鈍感な会長と悩める乙女の役員達と召喚獣   作:風澄龍

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第10話

その日のH.R.終了後、僕たちBクラスに向けての補充試験に専念していた。一言で言って、楽なものなんだけど、さて何点ぐらいに変換されるかな?そんなこと考えながら次の試験問題に取り組むため前にあるプリントを取り出した。

そんな僕を観察する雄二の視線を受けながら・・・

 

 

 

 

 

 

明久はまた立ち上がるとプリントをとってまた席に戻り、試験を始めた。

随分と早いな、抜けてるところが多いのか?まあそれより俺も勉強しねえとな・・・・・

 

 

 

 

 

「お、終わった・・・

試験終了後、俺は一度机に突っ伏した。

久々とはいえ4教科もぶっつけはさすがに堪えるぜ。なのに明久の野郎、余裕な顔してやがる。そんな明久に秀吉が話しかける。

「明久、お主平気そうじゃな?」

「まあ、このくらいどうってことないよ。むしろこれくらいで音を上げてちゃダメだからね」

一体アイツはなんだってんだ?普段も常に落ち着いてていろんなことが起きても動揺しない。俺がアイツに劣ってるってのかよ、クソッ!

負けたくねえ。アイツには、アイツだけには負けたくない‼︎

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ葉留佳さん、お昼にしようか」

「そうですね。お弁当作ってきたし“2人っきり”で食べましょ〜」

試験が終わり、みんながグテーとしてる中僕たちはそれぞれお弁当を鞄から取り出して教室を出る。

「あれ?吉井達は一緒に食べないの?」

「うん、ごめんね島田さん。僕と葉留佳さん基本的昼休みはいないんだよ、だから昼休み何かあったら電話してくれる?これ僕の電話番号とメールアドレス」

そんな僕たちに疑問を持った島田さんが話しかけてきた。とりあえずどういうわけなのかは濁しておいて、いないのを告げる。学園長から基本的には誰にも話すなと言われてるからね。友達に隠し事するのは気が引けるけど仕方ないよね。

 

 

 

 

 

 

生徒会室に着くと生徒会役員全員と風紀委員長の二木さん、それに寮長の天野さん・恭介さんに保健委員長の悠樹咲さんといった学園委員会連盟の人達(ほとんどが女子生徒)が一堂に会していた。そんな僕に口元に笑みを浮かべながら来ヶ谷さんが話しかけてくる。

「やあ、明久君。今日も今日とてモテモテだな」

「こんにちは来ヶ谷さん。僕はモテないよ、モテちゃいけないんだ・・・」

最後の方は誰にも、隣にいる葉留佳さんにも聞き取れないような小声を絞り出す。

そう、僕はモテるわけにはいかない。モテてそのこと特別な関係になれば、母親が黙っていない。必ず、その特別になったこの家のことや本人の経歴やら、知られたくないことを知ってしまう。そうなったら僕に釣り合わないというだけで、家の圧力で別れさせるかもしれない。母さんは僕の幸せを願っている。でも、同時に吉井家の繁栄を願っているのもまた事実だ。いずれにせよ、僕はモテるわけにはいかない。

 

「それでは、全員集まりましたので会議を始めたいと思います。まず風紀委員長、報告を」

僕は一旦会議に意識を集中することにした。このままなあなあに考えるのはマズイからだ。

「はい、まず学園の食堂から『学生達の購買での争奪が激しいのでどうにかしてほしい』という苦情が来ております。ついで寮母から『夜中に騒ぐ寮生をどうにかしてほしい』だそうです」

「食堂については、購買スペースを新たに確保し、買える場所の増設を学園側に交渉します。それと購買でのルールを決めているのでそのルールを守らない生徒に対しての罰則も考えた方が良いですね。次に寮内にも規則があります。それをきっちり守るように通達し、騒いでいる生徒にはペナルティーとして反省文を書くようにお願いします。こちらは風紀委員長、並びに両寮長ご面倒ですがお願いします」

「かしこまりました」

「「わかりました」」

対策を素早く講じ、それを通達するように佳奈多さんや恭介さん達にお願いする。本人らも真面目に了承し、素早くそれらの対策の用意をする。あとで、購買両者への通達はこっち作成することを決める。

「他の委員から何か苦情等を受けましたか?」

「で、では私から」

「はい、保健委員長さん。どうぞ」

他にないか見渡して聞くと保健委員長の悠樹さんが手を挙げたので発言を許可する。

「ここ最近、怪我をする生徒が増えています。それも大抵の生徒がFFF団なる集団による暴行を受けたという理由だそうで・・・」

その言葉に委員連盟全員がざわつく。手を叩き、声をかけ鎮める。

「よろしくないですね。その集団はおそらく殆どが2年Fクラスの生徒でしょう。僕自身としてはすぐさま解散を命じたいのですが、彼らは恐らく穏便にしようが強引にしようが関係なくその行動を行う気がします。ですので、その対策として見つけたらすぐさまに我々に報告してください。こちらで対処します」

僕は彼らの行動を先読みし、その上で決断を下した。彼らにはこちらの家のスペシャリストで改心させるしかないと。そのために僕たちでなんとかするといった。その発言に拍手が起きた。そしてそのまま会議は終了した。

 

 

 

 

僕たち、生徒会、それに風紀委員長の計6名が先ほどの会議室で食事を取っていた。

「それで明久君、どうやって対処するの?私たちだけじゃ無理だよ」

そう小毬さんの言う通りだ。その言葉には同意する。

「もちろん、小毬さん達の手は煩わせないよ。恐らく、これは父さん達が勝手になんとかするよ」

そう言いながら伊勢海老の天ぷらをかじる。出汁がしみてて美味しいや。

「確かにそうね。私と葉留佳の家や吉井の家はここのメインスポンサーでもあるわけで、ここへの入学は言うならば実地調査みたいなもの。その調査を邪魔する障害は恐らく家が黙って見てないでしょうね。何かしらするはずよ」

そんな僕の言葉に賛同する佳奈多さん、彼女は卵焼きを可愛く食べていた。

「まあ、自分の息子が大事な総理大臣と土地証券会社の社長の息子ならそれも分かるな」

来ヶ谷さんもキムチを使った料理を食べていた。どんだけキムチ好きなのさ・・・・

 

そんなこんなで昼食はこれからのことを話しながら終わった。


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