なんかバッドエンドしかないキャラに転生したようです。   作:あぽくりふ

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※独自設定注意




 ソードアート・オンラインはゲームであって遊びではない。いや、デスゲームという事実すら一側面に過ぎないのだろう。
 何故科学者は直前まで誰にもナーヴギアの欠点を把握出来ず、そしてプログラマーは誰一人として不自然なゲームシステムに違和感を抱かなかったのか?──そう問いを繰り返せば、自ずと真実は見えてくる。


 ソードアート・オンラインは、たった一人の天才が造り上げた仮想の牢獄(デスゲーム)などではない。
 
 そう、あれは──。






"De Vision"

 

 

 

 

「──────」

 

 極限の集中下で、キリトは浅く息を吐いた。

 予備動作などなく、全くのノーモーションから繰り出される神速の刺剣による連撃。スピード、バランス、タイミングの全てが完成された領域にある剣技は、"黒の剣士"と吟われたあのキリトをしても凌ぐことで精一杯の有り様だ。

 剣というものは心技体によって成り立つが、この死銃(デス・ガン)と呼ばれる男はその全てにおいて上位に位置している。剣技だけではない。そのアバター、そして何より極限まで純化された殺意と憎悪という"心意(ココロ)"こそがキリトすら圧倒する領域へと押し上げている。

 

 負ければ、死ぬ。アスナを置き去りにしたままで。それだけは許容できないとキリトはギアを上げるが──しかし本来の土俵である二刀すらない状況下、明らかに劣勢に追い込まれているのは彼だった。

 

「どうした? こんなものか? あの人を、倒した......お前は。あの日、俺の名すら、聞かず──倒した、お前は......この程度か?」

「ぐッ」

 

──重い。

 鋭く、疾く、そして重い。ここまで重い剣に、あの聖騎士(ヒースクリフ)に匹敵するほどの剣に戦慄する。しかし解せないのは、ここまでの使い手を忘れるはずがないということだ。

 いや、片鱗はある。記憶の片隅にこの剣が引っ掛かっている。何処かで見たはずの剣。明らかに知っている軌跡。この男の口振りからするに、キリトは死銃と戦ったことがあるはずなのだ。......それも恐らく、あの浮遊城アインクラッドで。

 ならば心当たりはある。というより、ここまでの憎悪を抱かれる相手などあの一味の他に思い当たらない。

 即ち。

 

嗤う棺桶(ラフィン・コフィン)の残党......!」

「ようやく、正解に、辿り着いたか」

 

 しかし、と。死銃は暗い瞳でキリトを見据えた。

 

「俺の名は、思い出せまい。......卑劣な英雄、キリト。背負うべき、闇から、逃げた男。なかったことにした、愚かな剣士よ」

 

 忘れていた──否、目を逸らし続けてきた過去と相対し、キリトの手は知らず知らずの内に震える。目の前に立つのは過去の亡霊。幸福を享受するうちに忘れてきた己の罪だ。忘却の淵に追いやった負の遺産だ。

 キリトがかつて斬った犯罪者(レッドプレイヤー)──殺人者と言えど人を殺したという業が、纏わりつくようにしてキリトの剣を鈍らせる。フラッシュバックするかつての過去に剣先が震えかけるのを必死に抑え、言葉を絞り出した。

 

「......いや、思い出したよ。その珍しい剣......」

 

 霞む記憶の向こうに存在する男。ラフィン・コフィンの幹部にして、存在すら忘却していた赤い髪。フードに刻まれた紅蓮の逆十字、そして......この骸骨の如き仮面に輝くものと同じ真紅の両眼。血の色のような目をした、その男こそ。

 

ザザ(XaXa)......《赤眼(アカメ)のザザ》。それがお前の名前だ」

 

 五メートル。

 その距離を置いて、死銃──ザザはキリトを見据えて停止する。そして掠れたような嗤笑を上げると同時に殺意を迸らせた。

 

「如何にも......如何にも、如何にも、如何にも! 思い出したか、黒の剣士ィ!!」

 

 ぎらつく赤眼は狂気の底にある。名前を暴き、殺人を忘却した罪を認めたキリトを見詰め、ザザは殺意をさらに膨張させる。キリトは迫り来るであろう剣撃の嵐を予感し、光剣を構えた。

 そして、死銃(ザザ)は咆哮を上げ──

 

「なればこそ死ね、黒の剣ッ......!?」

 

──その場を飛び退いた。

 

 直後、砂塵を巻き上げて弾丸が地面を抉り飛ばす。キリトの後方をザザは睨み、そしてキリトもまた同じように驚愕の視線を背後へと向けた。

 

「あらまぁ......避けちゃうか、あれ。全くどういう勘なんだか」

 

 呆れた風にそう呟き、強襲者は解れたローブの機能を解除する。同時に光歪曲迷彩が解除され、長身の男が砂漠の中央に現れた。

 

「シュピーゲル......」

「よぉ。五分前ぶりだな、キリト君」

 

 軽い調子で告げられる言葉は普段のシュピーゲルと何ら変わりはない──しかし、キリトは僅かながらその違和感に気付いた。纏う気配の変質、そして何より底無し沼の如き瞳からは死銃による殺気とも違う何かが溢れていた。

 それはまるで、暗闇の向こうから此方を見据える餓狼のようで。

 

「......止まれ」

 

 味方なのだろうと理性では判断しても、キリトの本能はそれを無視することを許さなかった。

 

「おいおい、俺達仲間だろう? 何だよその剣は。ほら、一緒に死銃を倒そうぜ?」

「......何でお前が死銃の名前を知っているかとか、聞きたいことは色々あるけどね。一つ教えて欲しいことがあるんだ」

 

 あるはずの狙撃援護。その消失こそが最大の違和感であると自覚し、キリトは二人目の()を睨み付けた。

 

「シノンに、何をした?」

「変なことを聞くじゃないか。そりゃあ勿論」

 

 引き抜かれる二挺の拳銃。それを交差させるように構え、双剣双銃の担い手は大地を蹴る。

 

「退場して貰ったに、決まってんだろうがァ!」

「────ッ!?」

 

 前言を翻し、キリトに向かって迫る双振りの刃。独特な構えから放たれる刃を回避し、キリトは言葉を紡いだ。

 

「どういうことだ......! シュピーゲル、お前はシノンの仲間じゃなかったのか!」

「おいおい、何ノンキなこと言ってんだよキリトくん。俺はんな事ァ一言も言っちゃいない」

 

 キリトの仮想体(アバター)より数段上の速度で放たれる蹴撃が胸へと直撃し、吹き飛ばされたキリトは咳き込みながら立ち上がる。

 それを見下ろしながら、シュピーゲルは三日月のように口を歪めた。

 

「俺の仲間は"(オレ)"だけだ。テメェも死銃も、まとめてぶち殺してやるから安心しろって」

「......何処にも安心できる点がない、って突っ込みは野暮か」

 

 キリトはシュピーゲルの言い種に思わず顔をしかめるが、しかしこれはバトルロワイアルであることを思い出す。裏切りなどあって当然、ゲームとしてはよくあることだ。

 

「シュピーゲル。死銃の事を知っているなら話は早い。まずはそっちを二人で叩いて、その後に決着を着けよう。死銃を倒した後ならいくらでも相手してやるからさ」

「......ふーむ、成る程ねぇ。お前の目的はあくまで死銃ってことか」

「ああ。だから、」

 

「やなこった。一々待ってられるか」

 

 右手に握られた黒銃の引き金が引かれ、咄嗟にキリトは後方へと跳ぶ。しかしその一方は同時に死銃へと向けられており、シュピーゲルはけらけらと笑った。

 

「お前......!」

「何で俺がテメェの用事に付き合わなきゃならないんだって話だよ。それにキリト、お前は一つ勘違いをしてるぞ」

 

 目線によって射撃軌道が読まれるという事態を防ぐべく、シュピーゲルは光歪曲迷彩を発動する。それは奇しくも死銃のそれと酷似しており──。

 

「いつからお前は、死銃が一人だと(・・・・・・・)錯覚していた(・・・・・・)?」

「──何、だと?」

 

 その言葉に思考が停止した一瞬。それを契機にして、三つ巴の戦闘が始まるのだった。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 よくもまぁここまで口から出任せが出るもんだ、と。俺は内心で、俺自身にほとほと呆れ果てていた。

 

『本当、適当なコトがよくそうもぽんぽんと飛び出るね。詐欺師にでも転向したほうがいいんじゃないかい?』

 

 うるせぇ、と毒づきたくなる衝動を抑えてキリトへと牽制射撃を放つ。しかし同時に死銃の動向にも気を配り、常に背後を取られないように位置を調整しつつ再装填(リロード)。死銃の表情こそ確認できないが、しかし相対するキリトの顔は焦りと驚愕に彩られていた。それはそうだろう、キリトからすれば一対二になってしまったようなものなのだから。

 

「──有り得ない」

 

 しかし。そんな状況で冷静に吐かれた言葉に、俺はほぅ、と片眉を跳ね上げた。

 

「シュピーゲル......お前の目的をオレは知らない。だが、お前が死銃でないことは確かだ。そもそも一人ではあのトリックは再現できないんだからな」

「あのトリック......?」

 

 そう問い返すと、そうだ、とキリトは肯定する。

 

「そもそもあれは死銃本人が殺したわけじゃない。冷静に考えればわかったことだ。超常現象なんか有り得ない......ただ、極単純な話さ」

 

 憶測と推理、そこから得たであろう死銃の真実が告げられた。

 

「死銃は仮想世界と現実世界に一人ずつ居たんだ。実際に殺人を──心肺停止を引き起こしていたのは現実の実行犯であって、お前じゃない。そうだろう、ザザ!」

 

 その言葉に応じたのは黒星(ヘイシン)から放たれる弾丸だ。しかしそれこそが、キリトの推測が真実であることを肯定していた。

 

「成る程ねぇ。だがそれは俺が死銃じゃない証明にはならないぞ?」

 

 それがどうした、とばかりに俺は聞き返しながら三点射撃を見舞う。しかしキリトはその全てを光剣で叩き落とし、

 

「......かもな。だけど、お前は......シュピーゲルは死銃じゃない」

 

 カウンターでファイブセブンから放たれた一発が、俺の頬を掠めた。

 

「自分でも何だが、人を見る目くらいはあると思ってる。シノンが信じたんだ、お前は殺人鬼なんかじゃないさ」

「......ハ、言っていることが滅茶苦茶だな。そのシノンを裏切った張本人こそ俺だぜ?」

「だけど、殺しちゃいないんだろう?」

「............っ」

 

 それで十分だ。

 そう告げる主人公(キリト)を前にして、俺は思わず歯軋りする。無性に苛つく。その結論が、その論理性などかなぐり捨てたような結果論が俺を苛立たせた。

 気に入らない(苛立たしい)気に入らない(腹立たしい)気に入らない(殺してやりたい)。違うだろう? そうじゃないだろう? 主人公(テメェ)の役目は、そんな平和ボケした言葉を吐くことなんかじゃなく──。

 

「そうかィ──ならばその盛大な勘違いを胸に抱いたまま、死に晒せよ」

 

 徹底的に、圧倒的に。小細工もろとも捻り潰し、主人公(ヒーロー)として俺を殺すことだろうが。

 

「"記録遡行(trace)"、"開始(on)"」

 

 ぎちり、と。

 何かが噛み合うと同時に脳が回転を始める。(オレ)が警告するがそれを無視し、熱を持った神経がかつての記憶、記録、経験則から算出し──未来予測という回答を叩き出す。極彩色の味が口の中へと広がり、脳に刻まれる鈍痛を感じながら俺は嗤った。

 

──【未來視(ディヴィジョン)】。いつからか保有していたこの異常な空間記憶能力の事を、俺はそう呼んでいる。

 これがあの転生による恩恵(弊害)なのか、それともVRによる副作用じみた代物なのかはわからない。が、朝田詩乃(シノン)が似たような経験を持っていることからして、ひょっとするとこの世界ならばそう珍しくもないのかもしれないと過去に結論付けていた。

 恐らくは異常とも言える空間把握能力、そして変質した絶対記憶能力の産物なのだろうが──。

 

「ああ、其は視たことがある(・・・・・・・)

 

 キリトが一歩踏み出した瞬間、記憶している行動パターンから動く前に数手先まで予測。同時に背後から付け狙っているであろう死銃へ三発ほど牽制に放ち──そのまま踏み込みキリトの目前へと到達する。驚愕に見開かれた瞳を抉り出してやりたい衝動に駆られた。

 

「なっ、」

既に其も視た(【未來視/記録遡行】)

 

 腐るほど見飽きた片手剣技《ヴォーパルストライク》の動き。最早目を閉じていても悠々と回避できる──その軌道を利用し、弾丸の如く全身を捻るようにして肘を鳩尾へと叩きこんだ。

 

「かッ......は」

 

 そこから先は此方の流れ(モノ)だった。

 元から低いSTRを連撃(コンボ)で補い、離脱する隙を与えず一方的に叩き伏せる。体幹さえ崩せば己の体すら易々と斬りうる光剣は振るえず、剣を振るえない剣士など恐れるに能わず。銃床と銃剣、そして止めの蹴りによってぼろきれの如くその体は吹き飛ばされる。

......が、それでも削れて三割。STRの差というものは予想以上に大きかったらしい。だが下手に深追いするのは光剣という一撃必殺が存在する以上下策、死銃も敵にいる事からこれでも上々だろう。

 

「シィ──」

「......ッ」

 

 既に想定済みの背後からの刺突を防ぎ、そんなことを考えつつ迎撃する。

 宙を舞う八連続の刺剣による攻撃は初見ならば回避など不可能。しかし先程キリトに振るわれたものを見ていたが故に、体の各所を掠めながらも回避に成功する。かち合う視線、異質な赤い瞳を睨み返す。

 

『記録完了......これでこの技は既知のモノだ。再現はともかく、識っているのならば避けられない道理はない』

「恐れるべきは未知。そして──」

 

 過去の記録(ログ)から有り得るべき未来を読み解き、最適解として下段からの蹴りを選択する。しかし、そんな未来予測(ヴィジョン)は突如としてその意味を喪失した。

 

『──【超反応(ハイパーセンス)】。(オレ)達も大概反則じみているけれど、これは恐ろしいね。強引に行動を挟み込んでくる』

 

 人類の限界に挑みつつある反応速度。思考がそのままアバターの動きへ直結する仮想世界だからこそ可能な凄まじい反射で俺の蹴りを回避し、続けざまに刺突を死銃が見舞う。たまらず後退し、再演算を開始しながらひきつった笑みを浮かべた。

 

「これだからSAO生還者(サバイバー)は怖いんだよ......!」

 

 キリトに一時とは言え競り勝てたのは恐らく運、そして無意識の慢心の隙をついただけに過ぎない。極限まで記録を蓄積したところで、怪物的な反射神経は極小の勝機すら手繰り寄せてくるのだ。

 こんな馬鹿げた能力を生還者(サバイバー)の全員が保有しているかと思うと、最早阿呆らしくなってくる。

 

『ひょっとすると、SAOの本来の目的はこうした仮想世界に対する"過剰適合者"を生み出すことだったのかもしれないね。茅場晶彦の単独犯行と考えるより、そっちのほうがしっくりくる。もしかして国際規模での仮想空間を用いた実験だったり......』

「馬鹿言え。いくらなんでもそれはない」

 

 だよね、と肩を竦める少年の姿を幻視し、舌打ちする。陰謀論など考えるだけ無駄な話だ。それより、"読み込み"の足りない死銃へ少しでもリソースを回すべきだろう。膨大な情報の処理に軋む頭蓋は悲鳴を上げているが、ここで無理をしなければいつ無理をするというのか。

 

──だが、大一番の戦場だ。限界の一つや二つ越えなくてどうする。

 

「無理を通せば道理が引っ込む......ここまでやらかしたんだ、どちらも殺す気概でやってやるさ」

 

 砂ぼこりを払いながら立ち上がる英雄(ヒーロー)。襤褸に近い外套を纏う不可視の死神はさながら悪役(ヴィラン)。ならば、そこに乱入した俺は何だ?

......そう、本来は有象無象の内の一人だ。だが侮るなかれ、我が牙はその喉元へ到達するに足るもの。配役(キャスト)は無くとも、無名の人間であろうとも、主人公(ヒーロー)の足元程度にならば及ぶことを証明してみせよう。

 

「さあ、これこそが(オレ)の結論だ。貴様(テメェ)の剣で斬れるものなら斬ってみるがいい」

 

 【弾道不可視の狙撃(インビジブル)】に【回避不可能の一撃(インポッシブル)】。土壇場で完成させたこの技術も所詮は俺の異常な記憶力から零れ落ちたもの。なればこそ、二つとも同時に扱うことが可能なのは当然の摂理だ。

 

 ようやく至った。そして確信した。これならば勝てる(・・・)と。蜘蛛の巣の如く張り巡らせた演算領域が駆動する──。

 

「そうだな。いつも通り名付けるとするならば、」

 

 無造作に放った弾丸。何の予備動作もなく放たれた其に対し、キリトは反射的に剣を振るう。その反応速度にはつくづく驚嘆させられる。加えてご都合主義ここに極まれり、と言わんばかりの直感だ。生半可な技では強引に斬られて終わりだろう。

 

 だが(・・)それだけだ(・・・・・)。今だからこそ、そう豪語できる。

 

「【未來視(ディヴィジョン・)/魔弾ノ射手(デア・フライシュッツ)】......喜べ英雄(キリト)、これが貴様(テメェ)を殺す弾丸だ」

 

 弾道は不可視、予測は不可能。真正面から放たれる必中の魔弾は愕然とするキリトの右足首を、的確に貫いていた。

 キリト風に言うならば、これは所謂システム外スキル(・・・・・・・・)なのだろう。弾丸すら斬る英雄、それを殺すためだけに発現させた我が終局点である。

 

──ただ殺すために、SAO事件終結後に英雄の軌跡を追い続けた。ALO内で振るわれる剣の美しさに泣き、その強さに嫉妬し、羨望すると同時に何から何まで記憶した。

 今や長年コンビを組んでいたアスナに並ぶほどに、キリトの剣は理解している。

 

 更に放たれる二発目。だが意図的に視線を誘導すれば見事に肩を抉り飛ばす。至極簡単な作業だった。

 

 

「どうした、斬ってみろよ。でなきゃ──貴様(テメェ)もシノンも、他の奴等も合わせてみんな仲良く全員丸ごと死銃(デス・ガン)に殺されるぞ?」

 

 キリトの表情が変わる。信じられないモノでも見るかのような視線が突き刺さり、俺は嗤った。

 敵が一人だとは限らない。三つ巴のバトルロワイアルが開幕する。

 

 時は満ちた。今こそ歪んだ自己承認欲求が成就する瞬間(トキ)なのだ──。

 

(オレ)を止めてみせろ、主人公(HERO)

 

 

 

 さぁ、英雄殺しを始めよう。








「天然の適合者、か」

 電子の地獄の中で、男は目を細めた。

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