咲でテンプレ神様転生 作:ローレルサクラ
教室での自己紹介を終え、互いに探り探りの会話をクラスメイトと交わしつつ体育館へと移ってきていた。
その中で何人かに一緒に見学に行こうと誘われたりしながら、行われている部活紹介をボーっと眺めつつ、いくつか見学に行く部活を考えてみた。
野球部。 …僕が坊主頭になった日には家庭が崩壊しそうなので却下。
サッカー部。 ランニングで鍛えた体力は生かせそう。候補。
バスケ部。 機敏な動きにはあんまり自信が…。保留。
と、一つ一つを頭の中でリストアップしていると、運動部の紹介が終わり続いて文化部の紹介が始まった。
文芸部。 本は好きだけど書くのはちょっと…。却下。
手芸部。 男子で手芸部は思いっきり浮きそう。却下。
囲碁部。 かつての麻雀以上にルールを知らない。保留。
「続いては、麻雀部です。どうぞ」
おおっと。いよいよ来たか。
麻雀、の単語が出ただけで会場の壇上への注目度が一つ上がった気がする。
この世界、やっぱり元いたところとは違うんだと一番実感するのはやっぱりこの麻雀人気である。
原作では女子ばかりに焦点が当てられていたが、男子麻雀も結構な人気を博していたりする。
男子と女子の一番の違いは、華やかさ、だろうか。
女子麻雀ではたびたび超能力じみた麻雀が繰り広げられるのに比べて男子はそれが少ない。
研鑽に研鑽を重ねた、玄人好みの麻雀なのだ。
当然、技術というのは積み重ねるものなので、中学高校生レベルだと、どうしても女子に後れをとってしまいがちになる。
それが高校麻雀は女子の方が強いし面白いという現状になっているんだろう。
とまぁそれは置いといて。
何が言いたいかというと、男子でも麻雀部は普通に人気の部活動だってことだ。
現にさっきまで話していたクラスメイトも目を輝させながら話を聞いている。
これは悩む必要もなく、誰かしらに誘われて見学に行くことになりそうだと思っていると壇上の生徒が頭を下げ、紹介は終わったようだった。
集中して聞いていたわけではないけれどどうやら今日の放課後から早速見学を受け付けているようである。
興味深げな級友二、三人の誘いに相槌を打ちつつ、次の部活の話に耳を傾けた。
それで、だ。
明日から授業が始まるので教科書を忘れないように!との担任の注意で終えた初日のHR。
各自それぞれ思い思いの部活への見学へと散らばっていく。
その中で僕も、誘われるまま麻雀部の部室へと足を向けたのだけれど。
文化部の部室は、僕らが普段使う教室がある棟とは別に部室棟として渡り廊下の先に立っていた。
麻雀部室はその棟の三階の奥。そこに向かうのは当然麻雀部員だけになる。
今日に限っては見学希望の新入生もそこに加わるわけだ。
僕は話の合った級友二人と部室に向かっていたわけなのだけれど、そこで声を掛けられた。
「お前たちも麻雀部の見学か?」
目を向けると、髪の毛をきっちりとおさげにまとめた、かっちりとした雰囲気の女子が一人でいた。
この子、どこかで見たような…。
「ああ、急にすまないな。ただ…、お前に妙なものを感じてな。
つい声を掛けてしまった」
僕が返事をせずまじまじと見ていると彼女はそう言って軽くほほ笑んだ。
…なんかやけに男前な子だな。
「い、いや大丈夫。そっちも見学?」
「ああ、辻垣内智葉という。よろしくな」
が、ガイトさんー!?
ゆ、油断していた…。
ま、まさかこの中学で原作キャラと遭遇するなんて…!。
東京の代表の白糸台の三年生二人は一人は長野出身でもう一人はエライお金持ち。
もう一つの代表臨海はほぼ留学生で出会うことなんて微塵も考えてなかったのに…。
「…?どうかしたか?」
「あ、ううん。大丈夫…。と、とりあえず部室に向かおうか…」
ま、まぁ落ち着こう僕。これも神様のいたずらってやつなんだと思えばなんとか…
「そうだな。…ああ、私はお前と打ってみたい。頼めるか?」
…なんか、ロックオンされてない?僕。
「新入生諸君。ようこそ麻雀部へ。部長の沢渡だ。
ここは普通の公立ってこともあって男子と女子、一緒になって練習している。
まぁ細かいことはあとにするとして、とりあえずお試しで打ってみることにしよう。
見学の新入生は…六人か。なら、新入生と先輩三人で卓が立つな。
四の五の言うより、とりあえずは打とう!さ、始めて始めて!」
部室に着くなり部長の沢渡さんとやらの一声で卓を囲むことになった僕達新入生。
見学だけだとばかり思っていたけど、そう固い部活でもないみたいで少し安心した。
とりあえずは先輩と打つみたいで、ちょっと横を向いたらガイトさんは少し残念そうな顔をしていた。僕をどうする気なんだ彼女は。
ともあれ麻雀だ。
しかも、本格的に四人麻雀を打つのは何気に初めてだったりするので少し楽しみだったりする。
さて、三麻と比べてどうなることやら…。
そこで僕は、今まで感じた事のない怖気さを感じることになった。
他でもない、自分自身に。