めてやるとますます調子にのり次の遊びに付き合わされるハメになった
アレから1時間ほど色んな遊びに付き合わされたがフランは飽きるどころか
「はー、楽しい..フランね、外の人とあんまり遊んだことないの」
フランは突然表情が暗くなり自分の生活をこと細かく話し始めた
それはなかなかに壮絶な事だった、同情したくなるような場面もあった
「だからね、今日は楽しかったよ!」
自分が生きてた中でフランの笑顔以上のモノは見たことない程に輝いていた
「私もだ」
そう言いフランの頭を撫で部屋を出て帰ろうとした
事はそう上手く行かずあと少しの所で別の住人に見つかってしまった
「侵入者か!!此処に足を踏み入れるとはいい度胸ね!!」
相手はナイフを使うようだ、リーチは短い、見切れば問題ない
「甘いわね」
理解しがたい事が起きた、2m程前にいたはずの相手が次の瞬間には後ろに移動してナイフを構えていた
「動くと死ぬわよ、此処に来た理由を教えてもらおうかしら?」
身体が疼く、内なる闇が表に出てこようとしているのが分かった
「すまない、何もしようとは思っていない、すぐ出ていこう」
必死に自制心を保ちこの場を去ろうとする
「ふざけた事を..」
一瞬の隙をつき、折れた剣を地面に叩きつけ、足場を不安定にさせる
「なっ!?」
物凄い衝撃音と共に地面と壁一部が崩れ砂煙が巻き起こる、この時に逃げられると思ったが相手はまたしても瞬間移動で裏を取っていた
「終わりね」
「くっ..!」
致命傷を避けるため左腕を盾にしようとしたがその時目の前に見覚えのある背中が見えた
「咲夜!この人は悪い人じゃないよ!お姉さまに会いに来たって..」
フランだった、さっきの音を聞いて駆けつけたのだろう
「なっ、お嬢様に..?」
意識が遠のきそうになるが平然を装う
「何か物凄い音がしたけど、どうかした?」
そこに第3者が現れる、フランと似たような容姿だが髪色が水色で背中に生えているのも違う、目が合うとこちらを睨むように見た
「..ふーん、ちょっとそこのアナタ来なさい、咲夜、皆を集めて頂戴」
「承知しました、お嬢様」
そう言い咲夜という人物は消え、フランに似た少女に何処かにつれていかれた
▽
連れていかれたのは大広間のような場所で円形に広がっている場所に、奇抜な格好をした何人かが集まっていた
「皆いるわね?今日は新しく紅魔館に務めるメイド..じゃなくて執事?を雇う事になったから紹介するわ、アルトリウスよ」
少しの間がありそこにいた全員から ええええ という声が上がった、無論自分自身も驚いている
「おおおお嬢様!?正気ですか!こんなどこの馬の骨かも分からない輩を雇うなど!」.
「どうやらフランがお世話になったようだし、それに免じて殺すのは勘弁してあげるわ」
周りはザワザワとしているが一番納得していないのは自分であるが、お構い無しに話は進む
「やったねアルトリウス、これで毎日遊べるね!」
フランは心底嬉しそうだ
「じゃ、そういう事だから、まずはそのボロボロな見た目をどうにかしないとね、紅魔館に仕える者としてその姿は困るわ。パチェ、なんか魔法で直せない?」
「ホントに雇うんだ..まぁいいけど、直せるわよ、来なさい。アル..なんだっけ」
身を隠せる場所としては最高だが生活が大変そうだ
次は分厚い本が沢山置いてある場所に連れていかれた
「レミィ、どうするの?」
何故かレミリアは付いてきている
「そうねぇ、鎧をまず綺麗に出来るかしらさ?」
成程、そういう事だったか
「分かったわ」
にわかには信じ難い、どうやって直すのかと思っていたが一瞬光に包まれ次に自分の姿を見ると鎧が新調されていた
「どういう原理だ..」
思わず口に出してしまう
「魔法よ、ま ほ う。次はそうね、その穢れた布ね」
レミリアが答えるとパチュリーが同じようにしようとした
「あ、ちょっと待って。その色、紅でも良くない?」
レミリアが何かを言い出した
「いや、それは出来ない」
「貴方に拒否権はないのよ!」
▼
数分後
案の定、マントは紅に変えられ、紋章があった部分には蝙蝠をイメージした紋章に変更された。大剣も直そうとしたがどうやら魔法を拒んで受け付けないらしい
「それで紅魔館に仕える者として相応しくなったわね!じゃ、まずは咲夜に色々教えてもらうのね」
すると何処からか咲夜が現れた
「かしこまりました、そうね、まずは紅魔館内を掃除してもらおうかしら」
▼
前にも霊夢に似たような事を強要された気がする
余りに広いため、何時間かかるか考えるだけで気が沈む
だが紅魔館に住まう者は皆ただならぬオーラを放っている
後日手合わせ願おう
「何か新しい武器が必要だな..」
なんとなく箒を剣に見たて長く持つ、身体に染み付いた軽快な動きで箒を振り回す。
「軽すぎる」
勢いを早めてさらに振り回していると後ろから視線を感じ振り向くと咲夜がいた
「きちんとしてるか見にこれば..これはこれは、掃除そっちのけで何をしていらっしゃるんですかね」
眉間にシワを寄せ明らかに怒っている、当たり前だが。
「..許せ」
咲夜は周りを見渡し、かなり綺麗になっている事に気付く
「掃除はもういいです、少し休憩してきなさい」
「助かる」
咲夜が まったく とため息をついているのを尻目に用意された部屋に行く
「このままじゃ..」
へたり込み、壁にもたれかかる
平然を装いここまで来たが身体が限界まできている、やはりマヌスの影響なのか..
安全な所を見つけた安心感からか、今までの疲労感も一気にのしかかり、意識が沈んでゆく
どうだったでしょうか
この回考えるの楽しかったです
アルトリウスの鎧を綺麗にしてマントも新調したので(赤色だけど)見た目はだいぶ違って見えるでしょう
今更なんですけど、別にアルトリウス左利きじゃなさそうっていう事が分かりました..いや!このアルトリウスはもうそういう事でいいですよね?いいでしょ!いいね!