咲でテンプレ神様転生 作:ローレルサクラ
小学校を卒業し、僕は東京へとやってきた。
引っ越し先は元いたところとは比べ物にならないくらいの都会。コンビニがめっちゃあるし。
でも、都会のど真ん中!ってわけでも閑静な選ばれし者の住宅街!ってわけでもないらしい。
母さんいわく「うるさいのは苦手だし堅苦しいのもいやでしょ?」とのこと。
前者はまだしも後者は朝のゴミだしの恰好一つでも苦情が入ったりするらしい。
東京って怖い。
そんな僕が通うことになる中学校は、これまた普通の公立中学とのこと。
生まれ変わってからも無難に授業を受けていたおかげで成績はいい方だったし、控えめに言っても家はそこそこのお金持ちだ。
東京に来たからには私立にでも行かされるのかとばかり思っていたんだけど、どうやら単純にこの引越し自体が急に決まった事だったので受験の時間がなかったらしい。
そう言われれば確かに試験を受けた記憶なんて一切なかったなーと今更に思ったりした。
その他にも、中学生になるにあたって色々なことが変わることになった。
一つ目は母親の呼び方。
『お母様』はあまりにもマザコンぼすぎるので、『母さん』と呼びなさい。
しかし母親への敬愛心は持ち続けなさい。とのこと。
…いや、なんでもいいんだけどね?
幼い僕にそう呼ぶように厳命したのはあなたですよね!?と思わず心の中でツッコんでしまった。
まぁ僕も、目が覚めた瞬間目の前にいた会ったこともないような美人をそのままお母さんと呼ぶことにはなんとなく違和感をもっていたので便乗する形でそう呼んでいたけれど。
しかも母さんは、若気の至りと自分の悪ノリを認める始末。
この人には一生逆らえる気がしなかった。
ちなみに父さんは隣でほほ笑んでいた。なんか言ってよ。
二つ目は、今まで与えられるまま着ていた服を、自分で選ぶようになった事。
私の息子が、人に言われるがままに服を着ることを私は許さない!でもたまには私が作った服も着てね?との一言でそういうことになった。
僕はこの母親のもとに生まれた時点でファッションセンスも磨かねばならない宿命を背負っていたみたいだ。正直自信ないけど。
最後の一つは、自分の携帯電話を買ってもらえたこと。
これはうれしかった半面、もうホンの一月でも早ければ松実館に連絡先を残せたのに!っと思ってしまった。
我ながら未練タラタラで情けない限りだが、僕がこの世界で、手にしたはっきりしたものなんて家族と、あの同好会ぐらいしかないのだからしょうがないと思う。
とまぁ、色々な変化がありつつも僕は『区立第三中学校』へと入学することとなった。
ちなみにこの学校。特に特徴はない。平凡を絵に書いたような学校だ。
特筆して活躍するような部活動があるわけでもないみたいだし、学力の方も、至って普通。
風紀も、ほんの一部の学生が若気の至りを見せたりしつつもありがちだと笑えるレベルらしい。
そんな学校紹介を父さんから聞いたときには思わず苦笑いしてしまったけれど、小学校での僕も大概空気だったことだしピッタリだ、なんて納得してしまったりもした。
迎えた、入学式。
そわそわと落ち着かない様子の新入生たちを横目に見つつ、校長の挨拶を聞き流す。
式が終わった後は各クラスに分かれて教室に入り、これからの話を少しした後もう一度体育館に集まり部活説明会なるものが行われるらしい。
そこで紹介された中からとりあえず新入生は何らかの部活に入らなければならないらしい。
さて、僕はどうしようか。
なんだかんだと習慣になってしまったランニングを続けていることもあって運動神経も並み以上だと思っている。運動部も選択肢には入るだろう。
もちろん、麻雀部も候補だ。神様がくれたという才能のことも考えると普通は一択なんだろうけど…。
むむむ…。我ながら本当に女々しい。
たぶん同好会の事を引きづっているんだろうなぁ…。
いまいち、こう、やるぞー!という気にならないのだ。
でも麻雀をやめるのも違うような気がするし…。
本当に、らしくないな…。
「趣味はランニングと読書です。どうぞよろしく」
とまぁ色々うだうだ考えをしつつ自己紹介を終える僕。
まぁあんまり難しく考えるのもらしくないか、と先延ばしにして現実に目を向けることにした。
前世、とやらの事ははっきりとは覚えていないので曖昧になりつつも二度目の中学校生活を迎えたわけだけれど、小学校の頃とスタンスはそんなに変えないつもりだ。
つまりは、目立たつ、騒がず、大人しく。
松実姉妹とのことはあくまでイレギュラー。ある意味運命だと割り切っておこう。
うん、やっぱり僕には俺Tueeeeとかは無理だとこの十数年でしっかりと自覚しているし。
その後体育館への移動中に新たなクラスメイトに話しかけられたりしつつも、そう方針を決めたのだけれど…。
「お前たちも麻雀部の見学か?」
この眼鏡の女子…。どこかで見たような…?