金髪の元ヤンが死後の世界に来たそうです。 作:千葉県のTさん
目を開けると、腹が立つぐらい青い空だった。
「……」
驚きのあまり声が出ない。
とりあえず体が正常に動くか確認する。少なからずとも視力はある。右腕は動く。続いて左腕も動かすと、左腕も問題はないようだ。両手も問題はない。10本の指すべても細かく動く。続いて足も確認するとちゃんと動いた。
試しに右足を上げるとバランスをくずして頭から落ちてしまった。
頭をさすりながら顔を上げると、目の前には巨大な建造物が建っていた。今までこんな立派な建物なんて見たことがない。
「なんなんださっきから…」
俺はあまり喋る方ではないが、これには思わず声を出してしまう。
見渡すと背後にはベンチがあった。おそらく俺はベンチに横になっていたのだろう。
いつまでも座ってるわけにいかないので、立つことにした。ちゃんと立てる。
「ーー目覚めたようね」
「ーー!」
背後から声が聞こえた。後ろを向くと小柄な銀髪の少女が立っていた。
さっきまでいなかった。近づいてきたとしても気配を感じるはずだ。
警戒心をもちながらも銀髪の少女に聞く。
「ここはどこだ?」
すると銀髪の少女は何の素振りも見せず。
「死後の世界よ」
とだけ言う。
「死後…?」
オウム返ししてしまう。だが不思議とすぐに受け入れることが出来た。
「…なるほど、俺は死んだのか。なら、あの建物はなんだ?」
死後の世界だとしても、やはりあの立派な建物がなんなのかが気になる。
すると銀髪の少女は淡々と。
「学校よ。あなたはこれからこの学校で過ごしてもらうわ」
「…は?どうゆうことだ」
すぐに聞く。
「あなたにはこれから成仏してもらうの。成仏するためにこの学校で過ごしてもらうわ」
説明されたらしいが、意味がわからない。成仏するために学校で過ごせ?何をどうしたら学校と成仏が結びつくのだろうか。
キーンコーンカーンコーン
建物の方から音が鳴る。チャイムだろうか。銀髪の少女の言う通り、あの建物は学校らしい。
「授業が始まるわ。あなたも早く教室に行きなさい」
銀髪の少女は小走りで去っていく。
「おい待て…」
と言ったときにはもう遅かった。銀髪の少女の姿は見えなくなっていた。
どうしようかと迷ったが、銀髪の少女が言ったことに従うことにした。教室に行こう。
「教室…どこだ」
予想外だった。自分の教室がどこかわからない。アホらしい話しだ。仕方なく職員室か校長室を探すことにした。
探しても見つからない。授業中だからか、誰ともすれちがわない。かれこれ歩き始めて15分ほど経った。10メートルほど先に豪華な雰囲気の扉がある。校長室だろうか。ノックをする。5秒ほど待ったが返事がない。校長の許しを問わず開けることにした。
「失礼します…」
と言いドアノブをひねる。
ガチャ
右上から音がした。向くと巨大な鉄の面が勢いよく迫ってきた。
「な…!」
何も言えずに吹き飛ばされる。ガラスの窓を突き破り人生で初めて飛んだ。いや、死んでるから人生で初めてというわけではないか。そうこう思ってるうちに意識が遠のいてく。
「……」
意識が回復してきた。人の気配がある。確認するために目を開ける。
「あら、お目覚め?」
不意に声が聞こえた。女性の声だ。体を起き上がらせる。起こすと目の前には紫髪のカチューシャをつけた少女がいた。見たところ、美人に入る部類だ。目の前にいることから察するに先ほどの声の主だろうか。周りには何人か男女がいる。
「…ここは?」
聞いてみる。
「意識ははっきりしてるようね。ここは死後の世界よ」
「それは知ってる」
冷徹だが、知ってることは事実なのでそう返す。
すると俺の冷たい返しに腹が立ったのか、やや不機嫌そうな声で少女は言う。
「…ここは死んだ世界戦線の本部よ」
死んだ世界戦線?なんだその名前は。聞いたこともない。
思ったことをあるがままに返す。
「死んだ世界戦線?なんだそれ」
すると少女は。
「私たちのことよ。あなたも私も死んでるの。だから死んだ世界戦線」
「ならなぜ戦線が入る」
少女に聞く
「…簡単よ。戦うからよ」
「戦う?なにからだ」
すると少女はこう答える。
「…天使よ」
…天使?この世界には天使がいるのか。だがいたとしても戦う存在なのだろうか。
「なぜ天使と戦う?」
すると少女はあたりまえのように。
「神へ復讐するためよ」
神へ復讐?彼女は中二病なのだろうか。だが考えると、ここは死後の世界の時点で中二病どうこう言ってられない。
「…なるほど。状況はわかった。で、おまえらは俺の見方なのか?」
聞く。すると少女は。
「あなたの答え方しだいで、あなたからの私たちの立場は変わるわ」
「答え方?」
オウム返しで聞く。
「ええ、答え方で。ここからが本題。あなた、死んだ世界戦線に加入する気はある?」
いきなりスカウトされた。
「…どうゆうことだ?」
「そのままの意味よ。あなたは私たちの仲間になる気はある?と聞いただけよ」
意味はわかる。だが彼女が言った状況説明では状況がわからない。戦うという単語がある以上、判断は慎重にしなければならない。
「…おまえらの仲間になったところで、俺へのメリットは何かあるのか?」
自分の身の安全のために聞く。
「安全は保証するわ」
安全は保証されるらしい。まだ実態がわからない天使とやらよりはマジだろうか。仲間になれば、彼女たちにこの世界のことを詳しく聞けるかもしれない。
返事は決めた。
「…わかった、仲間になろう」
オォォォと歓声が沸く。すると少女は手を出し。
「ようこそ死んだ世界戦線へ。私の名前はゆり。死んだ世界戦線のリーダーよ」
俺も手を出し握手をする。
「…俺の名前は北川。北川智也だ」
「北川くんね。これからよろしく。メンバー紹介をするわ。向こうにいるのが日向くん。チャラ男よ」
「なんだ、その藤森慎吾を紹介するみたいなノリは!」
青髪の少年…日向がキレのいいツッコミを披露する。すると腕を上げウィンクをしながら「まぁよろしく!」とだけ言う。ゆりが言うようにチャラ男らしい。
「日向くんの右隣にいるハルバードが野田くんよ。正真正銘のバカよ」
野田がこちらに少し目を向ける。するとすぐに元に戻った。ハルバードを持ってる為、1番覚えやいだろう。
「向かいの椅子に座ってるのが岩沢さん。陽動部隊のリーダーよ」
陽動部隊…戦線という名前は伊達ではないらしい。すると岩沢と呼ばれる少女は「どうも」とだけ言う。クールビューティという名が似合う雰囲気だ。
「そこにいるのが藤巻くん。そのすぐ横にいるのが大山くんよ」
柄の悪い長ドスを持ったのが藤巻だろうか。その横にいるのが大山か。
「よろしくな」
「よろしくね〜」
藤巻は見た目通り、柄の悪いあいさつの仕方だ。対して大山は普通のあいさつだ。
「向こうにいるメガネが高松くん。知的だけどバカよ。その後にいるのが松下くん。柔道五段だから、みんなからは松下五段と呼ばれてるわ」
大柄な青年は「よろしく」と言う。高松からも「これからよろしく」とメガネを上げながら言う。
「壁の近くにいるのが椎名さん。一応戦線最強よ。あまり喧嘩は売らないように。そして…」
と、ゆりが言おうとした時に「Hey you!」とテンションの高い英語が後ろから聞こえた。
「あ?」と振り向くと金髪の長身なバンダナをつけた男が踊っていた。
「…なんだコイツ」
「彼の名前はTK。言葉は通じるけど会話は成立しないわ」
鬱陶しい奴だな。と思ったが口には出さないようにした。あまり関わりたくはないからだ。
「まだ他にもいるけど、ここにはいないわ。みんなそれぞれの活動をしてるわ」
おそらく、岩沢のような陽動部隊だったりと、部隊によって活動拠点が違うのだろう。
「それじゃ北川くん、制服を渡すわ」
「制服?」
見ると自分の制服と戦線の男性陣の制服は違う。戦線メンバーであることを表してるのだろうか。
そうゆうことにして制服を受け取る。
「明日からはこの格好で来なさい。どうせその制服ボロボロだし」
言われてみればボロボロだ。吹き飛ばされたときのガラスで切れたらしい。だが、ここで新たな疑問が生まれた。
「なぜ俺は生きてる。あのときに死んだと思うんだが…」
「ええ、生きてるに決まってるわ。だって私たち死んでるもの。なんで死んだ人間がまた死ななきゃならないの」
なるほどな、この世界では死なないのか。疑問はすぐに消えた。
「とりあえず今日はもう帰りなさい。いろいろ疲れたでしょう」
言われてやっと気づく。頭が重く、体がだるい。
「…そうさせてもらう」そう言って背を向ける。するとゆりが「あ、言い忘れてた!」とすぐ呼び止める。
「…?」
なんだ?と目だけで言う。
「この部屋に入るためのパスワード。神も仏も天使もなし。そう言えば入れるわ」
俺が吹き飛ばされたのはパスワードを言ってなかったことが原因だったのか。
原因を理解し、今度こそ部屋から出る。
この学校は寮生活であるらしい。男子寮に入り、管理人に自分の部屋を確認する。ルームメイトはいないらしく、ひとり部屋らしい。、あまり誰かと寝床を一緒にするのが好きではない俺にはちょうどいい。
部屋の鍵を貰い部屋に入る。机にベッド、テーブルと殺風景な空間だったが、寝るだけなら困らない。すぐにベッドに横になる。死後初めての1日はめちゃくちゃで疲れたが、不思議と嫌な感じではなかった。
そのまま意識がなくなってゆき、すぐに寝ることができた。
携帯からだから書きずらい…