デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 霧幻ノ影【ライドウ×P4】   作:ライ・ライホー

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小説版ライドウが届いたので冒頭を読んでみました
ツンデレわんちゃんの可愛さも然ることながら、ライドウの「訊いてない」ラッシュが一番怖かったです。ラ、ライ様・・・



現状把握回


第4話 ライドウ、現世ニ帰還ス…?

『さて、まずは互いに名を名乗るべきだろう。話し合うのに名を知らぬのも不便というもの。…ライドウ』

「………葛葉ライドウ。デビルサマナーだ」

『我の名は業斗童子。ライドウの目付け役を務めている。それで、お主の名は?』

「あ、ああ……鳴上悠だ。よろしく」

「クマはクマクマ!」

『お主の名はもう知っておるわ

…では、自己紹介を終えた所で状況を整理するとしよう。どうも我々には認識のすれ違いがあるように見えるからな』

「そうしてくれると助かる」

 

鳴上達も同意した所でゴウトは首輪に挟んでいた手帳を取り出し筆記の準備を始める。その余りの器用さ故に、これを初めて目の当たりにした鳴上は興味深そうにゴウトの仕草を眺めていた。

 

『まず確認しよう。鳴上とやら、お主は【悪魔】を知っているか?』

「……いや、知らない。俺達が今まで戦ってきたのはシャドウって奴だけだ。…クマも初めて見たんだっけ?」

「そうクマ!最近、この世界がオカシクなってるのは確かだけど、あんな奴らはクマも初めてだったクマ!」

『ふむ…して、その【シャドウ】とやらは何なのだ?』

「シャドウはこの世界に住んでる奴らクマね。普段はおとなしいけど、こっちの霧が晴れた日に一斉に暴れ出すクマよ…でもでも!センセイ達がやっつけてくれるようになったからもう怖くないクマ!」

『やっつける?…それはもしや、お主達が言っていた”ペルソナ”と言うモノの力か?』

「ああ。俺や花村…さっき居た皆がペルソナを持ってるんだけど、シャドウはそれを恐れてるのか俺達だけは霧が晴れてない日でも襲われるみたいなんだ。クマは『シャドウが俺達に怯えてる』って言ってたけど」

『…本能で恐れている、と言うことか』

「…さっき召喚していたアレがペルソナか」

「そうだな。…でも俺だけ例外で色んなペルソナを召喚出来るらしいんだ。こんな感じで」

 

そう言って手を伸ばした鳴上の手元に青いカードが降りてくる

それを握り潰すように割るとその背後に先程の犬のペルソナとは違う、人型のペルソナが現れただろう

 

『ヒィ!?ビリビリだ!』

『ビリビリキノコのビリビリだ!!』

 

……トラウマを刺激されたポルターガイスト達の感想はあんまりな物であったが

 

「センセイは凄いクマよ〜!此処に来てすぐにペルソナを召喚したし、ヨースケ達と違って色んなペルソナを持ってるんだクマ!」

『…お主達の言い方だと普通は一人につき一体とも取れるな。ペルソナとは一体何なのだ?』

「俺も詳しくはわからない。けど、『様々な困難に相対する為自らを鎧う”覚悟の仮面”』だと聞いたことはある」

『”覚悟の仮面”…ふむ、非常に興味深い代物だ』

 

ゴウトはさらさらと自身の手帳に鳴上の言葉を書き記していく

 

「そう言えば此処に来る途中、シャドウに出会わなかったのか?大体黒い影だったり色んな形をしてるんだけど…」

『いや、我らが見たのは悪魔のみよ。恐らく、我らがペルソナ能力を持っていないから襲われなかったのだろうな』

「え?じゃあどうやってこの世界に来たんだ?」

 

ゴウトの申告に鳴上が驚愕の表情を浮かべる

 

『ペルソナがないと此方には干渉出来ないのか?』

「俺以外は皆此処でペルソナを手に入れてからテレビの中に入れるようになったんだ。俺は何故か最初からコッチに入れたけど…ってことは…」

『いや。それに関してなんだが、我々は何者かによってこの世界に落とされたと思っている』

「え?」

『と言うのも、我らは此処に来るまで帝都で発生した不可解な霧を調査していた身でな…。気が付いたら濃霧に巻かれ、彷徨っている内に何者かの奇襲に会いこの場所へ落とされていたのだ』

「(テイト…?)

…そうか。取り敢えず自分の意志で此処に来た訳じゃないんだな。でも、さっきペルソナを召喚してただろ?俺達を助けてくれた時もそうだけど…そこの奴とか」

『そこの奴とか言うな!ビリビリキノコ!』

 

ライドウの後ろから此方を伺うポルターガイストが抗議の声を上げる

あの一件で鳴上が苦手になったのかあからさまに距離は取っていたが

 

『ふむ、そうだった。話題を悪魔に戻そう

 

――――悪魔とはその名の通り魔に潜む異形の者共の総称よ。欲望のあるがままに行動し、人々の恐怖に触発され暴れ出す。人間の生体エネルギーを喰らい現世に顕現することもある。…侮ってはいけない恐ろしい存在だ』

「それが…さっき俺達を襲って来た…」

『先程お主達が交戦していたのは【ドゥン】と呼ばれる火炎の悪魔と【ガキ】と呼ばれる亡者達だ。ガキ程度なら蹴散らせる実力はあるようだが…先の戦闘を垣間見た限り、そのペルソナとやらもまだ使いこなせていない様子。今のお主はさながら"未熟なひよっこ"だな』

「っ…」

「ちょっと!センセイにそんな物言いは無いと思うクマ!」

『ふん。お主は黙っておれ

…今まで悪魔と出会わなかったのはある意味幸運だな。シャドウがどんな者かは知らぬが、悪魔は悪知恵も働くしその狡猾さは時に此方を窮地へと陥れる。力を得たのならば生半可な心持ちで挑むなよ』

「……わかった」

 

鳴上は苦虫を噛み潰したような表情でゴウトの忠言に頷く

 

実際、今までシャドウと楽に戦えていたからと何処か油断していたのかもしれない。天城も助けられた己の力を過信していたからこそ、無数にあった選択肢を放棄して圧倒的な力量差のあったドゥンの足止めへと無謀にも挑んでしまったのだ。

 

―――更に言ってしまえば、軽視していたのかもしれない……この世界は常に死と隣り合わせ(・・・・・・・)だと言うことを

鳴上の脳裏には虎に襲われた瞬間の光景が嫌でも蘇った

 

 

『…だが、何か目的をもってその力を行使する必要があるのならば我は止めはせぬ。何ならライドウよ、()の者たちに稽古をつけてやるのも良いかもしれんな』

「……別に構わないが、そんな暇はあるのか?」

『なに、現世へ帰還させてくれる礼にそれくらいはしても良いだろう。それに”ペルソナ”とやらに興味があるのも事実…』

「え?クマはまだ出すって…」

『……出さぬのか?勝手に此方を真犯人だと吹聴した分際で』

「誠に申し訳ないクマ!!ちゃんとお帰し致しますクマ!」

「…そう言えば『デビルサマナー』って何なんだ?聞き忘れてたけど」

 

土下座せんばかりのクマの傍でそう言えば忘れていたと鳴上が先程疑問に思っていたことを尋ねる

 

『【デビルサマナー】とは悪魔を従え、またその悪魔を掃討する者たちのことよ。このライドウもデビルサマナーとして責務を果たしておる』

「なるほど…だから二体も同時に召喚出来たり、ペルソナだと思ってたモノが自分の意志で行動していたのか」

『二体同時召喚は認められた力量を持った者にしか出来ぬ技…帝都の守護者たるライドウだからこそ出来るものだがな』

「ほええ〜…もしかして、ライドーって凄く強い人クマ?」

『もしかしなくてもライドウは強いぞ〜!』

『そこのビリビリキノコよりひゃくばいは強いんだからな!』

「ムッキー!何度もセンセイをキノコって呼ぶなクマー!」

 

ふわふわと浮くポルターガイストにぴょんぴょん飛び跳ねながら怒るクマを他所に二人と一匹の会話は続いていく

 

「これからどうするかについてだが…一先ずは現世に帰還して場所を確認したい。帝都から離れた場所に飛ばされていた場合は早急に連絡を入れる必要がある」

『そうだな。それに”ペルソナ”とやらも出来れば報告したい。悪魔に干渉出来るのにデビルサマナーではない、というのも気にかかる。…もしかしたら、霧の一件と関わっている可能性もあるしな。

 

鳴上と言ったか。お主達には聞きたいことがまだ残っている。しかし疲労が溜まってる今はそれも辛いだろう。また後日と言うことで良いか?』

「ああ、俺はそれで大丈夫だ。……ところで、一つ聞いても良いか?」

「何だ?」

 

それまでライドウの様子を伺っていた鳴上が決めたように口を開く

 

「あのさ、さっきから葛葉達が言っていた『テイト』って……」

 

 

「鳴上!」

 

と、その声を遮るように上から何者かの声が聞こえる。それと同時に先程の明るい髪の青年―――花村が宙から降ってくるように現れたのだ。

 

「あ、ヨースケおかえりクマ〜」

「おかえりじゃねぇって!もうとっくに外夜になってんぞ!」

「なっ!?本当か!」

「おう。つか、早く帰らないと流石に不味いだろ。時間見たら7時くらいだったし」

 

『む、夜の7時だと…?我らがこの異界に入り込んでからそんなに時が経っていたと言うのか…』

「一日も行方が分からなくなっているというのは此方も不味い。早急に帰還しよう」

『そうだな。…鳴上よ、有意義な情報提供、感謝するぞ』

「あぁ、此方こそ色々教えてくれてありがとう」

「何話してたんだ?鳴上」

「それはまた明日説明する。長くなりそうだし、正直俺もまだ整理しきれてないから」

「ふーん……ところでさ、あんたらのその格好なんだけど」

「……なんだ?」

 

此方をじろじろと見てくる花村にライドウが尋ねる

 

 

「今は『ジュネス』も夜で人あんまいねーけど、その昔チックな格好は流石に目立つんじゃねぇの?」

 

「…目立つ?」

 

花村にそう言われライドウは己の身を改めて確認する

学帽を被り黒い外套を身体に纏った姿。その中には刀、銃、封魔管などが身に付けられている為、そういう意味では確かに花村の言う通り目立って見えるかもしれない

しかしそれを隠す為にも外套を羽織っているのであって、今のライドウは「書生」ということであれば別段珍しい姿でもなかった。

 

『そういうお主達も珍しい格好の服を着ているではないか』

「いやいや、俺らのは普通の制服だからな?全身黒づくめとか怪しさMAXだっての!」

『むう……わからぬな』

 

花村の主張したいことがわからず首を傾げるゴウト。ライドウ自身も何故こんなにも変だと言われるのか正直合点がいかなかった

 

『とにかく、我らも現世へ帰還させて貰うぞ。いい加減霧の中にいるのも目が疲れて仕方が無い』

「…あ、そう言えば眼鏡のこと、言うの忘れてたな」

『眼鏡?……もしかして、お主達が付けているそれか?』

 

ゴウトがそう言えば鳴上が頷き己の付けていた眼鏡を取る

 

「これを付けていると霧の中でも見通しが良くなるんだ。ほら」

 

鳴上に渡された眼鏡を試しに掛けてみたライドウはそこから見えた光景に驚きの表情を見せた

 

『何?ライドウよ、我にも少し見せてくれ

……おお、確かにあれ程濃くあった霧が薄れている。便利な代物だな』

 

ゴウトも眼鏡の有用性に気付いたのか感嘆の声を上げている

 

「眼鏡が無くちゃ何時もより疲れるし霧の中もまともに歩けねぇんだけど…もしかして、眼鏡無しでずっと探索してたのか?」

「…どうりで何時もより疲労が溜まりやすいと思った」

『このような視界不良の戦いは慣れている。先導ならば仲魔に任せれば良いしな』

「マジでお前ら何者なんだよ……」

 

霧を殆ど気にかけてなかったとでも言いたげなライドウ達の様子に花村がそう零したのも無理はない。

 

『また何かあってこの空間へ来た時の為に是非とも同じ物が欲しいのだが…』

「これを作ったのはクマなんだ。俺としては別に良いと思うけど…クマは?」

「ま、まあ!センセイが良いと言うなら特別に作ってあげるクマよ!」

『…そう言うのなら期待しておこう』

 

クマから了承の言葉を得れた所でライドウ達は現世へ帰還する為、クマが出した箱へと近付く

 

『ふむ。この箱に触れれば帰還出来るのだな?』

「箱、っつーかテレビだけどな。ほらほら、さっさと行くぞ」

「バイバイクマ〜!」

 

花村に急かされるようにライドウ達が箱へと触れれば途端に吸い込まれるように箱の中へと取り込まれていった

 

 

ぐにゃりと歪む空間を経て、ライドウ達が放り出された先は…………

 

 

 

***

 

 

 

『何だ、此処は…?』

 

開口一番、ゴウトがそんな疑問を口にしたのも当然だろう

夜だと聞いていたのに、まるで昼間のように明るい世界。周りには耐えず風景を映し出す()が所狭しと置いてあり、その他にもごちゃごちゃした物が大量に置かれている

 

「今が夜で良かったな。その格好じゃ客とか店員にじろじろ見られたかもしんねーし…」

『おい、我らは現世に帰還したのではないのか?何だ、この異世界は』

「はあ?間違いなく現実だっての。此処は『ジュネス』の家電売り場だよ」

『……』

 

ゴウトが無言でライドウを見上げる。彼が言いたい事をライドウも理解していた

 

「…すまない。此処に来るのは初めてだったから少し戸惑っただけだ」

「初めて?それってある意味珍しくねぇか?」

『ともかく、此処が中だと言うのなら早急に外へ連れていってくれ。我らにもやる事があるのでな』

「何か偉そうだな…まあ良いけど。鳴上は?」

「俺も真っ直ぐ家に帰るよ。途中までは一緒に行く」

「よし…でもその格好で人多い所通ったら怪しまれるよなぁ。取り敢えず人が少なそうなトコから行くか。

にしても、今が夜で本当に良かったぜ…こういうのが田舎の良い所っての?」

『……我から見ればとても田舎の光景とは思えぬが…』

 

ゴウトの呟きは花村には聞こえなかったものの隣のライドウには確かに聞こえており、そして同意見でもあったのは言うまでもない

 

 

***

 

 

『……これは』

 

花村の先導で「ジュネス」と呼ばれた建物を出たライドウ達が目にしたのは、街灯に照らされた全く見慣れぬ町並みであった。

町自体は帝都と比べれば寧ろ静かな方だろう。人も多く無く、先の『カデンウリバ』とやらを見た後だと見劣りするくらいだ

 

―――しかし、ライドウ達はこの景色を一目見た瞬間から強烈な違和感に襲われていた

 

『…案内、感謝する。後は我らだけで問題ない。世話になったな』

「本当に大丈夫か?確か『テイト』って所から来たんだろ?なら土地勘も無いんじゃ…」

「…心配しなくて良い。此方で何とかしよう」

「あ、おい!!」

 

花村の静止の声も聞かず、ライドウ達は礼をすればそのまま町中へと消えていっただろう。

 

「……本当に何だったんだ。アイツら」

「わからない。…けど」

「けど?」

 

 

「……何だか、他人事じゃない気がするんだ」

 

 

そう言った鳴上は彼らが消えていった道から目を逸らせずにいた。

 

 

―――――その胸に何処か再会の予感を感じながら

 

 

 

***

 

八十稲葉、商店街

 

 

田舎町の人通りというのは夜になればすっかりと失われてしまう

 

辺りがしんと静まり返り、シャッターが全て閉まった寂れた雰囲気の商店街……そこにライドウ達はいた。

 

『…間違いない。此処は帝都ではない何処かだ』

 

あれから町中を見て回ったものの、ライドウ達が知る帝都の町並みは何処にも無かった。

帝都のような高いビルチングもそこまで無く、家屋も古いものが所々に見受けられるので田舎なのは確かだろう。

 

しかし、単に『田舎』で片付ける訳にもいかなかった

 

『あの風景が映る箱…確か【テレビ】と呼ばれていたな。

…そう言えば以前、新聞の号外で物を映し出す機器の実験が行われたと言うものを見たな…。よもやそれと関係があるとでも言うのか?』

 

明らかに帝都ですら見たことのない機械を思い出し頭を悩ますゴウト

 

 

そんな中で迷う彼らに追い打ちをかけるかの如く、ポツリ、ポツリと水滴がライドウの外套にかかれば、いつの間にか雨が降り始めていた。

 

『また雨か…やれやれ、もう随分と見飽きたと言うのに』

 

毛並みがまた崩れるとゴウトが嫌な顔をして空を見上げた

 

 

 

 

「ちょっと!そんな所にいたら濡れちゃうよ!」

 

『…ん?』

 

突然聞こえてきた声にライドウ達の足が止まる。

それまで商店街を歩いていたライドウ達はいつの間にか開けた建物の近くにいたらしく、そこにいた一人の男が声を掛けて来たのだ。

 

「…住人か?」

「あはは。ただの店員ですよ…って、それよりそんな所にいたら風邪引きますから!今、タオル持って来ます!」

 

そう言って建物の中へ引っ込んだ男。ライドウとゴウトは顔を見合わせどうするべきか考えたが、結局此処を無理に立ち去る必要は無いと留まることにした

 

「それにしても此処じゃ見ない顔だけど、もしかして旅行とかで?…あ、これどうぞ」

「…まあ、そんなところです」

 

店員から差し出されたタオルを受け取れば身体についた水滴を軽く拭い、ゴウトも同じように拭いてやる

 

「…少し道に迷ってしまいまして、出来れば地図などがあれば助かるんですが…」

「ああ!それだったら持ってきますよ!丁度無料のがあるんで!」

 

そう言って再び引っ込んでしまった店員を待つ間、ゴウトが口を開く

 

『ふむ、咄嗟とはいえ地図を頼むとは良い判断だな』

「………もし、自分の予測が正しければ」

『む?』

「…いや、出来れば『別の地方に飛ばされた(・・・・・・・・・・)』だけであって欲しいと思っている」

『!!

それはまさか…!』

「お待たせしましたー!…あれ?どうしたんです?」

 

地図を持ってきた店員に対し、ある一つの決意をすればライドウは口を開いた

 

「ありがとうございます。…ところで、此処から『帝都』までどのくらい離れているのかわかりますか?」

「…?あの、『テイト』って何処のことですか?ここら辺の地名にはありませんけど…」

『……まさか此奴、帝都を知らぬと言うのか?国の中枢だぞ?』

 

ゴウトの疑問も最もだが、ライドウの中ではある”確信”が徐々に首をもたげていた。

 

「そういえば泊まる場所ってもう決まってるんですか?こんな田舎じゃホテルとかそう無いですし、あるとしたら天城屋旅館っていうちょっと高い所が…」

「いえ、それなら大丈夫です。心配して頂きありがとうございました」

「そうですか?まだ雨も降ってるんでもう少し此処にいても…ああ、でもチェックインの時間とかあるなら仕方ないか。お気を付けて」

 

店員はそれだけ言うと建物の中へと戻って行き、後にはライドウとゴウトだけが残されていた。

 

『幾ら田舎とはいえ帝都の存在を知らないのはあり得ぬ。あの店員の知識が疎かったのか、或いは…』

「……どうやら、その予測は当たっていそうだ」

『何だと?』

 

ライドウが店員に渡された地図をゴウトに見せる

 

 

――――着色が施された、恐らくこの地域一帯を書き記した地図

 

 

 

その地図の上部には『2011(・・・・)年最新版!八十稲葉観光マップ』と大きく記載されていたのだ。

 

 

 

『!?2011年だと…!!』

「ああ、どうやらこれで決まりのようだ。

 

 

――――――自分達はあの異界を通して未来へと来てしまったらしい」

 

 

まるであの異界と変わらぬような静まり返った世界で雨の音だけがライドウ達に現実を知らしめていた。

 




天候は原作と違い展開上若干弄っております
そしてライドウは確定としてゴウトまでハイカラ眼鏡をするかは全くの未定です。同じ動物のキツネは当然ながら掛けてなかったので迷うところですが・・・

テレビについては大正15年にブラウン管による電送・受像実験が行われたらしいので、その時のニュースか何かでそれっぽい存在は覚えていた感じです。テレビという名称や高度な技術諸々は当然知りませんが
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