PM 5:13
路地裏を後にしたなのは達は二度目の魔力反応を頼りに市街地に来ていた。
「どう?レイジングハート。何か反応はある?」
《 ……
だが、その頃には既に魔力反応は消えており、なのは達は目標を見失う。
「また移動してるのかも…」
「ここからは手分けして探した方がええな」
はやてのその言葉になのはとフェイトも小さく頷いて同意を示す。
「なのはちゃんは駅方面、フェイトちゃんは中心街をお願いや」
「はやてちゃんはどうするの?」
「私は、万が一に備えて商店街の方に向かうわ。いつどこで反応があるか分からへんからな」
「分かった。じゃあそっちは任せるよ」
「無茶はしないでね」
「そっちも無理はアカンで」
互いに相手の心配をして注意を促す。
「何かあったら念話で連絡。もし何も見付からんかったとしても二時間後にはここに戻って来ること。それでええな?」
「うん」
「了解」
はやてが捜査の指揮を執り、なのはとフェイトがそれに敬礼で応える。
「ほな、みんな気ぃ付けてな……散開ッ‼」
そして、その合図を始めに三人はそれぞれの捜索へと駆け出した。
◇◇------------------◇◇
引ったくり事件の騒ぎから抜け出した清麿達は行く宛も無く、ただ市街地を歩いていた。
「清麿……もう日が暮れてきたのだ…」
「……ああ、そうだな…」
最早、顔だけでなく、覇気の無い声からも疲労の色が窺える。
「はぁ……今は謎の建造物やバオウのことで頭がいっぱいだってのに、どうしてこんな事に……ん?」
つい清麿は愚痴を零してしまうが、そのお陰で彼はある重大な見落としに気が付いた。
「あ………ああッ!!!そうだよ何でこんな簡単なことに今まで気付かなかったんだ‼」
「ど、どうしたのだ清麿?急に大声を出したりして…」
「俺達がここに来た原因を思い出してみろ。この現象があの石の力によるものなら俺達を元の場所に戻すこともできるかもしれない‼」
「お、おおッ‼なるほど、さすがは清麿なのだ‼」
「よし、そうと分かれば早速……」
そこで清麿の動きが止まる。
「なぁ……お前、あの石はどうした?」
「ウヌ?清麿が持っておるのではないのか?」
「………………………」
「………………………」
沈黙が痛い。そんな比喩表現が似合いそうな沈黙が続く。
「くッ……戻るぞガッシュ‼こうなったらさっきの場所を片っ端から探すッ‼」
「ウ、ウヌ‼」
やっと見付けた一筋の希望の光を目指して二人は来た道を駆け足で戻っていった。
◇◇------------------◇◇
PM 6:26
日が完全に落ちると街頭の灯りが徐々に
「バルディッシュ、何か反応はある?」
《
中心街を捜索していたフェイトだが、結果としては空振りに終わっていた。
「そっか。じゃあ少し早いけど戻ろっか」
踵を返し、一足早く集合地点へ戻ろうとしたところでフェイトは不意に足を止める。
「…………………………」
その理由はすぐに分かった。路地裏で見た光る何かの正体である。
「(……何でだろう。見たのはほんの一瞬だけで、こんなに気になる事なんて無い筈なのに…)」
魔力反応があった場所なだけに、彼女はその事が頭から離れないでいた。
「………ごめん、バルディッシュ。やっぱりもう少しだけ付き合ってくれる?」
《 Yes, sir 》
遂にはその正体を確かめるために、彼女は最初に魔力反応があった路地裏へと向かうのだった。
-- 二十分後 --
PM 6:48
フェイトは最初に魔力反応があった路地裏に再び足を運んでいた。
「確かこの辺りだったと思うんだけど……」
自分の僅かな記憶を頼りに彼女は周辺を隈無く捜索する。
「………あ、あった‼これだッ‼」
あちこち探し回った末に見付けたそれは小さな結晶のような石だった。
「バルディッシュ、この石に魔力反応はある?」
《……
フェイトの期待とは裏腹にバルディッシュはありのままの結果を伝えた。
「あはは……やっぱり無駄足だったみたいだね」
自分の思い過ごしと分かった今でも、フェイトはどこか腑に落ちないでいた。
「そろそろ時間だし、戻ろっか」
収穫が無かったとは言え、時間に遅れるわけにはいかないのでフェイトはその場を後にすることにした。
「おいおい、こんな所にすっげぇ可愛い娘がいるぜ」
「それに見ろよ、あの制服。あれって確か聖祥大学附属中学の制服だぞ」
「へぇ……そんな学校の生徒さんがこんな所に遊びに来るなんてな」
だが、間の悪いことに彼女は三人の不良高校生達に遭遇してしまった。
「なあなあ、暇なら俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
「……結構です。私、ちょっと急いでるんでこれで失礼します」
そう言って彼女は不良達の横を通り抜けようとする。
「そんなこと言わないでさぁ」
だが、不良達の中の一人がフェイトの腕を掴んでそれを阻止する。
「放してください‼」
尚も食い下がる不良の手をフェイトは強引に振り払った。
「チッ……ってぇな。人がせっかく下手に出てやってるのによ」
それに逆上した不良は態度を激変させて、今度はさっきよりも力を強くしてフェイトの腕を掴んでくる。だが、彼女は慌てる様子もなく、逆に不良の手首を掴むと合気道の技の一つである小手返しを利用して不良を投げ飛ばした。
「がはッ……!!」
突然のことで受け身を取れずに不良は体を強く地面に打ち付ける。
「もうやめてください。これ以上続けるなら手加減はしません」
「ふ、ふざけんな‼」
「もう容赦しねぇぞッ!!!」
フェイトの警告を無視して残りの不良達が一斉に襲い掛かるが、彼女はその全てを受け流す。
「このッ……!!」
「これならどうだ‼」
不良の一人は懐からナイフを取り出し、さらにもう一人は近くにあったビール瓶を持つと底を壁に叩き付けて割り、即席の凶器を作る。
「これが最後の忠告です。今日はもう諦めて大人しく帰ってください」
「黙れッ!!!」
まずはナイフを持った不良が襲い掛かる。
「はッ!!」
「ぐはッ…!?」
闇雲に振り回すそのナイフを躱してフェイトは不良の鳩尾に一撃を入れた。
「まだ続けますか?」
「くッ……!!」
不良がたじろいたその時、フェイトは背後から気配を感じて振り返る。すると、そこには両手を絡めた状態で高々と振りかぶった不良がいた。
「そらよッ!!!」
「きゃあッ…!?」
そして、力任せに降り下ろされたそれはフェイトの頭部に命中した。
「(しまった……まだ完全に無力化できてなかったんだ…)」
最初に無力化した筈の不良に頭部を殴られ、軽い脳震盪を起こしたフェイトは朦朧とする意識の中で自分の詰めの甘さを痛感する。
「な、何だよ……脅かすなよな」
「うっせぇな、女相手にビビってる奴が偉そうに言うな」
「ビ、ビビってねぇし‼」
「はいはい……って言うかお前もいつまで寝てんだよ」
「うぐッ…‼」
鳩尾に一撃を貰って伸びている不良を蹴り起こす。
「おら、立てよ」
「きゃッ……!!」
不良の一人に両腕を押さえられた状態でフェイトは強引に立たせられた。
「手こずらせやがって。おい、しっかり押さえとけよ」
「お、おう、任せとけ」
「い、嫌……放してください…!!」
フェイトは必死に抵抗するが、腕を拘束されて思うように動けない。
「だ、誰か……誰か助け…!!」
「おっと、あんまり騒ぐんじゃねぇよ」
助けを呼ぼうとフェイトは声を出そうとするが、不良の一人が口を塞いでしまった。
「また暴れられても面倒だ。お前ら、そいつを連れてさっさと行くぞ」
抵抗も虚しく拉致されそうになるフェイトの頬に一筋の涙が流れたその時だった。
「ザケルっ!!!」
一つの電撃が不良二人を蹴散らした。
「な、何だ?どうしたお前ら…?」
突然の出来事に残された不良とフェイトはただ呆然とその光景を見ていることしかできなかった。
「はぁ……何で今日は次から次へとこう面倒なことが起きるんだ…」
そんな声が二人を我に返した。そして、その声の主へと視線を向けると、そこには清麿とガッシュが立っていた。
「あ……て、てめぇはさっき俺らから逃げた中坊じゃねぇかッ!?」
「げっ……誰かと思えばお前らかよ…」
「清麿、この者達を知っておるのか?」
「いや……まあ、そう言う訳じゃないんだが…」
声を荒らげる不良の顔を見た清麿は見るからに嫌そうな顔をした後に溜め息を吐く。
「はぁ……人の財布を狙ったかと思えば、今度は女の子に暴力とか……格好悪いと思わないのか?お前ら」
「んだと……てめぇ!!」
挑発に乗った不良はフェイトから手を放すと清麿に向かって全力で殴りかかる。
「悪いけど、今はあんたらに構ってる暇は無いんだよ」
頭に血が上った単調なその拳を清麿は躱すと一気にフェイトの下へ走る。
「走れッ‼」
そして、フェイトの手を強引に取ると清麿はそのまま全力で走る。
「え……ッ!?」
戸惑う間も無くフェイトは力一杯に手を引かれ、気が付けば走らされていた。
「とにかく今は走れッ‼全速力で走るんだ‼」
「う、うん……ッ‼」
そんな清麿達の遠ざかっていく後ろ姿を眺めて不良は小さな笑みを浮かべる。
「はは……いきなり現れたかと思えばヒーロー気取りかよ、舐めやがって…」
不良は額に幾つもの青筋を立てて怒りのボルテージを上げていく。
「絶対に逃がさねぇぞッ!!!」
怒りが限界値を越えると不良は凄い勢いで駆け出し、清麿達の後を追い掛けていった。
「急げ……‼大通りにさえ出れば向こうも下手に手出しはできない筈だッ‼」
複雑に入り組んだ路地を清麿達はただ
「待てやクソガキどもがぁああああああッ‼」
「チッ……しつこい奴だな‼」
振り返ると、百メートルほど後ろに鬼の形相で自分達を追い掛けてくる不良がいた。
「清麿、行き止まりなのだ‼」
「何ッ!?」
すると、前方は三メートルは越える大きな壁で進路を阻まれ、後方は怒り狂う不良で退路を奪われる。
「くそッ……袋小路かよ…!!」
前後左右と逃げ道を奪われ、清麿は必死に打開策を考える。
「清麿、前がダメならば上なのだ‼」
「は?上って……空でも飛べってのか?」
「違うぞ、清麿。あれを見るのだッ‼」
ガッシュが指差す方へ清麿は視線を向けると、そこには高さ1メートル程の室外機があった。
「おい、まさかとは思うが……」
「ウヌ、そのまさかなのだ‼」
「いや……お前、簡単に言うけどな…」
ガッシュの意図を理解した清麿だが、リスクが高いその提案に難色を示す。
「待てって言ってんだろがぁああああああ‼」
次第に不良は距離を詰めてきており、もう自分達に選択の余地は無かった。
「はぁ……こうなったらやるしか無いか…」
今日だけで何度目か分からない溜め息を吐いて清麿は腹を括る。
「え……?え?な、何するつもりなの…?」
「悪い、説明してる時間は無いんだ。少しだけ我慢してくれ」
まるで事態を飲み込めずにいるフェイトの手を引いて清麿は壁から距離を取ると、いきなり彼女を抱き上げた。
「え……えええええええッ!?」
その突然過ぎる彼の行動にフェイトは顔を赤くして驚愕した。
「行くぞッ‼」
そんな彼女を無視して彼は壁に向かって全力で駆け出す。
「ちょ……ちょっと待って‼まさかあの壁を跳び越えるつもりなのッ!?」
「そう言うこと‼しっかり掴まってろよッ‼」
否応無しにフェイトは清麿の首の後ろに手を回して体を固定する。そして、清麿は右足で大きく踏み込むと高々と跳び上がり、室外機を踏み台にもう一段ジャンプした。
「行っ……けぇええええええええええッ!!!」
驚異的な跳躍力で清麿は三メートルの壁を跳び越え、地面に着地する。
「いっ……てぇ‼」
その襲撃が痛みとなって足から伝わる。
「だ、大丈夫?」
「あ、ああ……このぐらいどうってこと無い…」
清麿は痛みを堪え、そう返してフェイトを降ろした。すると、すぐにガッシュも清麿に続いて壁を易々と跳び越えてくる。
「……とりあえずこれで上手く撒けただろ」
「そうだね、きっとあの人も諦めて……え?」
フェイトが視線を向けると、そこには壁の向こうから顔を覗かせる不良がいた。
「逃がさねぇって言ったよなあッ!!!」
「なッ!?ほんとにしつこい奴だな…‼」
再び逃走劇が幕を開ける。
「き、清麿、どうするのだッ!?あの者、このままではずっと私達を追い掛けてくるぞ‼」
「俺に聞くなッ‼」
焦燥感に駆られたガッシュが訊ねるも、清麿は一蹴して全速力で走り続ける。
「(くそッ……術を使えば話は簡単なんだが、そう言うわけにもいかねぇし…)」
横目で隣を走るフェイトを見る。最初に不良を蹴散らした時と違って今回は誤魔化しが効かないため、清麿は呪文の力を使えずに逃げるしか手段が無かった。
「(どうしよう……一般人が見てる中では魔法は使えない。でも、私が巻き込んじゃったわけだし、せめてこの二人だけでもどうにかして逃がさないと…)」
対してフェイトも魔法を使えない状況の中で必死に打開策を考える。そして、三人が路地の突き当たりに差し掛かると道が左右に分けれていた。
「清麿、どっちに行けば良いのだッ!?」
「どっちって言われても……」
日が落ち、ただでさえ薄暗い路地裏はより見通しが悪く、どちらの道も先が読めない。
「ねぇ……聞いて、二人とも。ここは私が囮になるから二人は反対の道から逃げてほしいの」
フェイトのその提案にガッシュと清麿は自分の耳を疑った。
「な、何を言っておるのだ!?そんな事できるわけが無いではないかッ‼」
「ガッシュの言う通りだ。そんな馬鹿な話は聞けないな」
「でも、これしか方法が……!!」
表情を曇らせて俯くフェイトの腕を清麿は力強く掴んで言った。
「女の子一人を危険な目に会わせるわけにはいかねぇって言ってんだよ!!」
「貴方達を巻き込んじゃったのは私なんだからその責任を取るのは当然でしょッ!?私なら平気だから逃げて‼」
「それで俺達が『はい、そうですか』って言うとでも思ってんのか!?」
「じゃあどうすれば良いって言うの!?」
二人の口論は次第に激しさを増していく。
「囮役ならあんたより俺達の方が適任だ‼」
「それだとやっぱり貴方達を巻き込むことになるから駄目‼」
「今更そんなこと関係無いだろ!?」
「関係ある!!私のせいで誰が傷付くなんて嫌なのッ‼」
互いに相手を想うが故に意見が衝突してしまい、話が上手く纏まらない。
「……分かった」
遂に出た清麿のその言葉にフェイトは胸を撫で下ろす。だが、清麿は逃げるどころか迫り来る不良の前に立ち塞がった。
「な、何してるの?早く逃げ…」
「あんたが考えを変えないって言うなら俺にも考えがある」
ガッシュも清麿の横に並び立つと不良から一瞬たりとも目を離さない。
「はッ……ようやく観念したか‼だが、観念したところで結果は変わんねぇけどなッ‼」
逃げることをやめた清麿達を見て不良はそう息巻く。
「……清麿、本当に良いのか?」
「ああ、あれはどうあっても考えを変えないって目だったからな。そんな危険なことをさせてまで隠す必要は無い」
「ウヌ、分かったのだ」
清麿は指を差して不良に狙いを定め、赤い魔本を開いた。
「セット……ッ!!」
心の力を込めると、赤い魔本が光り出す。
「ザケルっ!!!」
「は?ちょ……ぎゃあああああああああッ!!!」
ガッシュの口から放たれた電撃は見事に不良へ命中し、断末魔のような叫びが路地裏に響き渡る。
「なん……だ…そ…りゃ…」
薄れ行く意識で最後にそう呟いて不良は呆気なく倒れてしまった。
「今のはまさか……魔法…なの…?」
その光景を目の当たりにしたフェイトは呆然と眺めていた。
「……驚かせてすまない。色々と聞きたいことはあるとは思うが、説明は後にしてくれないか?」
「え……あ、う、うん。それは良いけど、あの人は大丈夫なの?」
「ああ、それなら心配はいらない。ちゃんと加減はしたから暫くすれば目を覚ますさ」
「そっか、それなら良かった」
清麿の言葉を聞いてフェイトは安堵する。
「(自分に襲い掛かってきた相手の心配をするとは相当なお人好しみたいだな)」
そんな心根の優しいフェイトを見て清麿の表情は自然と綻んでいた。
「さて、できればどこか落ち着いた場所で話をしたいんだが……」
「あ、それなら良いところがあるよ」
「本当か?ならそこまで案内を頼めるか?」
「うん、任せて」
そして、清麿達は路地を抜けて目的の場所に向かうためにその場を後にした。
◇◇------------------◇◇
PM 7:19
現在、集合地点では既になのはとはやての二人がフェイトの帰りを待っていた。
「……フェイトちゃん、遅いね」
「せやね、何かあったんやろか…」
集合時間になっても連絡一つ無いフェイトのことをなのはとはやては心配する。
「なのは……!!」
「はやてちゃん‼」
その時、聞き慣れた声が二人を呼ぶ。
「あれ……?アリサちゃん?」
「すずかちゃんもどないしたんや?」
声の主であるアリサとすずかとの思いがけない遭遇に二人は内心で少し驚いていた。
「ちょうど良かったわ。あんた達に話があるのよ」
「あ……ごめん、アリサちゃん。今はちょっと立て込んでて…」
「どうせそれって魔法絡みなんでしょ?」
「何で二人が知ってるんや?」
「えっと、実はさっきね……」
そこで、アリサとすずかは自分達が見たことを全て話した。
「見たことの無い魔法と、それを使う二人組の男の子……か。聞いただけだと悪い人達じゃなさそうだね」
「うーん……でも事情を聞かなアカンことには変わりないし、未知の魔法を使うなら管理局としても放置はできへんしなぁ…」
はやては今後の捜査方針に頭を悩ませる。すると、なのはが不意にあることを思い出す。
「あ、実は二人が来るちょっと前にも魔力反応があったんだよね」
「え……そうなの?なのはちゃん」
「うん、最初に魔力反応があった場所の近くにね。まあまたすぐに消えちゃったんだけど…」
未だに相手の尻尾も掴めず、後手に回るばかりのなのはは苦笑いを浮かべる。
「あれ……?そう言えばフェイトはどうしたのよ?一緒じゃないの?」
「…それが手分けして捜査してたんだけど、まだ戻って来ないの。連絡も無いし、もしかして何かあったんじゃ……」
なのはが事情を説明していると、突然フェイトから念話が送られてきた。
『(こちらフェイト。今さっき今回の件に関係ありそうな二人組の男の子を保護したよ)』
「え?あ……ごめん。フェイトちゃんから念話だ」
アリサとすずかに断りを入れてからなのはとはやてはフェイトに念話を繋げる。
『(もしもし、フェイトちゃん?今どこにいるの?それに男の子を保護したって……)』
『(うん、詳しい話は直接するから翠屋で落ち合いたいんだ)』
フェイトの言葉に二人は顔を見合わせ、互いに頷き合って同意の確認をする。
『(分かった。ほな、先に翠屋で待ってるで)』
『(じゃあまた後でね、フェイトちゃん)』
『(うん、また後で)』
念話を終えると、なのはとはやてはまずフェイトの無事に安堵した。
「ちょっと……ちゃんとこっちにも説明しなさいよ。一応、私達も関係者なんだからね?」
「あ、えっと……とりあえず翠屋でフェイトちゃんと落ち合うことになったんだ」
「例の二人組の男の子も一緒みたいやで」
はやての言葉にアリサは僅かに反応した。
「そう。なら私達も一緒に良い?」
「それは別に良いけど……その男の子に何か用事でもあるの?」
「べ、別に大したことじゃないわよ?ただちょっと興味があるだけ」
本当の理由を隠すアリサを見かねたすずかが溜め息を吐いて代わりに事情を説明する。
「はぁ……本当はお礼が言いたいんだよね」
「あ、ちょっ……す、すずか‼余計なことは言わなくて良いのッ!!」
「ん……?どう言うことや?」
慌てるアリサを尻目にすずかは口を開いた。
「アリサちゃんね、さっきその男の子に危ないところを助けてもらったの。でも、お礼を言い損ねちゃったみたいでね…」
「ああ、何だそう言うことなんだ」
「そんな事なら素直にそう言えばええやんか」
事情を聞くと、なのはとはやても納得する。
「う、うるさいわねッ‼これは私の問題なんだから別に良いでしょ‼」
恥ずかしさからアリサはそっぽを向いてしまう。
「ほら、アリサちゃんはツンデレさんだから」
「ツンデレ言うな‼」
だが、すずかの一言につい反応してしまい、アリサはさらに顔を赤くする。
「あはは、そんなに照れやんでもええよ」
「照れてないッ!!!」
次第に話が脱線していくのを見かねたなのはが手を叩いて場を仕切り直した。
「はいはい、そこまで。もう……こんな事してる場合じゃ無いでしょ?」
「心配せんでも向こうにはフェイトちゃんが付いてるんやから大丈夫やって」
「それでもまだ事件が解決したわけじゃないんだから気を抜いちゃ駄目だよ」
「分かってる分かってる。ほな、おもろいもんも見れたし、そろそろ翠屋に行こか」
そして、はやてを先頭にして四人は翠屋へ向かう。
「はぁ……あんな調子でこれから大丈夫なんでしょうね?」
「まあ……ああ見えて頭では結構ちゃんと考えてるし、いざと言う時には頼りになるから大丈夫だよ、きっと」
「なら良いんだけど」
はやての後ろを歩くなのはとアリサがそう話していると、不意にはやてが足を止めて振り返る。
「あ……そうや、なのはちゃん」
「ふぇ?な、何?はやてちゃん」
なのはの顔を見てはやては満面の笑みを浮かべて言った。
「翠屋に着いたら約束のケーキ、頼んだで‼」
そう言うと、はやては鼻歌混じりにご機嫌な様子で再び翠屋に向かっていく。
「ねぇ……もう一度だけ聞くけど、本当にちゃんと考えてるんでしょうね?」
「きっと………たぶん……恐らくは…」
「無理にフォローしなくても良いわよ」
「……うん」
今後の先行きに一抹の不安を覚えるなのは達も翠屋に向かうのだった。
To Be Continued.
まだたった2話なのにお気に入り登録数がどんどん増えていく現状に驚いています。中にはこの作品を評価してくださる方や感想を書いてくれる方がいて、とても嬉しく思います。
誤字・脱字・感想・ご指摘などがあれば宜しくお願い致します。