真央霊術院の最強先生   作:ザクみたいなホロウ

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4 遠くを思いて

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いつつ。体の節々が痛い。

まったく、白時雨のやつ。自分じゃない斬魄刀使ったからって拗ねやがって、カワイイなちくしょう。

 

ふう。

さて、今度は重國からの依頼だ。

 

うーん。あいつボクを便利屋扱いしてないか?

護廷十三隊内でも一部でボクを重國の懐刀って呼んでるらしいし、大体前のホロウ退治なんて王族特務がやるような仕事じゃん。

どうしてボクがやってんだろう。

 

まあ、しゃあないか。

さて、着いた。此処か、朽木家は。

はー、相変わらずでかいなー。前来た時よりでかくねーか。

 

どーも。

 

ああ、護廷十三隊一番隊隊長山本元柳斎重國より、使いとして参った平野将だ。

六番隊隊長、朽木銀嶺殿にお会いできないだろうか。

 

・・・。

 

おー銀嶺久しぶり。

お前も老けたもんだねー。

ボクは変わらないさ。白時雨のおかげでね。

 

とりあえず、上がらせて貰うよ。

いやー懐かしいもんだ。

昔は重國と君と僕でヤンチャしてたのに、お互いホントに年取ったもんだよ。

 

そういや最近君の息子も頑張っているそうじゃないか。

えーと、蒼純くんだっけ。随分なイケメンだって聞いたけど?

 

はっはっは。

君の顔怖いもん。良かったね、母親似で。

 

うーん。体のことはこれから先じゃないとどうしようもないさ。まだまだ子供だし、これから強くなるかもしれないだろう。

 

 

さて、そろそろ本題だ。

クインシーの殲滅を行う事を決定したそうだ。

 

ああ。

アレは史上最悪の出来事だったからな。

 

ボクは残るよ。大体ボクは死神じゃないから作戦参加自体無理だよ。恨みはあるけど、それは一番上のやつだけだ。

クインシーの中にアレはいないだろうし、ソウルソサエティに誰か残っておかないと。

随分と血生臭くなったもんだよ。

 

それじゃあ、ボクは帰るとする。

 

ボクが重國に頼んだんだよ。今のうちに君に会っておこうと思ってね。

 

 

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重國。

伝言しっかり伝えてきたよ。

 

しかし、まあ、人間守る死神が人間殺すなんてね。

あいつらさえ現れなければって本当に思うよ。

 

そう言えば、志波の分家の志波一心。

結構な力の持ち主だよ。まだ若くて全然だけど、卒業まで数年あるし、あれは多分成長すると隊長クラスになると思うよ。

 

うん。そうだね。

でも、隊長職に志波家の者がつくのはまだ無理かもね。

もし、隊長格が数人一気に消える(・・・・・・・・・・・・)ようなことがあったら流石に引っ張られるだろうけどね。

護廷十三隊も権力争いするようなみっともない奴らも現れてきたし、しっかりしろよ総隊長。

 

もう行くよ。

君も忙しいみたいだし。

 

 

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君は確か・・・最上級生の響河くんだったね。

 

ほう。君、もう始解を会得しているのかい。

いや、凄いことだ。君は、ボクの授業を受けなかったね。他の剣術指南役に習っていたようだな。

どうだった。

 

ふはっは。

物足りないか。面白い。君のようなのがいたなんてボクの失態だ。

君、ボクの授業を受けないか。

 

ふーん。気が向いたら、ボクのところまで来るといい。

それじゃあね。

 

 

 

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遂に始まったようだ。

クインシー殲滅戦。

これで多くの血が流れて、怨念が深まる。

 

はあ。

 

ボクは知っているんだよね。

現世にいるクインシーを殲滅したところで結局意味ないことを、さ。

いや、意味がないわけじゃあないが、遅らせるだけ、先延ばしにしかならずに終わるだろう。

 

嗚呼、一体このあと何が起きるのだったか。

 

あー、ボクも大分記憶が薄れて来ているな。

原作キャラに会ってやっと思い出す。それ程までに不透明になった。

生きていた頃に読んだ漫画の世界か。今にして思えば、生きていた時の方が嘘のような気がする。

死んで、ここに来て数え切れない程の時を刻んだ。力を得た。相棒を得た。けれど、代わりにいろいろなものを失った気がする。

もうそれすらも思い出せない。

 

思い出さなければ。

 

 

まただ。

 

 

 

クソ。記憶が・・・。

 

 

思い出さなければ。

 

 

ボクはどうしてここにいる。

 

 

 

 

最初からだ。

 

 

 

 

 

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ボクは死んだはずだった。

 

 

 

 

そこは荒れ果てた荒野で、ボクはたった一人そこにいた。

 

 

記憶と今が一致しない。

 

だから、最初はただたださまようだけだった。

 

自分が死んだことは理解していた。けど、それが逆に今いる場所に疑問を持たせる。

 

天国かも地獄かもわからない。

もしかすると、異世界に移転でもしたのかと馬鹿な想像もしたもんだ。

 

さまよって、さまよい続けて、いつしかボクは空腹を覚えた。

空腹は地獄だった。それこそ、魂が削れていくような苦しさで、その苦しさがイヤでイヤでしょうがなかった。

だから食べるために必死だった。

 

その苦しみよりも食べものを誰かから奪うことのほうが容易い。

 

この世界はボクに優しくなかった。

人を見つけてみれば、そこはゴロツキの集まりばっかで、奪わなければ奪われる。それは食べ物だけじゃない。命までも。

そこで生きていると奪うことが当然になっていった。

 

幸いボクには少しばかり武術の心得があったもんだから、なんとか生きてこれた。

ただ、人から何かを奪うのが当然のような生活が生前と今が合わなくて、ふと襲われる罪悪感に押しつぶされそうだった。

 

 

 

 

殺されかけた。

 

 

近くのごろつきと訳が違う。

 

化け物(ホロウ)に襲われた。

 

頭の中は真っ白に染まった。

 

ただ思ったのは。

 

喰われる。

 

これがバツなのだと思った。人のものを散々奪ったのだ、粋がって、調子に乗って、そんな僕にはふさわしい末路だ。無力で食われて終わる。

そう思って、一瞬意識を失うと誰かの声が聞こえて、気が付けば手には刀があってその危機を乗り越えるといつの間にか消えていた。

 

それからボクはその刀に執着するようになる。

 

探して聞きまわって、ボクは一人の刀鍛冶に出会った。そいつは気のいい奴で話をすると粋な江戸っ子並みの潔さで刀を打ってくれた。

 

心が疼く。

ボクは一心不乱にその刀で修行した。生きるために。恐怖から逃れるために。心に感じる違和感を、苛立ちを消すために。

心の中にいる存在に気付くのは案外早かった。

この世界に来てからずっと心の中になにかいるのだ。その異物に気づかないはずがなかった。

 

そしてボクは白時雨と出会った。

 

白時雨にたくさん救われた。

恐怖から、孤独から、苦しみから、白時雨と共にあれば乗り越えられる。

 

ボクの当面の目標が決まった。

それはこの刀を使いこなすこと。

それは白時雨に対する恩返しにもなる。

今までの奪う生活をやめた。これからは誠実に生きることを誓った。

 

精神世界と現実で刀を振るう。

白時雨に教えてもらいながら、長い長い時間を使ってその全てをものにしていく。ボクにそれほどまでに才能はない。

だからこそ鍛錬をし続けた。そうして、時間をかけて卍解を体得した。

 

ボクはその修行の最中、(のち)の山本元柳斎重國が現れた。

 

山本重國と出会ったのは、彼がまだ若い頃だ。

彼に会って初めてボクはこの世界が漫画の世界だと知った。

 

ボクはそれまで、この世界をソウルソサエティとすら理解していなかった。大体二枚屋の馬鹿だってラップやってなかったし、斬魄刀だなんて一言も言わなかった。

 

そういやあいつ、何時どこで覚えてきたんだよ、ラップ。

・・・。

まあいいや。

 

 

 

 

ボクには才能がない。

それを理解したのは、それは山本重國を見たからだろう。

圧倒的だった。

 

それはもう、圧倒的だった。

それ以上の言葉はみつからないほどだ。

 

ボクは大きな衝撃を受けたものだ。

ボクが数十年、数百年かけて手に入れた力をボクにとってありえないスピードで彼は体得していく。

恐怖すら感じた。

 

そして同時に悟る。焦りも、妬みも、嫉妬も、無意味なものだと。

ボクはボクでマイペースに進むだけだ。

 

それに気付くのに数十年かかったが・・・。

 

それから何千年。

山本重國と戦ったり、いろいろなとこに旅をしながら自分を鍛えていった。

彼が老けていくとやっと実感していく。

ここがあの世界だということに。

 

そうして、戦いながら日常を送って、護廷十三隊の創立に関わることになる。

 

それまでの日々は、意外と悪くなかった。

強いライバルがいて、気の合う友人も、倒すべき敵もいた。生前よりも充実してた。

 

ボクは何のためにここにいるのか。

 

それは、少しでも自分を誰かに記憶してもらうためだろう。ここにボクがいたことを証明するために。

 

それも自分より強い奴ならなおさら良い。

 

だから、ボクの学んだものを誰かに伝えながら、ボクが死ぬ時まで待っている。

 

 

 

ここで生きて数千年。

このソウルソサエティで生きることが当たり前になっていた。そのことがボクにとって自然なことになった。

 

有り体に言えばボクはこのソウルソサエティに愛着を持っている。

 

 

その破壊は、ボクと重國の想いを無にするものだ。

ボクは重國のような高潔さは持ち得ない。王族なんてボクはどうでもいい。

 

ただボクは。

 

ただボクは、ボクたちが造り上げてきたものを壊す奴らを許さない。

 

 

そして、このソウルソサエティで流れる血を少しでも少なくする。

 

たとえ敵でもだ。

 

 

 

だから、まず護廷十三隊の戦力強化をしようと思って真央霊術院でボクのの技術を伝える道を選んだ。

 

卯ノ花烈を強化したのは、きっと自分と同じ匂いがしたからだろう。

八千流が十一番隊を作り、剣八が十一番隊を完成させる。より強き者のために自らを薪のように更なる剛火に()べる。まさに、今ボクが成そうとしていることだ。

 

ああ、そうだ。

これからもそれを続けるだけだ。

 

伝えよう。ボクの想いを。

 

これから来るであろう、平子真子等に。

 

藍染惣右介等。

 

阿散井恋次等。

 

そして、黒崎一護に。

 

 

見守ろう。彼らの行く末を。

 

 

全ては、誰もが笑えるハッピーエンドのために。

 

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