ラブライブ! ~μ'sとあるファミリーの物語~ 作:Mr.ペンギン
新学期を迎えた穂乃果達は、広島県からやって来た新たな友人と親しくなる。そんな彼女達の耳に飛び込んできたのは、廃校の知らせ。母の母校でもある音ノ木坂学院をどうにか守る為に、穂乃果はスクールアイドルをやることを決心したのであった!
スクールアイドルの活動を始めた穂乃果達に、様々な事が起こった。自分達のユニット名を募ると、無記名で『μ's』と書かれていた紙が1枚だけ箱に入っていて、μ'sと名前が決まったり、何故か自分達のこの活動を否定する者が現れたりした。アイドル経験のないまま右も左も分からず、がむしゃらに練習に励んだり曲を作ったりしているが、彼女達は嫌な顔をする事なく、寧ろそれを楽しんでいて、特に講堂での初ライブ開催が決まってからは一層練習に精を出していた。言うまでもなく、それは少ない客のライブ後の今日も変わることはない。
一方で、そんな彼女達に興味を抱きつつも、中々勇気が出ずに葛藤している少女が1人いた。
花陽「………。どうしようかな…。」
その少女、小泉花陽は先日校門で光輝から手渡された講堂ライブのビラを、席でじっと眺めていた。彼女は幼い時から、アイドルになりたいと思っていた位アイドルに対して強い憧れがあるのだが、人見知りと言う性格が災いし、どうしても前進できずに立ち止まっていた。そんな彼女に、2つの影が気配を殺して忍び寄る。
??「か~よちんっ!!」
??「は~なちゃんっ!!」
花陽「ぴゃあっ!?」
突然、両肩に違う人物の手が乗せられたと同時に背後から大きめの声で話し掛けられたので、思わず情けない声を出して驚いてしまった。振り向くと左側には幼馴染みである星空凛、右側にはついこの間転校してきた新しい友人がいた。
花陽「凛ちゃん、裕子ちゃん、急にびっくりしたよ~…。」
彼女は少し弱々しい声で、ドッキリ大成功と言わんばかりに笑い合っている2人を咎めた。凛の隣にいる水原裕子は、光輝、雷華と同時に凛達のクラスに転校してきた生徒で、岡山県の出身だ。彼女は凛に似て明るくさばさばした性格で、凛とはすぐに打ち解けた。凛同様に話し方が変わっているが、彼女が「~にゃ」と話すのに対し、裕子は岡山弁を話す。
裕子「いや~、思いの外花ちゃんがえぇ反応したけんの~。と言うのはさておき、さっきからどしたん?何か上の空で…、頭悪ぃんか?」
花陽「ふぇっ!?」
彼女の思わぬ発言に、花陽は再び驚いた。
凛「ちょっと~!!かよちんに何て事言うにゃ~!!」
凛が両手で花陽の肩を抱きながら、裕子に頬を膨らませて怒った。すると裕子は豪快に笑った。
裕子「ちゃうちゃう!『頭悪い』って、岡山の方言で、『頭が痛い』って意味なんよ。ったく凛おめぇ、頭悪ぃんか?」
凛「な~んだ!ビックリしたにゃ!!凛は別に頭痛くないけど?」
裕子「今のはそのまんまの意味じゃ!」
凛「にゃにゃっ!?酷いにゃ~~~!!!」
裕子は凛をからかってご満悦の様子を見せる。
凛「所でそれって昨日のライブのビラだよね?やっぱり気になるの?」
彼女は花陽の顔を覗くように凝視している。
花陽「えっ!?ううん、そんな事ないよ…。」
それに対し、花陽は動揺しながらも両手の指を目の前に合わせ、人差し指を回しながらそう答えた。すると凛が少しムッとした表情で更に詰め寄る。
凛「嘘を吐いちゃダメだよ!!かよちん、嘘を吐く時は人差し指をくるくる回すの、凛は知ってるんだからね!」
花陽「あぅ…。」
凛に詰め寄られ、花陽は少ししゅんとした。
凛「大丈夫!かよちんならきっと素敵なアイドルになれるよ!!凛、応援してるからねっ!!」
裕子「ん?凛はせんのん?スクールアイドル。」
凛はガッツポーズを作って花陽を勇気づける。そんな彼女に、裕子は何気なく尋ねた。
凛「凛が?ムリムリムリ、凛がスクールアイドルだなんて、出来っこないよ!だって、女の子っぽくないもん…。」
凛はそう言うと、しょぼんと萎れた様な表情を浮かべた。
裕子「何をあんごーな事を言うとんなら?凛も負けねぇ位ぼっけぇ可愛いで!」
彼女は何とか凛を元気付けようと言葉を掛けたが、凛の表情が変わることはなかった。
凛「とにかく!凛にはアイドルなんて向いてないよ…。」
花陽「あの…、私、アルパカのお世話に行ってくるね…?」
この状況を見兼ねた花陽は、逃げるようにその場から去っていった。
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花陽「……。本当にどうしようかな…。」
あの後、花陽はアルパカの餌と水を代えてから、中庭で1人ぽつんと考えていた。
??「ねぇ。」
そんな彼女に、凛でも裕子でもない他の誰かが声を掛けてきた。花陽は思わず背筋が伸びたが、すぐに元に戻った。
花陽「あっ、西木野さん…。」
話し掛けてきたのは、赤い髪と勝ち気な目が印象的で、医師を志す少女、西木野真姫だった。彼女とは今まで普段話すことはなかったが、彼女の落とした生徒手帳を拾い、家に届けに行ったことで、ちょっとした縁が出来たのだ。そんな彼女も、花陽を応援している。
真姫「貴女、結局どうするの?スクールアイドル。」
花陽「…………。」
彼女はくるくる髪の毛先を弄りながら尋ねる。花陽はそれに思わず黙り込んでしまった。そんな様子を見た真姫は、はぁと溜め息を吐いた。
真姫「やりたいならやれば良いじゃない。貴女、折角綺麗な声持ってるんだし、勿体無いわよ。私は無理だけど、まぁせめてそうね…、応援ぐらいはしてあげるわよ…。」
彼女は恥ずかしそうに頬を赤く染めて目をそらしてそう言った。それでも花陽はまだ踏ん切りがつかない。
凛「かよち~~~ん!!!!」
そんな時、凛と裕子が花陽に向かって走ってきた。全力疾走したのに、2人共息を切らしていなかった。そんな様子に、花陽はぎょっとした。
凛「かよちん、やっぱり直接言いに行こう!『アイドルをやりたいです』って!」
裕子「大丈夫じゃ、今ならまだやりょおるけん!十分間に合うで!」
花陽「ふぇっ!?え…?えっ?」
花陽はこの状況を全く飲み込めていなかった。その3人に、真姫がストップを掛ける。
真姫「待って!彼女は綺麗な声を持っているの!だから急がずに、それをまず磨いてからでも遅くはないわ!!」
彼女は鋭い目付きで凛を見据えた。しかし凛はそれに怯まなかった。
凛「西木野さんがどうして凛とかよちんの邪魔をするの!?下がっててよ!さ、かよちん行こう!早くしないと練習が終わっちゃうよ!」
花陽「はわわっ!?」
凛はそのまま花陽の右手を掴み、屋上へ連れていこうとする。しかし、今度は真姫が花陽の左手を掴み、動きを止めた。
真姫「そこまで言うなら私が連れていくわ!!」
彼女は再度凛を睨んだ。だが、やはり凛はそれに怖じ気付くことなく、睨み返した。
裕子「どいつもこいつもいい加減にしぃや、あんごー共!!んなじなくそばぁする暇がありゃあ、さっさと連れてくぞ!」
次に裕子が花陽の背中に周り、キャリヤーを押す様にそのまま無理矢理押した。そんな立て続けに起こるとばっちりに、花陽が一言。
花陽「ひぃっ…!!だ、ダレカタスケテェェェェ!!!!」
彼女の声は、誰の耳にも届く筈がなかった…。
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光輝「ひっひっひ…、やっと来たんか。」
穂乃果「来てくれたんだね。どうしたの?」
あの後、練習を終えて休憩していた穂乃果のいる屋上へ向かい、今穂乃果達の目の前にいる。
花陽「えっと…。その…!!」
やはりアイドルに憧れは抱いていても、普段の性格が災いしてどうしても前に進めない。
凛「かよちん、ここまで来たんだから、もう後戻りは出来ないよ!ビシッと言いなよ!」
真姫「貴女の歌声は私が保証するわ。私が認めたんだから、間違いないわよ!」
2人は1人の何とか激励するものの、どうしても彼女は一歩前に進めない。チラッと屋上のドアを見やった。
裕子「おいっ!」
いつまでも状況が変わらないことに痺れを切らした裕子が両手を真っ直ぐ広げて、屋上のドアの前に立ち塞がった。
裕子「花ちゃん、オメェがちゃんと答えを出すまで、こっから先は通さんけぇ、覚悟せぇよ!」
花陽「!?」
彼女は意味ありげな笑みを浮かべて、彼女にそう言い放った。彼女は裕子の意図を察し、思わずきょとんとした。すると今度は誰かに背中を押され、前へバランスを崩した。振り向くと、裕子と同じ様な笑みを浮かべた凛と真姫が手をパーに広げ、突き出していたのだ。
凛「かよちんなら出来るよ。スクールアイドル!」
真姫「心配しないで。私達が応援するから。だから─」
りんまき「「大丈夫!」」
そんな様子を目の当たりにし、花陽は目を見開いた。そして、穂乃果達に視線を変えた。
花陽「私…、小泉花陽と言います……!歌もダンスも下手ですが、アイドルへの憧れは、誰にも負けません…!!どうか、私もスクールアイドルに混ぜて下さいっ!」
彼女は頭を深々と下げた。すると穂乃果が彼女に歩み寄り、手を差し出した。
穂乃果「うんっ!こっちこそよろしくね!!」
彼女の返事を聞き、花陽は嬉しそうな笑みで差し出された手を握った。
夏海「んで、そちらの御二方はどうするんじゃあ?」
彼女は口の端を上げて、凛と真姫を見据えた。2人は急に指名されたので、戸惑った。そんな2人に、今度はことりと海未が穂乃果と同じ様に歩み寄り、手を差し出した。
ことり「まだまだ募集中だよ。」
海未「私達と、やってみませんか?」
2人は優しく語り掛けた。すると凛と真姫は、お互い見つめ合い、明るい表情を作った。そしてそのまま2人の手を握った。
その様子を、転校生の3人はニッと笑ってみせた。
夏海「やっとか~。えろー遅かったのぉ。」
裕子「すまんすまん。ちょいと時間がかかっちもぉた。」
2人のやり取りを見て、6人は少し驚いた。
穂乃果「あれ!雷華、その子のこと、知ってるの?」
光輝「まぁ、訳あってな。ってことで、こいつも今日からあたしらと一緒に手伝ってくれる、水原裕子じゃ。」
裕子「アタシは水原裕子!広島の隣近所、岡山の出身じゃ!よろしくなっ!!」
空がオレンジ色に染められた頃、μ'sは1年生3人を加えて6人(+裏方3人)となったのであった。
いかがでしたか?
最後の執筆が10月だったので、かなり間が空いてしまいまして、本当に申し訳ございませんm(__)m長らく執筆していなかったせいか、文章が更に稚拙になっている気がします…。
ここで、本編で登場した方言を紹介します。
・頭が悪い:頭が痛い(岡山)
・あんごー:ばか(岡山)
・ぼっけぇ:とても、非常に(岡山)
・じなくそ:下らない事(岡山)
こんな感じでしょうか。
次回は、3年生組と妹勢を登場させたストーリーです。先にお伝えしますが、こちらの都合上、にこが加入するストーリーは省略させて頂きますので、予めご了承下さい。出来ればμ'sが9人になる所まで持っていきたいです…。因みに、急遽3年生にも新キャラを付け加えまして、登場人物の方にそのキャラの詳細を新たに載せましたので、よろしければそっちも確認してみて下さい。
それでは、今回はこの辺で失礼しますm(__)m