怜は帽子と探偵のパイプがよく似合うと思います。
ちなみに個人的に好きなキャラクターは、久か爽くんですかね。
あとはあったか~いお姉ちゃん。
当然、怜をはじめ全員好きだけどね。
「な、なんだ?! ええと、お前は園城寺か、どうした?!」
「へいきです……ウチ、ちょっと体弱いもんで、長いこと立ってたんでたちくらみが……」
「だ、大丈夫ですか?!」
「大丈夫や。ちょっと寄りかかってもええ……?」
「え、ええっ!どうぞ!」
「ありがと」
大きく咳き込む音が聞こえたと思ったら、急にふらつき始めて。
確か園城寺さん、だったよね。珍しい苗字だと思いながら、私は体を貸してあげた。
すっかり私に体重を預けてしまって、速いリズムの荒い息……大丈夫かな。
こうして密着していると、身体が一体化したような気がして――
そのせいか、この人の心臓の音がよく聞こえてくる。
「とりあえず、園城寺が回復するまで待つか……マスター」
「は、はい」
「どこか、寝かせられそうな場所はあるか?」
「机ご自由に使っていただいて……少し、拭きますね」
刑事さんの声が耳に入って、自分の鼓動も高鳴っていたことを思い出した。
そうだった。私、人殺しと疑われてたんだった。
そんな大変な時に園城寺さんの体調を気遣っているなんて、私バカかなあ。
ちょっと私は、考える時間が欲しくて、ここに来ただけなのに
ううっ、これも学校休んじゃった罰、なのかな――――
「けほっ……けほっ……」
「だ、大丈夫ですか?」
お父さんのこととか、和ちゃんとのこととか
色々が私の頭の中でグルグルと回って、考えがまとまらない。
もう既に手いっぱいな私に、どうしてこんな―――――――
「……さて。宮永咲さん」
「へっ?」
さっきまでの苦しそうな顔つきはどこに、いきなり真顔になったかと思うと
体をさらに押し付けて、耳元まで口を近づけてきた
「いくら出せる?」
「はい? きゅっ、急に何を???」
「しっ、静かに。できるだけヒソヒソでいこ。
ウチの体調が良くなるまでは場が動かへん。割と大げさな演技しといたからな」
「え、演技っ? あれ演技だったんですか!?」
「だから小声で頼むって。この状況も長くはもたへんし」
「でもどうして演技なんて……」
「今そんな問答しとる場合ちゃうやろ。質問に答えてや」
「いくら出せる?」
「いくらって、お金ですか?」
「そうや。この状況、ウチが助けたる」
「…………」
頼りなくて、運動も苦手、勉強もそこまでじゃない私がこう言うと
「お前に言われたくない」って反感を買いそうだけど
正直、こんな弱々しそうな女の人に何ができるの?と思っちゃった。
それにお金って言われても――――
「わ、私、手持ちあまりないです。おこづかいもあまり持ってません……」
「…………」
園城寺さんの顔色が曇った。けっこうあからさまに。
少し考え込んでから、園城寺さんは代案を出してくれた。
「じゃあ。なんかサービス券とか持ってへん?」
「サービス券、ですか?」
「そうや。できれば食べ物系の」
「ここのスープスパの無料券とか、
ファミレスのランチサービス券とかなら、少しだけ…」
「………」
また押し黙っちゃった。
こういう時の相場とかよく分からないけど、そんなんじゃダメだよね。
――ってなんでこの人に頼ろうとしてるんだろう。
「ごめんなさい。ご期待に添えなくて」
「宮永さん」
「は、はい」
「約束やで」
「はい……えっ?」
「せやから、自分の無実証明したら、それもらうで」
「えっ、と……」
「商談成立やな」
あ、あれ?今、私この人に任せちゃったの?
初対面も同然のこの人に、こんな大ピンチの場面を、委ねるの?
――――――でも、どうせこのまま連れて行かれるんだ。
私には、どうすることもできない。
だったら、もうどうだっていいかな。なるように、なっちゃえば………
「おい…そろそろいいか園城寺。宮永を連れて行くぞ」
「こちらも連行後、報告書を打つという仕事があるのでな」
「あ、すんません。すっかり良くなりました」
「そうか」
「それで……一つ気になることがあるんです」
「なんだ。そういえばお前の証言はほとんど聞いてなかったな……
とはいえ、お前が店に入った瞬間に事件は起こったんだろう」
「園城寺は、初めから無関係だと思ってる、時間を取らせて悪いな」
そう、この刑事さんの言う通り。
園城寺さんは、今回の件に関して全く無関係と言える。
だから、事情聴取もものの二分ほどで終わったこの人は、私たちの番の間中ずっと手持無沙汰にしていた。
最も、お腹が空いてるのか、何度も厨房の方を眺めていたけど……
「彼氏さんは……なんでチーズかけへんかったん?」
「俺はチーズ好きじゃなくて……というか乳製品自体あまり食べないすよ。アレルギーで」
「へえ、それやのにこの店に来たん?」
「彼女が好きな店だったから……」
「……さよか。すまんこと聞いたな。お、これがその粉チーズの缶やな。中は……」
気がついたら、押収(?)予定の粉チーズの缶を園城寺さんは調べてた。警察用語とかあまり分からないけど。
白手袋をはめて……あれは、ルーペ?
そんなものを持ってるなんて一体何者なのかな。
「おい!! 素人が何勝手に触ってるんだ!!」
「………」
園城寺さんは、目を閉じた。
目をつぶっているはずなのに、不思議とどこか、遠くを見つめているようにも見えた。
【粉チーズ】【毒物】
【アツアツのスープスパ】
【順番】 【心の鍵】
「―――――――――――。」
「こら、返せ!! ったく…何を考えてるんだ」
「……刑事さん」
「なんだ!お前らにもう用はないぞ!解散してよし!!」
「来い、みやな―――――」
「それはかなんなあ。せっかく、西の人間らしく、ここらでおもしろ話を披露しようと思ったのになぁ」
「何だと?」
「宮永咲、冤罪物語………ってな」
「ええぇぇっ?!」
「えっ!!」
「はぁっ?!」
つられて、私も、驚いちゃった。彼氏さんと、強女さんはともかく。
急に言うから……いや、私は本当に無実なんだよ! 物語って言ってるけど!
「……なんだ?素人が探偵気取りか? そういうごっこ遊びは子供のうちに卒業しろと言われなかったのか」
「………」
「お、園城寺さん」
園城寺さんの目は、自信に満ちていたと思う、
にこやかに、私の瞳を真っ直ぐに見て。それはまるで、私に安心していいよって、言ってるみたいで。
「任せとき。この謎は――――ウチが解き放つ」
ついには、力強い口調でこう言ってのけて。
いつのまにか探偵ごっこを始めてしまっていたのです。
続きはまた明日投稿できたらするので、よろしくです。
何か要望とか質問あったらまた教えてください。