ダンジョンで銃を撃つのは間違っているだろうか   作:ソード.

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今回はオリジナル回です。


第4話 デジャヴ

「ご、ごめんくださーい」

 

 

クラウドは翌日の朝、ある建物の玄関の扉をコンコンとノックしていた。何を隠そうロキ・ファミリアのホーム【黄昏の館】だ。こんなことになってしまったのは今から数時間前に遡る。

 

 

 

~数時間前~

 

 

 

クラウドはホームの地下室の隅で銃弾作りをしていた。主神であるヘスティアはジャガ丸くんの屋台のバイト、ベルはダンジョンに行っており、今はクラウド1人しか部屋にいない。彼はロキ・ファミリア所属中もこの作業を他人に――団長のフィンや当時の主神であるロキにも見せたことはない。

誰かに見られていると気が散るというのもあるが、一番の理由は模倣の可能性だ。無論クラウドもそんなことをする者としない者の区別はつくものの、万が一ということもあるので作業前は当然、作業中も周囲の警戒を怠ったことはない。

まあそんなこともあってか、ヘスティアとベルが同時に不在の時を窺って3週間ぶりに銃弾の生産にかかろうとしたのだが、運悪くロキ・ファミリアのホームに作成の手順を書いたノートを忘れてしまっていたのだ。

 

 

 

そうして今に至る。クラウドは相当気まずくなりながらドアの前で待った。

 

 

「おーい、誰かいないのかー?」

 

 

再びコンコンとさっきより強めにドアを叩くが、それでも返事はない。クラウドの声から人物を見抜いて無視でも決め込んでいるのか、確かに突然ファミリアを出奔して戦力を大きく減らしたクラウドを良く思わない者もいる。しかし背に腹は代えられないとじっくり待つことにした。

 

 

幹部連中(アイズたち)に会ったら大目玉喰らいそうだな....ったく」

 

 

クラウドはため息を吐きながらドアに背中から寄り掛かる。

もし自分の部屋を物色でもされていたら考えるだけでも恐ろしいが、そこは主神たるロキが手出しさせないようにしていると願う....だかしかし....などと思考を巡らせて10秒ほど経ったその時だった。

 

 

ドアが勢い良く開かれ、それに寄り掛かっていたクラウドが重力に引かれて背中から倒れこんでしまったのは。

 

 

「へぐっ!?」

 

 

思わず変な声が出てしまった。突然、あまりにも突然すぎた。一瞬宙に浮いたのではなかろうかと言うほどクラウドは勢いにやられて倒れてしまった。

しかし、妙だった。倒れたときに後頭部に感じたのは硬く冷たい床の衝撃ではなく、非常に柔らかく心地良い感触。クラウドの脳内が疑問符で埋め尽くされていく。

 

 

「クラウド....大丈夫?」

 

 

金髪金眼、美しく整った顔立ちをした少女が自分の顔を覗き込んでいた。そこでようやく気づく。自分の頭がアイズの太股部分に受け止められている、つまりは膝枕されていることに。

恐らくアイズが勢いよくドアを開けたせいでクラウドが倒れ込み、アイズもそれに巻き込まれて偶然こんな体勢になったのだろう。

アイズは少し恥ずかしそうに、そして困った表情をしながら見つめてきた。クラウドは苦笑いして、頭をゆっくり起こして立ち上がる。アイズは名残惜しそうに「あっ....」と声を漏らすが、クラウドは聞こえない振りをしてアイズに手を貸して立ち上がらせた。

 

 

「お、おはようアイズ」

 

 

「うん、おはよう。約束....守ってくれたんだね」

 

 

アイズは笑顔で挨拶を返してくれたが、クラウドは内心複雑でもあった。元より、ここにはノートを取りに来たので約束を守ってアイズに会いに来たとは言い難い。

 

 

「ああ、お前の元気な姿見られて嬉しいよ。ところで、ロキは?」

 

 

「えっと....確かさっき....あれ?」

 

 

アイズはクラウドの後ろを指さすが、ロキの姿が見えないことに首をかしげる。すると何者かがクラウドの左側からタッタッタッと軽快に走りながら近づいてきた。

 

 

「うちのっ、アイズたんとぉッ!! イチャイチャすんなやあああ!!」

 

 

朱色の髪に華奢な体型をした女性が走ってきたかと思うと、飛び上がって跳び蹴りを仕掛けてきた。クラウドは左手を伸ばし自分に向けられた足を足首の部分から掴んで凄まじい力でこちらに引き寄せる。完全に攻撃を流された蹴りは行き場を失い地面に叩き込まれた。

 

 

「くううっ....痛いやんかぁっ....」

 

 

「随分元気なご挨拶だな、ロキ。何か良いことでもあったのか?」

 

 

そう、彼女こそクラウドの元主神の女神ロキ。女性らしく整った顔立ちや骨格はしているものの胸元が平原のように真っ平らなのが非常に残念な女神だ。クラウドは現在悶え苦しんでいる女神に上から皮肉って挨拶をしてみた。ヘスティアにもそうだが、彼は基本的に神に対して敬意は殆ど無い。下界にいる以上、神であろうとほぼ平等だとメチャメチャ割り切っている。

 

 

「いいわけあるかアホ! ちゅーか、アイズたんをたぶらかしとる輩がおると思ったら、いつの間に来よったんやクラウド!!」

 

 

「たった今だ。今日は用があって来たんだよ。俺の部屋もう片付けたか?」

 

 

「ん? 手は付けてへんよ。アイズが必死に止めてたんやで、感謝しときぃ」

 

 

「マジで?」

 

 

クラウドがアイズの顔を見ると、彼女はこくりと頷いてくれた。クラウドはたちまち笑顔を取り戻し一目散に部屋へ向かった。

 

 

 

~数分後~

 

 

 

「良かった~、危うく大惨事になるところだったぜ」

 

 

「人騒がせやなぁ、ホンマに。」

 

 

クラウドはノートを無事に見つけた後、アイズとロキとの3人でテーブルに座って話をしていた。

 

 

「で、そのノートは何が書いてあるんや? ま~さ~か、エロ本でも隠しとるんかぁ?」

 

 

ニヤニヤしながらロキが聞いてくるが、クラウドは呆れながら反論した。

 

 

「違ぇよ。これは俺にとって本気で大事な秘密であってだな、間違ってもそんなエロ目的の本じゃねぇ」

 

 

ロキはつまらなさそうに「ふーん」と口を尖らせ、アイズはホッと安堵していた。クラウドはアイズの仕草に疑問を抱いたが、まあいいかと見なかった振りをする。

 

 

「ところでなぁ、クラウド」

 

 

「何だよ?」

 

 

「所属ファミリア、どこにしたんや?」

 

 

言われたか、とクラウドは唇を噛む。実はこれをロキに伝えるために来たというのもあったのだ。

 

 

「お前には....あんまり言いたくなかったんだけどさ。まあいいや、言うよ」

 

 

「おお、どこやどこや? さぞかしええ神に拾われたんやろなぁ?」

 

 

「ヘスティア・ファミリア」

 

 

「は?」

 

 

「ヘスティアだよ、あのツインテールの女の子の神様。あいつが今の俺の主神なんだよ、何か感想でもあるか?」

 

 

ロキはプルプル震えながら両手をワナワナと泳がせる。次の瞬間、クワッと目を光らせクラウドの両肩を掴む。

 

 

「反対や反対! 大反対やでクラウド!! よりにもよってドチビのとこやと!? そないなとこ天変地異があっても入ったらアカンとこやろ!! 改宗や、今すぐこの瞬間に改宗してウチに戻ってくるんや!! カムバックスーンや!!」

 

 

「そんなの無理に決まってんだろ。改宗したら最低でも1年はそのファミリアに所属しないといけないっていうルールがあるのは知ってるハズだぜ?」

 

 

ロキはクラウドの尤もな言葉に「ぐぬぬ....」と押し黙る。ロキに所属先を告げなかったのは『こういうこと』が起こるのを事前に知っていたからというのもある。

 

 

「一先ずは1年間このままだ。後のことは1年後に考えるから。それじゃあまた」

 

 

クラウドはスッと椅子から立ち上がり、ノートを手に取って踵を返す。

 

 

「クラウド、また来ぃや。ウチはいつでも歓迎やで」

 

 

ロキは座ったままクラウドにヒラヒラと手を振る。クラウドはフフッと笑って手を振り返す。そして....

 

 

「ありがとな、ロキ......無乳」

 

 

「だ・れ・が....無乳やボケェェェェ!!」

 

 

女神の逆鱗に触れた。

 

 

 

 

■■■■■

 

 

 

 

「....もう少し、話した方が良かったかな?」

 

 

クラウドはしみじみと落ち込みながら街を歩いていた。結局会ったのはアイズとロキの2人だけだったが、それでも、もう少しくらいファミリア脱退の理由を教えるくらいは出来たはずだ。つくづくこういうことに関しては度胸が無いと自虐に入ってしまう。

 

 

「....ちょ....めて....ください」

 

 

「ん?」

 

 

自分の左、狭い路地から女の子の声が聞こえてきた。結構遠いのだろうがLv.5であるクラウドにはさして距離は関係無い。クラウドは路地の中に入り声の主を探す。

何度か曲がり角を抜けると、そこには一人のヒューマンの少女が3人の男から壁際へと追い詰められている光景があった。

少女は白いブラウスに膝下まである若葉色のジャンパースカート、そしてサロンエプロンをしていた。年は恐らくクラウドより下、薄鈍色の髪を後頭部で纏めた可愛らしい少女だ。

 

 

「おいおい、お嬢ちゃん。ぶつかっといてごめんなさいで済むとおもってんのかぁ?」

 

 

3人組の中のヒューマンの中年男が、下衆な笑みを浮かべながら少女に詰め寄る。少女は困ったように視線を泳がせるが、両隣の獣人の中年男がそれを許さない。

 

 

「いえ....ですからそれは本当に私が悪かったです。お詫びなら後でしますから....とりあえず放してください。お店の手伝いがまだ残ってるんです」

 

 

「わっかんねぇなぁ~....お詫びする気持ちがあるんならこれから俺らと楽しいことしようぜ? なぁなぁ、悪いようにはしねぇからさぁ」

 

 

「いやっ....誰か....」

 

 

男に顔を近付けられて、少女は顔をしかめてしまう。クラウドは陰から見ていたが、とうとう痺れを切らして姿を現す。

 

 

「おい、クズ野郎ども。その娘から離れろ」

 

 

クラウドの声に男達3人はこちらに視線を変えてきた。クラウドは3人をゴミを見るかのように睨む。

 

 

「はっ! 英雄気取りのご登場だなぁ」

 

 

「へへへ....格好つけんのは勝手だけどよエルフ様、3人相手に勝てるとでも思ってんのか?」

 

 

「女の前でみっともねぇ恥晒す前にお家に帰った方が身のためだぜ?」

 

 

クラウドは頭を掻いて盛大に息を吐く。こういう輩に絡まれるのは何度かあったが、何故こうも彼らは自信満々なのだろうかと疑問を抱く。

 

 

「そういうのは、これからボコボコにされるヤツの台詞だぜ? わざわざフラグ踏んでくれてありがとな」

 

 

「ああん!? 何ほざいてんだコラァ!! Lv.2の俺達3人の力を見やがれぇ!!」

 

 

 

~数分後~

 

 

 

「すいませんでしたぁぁぁ!!」

 

 

結果、勝った。楽勝で勝った。銃を抜こうかとも思ったがそんな必要もなかったようだ。素手で殴り倒すと泣きながら許しを乞いたので、もうやめた。3人ともすっかり反省し、姿勢を正して頭を90度下げて謝罪している。

 

 

「わかったなら帰れ」

 

 

「失礼しましたぁ!!」

 

 

3人とも何度も転びながら走って逃げていき、あっという間に見えなくなる。クラウドは少しストレス解消にもなったなと満足しながら帰路につこうとするが....

 

 

「あの....」

 

 

路地の陰から先程の少女が出てきた。その表情からは少し申し訳なさそうな気持ちが窺えた。

 

 

「大丈夫か? 女の子があんまり1人で出歩くもんじゃないぜ? ああいうチンピラは腐るほどいるからな」

 

 

「はい、そうします。それから....助けてくださってありがとうございました。あの人達しつこくて....」

 

 

「これからはしっかり断って、すぐに人通りの多いところに逃げた方がいい。そしたら俺が助けに行ってやるよ」

 

 

ハハハ、と笑いながら言ってやると少女もクスクスと口元に手を当てて笑っていた。笑顔が眩しいんだな、と少しだけ見惚れてしまう。

 

 

「あの....よろしかったらお名前を聞かせてもらえませんか?」

 

 

「クラウド・レインだ。お前は?」

 

 

「シル・フローヴァです。よろしくお願いしますね、クラウドさん」

 

 

少女――シルはニッコリと笑って左手を両手で握ってきた。美人の女の子にこんなことをされて内心では結構喜んでいるクラウド。

 

 

 

 

だが、そんな思考は真後ろからの殺気によって一瞬で掻き消された。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

咄嗟にシルの手を振り払い、ステイタスを全力で使い後ろを振り向く。視界に飛び込んできたのは左側から迫る頭への回転蹴り。

クラウドは右手でそれを受け止め、弾く。

 

 

「抵抗しないで頂きたい」

 

 

「それは無理な相談だな」

 

 

蹴りを繰り出してきたのはエルフの女性だった。金色に近い薄緑色の髪にエルフ特有の尖った両耳、服装はシルと同じウェイトレス仕様のものだ。恐らくシルの同僚なのだろう。

 

その女性は凄まじい速度でこちらに接近し膝蹴りを腹に見舞う。しかしクラウドはそれも承知。左手で膝を掴み斜め後ろに流す。今度は彼女の後ろに回り両手首を掴んで動きを封じようとするが....

 

 

「フッ....!!」

 

 

突然エルフの肘が目の前に迫る。受け止めては間に合わないと左手の甲で防御。ビリビリとした痛みと共に間髪入れず貫手や回転蹴りが見舞われる。

 

 

「暴漢にしては中々やるようだ」

 

 

「....こっちの台詞だ。最近のウェイトレスは特殊戦闘訓練でも受けてんのか?」

 

 

そう。クラウドの感じた違和感はこれだ。どう考えても強すぎる、彼女は今までの戦闘から察するにLv.4~5クラスの冒険者と同等の実力を備えていると考えていい。

 

 

「上等だ....少し眠っててくれよ」

 

 

クラウドはジャケットの左側の下に付けたホルダーから銃を取り出す。無論装填されているのは実弾などではない、鎮圧用の麻酔弾だ。エルフの女性の方もクラウドが武器を出すのと同時に小太刀を抜く。

だが、ここで第三者から声が掛かった。

 

 

「待ってリュー! その人は暴漢じゃないよ!!」

 

 

シルが大声でエルフの――リューと呼ばれた女性を止めに入った。クラウドとリューは暫く見つめ合った後、同時に得物を戻した。

 

 

「シル、どういうことですか? 貴女が暴漢に路地裏へと連れ込まれたと聞いたのですが」

 

 

「その人達はこの人が追い払ってくれたよ! もう、リューったらせっかちなんだから!」

 

 

シルのその言葉にリューはサァーッと顔を青ざめる。シュバッとクラウドに向き直り、深々と頭を下げる。

 

 

「申し訳ありませんでした。てっきりシルに乱暴をしている不埒な男かと誤解してしまいました。どうか許してください」

 

 

クラウドの心はただ哀しさで埋め尽くされていた。誤解されたことに対してではない。1日に2度も女性から理不尽な暴力を受けたことに対してだ。どれだけ不幸なんだろうか。

 

 

「頭を上げてくれ。あの状況じゃあ、誤解されても無理はないしな。俺も途中からマジになってたのも事実だ」

 

 

「優しいのですね。えっと....」

 

 

リューは頭を上げてから困ったような表情を浮かべる。そういえば名前をまだ教えていないことにクラウドは気付いた。

 

 

「俺はクラウド・レインって言うんだ」

 

 

「レインさんですか、私はリュー・リオンと申します」

 

 

まさかのファミリーネーム呼びに少々むず痒さを覚えてしまう。ここ数年ずっと名前で呼ばれていたので何だか違和感が拭えない。

 

 

「クラウドって呼んでくれ。苗字は馴れてないんだ」

 

 

「では....その、クラウドさん」

 

 

「さん付けか....まあいいや」

 

 

苦笑いしながら返すとシュンとリューは萎縮してしまう。見目麗しいエルフの女性が年頃の女の子のような仕草を見せていることには自然に頬が緩んでしまう。

 

 

「クラウドさん....貴方はシルを助けてくれたのでしょう? それに私も乱暴をしてしまいました、何かお詫びの意味も込めて恩返しを....」

 

 

リューが悲しそうに下を向きながら告げると、クラウドは「んー」と考えた後リューの肩に手を置いた。

 

 

「っ!」

 

 

リューは少し驚いて声を出してしまう。そしておそるおそる顔を上に向けて自分より背の高いクラウドの顔を見上げる。

 

 

「別にそこまで気にしなくていいって。間違いくらい誰にでもあるんだからさ、考えすぎだぜ?」

 

 

「は....はい....」

 

 

リューはうっすらと頬をピンク色に染めながらクラウドの目を見つめる。クラウドはそんなリューの雰囲気にドキッとしてしまい、それと同時に『あること』に気付く。

 

 

――エルフは自分の認めた相手ではないと接触を許さない

 

 

「あっ....その....悪かった」

 

 

クラウドは慌ててリューの肩から手を離す。リューに悪いことをしてしまったなと申し訳ない気持ちで彼女の顔を覗き込む。

 

 

「いえ、これくらいの権利は....貴方にあって然るべきですし....」

 

 

最後になるにつれて声が小さくなっていく。恥ずかしいのか....口も半分開いたまま震えている。クラウドは離した手を空中で持て余し、オロオロと慌ててしまう。

2人の間を何だか『いい感じ』の雰囲気が包んでいく。

 

 

だかしかし、先程から横でその光景を観察していたシルがわざとらしく「ごほんごほん」と咳払いをすることによって2人は現実に引き戻された。

 

 

「さ、リュー。そろそろ戻らないとミアお母さんに怒られちゃうよ」

 

 

シルに笑顔で告げられたリューはブンブンと顔を左右に振って平静を取り戻す。クラウドも空中にあった手を戻して苦笑いしてしまった。

 

 

「それではクラウドさん、これで失礼します。ああ....それと『豊饒(ほうじょう)女主人(おんなしゅじん)』という店に良かったらいらしてください。ミア母さん――店主の方に頼んでサービスしてもらうようにしますから」

 

 

シルとリューは一礼して少々急ぎ足で路地裏から去っていった。クラウドは1人ポツンと残ったものの、さっきから疑問に思うことがあった。

 

 

「リュー....一体何者なんだ?」

 

 

彼女の話からすると何処かの店のウェイトレスというのは間違いない。しかし、さっきの立ち回り――Lv.5のクラウドが少々手こずるほどのそれは明らかに凄腕の冒険者のものだ。

 

 

「リュー・リオン....何となく聞き覚えがあるような気がするんだよな....」

 

 

疑問が解決しないままクラウドはベルの待つホームへと歩を進めた。




はい。ヒロイン候補の1人、リューですね。
口調とかこれで合ってるのか心配ですがなるべく絡ませていこうと思ってます。勿論、他にもヒロインは考えております。

それでは、また次回。

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