インフィニット・ストラトス〜月夜に駆ける黒狼〜 作:ツンツン
〜グランド〜
午後の授業が始まり、千冬が前に出る。
「本日は実戦を想定したタッグ戦を行ってもらう!今からペアを組み、山田先生に報告し、指示通りに動くこと!なお、専用機持ちは専用機持ち同士でペアとなり、専用機持ちのペアと戦うこととする!以上!」
簡潔に指示を出し、生徒達もそれぞれペアを組みだす。
「こうちーん、こうちんは専用機持ってるの?」
洸輝の隣にいた一組の本音がまた新しいあだ名で洸輝に話しかける。
「いや、持ってないだな〜これが(こうちんって・・・なんか変なあだ名付けられたな汗)」
「それじゃあこっちの方だね!なら私はパートナーに立候補します!」
「あー!それなら私も‼」
「はいはーい!私も!」
一組二組構わずどんどん名乗りあげていくので洸輝もどう収拾つければいいかわからなくなっていた。
「ああ、それと大神は初心者なので私の個人レッスンだ」
「あ、はい。ということでまた今度な」
内心助かったと思った洸輝だったが、唖然としている女の子達を見ると少し可哀想に思えた。その1人が愚痴をこぼす。
「そんな〜、織斑先生だってさっきこの時間に頑張れって言ってたのに〜」
「ほーう、ならお前も私の個人レッスンに付き合うか?」
かなり小さな声で言ったはずだったが千冬には聞こえていたらしく不適に笑っていた。
「い、いえ‼結構です‼」
慌てて断り、早々と他のペアを探しに行ってしまった。
そんなこんなで洸輝が千冬の下へ向かうのだが他の生徒の視線が可哀想なものを見るかのような目をしており、中には手を合わせている者もいた。
「(おいおい、なんだよこの戦地に赴く兵隊を見送るような視線は!?)」
そんな中に違う雰囲気を醸し出してる集団があった。
「さ〜一夏!」
「どなたとペアを組むのか!」
「一夏の口から!」
「はっきりと!」
「言ってもらおう!」
「は、ははは」
5人の勢いに一夏はたじろく。そこに通りかかった洸輝が助け舟を出す。
「普段二組との合同授業なんてあんまりないんだろ?こんな時ぐらいは鈴と組んでやれば?」
「それもそうだな。よし!鈴、組もうぜ?」
納得した一夏は鈴と組むことにした。
「え?あ、うん・・・てかもっと早くアタシ選びなさいよね!?」
「はは、悪かったよ、ほら早く山田先生のとこに行こうぜ?」
「・・・うん」
「あらー、急にしおらしくなっちゃったな〜」
と、鈴の姿を観察していた洸輝だったが取り残された4人からの殺気が背中にひしひしと伝わり、そちらを見ずに急いで千冬の下へ向かった。
「すまんな、弟が世話になった」
「あ、やっぱり弟さんでしたか」
「気付いてたのか?」
「まぁ、苗字が一緒ですし、雰囲気も何と無く似てますし・・・」
「はぁ、まさかあんなのと似てると言われるとわな」
そんな毒を吐いた千冬だったがどことなく嬉しそうに口元が笑っていた。
「まぁ何はともあれ弟と仲良くしてやってくれ」
「言われなくても一夏なら誰とでも仲良くできますよ」
「ふっ、それもそうだな・・・さて、無駄話もここまでにして個人レッスンに入る。まずはそこにある機体に乗ってもらおう。」
「わかりました」
洸輝はそばにあるラファールリヴァイブに乗り込み、装着する。ふと気付くとほとんどの生徒達が洸輝の方を見ていた。
「(おいおい、見世物じゃねーぞ・・・てか、山田先生、あなたは止める立場でしょ!?)」
真耶までもが手を止めて洸輝に釘付けだった。
「あー、もういいや・・・いつでも行けます」
「よし、それでは私の指示通りに制御してもらう。まぁこんだけ注目されてるのだからやる気も出るだろう?」
「変にプレッシャーかけないで下さいよ、そういうのに弱いんですから」
「ならそういうところも鍛えるんだな。では、始める!飛べ‼」
合図とともに洸輝はあっという間に急上昇して見せた。
「そのまま左に旋回し、停止せずに射撃系の武装を展開!」
言われた通り左に旋回してマシンガンを1秒程で展開、構えをとる。
「今からターゲットが出現する!それをすべて破壊しろ!!」
20ものターゲットが出現し、洸輝はそれを狙い撃つ。しかし弾を撃ち終わっても半分しか破壊できていなかった。
「そこから武器を収納し、急降下からの完全停止‼目標は地上から20cm‼」
洸輝はグンッと急降下を始め、一夏のようにグランドに穴を空けずに着地した。
「ねぇ、今の操縦って私達よりもすごくない?」
「うん、すごかった」
「これじゃあ私達の教えてあげることなんてなにもないじゃん」泣
ガクーっと肩を落とす生徒達を尻目に千冬は洸輝のそばに寄る。
「動きはまあまあだがターゲットは半分しか破壊できていないし、完全停止は目標より10cmも高かったぞ?」
「す、すみません(うう、初回からそこまで指摘されるのか)」
洸輝は凹みながらリヴァイブから降りる。
「まぁいい、ところでお前に関するデータがまだ来てないのでわからんのだがお前のIS稼働時間はどのくらいなんだ?」
「えっと最初に乗った時が20分ぐらいで次に乗った時は10時間は越えてたと思います。」
「操縦したのはその二回だけか?」
「そうですね、といっても飛びまわったりできるようになったのは二回目の時からでしたけど・・・」
「そうか」
そうつぶやき千冬は少し考えてから、
「オルコット!こっちに来い!」
と、セシリアを呼ぶ。箒と組んで一夏をボゴボコにしようと躍起になっていたところなのでかなり驚いていた。
「な、なんでしょう?」
「今日の放課後第三アリーナでお前と大神とで模擬戦を行ってもらう」
「はい?」
洸輝は馬鹿顏を晒してしまった。いきなり代表候補生と戦えと言われれば仕方が無い。
「ちょ、ちょっと待ってください!どうしてわたくしがド素人の方と試合をやらなくてはならないのですか!?」
「ほう、お前は私の指示に従えないほどの用事があるのか?」
「い、いえ、そういうわけではなく・・・」
「なら決定だ。大神は入試テストを受けてないからな、その代わりだと思え」
「(えぇ〜)」
洸輝は作り笑いをするのが精一杯だった。
「うう、何故わたくしが・・・」
「まぁそういうな、お前の成長した姿見せてやれば少しはあいつもお前に目をむけるかもしれんぞ?」
うなだれているセシリアに千冬が耳打ちする。
「(いやいや、そんな分かりやすい嘘に騙されるわけが・・・)」
「しかたないですわね!わたくしのエレガントな姿を見せて差し上げますわ‼」
「(えぇ〜)」
驚くどころかむしろ呆れている洸輝であった。
「ですけど洸輝さんは専用機をお持ちではないのでしたわね。ハンデはどういたしましょう?」
「その心配は御無用なのだよ‼」
という声がどこからともなく聞こえ、辺りを見回す。だがどこから聞こえたのかわからない。だが、
ーゴゴゴゴー
地面から何かを掘っている音が聞こえ、ボコッとドリルの頭が飛び出る。すると中から丸っこいロボットが出てきた。
「はろ〜ちーちゃん!!」
丸っこいロボットから束の聞こえる。どうやら通信のできる自律型のロボットのようだ。
「お前は空いからわず無茶苦茶にしてくれるな」
「いや〜、そんな褒めないでよ〜」
「・・・」
「ちーちゃーん、スルーしないでよ〜」
ロボットは千冬の周りをグルグル飛び回る。
「それで心配しなくてもいいとはどういう意味だ?」
「話しをすり替えられた〜、まぁいいや、何故心配御無用なのかと言うと〜実は!コウ君のためのコウ君のためだけに作ったコウ君専用のISをプレゼントするからだよ!」
生徒達がザワザワと騒がしくなる。
「お前はまた勝手なことを・・・」
「いーじゃんいーじゃん、タイミング的にはバッチリじゃん?」
「はぁーまあいい、で、それはいつ頃着くんだ?」
「ん?そろそろ届くはずだよ」
それを聞いた洸輝以外の皆が身構えて上を向く。
「トラックで届くから入れる許可出しといてね〜」
「「「トラックかよ!!」」」
その場にいたほとんどがツッコミをいれた。
「(逆にトラックじゃなかったらどんな手段で持って来るんだ?)」
この時の洸輝はまだ束の破天荒さを理解していなかった。
明日から学校ですけど頑張って書き続けるつもりなので応援よろしくですm(__)m