インフィニット・ストラトス〜月夜に駆ける黒狼〜 作:ツンツン
〜第三アリーナ〜
「・・・はい、分かりました・・・たった今大神君のISが届いたそうです」
連絡を受けた真耶がその場にいる全員に伝える。
「分かった、大神はいつでも乗れる準備をしておけよ」
「は、はい」
模擬戦とはいっても、始めての戦いなので洸輝はかなり緊張していた。
「こうくーん、そんな緊張しないでよ、こうくんなら楽勝に勝てるって」
そこに束ロボットが洸輝の周りをブンブン飛び回る。
「いやいやいや、相手は代表候補ッスヨ!?俺みたいなド素人がそんな簡単に勝てるわけないじゃないツスカ!!」
「大丈夫大丈夫♩こうくんならイケルイケル!」
「(何を根拠にそんなこと言ってんだ!?)」
洸輝は束がどんだけ自分に期待しているのか不思議に思うぐらいだった。
「ぐぬぬ、篠ノ之博士は本気でわたくしが負けるとでもおっしゃってるのかしら?」
洸輝と束の会話を聞いていたセシリアが愚痴を漏らす。それを聞いていた鈴が、
「なんなら負けてあげたら?その方が篠ノ之博士も喜ぶんじゃな〜い?」
冗談っぽく言う。
「何を馬鹿な!貴族であるわたくしがそのようなことすわけがありませんわ!!」
「そうそう、そんなことしなくても君は負けるんだから♩」
鈴に怒りを見せるセシリアだったが、ふら〜とやって来た束ロボットに苛立ちを覚える。
「むぎぎぎぎ」
「はぁ〜、勘弁してくれ・・・」
そうこうしているうちにリフトエレベーターが到着した音が聞こえた。
「ふふん、それじゃあ〜ご紹介しよう♪これが束さん特製のIS
束がそう言い、リフトエレベーターから出てきたISは全身黒でコーティングされ、シャープな形をした機体だった。
「これが俺専用のIS・・・」
「それじゃあ〜さっさとフィッティングやっちゃうね♪」
そう言うと束ロボットから何本かコードが出て、黒雷に繋げられた。束に黒雷に乗るように指示が出され乗り込むと、束ロボットがすごい勢いでフィッティングを済ませていく。
「ほほいのほい!よし、できた!どう?こうくん」
洸輝は手をぐっぱぐっぱしてみる。
解る。このISは自分専用なのだと。今まで乗ったISとは違い、黒雷はずっと乗って来たかのように馴染む・・・それが当たり前かのように。
「どうかな〜?」
ロボットが洸輝の目を覗き込む様に迫る。
「問題ないです」
視線を変えず、ぐっぱぐっぱし続けながら答える。
「そっかそっか、やっぱり束さんは天才だねー」
クルクル洸輝の周りを何周かすると千冬の前に戻る。
「それじゃあ〜、始めちゃおうよ、ちーちゃん?」
「あぁ、ではオルコット、先に出てろ」
「はい!」
勢いよく返事をし、ブルー・ティアーズを展開。そのままアリーナへと飛び出る。
「大神、行けるか?」
「はい、大丈夫です」
「では、行け!」
黒雷に乗った洸輝は前へ歩み出る。そこに、
「まぁ、がんばんなさいよ?勝てるとは思わないけど」
鈴が激励(?)をかけて来る。
「そこは『勝って来なさいよ!』って言ってもらいたかったな〜」
「だって勝てると思わないし」
「うへ〜、正直過ぎる〜」
「鈴はいつもこんな感じだからしょうがねーんだ」
そう言って一夏が苦笑する。
「とりあえずがんばれよ?セシリアは強いからな」
「分かってるって、んじゃ、行って来まーす〜」
勢いよく出る洸輝を皆が見送る。そんな中、シャルロットがラウラに話しかけた。
「ラウラ、洸輝は勝てると思う?」
少し考えてから返答する。
「まず不可能だろ。確かにセンスはあるみたいだが訓練を受けた代表候補生相手では勝ち目は無い。」
「何言ってるのかな、チビ銀髪?」
いつの間にか背後に回っていたロボットにラウラはビクッと驚く。
「この世には100%なんて存在しないんだよ?ましてやお前達みたいなガキにこうくんの可能性を決められたくないね」
ロボットから聞こえる声の声量は変わらないのに、途轍もない凄みを感じ、場の空気が凍った。
「準備はよろしくて?」
「ああ、いつでもいいぞ?」
洸輝はストレッチをしながらセシリアに返事を返し、真っ直ぐと向き直る。
「それでは・・・」
セシリアがスターライトMKⅢを構える。
「参りますわ!!」
スターライトMKⅢからレーザーが発射される。が、洸輝はこれを横に少しスライドするだけで躱す。
「あら、以外とやりますのね」
「それはどうも」
「そうやって余裕ぶってられるのはいつまででしょうね」
顔がにやけたセシリアが右腕を振り、ビットが動き出す。そして洸輝を追い回しながらレーザー攻撃を始める。
「ちょっ、これはチートじゃないですか!?」
「そんなことはありませんわ?列記とした兵器でしてよ?」
辛うじて避け続けるが、そこにセシリアのライフルの攻撃が来る。
「ぐがっ!」
もろに背中に当たり、シールドエネルギーが削られる。なんとか態勢を整え、次の攻撃に備えるが、ふと自分の残りのエネルギーに疑問が生じる。
「これって、減り過ぎじゃね?」
「もしもしこうくーん?」
そこに束からのプライベートチャンネルが入る。
「あ、篠ノ之博士ちょっと聞きたいんですけどこのISって・・・」
「そうそう、それを伝え忘れてたんだけど、黒雷はほとんど防御力がないから攻撃を喰らわないように頑張ってね〜」
それだけ言われ通信が切れる。
「それを先に言っとけやーー!!」
そこからはセシリアの攻撃から逃げ続けた。
「それで、なんでそんなISを作ったんだ?」
千冬が束ロボットに尋ねる。
「えへへ〜、それがねちょっとあるシステムを積んだら他のが邪魔になっちゃって〜必要最低限以外の物は取っちゃった、てへ」
束ロボットが手のようなもので頭をかく真似をする。
「はぁー、お前は相変わらず奇想天外な事をしてくれる。で、そのシステムとはどんなモノなんだ?」
「へへへ〜、それは見てからのお楽しみだよ〜」
「・・・・・」
千冬はそれ以上追求せず、場が静かになる。そこで箒が口を開く。
「姉さん、洸輝のISの防御力はどれくらいなんですか?」
「うーん、打鉄が戦車ぐらいだとすると黒雷は一般車ぐらいの差かな〜」
それを聞いた皆の顔は引きつっていた。
IS8巻が出ましたね!( ̄Д ̄)ノ
やっぱ鈴は最高やね!!( ̄▽ ̄)