櫻田王家の長女で、一番年上の兄弟姉妹のまとめ役。
外見はストレートにした青いロングヘアーと、人柄がにじみ出たかのような穏やかな顔つきが特徴的。
非常におだやかな性格で、一般人からは完璧な人間としてみられるが、親友からは抜けてるところがあるポンコツ認定をされている。
当人は困惑しているが多くの国民から女神様的扱いを受けており、選挙活動を全く行っていないにも関わらず、世論調査では常に国民の支持率一位を獲得している。
文才が!茜様の魅力を伝えられる文才が欲しいッ!
その事件が起きたのは、ブレンが櫻田家で暮らす事が決まった直後。父・総一郎が家族にブレンの事を紹介した時の事である。
「………と、いうわけで、今日からうちで共に暮らす事になったブレンくんだ。みんな、仲良くするんだぞ」
「皆さん初めまして、ブレンと申します。これから私の事はブレン様と…あっ、冗談!冗談ですから!櫻田奏、睨むのは止めなさい!…全く、短気で威圧的でおっかない人だ」
「……ねえ、父さん。この人、
「なんだ、その人を馬鹿にしたような『一応』は。私に言わせれば、私の能力は人間の手伝いごときに使われるような物ではない!」
明らかに「不良品ではないか?」と言いたげな次男の遥に、ブレンは食ってかかる。
「まずは私の最大の能力である猛毒!私の元いた場所ならともかく、この国ではこれを食らって助かる術など無い!」
「日常生活のどこで使うのよ」
「更に電撃や炎も操る事が出来る!」
「あら、それはキャンプで便利そうね」
「単純な力だって、人間はおろかロイミュードの内でもかなり怪力の部類に…」
「名前は
「いちいち茶々を入れるな!」
櫻田家の面々に自信満々で自分の能力を説明するブレン。とは言え、現時点では彼の行動は奏によって制限されている上、ハートをはじめとする他のロイミュードもいない。おまけにブレン自身、この国の事もこれから自分がどうするべきかも分からないので、奏の言う通りこれらの能力が当面は不要であることも理解はしている。
ちなみに念力などの超進化して手に入れた能力に関しては、いずれも喪失、もしくは弱体化していた。
「ねえ…ブレンさん。一つ質問なんだけど…」
「大体あなたは…ん?お前は…三女の茜だったか?」
早くも恒例となりつつある奏との口論を繰り広げているブレンに、ツインテールにした赤い髪が特徴的な少女・櫻田家三女の茜が遠慮がちに声をかけてくる。
そして彼女はブレンにこう問いかけた。
「もしかして電子機器を…監視カメラを停止させる事って出来たりしますか!?」
その時の彼女は、まるで地獄で仏に会ったような表情をしていたという。
「全く…。あの時うっかり『出来る』と答えて実演したせいで、私はこっぴどく怒られたんですよ。あなたも一緒に怒られたのですから、少しはそこから学んで下さい」
「だって…カメラはどうしても嫌なんだもん」
ブレンはには毒などの直接的な攻撃手段の他に、一般のタブレット端末のデータを改ざんしてロイミュードの管理用の物へと改造したり、同じロイミュードのシステムやプログラムのハッキングするなど、電子機器やネットワーク上のプログラムを自在に操る能力がある。この能力に彼の頭脳が加わる事で、ロイミュードたちを管理し、更には天才科学者である蛮野の仕掛けたプログラムからメディックを救いだしたのである。クリムや蛮野レベルの天才がセキュリティを管理しているわけでもない監視カメラのハッキング程度、ブレンには造作もない事だった。
……が、それがまずかった。櫻田家の子供たちの安全確保、国の治安維持、あるいは櫻田家の普段の様子を映す事で、国民が選挙のための判断材料にするための映像を確保するといった目的等で利用されている物を、国王の目の前でハッキングしてしまったのだ。いくら王家の姫君の頼みとは言え、流石にお咎めなしというわけにはいかず、ブレンは茜もろとも総一郎の側近から説教を食らう羽目となった。(ちなみに総一郎本人は特に怒ったりはしなかったものの、それが逆に側近の怒りを買い、何故か彼まで一緒に怒られる事になった)
「というか無人のカメラですらダメなあなたが、よく初対面の私に話そうと思いましたね……」
「だって話しかけるのは一回頑張ればいいけど、カメラは毎日なんだよ!ブレンは一時の恥、カメラは一生の恥って思って」
「……恐らく『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥』みたいなつもりで言ったのでしょうが…それだとまるで私の存在を馬鹿にしているみたいなんですが」
ブレンの言う通り茜は極度の人見知りであり、見知らぬ人の視線は勿論、無人のカメラすら「見られている」と感じることから苦手としている。
そんな茜が、中身はともかく外見は見知らぬ年上の男性であるブレンに頼み事をしたという点からも、彼女がいかにカメラを避けたがっているかがよく分かる。
「茜…流石にそろそろ出ないと、本当に遅刻しちゃうよ」
と、他のきょうだいたちが先に出て行った中、唯一茜を待っていた葵が時計を指さしながら声をかけてくる。
それに釣られて茜とブレンも時間を確認すると、午前八時になる直前であった。
「うそー!?もうこんな時間なの!?」
「そうだよ。…それならいっそもう『能力』で飛んで行くってのは…」
この国の王家の一族は特殊な能力を持っており、それが王族の証となっている。
茜の能力は『
「でも…なんかそれは校則違反みたいだし…」
「いや、あなた以外に空を飛べる人いませんから。校則も何もあったものではないでしょう」
「そ、それに…パ…パンツが…うぅ」
そう、空中を高速で移動してしまうと、地上から下着が見える可能性があるのだ。しかも彼女はブレンが現れるほんの少し前、全国放送のテレビ番組で大々的にそのミスを犯してしまい、いつも以上に能力の使用に神経質になっていたのである。
「困ったね…しかも一昨日、カメラの配置変わったんだっけ?」
「そう!そうなんだよ!ただでさえ町内に二百以上設置されてるのに!せっかく全部覚えたのにぃ!」
「それを全て覚えていたというあなたも中々ですが…はぁ、やむを得ません」
ブレンは大きくため息をつくと、朝食の後片付けをしていた手を止めた。
「二百以上もあるカメラを覚えようとするなんて…全く不器用で型破りで理解し難い人だ。その努力に免じて、今回は手を貸してあげましょう」
そう言うと彼はもう一度ため息をつき、修から拝借していた例のタブレット端末を手に取った。
「ブレンくん…今朝はごめんね。本当にありがとう」
「……何故あなたが謝るのですか、櫻田葵」
その日の夜。葵は他の全員が寝静まった中、一人キッチンで朝のための仕込みをしていたブレンの元を訪れていた。
「だって…茜のお願いで迷惑をかけちゃったわけだし」
「『だって』の使い方が間違っているぞ。それにその事なら、櫻田茜本人から充分謝罪も感謝もされた。あなたが気にする必要はありませんよ。そもそも私は、学校までの間に設置されたカメラの位置を調べて表示しただけ。私にとっては朝飯前だ」
「でも…」
「『でも』じゃない。…それに、櫻田茜の今朝の様子に関しては、私にも原因がある事は理解している。私はただ、自分の失態の尻拭いをしただけです」
茜の人見知りは元からだが、それを克服しようと(効果があったかは別として)本人なりに努力したり、あるいはカメラの位置を覚えるなどしてなんとか頑張ってはいた。
しかし、最後の手段であった自身の能力を使えなくなってしまうような出来事の直後に、あっさりと問題を解決出来る
更に、実は茜が必死に覚えたカメラの配置が変更になったのも、以前ブレンがハッキングした事が原因であった。あの事件の直後、万一の事態に備えて監視カメラの点検と配置変えが行われたのである。その事をブレンは側近経由で聞いていたのだった。
「あなたはそんな事を気にしている暇があったら、さっさと体を休めなさい。私が朝言った事を忘れたわけでは無いだろう」
「優しいんだね…ブレンくんは。それじゃあ、お休みなさい」
葵はそう言ってブレンに微笑みかけると、部屋へと戻って行った。
「……優しい、か。私はただ、自分のミスを清算し、プライドを守ろうとしてにやった事…。これは優しさと言えるのでしょうか…教えて下さい、ハート………」
そこにはいない『友』を想いながら、ブレンは小さく呟いた。
城下町のブレン様!
「異世界転生キター!!」
次なる来訪者は―――究ちゃん!?
「マーマーマンション…なかなか面白いじゃない」
「奏がアニメにハマっただと!?」
『そんな事より早く私に身体を…バイラルコアを下さい』
「侑斗!?侑斗どこ~!?」
王国全土にアニメ布教!
「僕らオタクには…命をかけてでも護るべき誇りがあるんだぁー!」
その結末は!
「最初に言っておく!俺はかーなーり強い!」
次回、『櫻田奏はいつからアニメにハマったのか』!
お楽しみに!(この予告はフィクションです。実際の内容とは一切関係ありません。今のところブレン以外出ません)