「ここが音ノ木坂かぁ…」
目の前にそびえ立つ校舎を見上げ、俺天原真人はつぶやいた。
なぜ男である俺が、女子高であるはずの音ノ木坂学院に来ているのかというと、この度音ノ木坂学院は、来年度の入学希望者の数が一定数に満たなければ、廃校となることが決定した。そこで学院は、対策として共学化という案を打ち立てた。俺はそのためのテスト生として、ここに呼ばれたわけだ。正直、どうして今更共学化するのかとか、なんで俺なのかとか、疑問はあるが、決まってしまったことは仕方がない。
今日は転入のための手続きや、学院生活に関する説明を受けるために来たので、授業は明日からなんだそうだ。
校門をくぐると、たくさんの女子が俺のことを不思議な目で見つめてくる。そりゃそうだろうな、だって女子高の中を男子学生が歩いてるんだもん。不思議に思わないほうがおかしい。
職員玄関から入るように言われていたので、職員玄関から校舎内に入ると、案内役と思しき教師の方が声をかけてきた。
「天原さんでいらっしゃいますか?」
「はい、そうです」
「理事長が理事長室でお待ちです。どうぞこちらへ」
そう言われ案内役の方についていくと、大きな扉の前に着いた。
「どうぞ中へ」
そう言われたので、俺は扉をノックした。すると「はい?」と中から返事が聞こえてきたので、扉を開けて中へ入る。
「失礼します」
そう言って中へ入ると、白いスーツを着た若々しい女性が俺を出迎えてくれた。
「久しぶり、真人君。いつ以来だったかしら」
「確か、中学の時以来じゃないですか」
そう、音ノ木坂の理事長と俺は知り合いなのだ。正確には、この人の娘さんと長い付き合いがあり、よく会っていたというわけだ。
「今回はわざわざ引き受けてくれてありがとう」
「いえ、他でもない雛乃さんの頼みですから。断るわけにはいきません」
「そう言ってくれると助かるわ。で、今回の転入についてなのだけれど…」
そう言って理事長、南雛乃さんは学院生活に関する規則などの説明を始めた。
そして説明が一通り終わり、手続きも済ませたところで雛乃さんからこんな事を言われた。
「これからあなたには、生徒会に入ってもらいます。」
「はぁ?あっ……失礼しました」
唐突すぎる発言に思わず失礼な返しをしてしまった。
「いえ…あなたには、生徒会の目線から、この学院が男の子から見てどうなのか、それを教えてほしいの」
…なるほど。生徒の上に立った目線から見た方が、問題点
を見つけやすいのでは、という事か。
正直、生徒会活動なんて面倒でやりたくはないが、恐らく俺には選択権はないし、何より知り合いである雛乃さんの頼みだ。断るわけにはいくまい。
「分かりました。引き受けましょう」
「ありがとう。生徒会は、今も生徒会室で活動しているから、挨拶に行ってはどうかしら」
「そうさせていただきます。それでは、失礼いたします。」
そうして、理事長室を後にし、生徒会室に向かうことにした。
…向かうことにしたのはいいのだが、俺はそもそもこの学院の構造を全く知らない。しかも困ったことに、少し校舎内を歩き回ってみたが、生徒らしき人影が全く見当たらないのだ。職員室前で唸っていると、
「…君が転入生君かな?」
声をかけられた方を振り向くと、紫がかった黒髪を、シュ シュで二つにまとめた女子生徒が立っていた。
「そうだけど…なんでそのことを知ってるんだ?今それを知ってるのは理事長と生徒会だけ…ってそういう」
「そ。ウチは生徒会副会長なんよ」
これは運がいい。やっと生徒に会えたと思ったら、まさかの副会長だったとは。
「じゃあ、俺が生徒会に入るってことも」
「もちろん聞いとるよ。用が済んだら案内するから、ちょっと待っててな」
そう言って彼女は職員室へと入っていった。いやあそれにしても随分と大きなものをお持ちだな。どこをとは言わんが。いつかは俺も、あそこに顔を埋めてみたいもn
「君なんかやらしいこと考えてへん?」
「HAHAHA…まさか」
もしかして顔に出てたか?気をつけなくては。
その後、彼女の案内で生徒会室までたどり着くと、中で金髪の生徒が出迎えてくれた。
「あなたが転入生の天原さんね。私が生徒会長の絢瀬絵里です。」
「おっと、ウチも紹介がまだやったな。副会長の東條希や」
「絢瀬さんに東條さんだな。天原真人だ。今後ともよろしく。…ところで、ほかの役員が見当たらないようだが」
「ほかの役員は今日は来ていないわ。私たちが自主的に作業をしているの」
なるほど。なかなか熱心な会長だな。
「そうか。俺に手伝えることはあるか?」
「そろそろ終わりそうだから大丈夫よ。それより天原君は、この学院の施設は把握しているの?」
「…あっ」
「だったら、今日はもうやることないだろうし、学院を見て回って見たらどうかしら。…希、案内してあげて」
「了解や」
こうして、俺は東條さんと2人で学院を見て回る事になった。それにしても、会長も大きかったなぁ。どこをとは言わんが。この学院の生徒会は立派な物がないと入れないものなんだろうk
「またやらしいこと考えてるやろ」
「そんな滅相もない」
…なんだろ、この人の前だとなんでもお見通しな気がしてならない。
そんなこんなで、東條さんと雑談しながら学院の見回りをして、音ノ木坂学院での初日は終わった。明日からは授業も始まる。楽しい学院生活になるといいな。
―運命の歯車は、すこしずつ動き始めていた。
閲覧ありがとうございます。駄文の塊のような出来だと思いますが、いかがだったでしょうか。誤字脱字、アドバイス等くだされば嬉しいです。突発的に始めたので、どこまで続くか分かりませんが、出来るだけ失踪はしないよう努力しますので、よろしければまたお願いします。