鈍感な会長と悩める乙女の役員達と召喚獣   作:双葉雷華

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第8話

明久side

戦争の終了後、僕は一応クラスメイトとして戦後対談の場には出席しておいた。

 

そこでは平賀君が項垂れて床にへたり込んでいた。

「まさか、そっちに姫路さんがいるなんてな。完全に予想外だよ」

 

その顔は本当に驚いていて、そして悔しそうでもあった。

自分の犯したミスとはいえそれによって下位クラスの、それも最底辺と馬鹿にしていたFクラスに敗北した。さらに言い方も酷いが彼女がここ(Fクラス)に在籍しているとは予想も出来やしないし、余地もなかった。普段から成績が良く、上位に組み込まれている彼女がまさかFクラスの生徒だと知る術はない。仮に知ることが出来てもこんな方法を使って来るとは思いもよらないだろう。

 

「さて戦後対談の件について何だが」

その言葉に2つのクラスの生徒の顔が2つに分かれる。

笑顔になっているのはFクラス、俯き、歯を食いしばっているのはDクラス

「ああ、設備のことなんだが交換は明日まで引き延ばさせてくれないか?」

彼はそう言って雄二に頭をさげる。

「負けたのは僕の責任だ。敗者であるこちらがこんなことを頼むは変かもしれないが頼む!皆、この設備を殆ど使ってないんだ!1日でいい猶予をくれないか!」

 

そう言って床に頭をつけて頼み込む。恥や外聞なんかも捨てて、ただクラスメイトのためだけにこんな行いが行える。こういう人物こそ、真に評価されるべきだ。

「だ、代表……」

彼の行動にDクラスの生徒はとても感銘を受けてしまい弱々しい言葉を吐き出していた。そんな姿に雄二は組んでいた腕を解くと平賀君に近づき、手を差し出す。

「えっ………?」

平賀君は戸惑いながらもその手を掴む。

彼が手を積んだのを確認すると彼を立たせ、握手に変える。その顔は今までとは違う優しい表情が現れていた。

「安心しろ、俺はお前達の設備を奪いはしない。こちらの出す条件を満たしてくれるならお前ら設備には手を出さないでそのままここで授業を受けてもらって構わねえよ」

その言葉は両クラスだけでなく僕自身も驚いた。彼はこの戦争に於いて彼らは通過点だと、その通過点で悦には浸らないと暗に言ったのだ。

 

「なっ坂本!話が違うじゃねえか⁉︎俺たちはあの設備からかわれると思って頑張ったんだぞ!」

そんな彼の言葉にFクラスの生徒の1人が声を上げて抗議する。それに続く他の生徒達の肯定。

 

「静かにしろ!いいか?お前ら、もしDクラスの設備を得たらその後もモチベーションが上がるのか?」

そんな彼らに雄二は一喝した後に理由を説明すると、騒いでいた生徒達は皆押し黙り、下を向く。

 

当然だ。人間は今の状況より、少し良くなればそこまで満足する。

満足すればどうなる?やる気を失い、モチベーションは下がる。

こと、不真面目な人間ならば尚更とも言える。

そうなれば彼の思い描いてる通りに事は運ばなくなる。

 

だから彼は彼らの欲を統制し、それを力に変える。まさしく、彼は統率者としての才覚には恵まれている。

 

その事は葉留佳さんから聞いた戦闘の方法からも伺える。

 

彼が使った戦術は九州の戦国大名・島津義久が考案したと言われる釣り野伏せの戦術に似ている。まず、秀吉の数名の部隊が相手を倒すなどして増援をこちらに釣り出す、これが釣りだ。

 

次に一度秀吉達が後退し増援が彼らを追いかけ、深入りする。

そして彼らの退却口の部分にある空き教室に人を配置する、これが野伏

 

彼らが通った後、指揮官の合図で登場し秀吉達が取って返し、中核隊の島田さんと共に数学で一掃する。まさに戦法の勝利だ。

 

話を戻すと彼らもそのことを言われて何も言えず黙って従う。

「よし、お前ら帰っていいぞ。後は俺とコイツで話しとくしな」

その言葉にFクラスの生徒はゾロゾロと教室へと戻る。僕は生徒会室に向かう。理由は今日行われた試召戦争に関する書類を書き上げなければならないからだ。

 

 

 

 

 

 

生徒会室に入るとそこには先客が居て、その人物は何食わぬ顔してコーヒーを飲みながら外を眺めていた。その姿はとても絵になっていた。その人物ー来ヶ谷さんはふと、こちらを見る。

「おや、明久君。来るのが遅いな君は」

僕に気づいた彼女はいつものようにどこか掴み所のない表情をして僕の事を見てくる。

「僕は今から書類を書かなきゃいけないけど来ヶ谷さんは何しとくの?」

「そうだな、お姉さんは放送室に行って電子鍵盤でも弾いてくるとしよう」

そう言って飲みきった缶コーヒーを生徒会室備え付けのゴミ箱に捨てる。ちなみに分別はされている。

「あれ?明久君に姉御がいる〜!」

「本当だ〜また会ったね明久君」

嬉しそうに言う葉留佳さんと小毬さん、そして

「よ、吉井君?」

ポカンとしている木下さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、改めて僕がこの生徒会の会長を務める吉井明久です」

「生徒会副会長の木下優子です。皆さんよろしく」

「生徒会書記来ヶ谷唯湖だ。好物はキムチともずくだ」

「その好み本当に凄いよね………」

呆れてついツッコミをしてしまう。

「はいはい〜!はるちんは生徒会会計担当ですよ!」

「ちゃんと名乗るように三枝葉留佳さん」

「は〜い」

注意すると返事はするけど、心配だ。

「生徒会庶務の、神北小毬ですっ!」

「小毬さんリラックス、リラックス」

あの後、全員が事情を説明しそれぞれ生徒会の役員であることが判明した。したのは別に良い、けど、何で男僕だけ⁉︎

そう思う僕だった。

明久side end




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