城下町のブレン様   作:亜独流斧

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「やあ、君がゴーストだね…?眼魂集めはオレが責任を持って引き受けよう。何故?そんなの、困っているなら助け合うのが当たり前じゃないか。……ところで、君と一緒にいる真理…じゃなくてユルセン。彼女を僕に譲ってくれないかな。…そうか、嫌だというのか」

『complete』

「じゃ…死んでもらおうかな」


ゴースト放送開始からずっとこんな事ばっかり考えてる今日この頃



ブレンの行く末を決めるのは誰か

「ひっぐ…うっ…ぐすん……」

 

「だ、大丈夫?えっと…ブレンくん…だよね?何か飲む?」

 

人間態に戻り、顔をくしゃくしゃにしながら泣き崩れているブレン。最初ほど取り乱してはいないものの、未だにその目から涙が止まらない。隣では葵が先程から少し困った様子で世話を焼いている。

あの後、ブレンは何度か人間態に戻っては怪人態への変化を繰り返してみたものの、結果は一度として超進化態にはなれなかった。

 

「げ、元気出して…ほら、その『超進化』ってのになる前から幹部だったんでしょ?充分すごいんだから、そんなに落ち込まないで?」

 

「いや、なんで姉さんがそいつを励ましてるのよ……」

 

おろおろしながらブレンを気遣う葵に、奏は呆れたように声をかける。

 

「で、でも、すごく落ち込んでるし…。ここには他の『ロイミュード』?っていう人たちはいないんだし……」

 

「姉さんは甘いのよ。大体そいつの言う通りなら、超進化ってのは人間にとっては厄介な事じゃない」

 

「奏…昔は優しい子だったのに…。そんな意地悪ばっかり言って……」

 

「だからそれはもういいって!!」

 

あくまで姿勢を変えない葵に、奏は調子を狂わされる。もっとも、そこが彼女の魅力であり、家族にも国民にも信頼される理由の一つなのだが。

 

「しっかし、本当にこのデータ通りなら、ロイミュードってのは相当ヤバい奴らだな」

 

彼女らから少し離れた場所で、修がタブレット端末をいじりながら呟く。その画面には、ロイミュードに関するかなり詳細なデータが表示されていた。

 

「コア・ドライビアとか言う未知の動力源。そしてそのコアから発生させ、ロイミュード以外の全てに影響を及ぼす『重加速現象』…。単純な戦闘能力は武装した人間に勝り、特殊な装備でないと完全には破壊出来ず、おまけに肉体さえあれば何度でも甦る…か」

 

この世界に仮面ライダーやそれに並ぶだけの戦力は、少なくとも修たちの知る限り存在しない。つまり、端末に表示されているデータが全て真実ならば、目の前のこの涙目の男は、たった一人でこの世界の全てを破壊することすら可能ということになる。

ちなみに何故ここにロイミュードのデータがあるかというと

 

 

 

 

 

「うへぁああああ!!どうせ私なんて!私なんてぇぇぇ!!」

 

「お、落ち着いてブレンくん。ほら、私なんてただの人間だよ?ブレンくんはロイミュードってだけですごいと思うよ?」

 

「……ほ、本当にそう思うのか?」

 

「うん!本当にそう思うよ!」

 

「そ、そうかそうか!やはりか!では、私がいかに優れているのか、詳しく説明してやろう!」

 

「え……いや、そこまでは…」

 

 

 

 

 

というやり取りが先程あり、その中で気を良くしたブレンが頼んでもいないのに勝手に全て公開したからである。流石第一王女。そしてそれでいいのか幹部。

また、その話の途中で超進化について触れてしまい、再び気を落としてしまったため、いまだに彼は泣き続けているのである。

 

「…それで、こいつどうすんだ?この姿だけならともかく、あの怪人の姿や、このデータを公表したらえらい事になるぞ」

 

「まあ、パパには報告するとして…今のところは私たちを含めた一部の人間以外には機密にしておいた方が賢明でしょうね。これまで築いてきた他の国との友好な関係や、国内の政情の安定が、こいつの存在一つで一気に崩れる可能性があるわ……」

 

「お前たち…勝手に呼び出しておいて腫物扱いか。しかも泣いて落ち込んでる相手にか。全く非道で冷徹で薄情な奴らだ」

 

葵以外が全く構ってくれないどころか、本人の目の前で対策会議を始めた事で、ようやくブレンも泣きやんだ。

 

「そうだね…私はひとまず奏の案に賛成かな」

 

「無視か。というかお前もか。ここへ来てお前もそっち側なのか」

 

とうとう葵にまでスルーされたブレンは、怒りや悲しみなどを通り越し、妙な虚無感に襲われる。しかしこの場では何を言ってもスルーされるだろうと、これまでの経験からなんとなく感じ取ったブレンは発言を諦め、部屋から出て行こうとした。

が、

 

「ちょっと、どこ行くつもり?」

 

と、奏に遮られる。

 

「さっきの話、聞いて無かったの?あんたの存在を迂闊に公にするわけにはいかないのよ。取り敢えず、暫くの間はウチにいてもらうわよ」

 

「冗談じゃない!さっきから好き勝手ばかり言って!何故この私が、借りのある泊進ノ介ならともかく、お前たちの指示に従わなくてはならない!むしろ、私がお前たちを始末していないだけ有難く思え!」

 

あまりに横暴な話に、さすがのブレンも声を荒げ、無視してそのまま出て行こうとする。

だが、ブレンは忘れていた。こういった場面では彼の場合

 

「そういうわけにはいかないのよ」

 

――――――大体の確率で彼に拒否権は与えられない、ということを――――――

 

奏が指をパチン、と鳴らした瞬間、ドアノブに向かって伸ばしていたブレンの手が消えた。

―――否、手だけでは無い。頭部も、胴も四肢も無い。

 

「な!?馬鹿な…私は何故この姿に?」

 

そこに存在しているのは、宙を舞う三桁の数字だけ。

『003』。そう、彼は今肉体を失い、コアだけの姿に戻っていた。

 

「無意識に生成したから細かいところまでは覚えて無いけど、私の性格上絶対に安全装置的なものは付いていると思ったのよ。で、あんたが目を覚ますまでに色々試したら、この方法を発見したわけ」

 

「ふざけるな!どんな無意識だ!はっきり目を覚まして悪意込めたんじゃないのかこれ!!」

 

怒り狂うブレン。が、数字のままなので全くもって威厳がない。

 

「知らないわよ。そもそも私はロイミュードなんて知らなかったんだから。手っ取り早い自爆装置とかならともかく、そんな手の込んだ仕掛けなら、最初から標準装備されてたんじゃないの?」

 

「最初からなんて、そんな馬鹿な話があるわけあったあああああ!!!メディックのあれだあああ!!」

 

奏の能力『物質生成(ヘブンズゲート)』は、彼女の持つ貯金を超えない範囲ならば、それを対価に現在・過去・未来のどこに存在しているか、あるいは生物か否か、もっといえば現実にあるものか空想の存在かすら関係無く生成出来る。

彼女がどこまで細かい指定で能力を発動したのかは不明だが、たまたまその条件全てに当てはまって生成されたのが、普通のアンドロイドでも他のロイミュードでも無く、ブレンだった。そしてその条件の一つである「安全装置」として彼女の能力が再現したのが、かつてメディックがブレンに仕掛け、その後の蛮野関係のゴタゴタでブレン自身すっかり忘れていたあの(・・)細工だったのである。

 

「ま、元には戻せるから安心しなさい。ただ、こっちの言う事には従ってもらうわよ」

 

そう言って奏は凶悪そうな笑みを浮かべる。

 

「ひっ!」

 

その瞬間、ブレンは理解した。

彼女は自分にとって『第二のメディック』であるということを。

こうしてブレンの新しく、不思議で、先行き不安な生活が幕を開けた。




城下町のブレン様!

「全てを滅ぼす力に手が届く!規制を超えた先に!」

茜VS会長!

(わたし)のパンツの画像探す他に、もっとやること無かったの!?」

戦いの決着は――――――

「甘ったれた事を言うな!ネット規制に未来は無いんだぞ!」
「それでも…私はァ!」

次回、『運命の勝者』!
お楽しみに!(この予告はフィクションです。実際の内容とは一切関係ありません。オーバーロードも神様も出ません)
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