思ったより二章が上手くまとまらない。
読みにくいとことかあったら教えてください。
「ね、ねえ。ちょっとええ?」
「竜華さん、なにかしら?」
ひどい現場の光景に思わずビビって吐きそうになってしまったけど、しばらくしたら見慣れてきて。
血がドバーっと出まくってるわけでもなのが幸いしたんと、写真やからまだ衝撃も薄いんってのはあるな。
それで、今のアリバイの話を聞いて思ったこと。
「さっき美穂ちゃん、外部犯の犯行ということにされました、言うてたけど…」
「今の話聞いたんと、写真見る限り外部犯の仕業ちゃうのん?
これだけ部屋荒らされて、窓も割られて…その窓から外に逃げたんやないん?」
「名門風越のレギュラー専用部屋なんて豪華やし、金目のもの狙ってたんと違うん?」
「そ、そうかしら。やっぱりそう思う?」
「思うで、だってこんな部屋の状況やし…ね?怜」
怜の方を向いてみると…写真をじーっと見つめてた。いつもの弱々しい感じやない、真剣な眼差し……?
―――と思ったら、いつもどおりの目に戻っとった。あれ?ウチの気のせい?
「……」
「やっぱり外から入ってきた方とAさんが揉み合いになって…という可能性が高いのかしら?」
「確かに、そんな感じの写真やな」
「園城寺さんもそう思いますか」
怜は…美穂ちゃんの方を見て、写真を見て、それからもう一度美穂ちゃんの今度は眼を見て。
「そうかもしれんな」
「! そ、そうですか。分かりました。ありがとうございます」
美穂ちゃんはすごく安心した顔で、そう言う。
当然かもしれん、身内を疑うのは、たぶん辛かったやろうしな。
例えばウチだって、怜やセーラ、泉を疑う、なんて状況になったら、心が張り裂けそうになるもん。
「悪いけど…外部犯の犯行てなると、さすがにウチには無理や。情報集めようにも警察も情報をロクにくれんときた。お手上げや」
「……誰でも考えそうな結論を出すのが探偵の仕事なのか、知らなかったし。まさか金を取るなんて言わないだろうな?」
「反故は堪忍言うたはずやで」
「おい!!!」
「……と言いたいけど解決もしてない事件からはさすがに取れへんな」
「当たり前だろ!なに偉そうに言ってるんだ…ったく」
「…じゃあ、帰ろうかしら。竜華さん、紹介してくれてありがとうね」
「ううん。力になれなくてごめんな。またお花の注文ご贔屓に」
「ふん、二度とこんなところこないぞ」
「池田さんもすまんかったな。あ、福路さん」
「何かしら?」
「せっかくこうしてお時間もいただいたわけですし、コンクール見に行きたいんですけど。いいですか?」
「! もちろん大歓迎よ。嬉しいわ、お花に興味を持ってもらえるなんて」
「実はこう見えてウチも結構な花好きで…ボロい事務所やけど花だけは欠かさんようにしてるんです。心が明るくなるさかいな」
「…………」
開いた口が塞がらんとはこのことや。
つい数時間前まで、『花より団子派』と宣ってたのはどこのどいつや―――――??
「本当ね。ここにあるお花、とっても綺麗よ。園城寺さんセンスがあるわ」
「恐れ入ります」
アンタや、アンタのことや怜!!!
それ飾ったのウチやでウチ!!あ、なんで照れとるんやそこで!!!
「暗い気持ちになっても、お花を見るだけで元気がもらえたりするものね」
「ウチの部員は皆花好きだからな。自分の子どものように大切にしようってキャプテンの教えだし」
「ええ、そうよ。そうすればお花にも私たちの想いが伝わって、綺麗な姿を見せてくれるのよ」
「華道も奥が深いんやなぁ。勉強になります」
へえ…ウチも見習わんとなあ。お花を扱っとる人間として。
ただし、怜アンタは許さん!あとで引っぱたいたる!
「うふふ、園城寺さんにも華道を布教しちゃおうかしら?差し当たっては、
コンクールのパンフレットをお渡ししておくわね」
「ぜひいただきます」
「これよ、どうぞ」
「どれどれ…へー全員着物なんや」
華道部なんやから普通やと思うで?それが名門言うなら、なおさらや。
ウチも詳しいわけやないけど…
「福路美穂子、池田華菜…吉留未春、深堀純代、文堂星夏……この五人な」
「ああ。皆ウチの精鋭だぞ。Aも、すごく上手だったんだけどな。華菜ちゃんには負けるけど」
「いっぱいおるなぁ。何個か聞いてもええ?」
「ええ、良いわよ」
「この銀髪の人はだれ?」
「この子は吉留未春。努力家で、明るく真面目なタイプね」
きりっとした、ボーイッシュな感じやな。
銀髪でショートカット、さらにシャープなメガネがおしゃれにキマッとる。
「時々おっちょこちょいで可愛いところもあるけど、基本的にしっかりしてるわ」
「華菜と同級生で、仲もいいの」
「深堀さんはどれなん?」
「この子よ、おさげの。この子は何事も堅実に物事をすすめるタイプで…お花もどっしりとした、重厚な感じにいつも仕上げるの」
ちょっと体が大きくて、相対したらウチビビってしまいそうな…
けど、きっといい子に違いない!
「私にも真似できない生け方だと思うわ。お花を誰よりも大切にするし…
って、生け方について話しても伝わらないわよね。ごめんなさい」
「いえいえ、全然ええですよ。じゃあこの細い目の子が文堂さん?」
「ええ。この子はすごいのよ。まだ下級生なのにレギュラーに選ばれて…時期尚早だって言うOGもいるけれど」
「けど、私は、この子は十分やれると思うわ。私は、この子ほどの努力する人を見たことがないわ」
「もっと自分に自信をもってくれたらいいのだけれど、まだ経験が浅いから仕方ないと思うわ」
「勉強と実践はちゃうからね。若い子はこれからやん!」
「……これはあくまで参考というか、別になかったらええんやけど」
「?」
「この三人について何か気がついたこととか、何か変わったことがあったりする?」
「? いえ、特には…」
「例えば、事件の前後で何か変わったこととか」
変わったことねぇ、と言って美穂ちゃんは小首をかしげて、困ったような表情をした。
美穂ちゃんほど部員のことをよく見とる部長さんなら、一番に気が付くやろうから。
「あ、そういえばキャプテン、このポスター、ちょっと撮り直した方がいいかもですし」
「え?どうして?」
「みはるん、メガネやめてコンタクトにしたじゃないですか。このままだとOGにまた何か言われますし」
「そういえばそうね…あ、ごめんなさいね。実は、吉留さん、少しでも気分を明るくするためにいめちぇん?をしたいって言ってメガネからコンタクトにしたのよ」
「……」
「事件後は、レギュラーも皆元気がなくてね…文堂さんはしばらく学校にこれなくて…ようやく昨日来てくれたのよ」
ショックがでかかったんやな…当たり前や。
一緒に、切磋琢磨して磨き合ってきた仲。
しかもレギュラーともなると、求められるレベルも高いやろう、きっと途中つらいこともたくさんあったはずや。
酸いも甘いも、ともに噛み分けてきた、そんなチームメイト同士やったはずや。
「Aさんも同じ下級生で、文堂さんとは同学年だったからきっとショックも大きかったのね…」
「ああ…いつもと変わらないのは深堀くらいなもんか。顔に出ないだけかもしれないけど」
「でも、あの子も苦しんでるわ。この間『事件のことは気にしてるの?』って話しかけてみたら…何度も、何度も謝られたわ」
「まあ深堀は次のキャプテン候補だし、無理もないし…でも必要以上に責任感じることはないと思うし」
「……最後に、Aさんはどんな人やったん?」
「文堂さんと同学年よ。なんというか、気の強い子だったわ」
「あいつは華道の才能の塊みたいなやつだったな…みんな羨ましがってたし、あの才能を。
ちょっと感じ悪いやつだったけどな。まぁ、華菜ちゃんにはそれも通じなかったし!!」
おっと、メモを忘れとった。
ええと、華道部のレギュラーが六人、そして今は五人で…
★風越華道部レギュラー★
美穂子…美穂ちゃん、部長さん
池田 …二年生、ちょっと喋り方がうるさい
未春 …ボーイッシュな子、池田さんと同級生
純代 …同じく二年生、責任感がつよい
星夏 …一年生、下級生ながらレギュラーに大ばってき
Aさん …文堂さんと同級生、今回、亡くなった
「皆仲が良くて…いい子達ばかりなの。だから、本当に胸が痛いわ…」
「美穂ちゃん、美穂ちゃんは悪くないで。やから落ち込まんといてな」
「ありがとう、竜華さん」
「……」
「こんなところよ、園城寺さん。これ以上はちょっと思い当たらないわ」
「そうですか…それじゃあ、当日、楽しみにしときますね」
「ありがとう。では…そろそろ失礼するわね。今日は、本当にありがとう」
「あーあー時間の無駄だったし。キャプテン、帰って早くコンクールの打ち合わせをしましょうですし。それと……」
美穂ちゃんは軽くお辞儀をすると、そのまま丁寧に出ていった。
真っ暗な部屋に、扉がきしむ音だけが虚しく残る。
「…お疲れ。残念やったな。せっかくの依頼やったのに。なんというか…名門の裏を見た気がしたわ。これから見る目変わりそうや」
「……」
「ウチも知らんかったことだらけやったわ。これでも風越には出入りしとる方やのに」
「…………」
「なあ、怜……怜?」
「竜華、ひとつ聞きたいことがあるんやけど」
「ん、何?」
「耳貸して」
「ん?」
「ごにょごにょ……」
「うん……………は?なんでそんなこと聞くん?」
「ええからええから。どんくらいかかるもん?」
「えっと…」
なんでそんなことを聞くのか、ウチはさっぱり分からんかった。
とはいえ、ウチも女性やし多少の知識はある。やったことはないけど。
怜はそういうの興味なさそうやし知らんやろ、そもそも持ってないやろなあ。
「四、五日くらいやない?長くて一週間くらいやろか」
「さよか…」
「それがどうかしたん?」
「竜華」
「え?」
「黙って」
【アリバイ】【粉々】【花瓶】
【イメチェン】 【本音と建前】
と、怜? そ、その眼は――――――――――――
「…………」
怜はソファーにどさっと座り込んだ。虚ろな眼をしたと思ったら、その後はずっと閉じたままや。
話を聞くだけっていっても死体の写真を見てアレコレ分析するわけやし…疲れるはずや。お疲れ、怜。
「一息入れる?お茶入れ直すで」
「なあ、りゅーか」
「何?」
「嘘と真実、どっちが好き?」
急に、何を聞くかと思ったら。
なんや、その答えが決まりきった質問は。
「…真実の方がいいに決まっとるやろ。いきなりどしたん、疲れた?」
「うん、疲れたなぁ…じゃあ聞き方を変えるわ。【心地いい嘘】と【聞きたくない真実】を知るなら?」
「心地よいウソ…聞きたくない真実?」
「――もうちょっと、分かりやすくいこか。竜華、好きな食べ物は?」
「た、食べ物?なんでも好きやけど…」
「まぁ、ここは春巻きが好きやとしとかんかい。竜華は春巻きが大好きや」
「え、ええ?!まぁ別に嫌いやないけど…」
なんで春巻き?
もしかして、怜お腹空いたんやろか。
「あるとき、竜華はある田舎の村に遊びに行きました。夜になって旅館に泊まると、夜の食事で、メインに春巻きが出ました」
「なぜメインに春巻き…」
「出たとするんや!そんで、一口食べるとほっぺが落ちそうなほどうまい。なんやこれは、と」
「味付けはよくある普通の春巻きやったけど、具がめちゃくちゃ美味しかった。それで、竜華も帰ってその春巻きを作ってみたくなるやん?」
「なるなる、それでそれで?」
「それで、竜華は女将さんに聞きます。『これ、何が入ってるんですか』って」
「女将さんは『知らない方がいいですよ』と言って教えてくれん、けど竜華はどうしても知りたくて、粘り強く交渉した」
「するとついには女将さんが折れて、『特別ですよ、後悔しないでくださいね』と言って食材貯蔵庫に案内してくれた」
「やった、ウチ大勝利!!」
「奥に連れていかれると、そこにはたくさんの小さなかごが積んであった。そのうちの一つのカゴを渡されたんや」
「ついに、その秘密を暴いたわけやね!その中は??」
「その中にはおったのは――――虫や」
「――――――へ?」
「名前もつかないような虫の幼虫が―――――這い回っとったんや。うじゃうじゃと」
「な、なんやそれっ?!き、気持ち悪っ!ウチそんな春巻き食べたん?!」
「そんなんやったら――――――」
「知りたくなかった……?」
「…なるほど、なんとなく怜の言いたいことは分かった」
「でも、この例はともかく、心地いい嘘なんて、存在するんやろか?心地よくっても結局それは嘘なわけで…結局そのうちつらくなるんちゃう?」
「ずっと嘘に気がつかんままなら幸せかもしれんけどな。でもいつか知ってしまったら、どうやろなあ」
「じゃあ真実を竜華は選ぶ?」
「たぶん…そっちのが後悔せんと思うから、ウチならそうやな。どっちか選べる言うなら」
「ウチは聞きたくない真実を、選ぶと思うわ!」
「ふふっ、りゅーからしいな」
「もう、どうしたん。禅問答みたいなこと」
「いや、ウチもりゅーかに習って後悔せん方を選ぼうと思って」
「え?」
「竜華―――仕事なくなったらごめん」
え。
今、なんて。
「明日……明日もう一回ここに」
「福路さん呼んできて欲しい」
次回から解答編です。
ミステリー、さすればこれも、ミステリー
それっぽい何かを目指して、怜が風越の真実と嘘に迫ります。