櫻田王家長男で、きょうだい全員の中では上から二番目。次女の奏は双子の妹。
外見だけなら「長身のイケメン」であるものの、行動が欲望に忠実な為男子からは一目置かれ、女子からは王子様のイメージから離れていて恋愛対象として見られない。
葵と同じく選挙活動には消極的。しかし彼女は何もしていないのに首位をキープしているのに対し、彼はそれが確実に結果に反映されており、世論調査ではほぼ確実に最下位。
ただし、選挙に消極的なだけで修自身は自分の立場をきちんと理解しており、知らない人には王族として真摯で大人な対応ができる常識人。普段の残念さに隠れがちだが、他人を思いやれる優しさや、頭の回転の速さ、懐の深さなどを兼ね備えている。
ちなみに 茜を溺愛しており、実兄であるが茜様ファンクラブ会員No.2である。
お久しぶりです。にも関わらず短めで申し訳ないです。
「ブレンくん…本当に家事上手になったね。気付いたら家全体がピカピカになってたし」
「本当、ブレンちゃんは働き者よ。お母さん助かるわ」
「な、なんですか…藪から棒に」
ある日の夕食時。葵や五月から唐突にそんな事を言われ、ここまで褒められ慣れていなかったブレンは動揺した。
「本当の事を言っただけだよ。初めてブレンくんが来た時には驚いたけど、来てくれてからはすごく助かってるし。それにここ最近で更に家事が上手くなったし」
「確かに…最初から大体の事はそつなくこなしていたけど、最近はプロって言っても過言じゃないくらいにレベルアップしたよね」
「あたし、ブレンちゃんの作った肉じゃが好きー!」
葵の嘘偽りのない感想に、遥や光も賛同する。彼らの言葉に他の者たちもみな首を縦に振り、普段はブレンと小競り合いの絶えない奏ですら
「まあ…確かにそうね。もっとも、私は自分のサポートをさせるためにあんたを生成したんだから、この位はこなしてもらわないとね」
と皮肉交じりではあるものの、彼の優秀さに関しては認めていた。
しかし、当のブレンは…
「ば…馬鹿な…私がここまで大勢に…しかも櫻田奏にまで労われるなんて…有り得ない!私を気遣ってくれる人物など、ハートや001以外にいるわけが…まさかこれは何かの陰謀か!?」
「お前、普段の発言は若干ナルシスト気味のくせに…」
「ブレンくん…もう少し他人を信用してもいいんじゃ…」
「ていうかあんた、元々ロイミュードの幹部だったんでしょ……どんな扱いされてたらそこまで歪むのよ」
手放しで褒められるという状況に慣れておらず、完全に取り乱していた。
もっとも、生みの親はあの蛮野。仲間たちの大半はブレンを尊敬するどころか好き勝手暴れて彼を困らせる個人主義者。挙句の果て同僚は、感情表現が乏しく必要最低限しか言葉を交わさない(もっともこの部分に関してはブレン側にも原因はあるが)死神と、最後は和解出来たとはいえ、思い返せばほとんど毎日ブレンの事を馬鹿にしていた恋敵(?)である。生まれてからずっとこのような状況にいたのでは、彼のこの反応も仕方が無いといえる。
「そうだ!みんなで何かブレンさんにお礼しない?」
気を取り直した茜は、ここぞとばかりに提案を述べる。
元々彼女は以前の一件のお礼をする機会を探していたものの、ブレン自身には「気にしていない」とかわされがちだったため、今の話の流れはまさにベストタイミングであった。
「お、茜良い事考えるな。考えてみりゃ、色々ドタバタしちまって、ブレンには歓迎会の一つもやってやれなかったしな」
「あか姉、ナイスアイデア!」
「僕も姉上に賛成です!」
特にブレンの世話になっている修を筆頭に、家族の間から次々と賛成の声が上がる。
「ほら、いつまで動揺してんのよ。折角なんだから、何か欲しい物とか、して欲しい事とか無いわけ?」
「だ、誰が動揺なんて…少し冷静さを失って、若干対応に遅れが生じただけだ!」
「それを動揺してるって言わないで、何て表現するのよ…」
「う、うるさい!」
ブレンは奏に噛みつくように言いながら、ポケットの中を探る。
しかし、
「……え?」
そこに彼が取りだそうとした物、かつて彼自身が『自分のアイデンティティ』とまで言った
「…?ブレン、急に黙ってどうしたんだ」
「私の…」
――――――考えてみれば、こちらに来てから一度も
「私の…私の大切な…」
――――――ああ、そうだ…。思い出した……――――――
「苦楽を共にした、私の大切な…」
―――ロイミュードは汗などかかない…―――
―――今こそ、冷徹な機械に戻ろう―――
―――そう誓ったあの時に―――
――――――――――――捨てたんだ
「
「え、ごめん。説明してもらわないと、なんでそんな悔しそうなのか全く分からないんだけど」
この瞬間、櫻田家からのブレンへの贈り物はハンカチに決定した。
その週の週末、ブレンはきょうだい達と共に街のデパートへやって来た(ちなみに総一郎、五月夫妻は家でパーティーの準備をしている)。
「あの、正直気持ちはありがたいのですが…何故全員で来たのですか?」
「全員で良い物を選ぼうって。何だかんだ言いながらも、みんなブレンくんに喜んでもらいたいんだよ」
「なら私は家で待っていた方が良かったのでは…五月さんと総一郎さんの二人に家の事を任せてしまって」
「それだとあんた結局仕事するでしょ。心配しなくても、あまり遅くなりすぎないように帰るし、あんたには明日からまたガンガン働いてもらうわ。今は存分に羽を伸ばす、それがあんたの役目よ」
「そうだぞブレン。今はしっかり楽しめ。あんま根を詰め過ぎると、疲れて巨大なロボットの幻覚とか見えちまうかもしれん」
「……まあ確かにそうで…え!?私お前にその話したっけ!?」
何だかんだ言いながらも兄弟姉妹との会話を楽しむブレン。恐らくブレン自身がかなり人間に近い思考回路をしていたことや、櫻田一家が言葉で言うほどブレンを違う種族として扱っていない、むしろ本物の家族と変わらないような接し方をしていることが理由だろう。
ブレンが来てそれ程時間は経過はしていないが、ブレンも櫻田家の面々もこの奇妙な共同生活を悪くないと感じていた。
「ねえねえ!折角だからみんなで別々に選んで、ブレンちゃんに一番を決めてもらうってのはどう?」
と、光がそんな事を言いだす。
「いいじゃん光!よーし、負けないぞー!」
「僕も負けません姉上!この勝負、絶対に勝利してみせます!」
他の面々も割と乗り気らしく、やる気に満ちた表情が多数見られる。
「そういう事なら…制限時間が今から二時間。お店や他のお客さんの迷惑にならないように行動する事。二時間後にまたここに集合ね。輝と栞は、私たちと一緒に見て回ろっか?」
葵の言葉に異議を唱える者はおらず、早速提案者である光と、この手の勝負事には割と意欲的な岬(と、彼女に無理矢理引っ張っていかれた遥)、そして最もブレンに対して感謝を感じている茜が行動を開始する。
「おーい、店の中で走るなよー」
そんな妹たち(と、引っ張られる弟)を見送りながら、年長組も輝と栞を連れて動き出した。
「………えっと…気持ちは嬉しいのですが…。そのルールだと、私しばらく一人ぼっちに…」
そして取り残されたブレンは、どこか複雑な気持ちで店内をウロウロするのだった。
城下町のブレン様!
「ぶ、ブレンになんか取り憑いた!」
歓迎会が一転―――
(プレゼント?はっ、メダルかアイス持って来い)
(あぁん!?何言ってんだお前、プリンに決まってるだろ!)
「こ、こら!人の体で喧嘩は…あぅ!私の意識を沈めようとするな!」
肉体の争奪戦に!?
「個人の命…体…心。どれも意味は無い」
そして現る怪しげな影
「私が支配者として、お前たちを全員まとめて…その貧相な肉体から解放してあげよう」
『テンガン!ネクロム!メガウルオウド!』
「いや貧相とか言うな!」
次回、『悪夢のパーティーはどこへ向かうのか』!
お楽しみに!(この予告はフィクションです。実際の内容とは一切関係ありません。)