昼休みにシカマル達とサッカーをして遊び、一緒にご飯を食べ、いつもと同じような生活をすごしていた。
だが彼は迫害を受けており、その心の傷は相当深いものであった。
ナルトの心は真っ二つになる直前であったことに、本人を含めて誰も気づいてはいなかった。
心無い大人のたった一つの言動が引き金になるとも知らず。
授業が終わりいつものようにみんなが教室から出て行くなかナルトはイルカに呼び止められる。
「ナルト、少しのこれー」
「はーい」
イルカはナルトが信用する数少ない大人のうちの1人だ。
教室に人がいなくなったのを見計らい、イルカはナルトに話を振った。
「ナルト、最近よくがんばってるな、昨日やったテスト、今までで最高点だったからな、その、何だ。今日の晩飯一楽でおごってやるから7時に一楽に来いよ!」
イルカは親のいないナルトをたまにこうしてご飯に誘う。家族のいないナルトにとってイルカと食べるご飯は特別なものであった。そしてイルカも家族がいないためナルトとご飯に行くのを楽しみにしていたりする。
「ホント?ホント?やったー」
バンザイをしながらナルトは飛び跳ねる。最近イルカが忙しそうにしていたためここ1ヶ月は毎日1人でご飯を食べていたナルトは喜ぶ。
「あぁ、今日は仕事もそんなにないしな、だから帰って今日出した宿題をしっかりやっておくんだぞ?」
「うんうん!わかったってばよ!じゃぁ俺ってば帰って宿題やってくるってばよ!じゃぁイルカ先生またあとでね」
その言葉にナルトはしっかりと返事をしてそそくさと帰っていった。
「気をつけて帰れよー」
イルカも笑顔で見送った。
このときイルカは想像もできなかっただろう。この日里が壊滅するなんてことを。
・・・・・・・・・・・・・・・
午後6時45分・・・
ナルトはイルカに言われたとおり宿題を終わらせて家を出る。
ちょっと早いけれどイルカとご飯を食べる日はいつも待ち遠しくて少し早く出ることが習慣になっていた。
そしていつものように一楽に向かう道をまっすぐ歩いていくナルトの前に3人の大人が立ちはだかる。
彼らは皆10年前のあの日、家族を失ったものたちであった。
そしてナルトを迫害し続けてきていたのだった。
ナルトはそれに気づくと3人をよけようとするも3人はナルトの服を掴み引き倒す。そしてそのまま暴行を加えたのだ、ナルトは何の抵抗もできずただひたすら我慢していた。
「何でお前がのうのうと生きてんだ!早くしんじまえ、迷惑なんだよ!」
「火影様が生かしておく理由がわかんねぇよ、こんな化け狐」
「しかもアカデミーで勉強して忍になるってか?てめぇみてぇなやつが忍になって里を守るなんてゆるせねぇんだよ!」
口々に出てくるナルトへの暴言。最後の糸が切れ掛かっていた。
・・・・・・・・・・・・・・
午後7時・・・・・・
イルカは一楽の前で待っていた。いつもより仕事が速く終わったため、普段はナルトを待たせていたためたまには先に来て驚かせてやろうと思っていたのだが、ナルトは来なかった。
だがナルトは今までアカデミーに遅刻はしても一緒に食事に行くときだけは遅刻したことは無かった。
「ナルト・・・まさかまた!?」
イルカには心当たりがある。里の人間に危害を加えられているのではないか?
そう結論付けたイルカは走り出した。
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道の端にうずくまるナルト。それを囲む大人たち。最初は3人だったのが気づけば8人にもなっていた。
「よぉ、お前の味方なんて誰もいないんだよ」
「家族も友達もいねぇお前なんか死んでも誰もかなしまねぇよ」
「もう俺たちゃぁお前の顔を見るのもうんざりなんだ」
「だからもう・・・“死ねや”」
そう言うと男はナルトの心臓目掛けてクナイを振りかざす。
突き刺さるまであと5cmというところでクナイが赤いオーラのようなものに掴まれる。
その瞬間里にどす黒く妙に生暖かい熱風が吹き荒れる。
そしてナルトはナルトじゃなくなった。
ズドーン!!
ナルトを中心に爆発とともに砂煙が巻き上がる。周りにいた8人もろともまわりにいた人々、さらには建物が一瞬で粉々になった。
そしてその爆心地から赤黒く、そして醜悪な気に包まれた少年が立ち上がる。
そしてそのおしりの部分からは九本の尾が伸び、歯はすべて鋭い牙となり、空色の目は真紅の炎よりも赤くなり、爪は鋭利な刃物のようないでたちになっていた。
そしてそこに駆けつけるイルカは煙がはれると目を疑う。
赤いチャクラに包まれたナルト。見た目はまったく変わってしまったがイルカにはわかる。それは明らかにナルトだった。
「ナルト・・目を覚ませナルトォ!!」
イルカはナルトに駆け寄りながら声をかけたがナルトにはもう届かない。
ダン ザシュ
駆け寄っていっていたイルカの視線が傾いていく。そしてそのまま倒れこむと腹部から生暖かいものが流れるのを感じた。
最後の力を振り絞って見たナルトは真紅の双瞳から一筋の涙を流していた。
『ナルト…すまない』
イルカは心の中でナルトに謝りながら息を引き取る。
そしてナルトだったものは飛び上がり、赤黒いチャクラの塊を作り出す。
その塊は大きく、そしてまがまがしい力に満ち溢れていた。
その塊を真下に投げるとその塊が地面に激突すると、そこから一気に地面がえぐれ、その波紋が里の建物のほとんどを吹き飛ばした。
そして生存していた者は、万が一のときに集まるように決められた場所に集まることとなる。そして里の民の半分がその1撃で命を落とすことになる。
集合場所に集まった人間は約1万人、そのうち忍であるものは6千人しかいなかった。そしてそのうち中忍以上のものは2千人ほどしかいなかった。
だが里の一大事に震え上がる忍は使えない。そう判断した火影は告げる。
「これより里の危機を救うために協力してくれるものはその場に立ち上がれ。そして作戦は今九尾の力を暴走させているナルトに封印術式を組み込む」
その言葉に皆息を飲む。九尾、そしてナルトという二つの言葉に。
「だから殺しておけばよかったんだ」「だからこんなことに命を懸けなければいけなくなる」
皆口々にナルトへの非難、しいては3代目への非難の声を口にする。
その言葉に苦言を呈するものが出た。奈良シカクである。
「てめぇらにそんなこと言う資格はねぇ!今までてめぇらあいつに何やってきやがったと思ってんだ!まだ幼いあいつに、何も知らない間に犠牲になったあいつに、てめぇら一体何したかわかってやがんのか!?」
立ち上がり語気を荒げる。普段から落ち着き、冷静な判断で任務をこなしてきたシカクのこの声に立ち上がるものが出る。
「お前ら腐ってるぜ。お前らのほうがよっぽど化けもんだよ。あいつはただの幼いがきで、頑張り屋で、いつも失敗することのほうが多いけどよ、お前らなんかよりよっぽどこの里のことを思ってたぞ!」
森野イビキが立ち上がり周りをにらみつける。
「あいつはなぁ、てめぇらに暴力振るわれて怪我してんのを俺に見つけられたときいつも言ってやがったぜ?『俺が我慢するからいいんだ、俺の中に化け物がいることに変わりは無いんだから』ってなぁ!でも俺にはそれでもあいつは息子の友達で1人の子供だったんだよ!」
シカクがここまで言うと周りに舌打ちをしてつぶやく。
「俺はあいつのために戦う。あいつが元に戻って笑えるように」
その言葉にさっきまで言われるがままになっていた男が立ち上がり反論する。
「はぁ!?あいつなんかいないほうが里のためになるだろ!現に今あいつは里の脅威だ。今殺しておかないでどうする!?」
そういった男はそこで息絶えることになった。
みたらしアンコの手によって。
「調子こいてんじゃないよ!あのこがどれだけ苦しんできたか知らないやつが生言ってんじゃねぇ!あの子はいつも必死に生きていただけ!それを壊したのはあんた達よ!」
文句を口にしていた忍に向かいアンコが吐き捨てる。
「里の危機に立ち上がれない忍は忍びじゃぁない。そいつらは木の葉の里の仲間と俺は認めない。俺が全員殺す」
うちはイタチが呟く。普段は暗部の面をしているが、今ははずしている。
「ミナト先生の子供なら俺にとっても同じようなもんなんだ、それを守るためなら俺は命をかけるさ」
そう言うとイタチの隣に並びたつカカシ。暗部の最強コンビである。
「あんた達だけで盛り上がってんじゃないよ!!私もいるんだ、ナルトは私の孫みたいなもんなんだ、絶対に助けるよ」
綱手が立ち上がるとその隣で自来也も立ち上がる。
「弟子の子は未来のわしの弟子、それを助けんわけにはいかんのう」
「あら、私もあのこのためなら戦うわ。あの子はいい目をしているからね」
大蛇丸も立ち上がり第3次忍界大戦以来の3忍の共闘である。
アスマと紅も立ち上がる。
「あいつは木の葉丸の友達だ、甥の友達助けるのに理由はいらねぇな」
「私も、8年前に里を救ってくれた英雄を助けたい」
その言葉にガイも続く。
「お前ら、それでも木の葉の忍か!本質を見ろ!そして今まで自分達がやってきたことを間違いと認めろ!そしてナルトを、里を守るために力を合わせようじゃないか」
ガイの言葉にナルトの友人達の親達が立ち上がる。
犬塚一族、油女一族、日向一族、秋道一族、山中一族、うちは一族。
木の葉のそうそうたる家系のものが立ち上がる。その数500人は軽く越えただろう。
そこに下忍にもなっていないアカデミーに通う子供が1人、また1人と立ち上がる。その数12名。少ないながらも彼らはナルトにとってかけがえの無い友達なのである。
「僕達の友達、ナルト君を助けてください!火影様、お願いします」
リーが頭を下げると皆がいっせいに頭を下げる。
「お願いします!!!!!!!!!!!!!」
火影はこの光景にこんな状況ながらも微笑んだ。
「うむ、ナルトは必ず助ける。そのときはまたナルトと遊んでやってくれるか?」
火影の問いに皆返事をしうなずいた。
もう立ち上がらないものはいない。
額あてを巻いた忍で動かないわけには行かなくなってしまった。行けば九尾に殺されるかもしれない。でも行かなければうちはイタチに殺される。
もはや行くしか道は残されていなかったのだ。
火影の元にダンゾウが駆け寄る。
「今わしの鷹に伝令を下げて各町にとばし非難するよう書いた書を飛ばした。木の葉の近隣の里に受け入れ要請も済ませてある。これで一応は戦闘での一般市民の被害はなくなるだろう」
「うむ、ご苦労であった」
そして火影として忍を告げる。
「それではまずは今年、去年、一昨年下忍になったものは戦闘に参加しない女性や子供、老人をこの先にある村まで警護していくこと。しっかり2列に並べてお前らが警護をしてしっかり誘導するように」
「そして残りの下忍は、非戦闘地区において生き残り者の救助活動を行うように。そして中忍と上忍は、戦闘に参加、そしてうちは一族は瞳術でやつの動きを封じてくれ。綱手、医療班を指揮し、けが人の救護に当たれ、自来也、お前はやつに対して蝦蟇と連携して攻撃を行ってくれ、大蛇丸、お前はわしと一緒に封印の術式の構築と封印の手伝いじゃ、よいな!そしてカカシとイタチは戦闘に当たる忍達の指揮をとれ!」
「御意!」
皆が返事をすると、一斉に動き始める。
これから木の葉の里を守る戦いが始まる。