超重武者が往く、遊戯王GX   作:フュージョニスト

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どうも、フュージョニストです。

第3話、書きあがりましたので投稿します。

それでは、どうぞ~。


第3話 翔の覗き魔疑惑? 黒炎竜vs超重武者

「今日の朝飯は……また同じか。そろそろ飽きるな……」

 

 アカデミアに入って数日目の朝、慣れてきたレッド寮の食堂で朝飯を食べる。

 ただ流石に、ほぼ毎食ごはん・味噌汁・漬物だと飽きるし、栄養的にもまずいよな……。

 

「おはよう、鉱太」

 

「ん、ああ、十代か、おはよ」

 

 そんな事を考えてると、十代が朝飯の乗ったトレーを持って話しかけてきた。

 オレも十代に挨拶を返す。

 

「今日の授業って、体育とデュエルの座学と……何だっけ?」

 

「大徳寺先生の錬金術。何に使うかは今の所わかんないけど……」

 

 食べながら十代と話すが……十代の言うとおり、錬金術の授業って一体何に使うんだ?

 っと、もうこんな時間か。

 

「悪い、十代。大徳寺先生に手伝い頼まれてるから先に行くぜ!」

 

「おう、また後でな!」

 

 話している内に食べ終え、時計を見たらちょっと急ぐ時間だった。

 十代との話を切り上げて、食器を片し、部屋で軽く準備を済ませてアカデミアに向かう。

 

「お、沙凪君、来てくれたかにゃ?」

 

「大徳寺先生、おはようございます。頼まれてた授業の資料運びに来ました」

 

「助かるにゃ~。なら、そこの段ボールをお願いするのにゃ」

 

「了解です」

 

 大徳寺先生の指示で資料の入った段ボールを教室に運び、席に配って行く。

 そんな感じで、今日1日が始まる。

 

 

 □

 

 

「カードの種類にはモンスター、魔法、罠カードとあり――」

 

 クロノス教諭のデュエルの座学授業、カードの種類について応えよ、というのに指されたオベリスクブルーの女子が答え、満足そうに頷くクロノス教諭。

 その目がオレの方を見て、ちょっと何か思いついたような表情に変わる。

 

「それデーハ、シニョール沙凪、フィールド魔法について詳しく解説をしてみるノーネ」

 

「はい、フィールド魔法とはデュエルフィールド上では『フィールドゾーン』に置かれ、お互いのフィールド上に1枚ずつ、合計2枚まで発動する事が出来ます。その特徴はフィールド魔法がフィールドゾーンに存在する限り、お互いの場に何らかの影響を与えるという事です。たとえば、《ガイアパワー》や《デザートストーム》のように攻撃力・守備力に影響するもの、《フュージョンゲート》や《死皇帝の陵墓》などモンスターの召喚に関わるもの、《王家の眠る谷-ネクロバレー》や《フューチャー・ヴィジョン》のようにお互いに何らかの制約を与えるもの、《天空の聖域》や《断層地帯》など特定の種族をサポートするもの、《摩天楼-スカイスクレイパー》や《歯車街》のように特定のカテゴリをサポートするものなど、多岐にわたります」

 

「そ、そこまででいいノーネ、座ってくだサイーノ」

 

 オレが考え付いたことを答えるとクロノス教諭が青褪めていき、カード名なんかを交えて説明し始めたところでストップをかけられる。

 周りはと言うと、ブルー生徒はほとんどがオレの事を『生意気な』って感じで、イエロー生徒は一部が『なるほど』と言った感じでノートに書いてるが半分以上はブルーと同じ、レッド生徒は割と一生懸命にノートを取っていた。

 

「沙凪だっけ? ……お前、カードについて詳しいんだな?」

 

「ん、あぁ、両親にいろいろ叩き込まれたんだよ」

 

 たまたま隣になったレッド生徒の質問に答える。

 あんまり大きな声で答えられないから、ちょっと声のトーンを落としてるけど。

 

「……なぁ、今度勉強見てくれよ」

 

「まぁ、オレが分かる範囲でよければ」

 

「ありがとな! 俺は五代ユウスケ、よろしく」

 

「ああ。よろしく、五代」

 

 話し終えてお互いに授業に戻る。

 五代の奴……何と言うか、笑顔の似合うやつだな……。

 

「シニョール丸藤、装備魔法についてもまともに説明できないノーネ? これだからドロップアウト寮はダメなノーネ」

 

「う、うぅ……」

 

『あははははは!』

 

 そんな事を思いながら顔を上げると、丸藤がクロノス教諭に指され、答えようとしてどもってしまっていた。

 それを見ながらほくそ笑むクロノス教諭と声をあげて笑うブルー生徒……何かイラッとするな。

 

「けどクロノス先生。知識と実戦は関係ないですよね?」

 

「そんなドロップアウトに負けた先生は、どこの誰でしたっけねクロノス教諭?」

 

「そうそう、オレと鉱太だってオシリスレッドだけど、クロノス先生にデュエルで勝っちゃったし!」

 

「ヌ、グヌヌヌヌ!」

 

 オレと十代からの思わぬ反撃に、ハンカチを噛み締めて悔しがるクロノス教諭にレッド生から笑いが起こる。

 オレとしてもちょっと胸がスッとしたし。

 

「そ、そろそろ時間ナノーネ。デュエルの授業はここまでナノーネ!」

 

 クロノス教諭はそのままそそくさと教室を出て行き、他の生徒も次の授業の為に準備を始める。

 次の授業は確か……錬金術だったな。

 

「アニキ、沙凪くん、さっきはありがとうッス!」

 

「え、オレなんかしたか?」

 

「オレは思った事と事実を言っただけだぜ?」

 

 その錬金術の授業中、丸藤がオレと十代に礼を言ってくる。

 それは別にいいんだが……。

 

「……丸藤、大徳寺先生に指されてるぞ」

 

「え、あ、ぁ、はいっ!?」

 

 慌てて立ちあがって大徳寺先生に謝る丸藤。

 何度かつっかえながらも答える丸藤が、またブルー生徒やイエロー生徒に笑われてる……このあがり症は何とかしてやりたいけどな。

 そんな事を思いながら錬金術の授業は過ぎて行った。

 

 

 

 □

 

 

 

「なぁ、鉱太。翔を見なかったか?」

 

「丸藤を? なんだ、一緒に部屋に帰って来たんじゃないのか?」

 

 夜、十代が丸藤が来ていないかを聞きに部屋を訪ねてきた。

 けど、オレが見たのは体育の授業の時が最後だし……。

 

「そう言えば、体育の授業の前後辺りから丸藤の奴、なんか浮ついてなかったか?」

 

「言われてみればそんな気もするけど……」

 

「まぁ、何かあればPDAに連絡が来るだろ。心配しなくてもいいんじゃないか?」

 

 そう言った直後、十代のPDAが鳴る……相手は丸藤みたいだな。

 十代が来たメールを開くと、ボイスチェンジャーを使ったかのような音声が流れる。

 

『丸藤翔の身柄は預かった。返してほしくば、女子寮まで来られたし』

 

 ……女子寮、この時間にか?

 このメールの相手、一体何を目的で丸藤を拘束してるんだ?

 

「鉱太、悪いけど――」

 

「付き合ってくれ、って事だろ? ……まぁ、しゃあないか」

 

 一応デッキとデュエルディスクを持って十代と共にレッド寮を出る。

 レッド寮から走って行くよりも、湖を突っ切った方が早いな。

 

「十代、ボートで行こう。そっちの方が近いし早い」

 

「ああ!」

 

 十代がボートに先に乗ってオレも続く。

 ボートは十代が漕ぎ(じゃんけんで負けたから)、15分くらいで目的のオベリスクブルー女子寮の前に着く。

 ボートを泊めて岸に降りると、縄で手首を縛られた丸藤と、3人のブルー女子の姿が見えた。

 

「あ、アニキ! 沙凪くん!」

 

「翔! 一体なんでこんな事になってんだよ」

 

「……それは話せば長くなるような、そうでもないような」

 

「コイツがね、女子寮のお風呂を覗いたのよ!」

 

「……はぁ?」

 

 そう言うのはオレンジの髪をした気の強そうな女子、反対に居るふわふわした感じの女子も頷いてるし。

 ……本気で頭が痛くなってきた。

 

「だから覗いてないってば!」

 

「これが学校にばれたら、きっと退学ですわぁ」

 

 疑われてる当の本人はやってないって言うし、どうなってるんだコレ……?

 割と真面目に頭を抱えそうになった時。

 

「ねぇ、アナタたち。私とデュエルしない? アナタ達が勝てば、今回の事は大目に見てあげる」

 

「何だかよくわからないけど、いいぜ。そのデュエル、受けて立つぜ!」

 

 この3人の女子のリーダー格と思しき金髪の女子が十代とオレにデュエルを持ちかけ、十代はそれに乗った。

 まぁ、この場でオレだけがデュエルしないって選択肢はあり得ないか、オレも金髪の女子にロックオンされてるし。

 

「ああ、分かった。けど、寮の近くでソリッドヴィジョンを使うと流石に響く。ここは――」

 

「湖の上でデュエルを、って事かしら……沙凪鉱太クン?」

 

「ああ。って、オレの事知ってるのか?」

 

 アナタと十代は有名だもの、っと言って自己紹介をしてくるリーダー格の金髪の女子――天上院明日香。

 ちなみのオレンジ髪の強気そうな女子は枕田ジュンコ、ふわふわした感じの女子は浜口ももえと言うらしい。

 

「それじゃ、移動するか」

 

 オレ、十代、丸藤が乗ってきたボートに乗り込み、天上院、浜口、枕田が別のボートに乗り込もうとした時だ。

 

「あ、あのっ! て、天上院さんっ!」

 

「え? あら、あなたは――石原周子さん? なぜアナタがここに?」

 

 とてて、と言った感じに駆けてきた女子がいた。

 おっとりした雰囲気の女子で、セミロングの茶髪がよく似合ってる――石原さん、って言うのか。

 

「そ、そのぉ……天上院さんたちが外に行くのが見えたので……付いて来て、しまいました」

 

「はぁ……仕方ないわね。アナタもボートに乗りなさい。来てしまった以上は、連れて行きましょう」

 

 天上院からボートへと手招きされ、おっかなびっくりと言った感じでボートに乗り込む石原さん。

 周囲を確認して、これ以上誰も来ることは無いと分かるとボートを漕ぎ、湖の中心あたりで数mの間を開けてボートを止める。

 

 そして、十代と天上院がデュエルディスクを構え。

 

「「デュエル!」」

 

 デュエルが始まり、数分後――――。

 

「サンダー・ジャイアントでダイレクトアタック! "ボルティック・サンダー!"」

 

「きゃああぁぁっ!」

 

 明日香 LP 2400 → 0

 

 十代が融合召喚したサンダー・ジャイアントの効果で天上院の切札《サイバー・ブレイダー》を破壊し、ダイレクトアタックを決めて勝利した。

 十代と丸藤はハイタッチして喜んでるが……さて、次はオレと天上院でデュエルになるのか?

 そう思っていたら、石原さんが天上院さんに何かを訴え、彼女がデュエルディスクを付けて立ち、オレを見据える。

 

「えぇと、オレの相手は……キミ? オレは沙凪鉱太」

 

「は、はいっ……石原周子です。よっ、よろしくお願いします!」

 

 律儀にお辞儀までしてデュエル前のあいさつをしてくれた――が、勢いが良かったのかバランスを崩して倒れかけ、天上院に支えられていた。

 おっとりしてると言うか、危なっかしいな。

 

「す、すいません……見苦しい所を、お見せしました……」

 

「いや、気にしてないさ。準備もできてるみたいだし、やろうか」

 

「は、はいっ!」

 

 デュエルディスクにデッキをセットしディスクを構え、お互いに相手を見据える。

 さぁ、石原さんはどんなデュエルを見せてくれるんだ?

 

 

「「デュエル!」」

 

 

「私のターン。私はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 周子 LP 4000

 ・手札 2枚

 ・モンスター

  伏せ×1

 ・魔法・罠

  伏せ×2

 

 先攻は石原さん、特に大きな動きもなくモンスターとカードのセットで1ターン目を終了してくる。

 様子見って事か……?

 

「オレのターン、ドロー。オレもモンスターを1体セットして、ターンエンド」

 

 鉱太 LP 4000

 ・手札 5枚

 ・モンスター

  伏せ×1

 ・魔法・罠

  無し

 

 オレの後攻、オレも様子見としてモンスターをセットする。

 次の石原さんのターンから、動きがありそうだな。

 

「私のターン、ドロー。私はセットモンスターをリリース、《ホルスの黒炎竜 LV6》をアドバンス召喚!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV6 ATK 2300

 

「ホルスの黒炎竜だって!? 初めて見た……!」

 

 セットしていたモンスター《ドル・ドラ》がリリースされて現れたのは、頭が鳥のような形をした銀色の竜。

 確か、一切の魔法効果を受け付けないんだよな……?

 

「バトル! ホルスでセットモンスターに攻撃! ”ブラック・フレイム!”」

 

「墓地に送られた《超重武者装留 イワトオシ》の効果発動。デッキから《超重武者 ビッグベン-K(ケー)》を手札に加える」

 

 ホルスの口から吐かれた黒い焔がオレの場のボウガンを模したモンスター、イワトオシを簡単に焼き尽くす。

 破壊された時の効果でデッキからビッグベン-Kを加えておくが、ちょっとマズイ。

 

「メインフェイズ2でさらにカードを1枚伏せ、エンドフェイズに《ホルスの黒炎竜 LV6》の効果発動! このカードが戦闘でモンスターを破壊したターンのエンドフェイズ、このカードを墓地に送ることで《ホルスの黒炎竜 LV8》を特殊召喚できる。来て、そして私を守って! 《ホルスの黒炎竜 LV8》!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV8 ATK 3000

 

 LV6が光り輝いてその姿を変え、そのレベルに恥じない風格を持つ最上級のドラゴンへと姿を変える。

 《ホルスの黒炎竜 LV8》の効果は『魔法カード発動の無効化』だから、あの永続罠と合せれば、普通の生徒が彼女と当たったらまず心が折れるだろうな。

 

「私はこれでターンエンド!」

 

 周子 LP 4000

 ・手札 1枚

 ・モンスター

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻) 

 ・魔法・罠

  伏せ×3

 

 セットカードが3枚……内1枚はあのカードと思う。

 

「オレのターン、ドロー! オレの墓地に魔法・罠が存在しない時、手札からこのモンスターは特殊召喚できる。来い、《超重武者 ビッグワラ-G(ジー)》」

 

 超重武者 ビッグワラ-G DEF 1800

 

 何もないオレのフィールドに現れたのは、毎度おなじみの草鞋を重ねたような超重武者。

 毎回出てすぐリリースされるのは悪いと思ってる――だから、そんな疲れた目でオレを見るな!

 

「ビッグワラ-Gは機械族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースに出来る。オレはビッグワラ-Gを2体分のリリースとしアドバンス召喚! 動かざること山の如し。不動の姿、今見せん! 《超重武者 ビッグベン-K》! 召喚成功時に、ビッグベン-Kは自身の効果で表示形式を変更できる、これで守備表示に!」

 

『いざ、合戦じゃあ!』

 

 超重武者 ビッグベン-K ATK 1000 → DEF 3500

 

 ビッグベン-Kのやつ、やけに気合入ってるな……。

 

「こ、これが沙凪さんのエース……」

 

「ああ! さらに手札からビッグベン-Kに《超重武者装留 グレート・ウォール》を装備! グレート・ウォールの効果で守備力を1200ポイントアップさせる。そしてビッグベン-Kが場にいる限り、オレの『超重武者』は守備表示の時、守備力を使って戦闘できる」

 

 超重武者 ビッグベン-K DEF 3500 → 4700

 

 ビッグベン-Kが自分の背とほぼ同じ大きさの緑の盾を装備する。

 石原さんはビッグベン-Kの守備力に驚いたのか、ちょっと目を見開いてるし。

 

「バトル、ビッグベン-Kで《ホルスの黒炎竜 LV8》を攻撃!」

 

 気合十分なビッグベン-Kがホルスの黒炎竜に向かって刺叉を構え。

 

「び、ビッグベン-Kを対象に速攻魔法《禁じられた聖杯》を発動、します。対象にしたモンスターの攻撃力を400上げる代わりに、エンドフェイズまで効果を無効化します」

 

 超重武者 ビッグベン-K ATK 1000 → 1400[効果無効]

 

 突撃しようとしたところで、どこからともなく現れた杯に入った水をぶっかけられ、ビッグベン-Kが動きを止めた。

 機械に水はショートの原因になるんだよな、そんな事を思いながら石原さんの方を見ると、予想が当たった、と言った感じでホッとしていた。

 

「ビッグベン-Kの効果が無効になった事により、攻撃が中断される。石原さん、よくビッグベン-Kの弱点に気付いたな」

 

「え、えと……守備表示でも攻撃できる『効果』だから無効に出来るかな、って、思って……本来なら、《マシュマロン》とかに使うために入れてたけど、こういった使い方も……あるんですね」

 

「ああ、まったくもって正解だよ。バトルフェイズを終了、このままターンエンド!」

 

 鉱太 LP 4000

 ・手札 4枚

 ・モンスター

  超重武者 ビッグベン-K(守)[DEF/4700]

 ・魔法・罠

  超重武者装留 グレート・ウォール[対象:ビッグベン-K]

 

「私のターン、ドロー。永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動、墓地の《ホルスの黒炎竜 LV6》を特殊召喚!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV6 ATK 2300

 

「バトル、《ホルスの黒炎竜 LV6》でビッグベン-Kに攻撃です!」

 

 墓地から舞い戻って来たLV6が、ビッグベン-Kに狙いを定め黒炎を吐いてくる。

 攻撃力がビッグベン-Kの守備力を下回ってるLV6で……何を狙ってる?

 

「……ここは《超重武者装留 グレート・ウォール》のもう一つの効果を発動! こいつを装備した『超重武者』が攻撃対象に選択された時、装備されたこのカードを墓地に送ることで攻撃を無効にする! ただし、この効果の使用後、このカードを装備してたモンスターの守備力は0になる!」

 

 超重武者 ビッグベン-K DEF 4700 → 3500 → 0

 

 LV6の吐いた黒炎を、装備した緑の盾で受け流すビッグベン-K。

 けど、黒煙を受け切った盾―グレート・ウォールは限界を迎えたのか爆発し、本来なら守らねばならないはずのビッグベン-Kにダメージを与える。

 

「防がれた……けど、守備力が0になったなら! 《ホルスの黒炎竜 LV8》でビッグベン-Kに攻撃! ”ダーク・メガ・フレイム!”」

 

「手札の《超重武者装留 ファイヤー・アーマー》の効果! 手札のこのカードを墓地に送ってオレの場の『超重武者』モンスターを選択、そのモンスターの守備力を800ポイント下げることで、このターンの間のみ戦闘、効果で破壊されない!」

 

 LV6の攻撃を受け切ったのも束の間、今度はLV8の黒い轟炎がビッグベン-Kに向かって放たれる。

 それを赤い炎の意匠の鎧―ファイヤー・アーマーを身代りにして耐える。

 

「破壊耐性……けど、ダ、ダメージは通します! 手札から速攻魔法《エネミー・コントローラー》を発動! 2つある効果のうち、相手モンスターの表示形式を変更する効果を使います! これでビッグベン-Kを攻撃表示に!」

 

「っ、マズッ!?」

 

 超重武者 ビッグベン-K DEF 0 → ATK 1000

 

「行って、《ホルスの黒炎竜 LV8》! ”ダーク・メガ・フレイム!”」

 

 ビッグベン-Kが、突如繋がれたコントローラーで無理やり立たされる。

 ファイヤー・アーマーを身代りにして受けきったはいいが、その余波がオレにも及ぶ。

 

「ぐああぁぁぁっ!?」

 

 鉱太 LP 4000 → 2000

 

「カードを1枚伏せて、ターン終了です!」

 

 周子 LP 4000

 ・手札 0枚

 ・モンスター

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻) 

  ホルスの黒炎竜 LV6(攻)

 ・魔法・罠

  伏せ×2

  リビングデッドの呼び声[対象:ホルスの黒炎竜 LV6]

 

「く、オレのターン! ビッグベン-Kを守備表示に変更しモンスターをセット。……カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

 ま、まさか、超重武者がピンポイントで辛い『効果の無効化』と『表示形式の変更』を突かれるとは思わなかった。

 しかも今の手札じゃ状況を立て直すのも難しいか……ここは次の手を待ちながら耐えるしかない。

 

 鉱太 LP 2000

 ・手札 2枚

 ・モンスター

  超重武者 ビッグベン-K(守)[DEF/0]

  伏せ×1

 ・魔法・罠

  伏せ×1

 

「私のターン、ドロー! スタンバイフェイズに永続罠《王宮のお触れ》を発動! これでお互いにこのカード以外の罠カードの効果がすべて無効になります!」

 

 やっぱり、最初に伏せてたあのカードが《王宮のお触れ》だったか……!

 

「これが有名な『お触れホルス』、って事か……!」

 

「このままバトル。《ホルスの黒炎竜 LV8》でビッグベン-Kを、《ホルスの黒炎竜 LV6》で伏せモンスターを攻撃!」

 

「ビッグベン-Kと、セットした《超重武者 カゲボウ-C(シー)》が破壊される」

 

 LV8の黒い轟炎にビッグベン-Kが、LV6の黒炎に虚無僧を模したモンスターであるカゲボウ-Cが焼き尽くされる。

 まさかとは思うが……。

 

「私はバトルフェイズを終了し、エンドフェイズに入って《ホルスの黒炎竜 LV6》の効果でこのカードを墓地に送って2体目の《ホルスの黒炎竜 LV8》を特殊召喚します!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV8 ATK 3000

 

 またもLV6が光り輝いてその姿を変え、最上級のドラゴンへと姿を変えた。

 ……2体目がいるなんて聞いてないぞ、オイ。

 

「これで、ターンエンドです」

 

 周子 LP 4000

 ・手札 1枚

 ・モンスター

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻) 

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻)

 ・魔法・罠

  伏せ×1

  王宮のお触れ

  リビングデッドの呼び声[対象不在]

 

「オレのターン、ドロー……モンスターをセット、ターンエンド!」

 

 鉱太 LP 2000

 ・手札 2枚

 ・モンスター

  伏せ×1

 ・魔法・罠

  伏せ×1

 

 この状況を抜け出せるかは、お前たちにかかってる……頼むぞ。

 

「私のターン、ドロー。《マジック・プランター》を発動、対象の居なくなったリビングデッドを墓地に送って2枚ドロー。《サイクロン》を発動! 場の魔法・罠カードを1枚破壊します! ホルスもお触れもありますけど念のため……さ、沙凪さんの場の1枚のセットカードを破壊させてもらいます!」

 

「くっ……」

 

 オレの場にあった唯一のセットカードが竜巻によって吹き飛ばされる。

 破壊されたそのカードは、地面に寝そべり微動だにせず一点を狙い、スナイパーライフルを構えた狙撃手だった。

 

「バトル! 1体目のホルスの黒炎竜、でセットモンスターに攻撃! ”ダーク・メガ・フレイム・ファースト!”」

 

 オレのセットカードを吹き飛ばして安心しバトルフェイズに入り、石原さんは1体目のLV8に攻撃を指示する。

 けど、それを通すわけにはいかないから――頼んだ、虹クリボー!

 

「手札の《虹クリボー》の効果発動! 相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを相手モンスターに装備できる。そして装備されたモンスターは、攻撃できない!」

 

『クリクリィー!』

 

「それなら、伏せていた速攻魔法《レベルダウン!?》を発動! 自分の場の『LV』モンスターをデッキに戻し、そのモンスター名が含まれ、尚且つ戻したモンスターよりレベルの低い『LV』モンスターを墓地から特殊召喚します! 虹クリボーの対象になった《ホルスの黒炎竜 LV8》をデッキに戻して、《ホルスの黒炎竜 LV6》を特殊召喚! そしてセットモンスターに攻撃!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV6 ATK 2300

 

 虹クリボーが光の帯のようになって攻撃を止めさせた1体目のLV8が光り輝き、LV6にレベルダウンする。

 しかもLV8がデッキに戻ったって事は、この攻撃でまたレベルアップするって事か。

 

「戦闘で破壊され、墓地に送られた《超重武者 グロウ-V()》の効果発動。オレの墓地に魔法・罠が無い時に墓地へ送られた時、デッキの上を5枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す!」

 

 LV6の攻撃に吹き飛ばされたのは両手にミットの様なものを付けたグロウ-V。

 その巨大な両手に似合わず器用な動作でオレのデッキの上5枚を見せてくる――――っ、よし、居てくれたか!

 

「デッキの確認……? でも、これで終わりです! 2体目の《ホルスの黒炎竜 LV8》で沙凪さんにダイレクトアタック! ”ダーク・メガ・フレイム・セカンド!”」

 

「墓地の《超重武者 グロウ-V()》のもう一つの効果! 相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを墓地から除外して、デッキの一番上のカードをめくる! そのカードが『超重武者』なら公開したカードを手札に加え、攻撃した相手モンスターの攻撃力を0にし、違った場合は公開したカードを墓地に送る!」

 

 このターンで2回目の――そして最後のLV8の攻撃の時、オレの前にさっき破壊されたグロウ-Vが半透明な姿で現れ、石原さんが驚く。

 グロウ-Vはオレの代わりにLV8の黒い轟炎を受け止めようと、その巨大な両手を構える。

 

「そ、そう簡単に引くことなんて――――、あっ!? さっき墓地に送った時の効果……!」

 

 

 

 

 

『戦闘で破壊され、墓地に送られた《超重武者 グロウ-V()》の効果発動。オレの墓地に魔法・罠が無い時に墓地へ送られた時、デッキの上を5枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す!』

 

 

 

 

 

「気付いたみたいだな! グロウ-Vの効果でデッキの上をめくる。オレのデッキトップは――《超重武者 ビッグベン-K》! よって手札に加え、ホルスの攻撃力を0にする!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV8 ATK 3000 → 0

 

 グロウ-VはLV8の攻撃を受け切り、オレの方を向いてドヤ顔で消えて行った。

 いや、確かにお前のおかげで防げたんだけど、なんかむかつく。

 

「まだ……まだです! 私はカードを1枚伏せ、エンドフェイズに《ホルスの黒炎竜 LV6》を《ホルスの黒炎竜 LV8》にレベルアップ!」

 

 ホルスの黒炎竜 LV8 ATK 3000

 

 3度レベルアップするホルスの黒炎竜……それだけ、彼女の思い入れが強いって事なんだろうな。

 さて、ここで驚かせますか。

 

「なら同じくエンドフェイズに、破壊された《白銀のスナイパー》の効果発動!」

 

「こ、このタイミングで!?」

 

 白銀のスナイパー ATK 1500

 

 効果を発動した瞬間、冬の雪山に居る猟師のような人が現れ、スナイパーライフルを構える。

 狙っているのは、石原さんの場のセットカード。

 

「《白銀のスナイパー》には2つの効果がある。まず1つ目は、魔法カード扱いとして魔法・罠ゾーンにセットできる効果」

 

「そっか……。わ、私が《サイクロン》で破壊したのが、そのスナイパーさんだったんですね」

 

 彼女もどうやら、ホルスとお触れがあるとはいえ、念には念をと《サイクロン》で破壊したカードがそれだったと思い至ったみたいだな。

 

「ああ。そして、もう1つは魔法カード扱いとしてセットされているこのカードが破壊されたターンのエンドフェイズに、このカードを墓地から特殊召喚し、相手フィールドのカード1枚を破壊できる効果だ。これで、今伏せたカードを破壊する!」

 

 オレが破壊する、って言いきった瞬間にスナイパーライフルを2,3発発砲して、石原さんのセットカードを撃ち抜く。

 結構音が大きかったから、耳がキーンとする……。

 

「あっ、《月の書》が……うっ、た、ターンエンドです」

 

 周子 LP 4000

 ・手札 1枚

 ・モンスター

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻)

  ホルスの黒炎竜 LV8(攻)[ATK/0]

 ・魔法・罠

  王宮のお触れ

 

「オレのターン、ドロー! オレの墓地に魔法・罠カードが無い時、このカードは特殊召喚できる。来い、《超重武者 ホラガ-E(イー)》!」

 

 超重武者 ホラガ-E DEF 600

 

 《白銀のスナイパー》の隣に、足軽のような外見に法螺貝を持ったモンスターが現れ、上機嫌に法螺貝を吹いてる。

 吹きたいのは分かるが今は夜なんだし、ブォ~ッ、っと低い音が辺りに響くからやめろっての。

 

「そして《白銀のスナイパー》とホラガ-Eの2体をリリース、ビッグベン-Kを2度目のアドバンス召喚! ビッグベン-Kの効果で表示形式を変更!」

 

 超重武者 ビッグベン-K ATK 1000 → DEF 3500

 

 『え、自分の出番これで終わりなの!?』って感じに法螺貝を片手にオレを見るホラガ-E。

 すまない、ホラガ-E……今回はこれで出番は終わりだ。

 

「さらにビッグベン-Kに《超重武者装留 シャイン・クロー》を装備! シャイン・クローは装備した『超重武者』の守備力を500ポイントアップし、戦闘で破壊されなくなる!」

 

 超重武者 ビッグベン-K DEF 3500 → 4000

 

 ビッグベン-Kが右腕に青いガントレットを装着し、調子を確かめる。

 問題なく動いているみたいで、外付けの長い爪のような指がカシャカシャいってる。

 

「攻撃力、4000……! あっ!」

 

「今回は、勝たせてもらう! バトル! 攻撃力0の《ホルスの黒炎竜 LV8》に攻撃!」

 

 ビッグベン-Kがシャイン・クローを装備した装備した右腕で殴りかかる――かと思いきや、思い切り跳躍。

 そのままの勢いで、飛び蹴り―所謂、ライ〇ーキック―をホルスに喰らわせた。

 無駄に綺麗なフォームだな……と言うか――――おい、超重武者装留使えよ。

 

「あ、ぁ……きゃあぁぁあぁっ!?」

 

 周子 LP 4000 → 0

 

 

 

 

「あ、あの、沙凪さん、聞きたいことがあるんですが……」

 

「ん? 何だ?」

 

 デュエルが終わり丸藤が解放されて帰ろうとした時、石原さんがふと尋ねてくる。

 

「沙凪さんのデッキって……」

 

「……あぁ、流石にわかったか?」

 

 別に隠してるつもりもないんだけどな。

 後ろで十代と丸藤、向かいの船で天上院が興味ありげにオレと石原さんの話に耳を傾ける。

 

「は、はい……デュエル中に魔法と罠を1度も使ってないので……」

 

「あはは……お察しの通り、オレのデッキは――フルモンスターだよ」

 

「フルモンスターですって!? 沙凪君、アナタ正気!?」

 

 フルモンスターと聞いて、天上院が思い切り食いついてきた。

 というか、さ……?

 

「フルモンスターってだけで正気を疑われるって、酷くないか? 正直、少し凹んだわ」

 

「わ、わたしは……すごいな、としか……」

 

 石原さんは苦笑い、天上院は『言い過ぎたわ、ゴメン』と言ってシュンとなる。

 

「なんだよ、フルモンスターって?」

 

「簡単に言えば、デッキに魔法と罠を1枚も入れず、モンスターだけで戦うデッキの事よ」

 

「へぇ~そんなデッキがあるんだな」

 

「ア、アニキ……アニキは実際にデュエルしたんだから気付いてると思ってたッス」

 

 十代は十代でマイペース過ぎるだろう……天上院から簡単な説明を聞いてそうなのかー、って具合だし。

 丸藤の言う通りお前はオレとデュエルしただろう、入学初日に。

 

「何はともあれ、同じレッド寮の生徒が迷惑かけて申し訳ない」

 

「……もういいわよ。こっちはデュエルで負けたんだし、勝てば彼を返すって約束だったもの」

 

 彼女たちと別れる前に、もう一度だけ頭を下げて謝っておく。

 天上院も自分から言い出したことだから、と言って今回は大目に見て貰えた。

 丸藤、安心してる場合じゃないだろう……お前が一番頭を下げなきゃいけないんだろうがよ。

 

「さて、そろそろ寮に帰ろうぜ。流石に……眠い」

 

「そうだなー。じゃあ翔、ボート漕ぐのヨロシク!」

 

「わ、分かってるっすよぉ……」

 

 PDAを見ると時刻は午前1時を回るかといったところ。

 部屋に戻れば、すぐ寝れるだろうな。

 

「……いい月だな」

 

 揺れるボートの上で、二人に気付かれないように呟いた。

 




と言うわけで、第3話でした。

今回出したキャラの石原周子(しゅうこ、じゃなくて、ちかこ)はご存知の方は多いのではないしょうか。
PSPで発売されていた『タッグフォース』シリーズのキャラで、作者のトラウマであり好きなキャラです。

自分がやっていたのはTF2だったのですが、あの当時のカードプール(レインボー・ドラゴンOCG化した頃)での石原姉妹のデッキのガチさ加減は半端じゃなかったですね。

ちょうど高校の頃に遊戯王をはじめ直した辺りでE・HEROを使っていたので、基本ステータスの低いヒーロー達じゃレベルアップの餌にされ、《融合》を封じられていくというトラウマを味わいましたね。
でも、パートナーとして組むとホルスの圧倒的火力に助けられ『あれ?これ、自分要らなくね?』となることもしばしば(笑)

姉の石原法子の同じく、あの時の帝ビートは強かった(ただし、今回は出番なし)。
この石原姉妹は、これからも出していきたいなぁ。
他のTFキャラも…………余裕があれば……うん、余裕があれば、ね。

次回も、よろしくお願いします。
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