城下町のブレン様   作:亜独流斧

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毎度毎度お久しぶりですって言うような状況で申し訳ありません。
感想を下さる方、ありがとうございます。本来であればきちんと返答をするべきなのですが、なかなかログイン出来ず「感想を頂いてから確認するまで二週間以上経過している」といった事態がざらにあり、結果きちんと返信が出来ず申し訳なく思っています。

今回はブレンがちょっとイケメンです。あと少し展開が動きます


その時彼らが抱いた感情とはなにか

週末一家全員でブレンをもてなす、そう決まったあの夕食から数時間後のこと。

ブレンさえも床に就いた深夜、奏と葵、そして帰宅した総一郎は真剣な様子である事(・・・)を話し合っていた。

 

「私から言いだした事だけど…パパ、本当にいいの?」

 

「ああ。元々そういう意見自体は他の者達からも出ていたからな。だが、それではあまりにブレンくんに対して失礼だろうと私が反対していたのだが……奏、お前のそのアイデアならば、きっと大丈夫だろう」

 

難しい表情を浮かべていた総一郎の顔が一気に緩む。

それにつられて奏と葵もホッとしたように息を吐いた。

 

「それにしても、奏が自分からそういうことを言いだすなんて珍しいな」

 

「べ、別にいいでしょ!あくまでも『もう一つの理由』の方がメインであって!ブレンあいつへのお礼ってのは副次的なものに…って姉さん!なんでそんな満面の笑みを浮かべてるのよ!!」

 

「ううん、別に?奏はやっぱり優しい子だなーって」

 

「だからこれはあくまで国の為を思って…パパもその顔やめて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

「それでは遅くなってしまいましたが!我が家にやって来た新しい家族の歓迎と、そんな彼の普段の働きへの感謝を込めて!乾杯!!」

 

総一郎の音頭に合わせて家族全員が乾杯し、口々に彼への歓迎と労いの言葉を投げかける。

 

「ブレン、毎朝起こしてもらって悪いな。これからもよろしく頼む」

 

「ブレンさんがこの前作ってくれたお菓子、私も分身たちもとっても気に入っちゃった!今度作り方教えて!」

 

「ブレンさん、今度また勉強教えて欲しいんだけど…いいかな?ブレンさんの教え方、分かりやすいから」

 

「ブレンさん!この前は本当にありがとう!……それでなんだけど…出来れば今度、カメラの位置表示されるアプリとか作ってもらえたりなんて…」

 

修から、岬から、遥から、茜から。次々とブレンに述べられる感謝の言葉と依頼を前に、ブレンはすっかり気を良くする。

 

「ハッハッハ!そうですかそうですか!こんなにも頼りにされるなんて!全く、私は本当に偉大で万能で罪作りな男だ!」

 

「さっすがブレンちゃん!ちょっと褒めるとすぐ調子に乗るぅー!」

 

「ハッハッハおだまりなさァーい!」

 

「「アーッハッハッハ!!」」

 

「いや…光もブレンも何なのその妙なテンション……」

 

一応(・・)真面目な時はクールなブレンだが、今の彼にはクールさの欠片もなく、櫻田家の面子にもすっかりお馴染みとなった緩みきった表情を浮かべている。更にそこに櫻田きょうだい一のお調子者である光も加わり状況が悪化。上機嫌で勝手に爆笑し続ける二人は、最早どこから見ても笑い上戸の酔っ払いにしか見えないような有様であった。

 

「はいはい、二人ともそこまで。一回落ち着いて」

 

と、他のきょうだい達が皆引いている中、いつも通り穏やかなニコニコとした表情を浮かべた葵が二人をなだめようとする。

しかし、ハイテンションな二人はその程度では収まらない。

 

「うひゃひゃひゃひゃ!これが笑わずにいられますか!今まで散々苦労してきた私の働きが、ついに正当に評価されるときが来たのです!そう、私の時代の到来だァー!ハーッハッハッハーのハー!」

 

「そうだよ葵おねーちゃん!このブレンちゃんのだらしない顔!もう、見てるこっちまで笑いが止まらないよー!あははははは!」

 

が、

 

「…二人とも、一回落ち着いて。……ね?」

 

「「アッハ…ひぃっ!ご、ごめんなさい……」」

 

そんな二人に対して葵は同じ注意を、同じ表情で繰り返す。ただし、その声音と笑顔には先程までとは違い、絶対に逆らってはいけない……否、逆らう気力すら起こさせないような『何か』があった。

葵の妹でありまだ小学生の光は勿論のこと、多くの修羅場を潜り抜け、大勢の犯罪者や妖怪や宇宙からの侵略者とすら対峙した事のあるブレンですら、恐怖のあまり一瞬で笑いが収まる。

二人が静かになったことに葵は満足そうに頷くと、「さて」と場を仕切り直す。

 

「それじゃあブレンくんにプレゼントを渡そっか。順番は特に決めて無かったけど…」

 

「ならとりあえず歳の順で良いんじゃないか?栞と輝は俺たちと一緒に選んだから…光、遥、岬、茜。お前たちはどっちからがいい?」

 

「私は上からでも下からでも順番変わらないからどっちでも…」

 

「僕と岬も特にこだわりはないかな。光は?」

 

「えっと…ならあたし最後行きます。ほら…その、自信あるから勝負とか言い出したわけですし…はい」

 

先程の恐怖心が抜けきっていないのか、自信に満ちたコメントにも関わらず若干ビクビクしながら述べる光。ともあれ、これで順番は決定した。

 

 

 

「ならまずは私達からだね。これは私と奏と栞の三人で選びました!どうかな?」

 

そう言って葵が差し出したのは、ベージュ系色でまとめられたチェック柄の紳士用ハンカチ。表記されているブランド名は、ブレンもこの国で生活するうちに何度か耳にした事のある人気ブランドであった。

 

「これは……知的な私にピッタリな落ち着いた色合い。いいセンスですね。素直に『ありがとう』と言っておきましょうか」

 

「本当!?嬉しいな!良かったね奏、栞!」

 

「……うん!」

 

ブレンの好印象なコメントに葵は笑顔を浮かべ、末っ子の栞も少々照れながらも葵と同じく嬉しそうな表情を見せた。

 

「別に私はお金を出しただけだけどね。それだって葵姉さんと分割だし。だから別にお礼を言われる筋合いなんて「栞と一緒に時間ギリギリまで悩んでたのに?」余計な事言わないでいいからッ!!」

 

一人いつも通りの素っ気ない態度を貫いていた奏だったが、葵にあっさりと真相をバラされ、その顔が一気に真っ赤になる。どうやらこういう場面においては彼女が葵に勝つ事は出来ないらしい。

 

「次はオレと輝だな」

 

「ブレンどの!僕は一生懸命選びました!いかがでしょうか!」

 

修と輝が差し出したのは、こちらもこの国ではそこそこ有名な紳士用ブランドのハンカチ。緑色の布に金と銀のチェックの模様が入っている。そして葵たちの物がいかにも「紳士用」といった感じのシルク生地なのに対し、こちらは吸水性の良さそうなタオル生地の物である。

 

「なんかお前汗っかきのイメージがあったからタオル地にしたんだが…そいやお前、実際は汗かかないんだよな」

 

「確かにそうですが、このような場面では結果より心遣い自体が有難いものです。……それよりも緑に銀に金、この色はもしや」

 

「ああ、お前のイメージだ。輝が見つけて来てくれたんだが、まさかここまでピッタリなのがあるとは思っていなかった」

 

「僕、頑張りましたよブレン殿!」

 

「ええ、ありがとうございます。大切にしますよ」

 

続く茜は緑色のシルク生地のものを、岬と遥のペアは同じく緑色で綿生地のものを差し出す。

 

「…被っちゃったね、色々と」

 

「まあ…ハンカチ縛りだからね。まさか緑色が僕たちを含めて三組もいるとは思ってなかったけど」

 

「遥と岬なんて素材違うだけいいじゃない…私なんて葵お姉ちゃんたちとも被ってるし。……うぅぅ、ごめんねブレンさん…」

 

ブレンにピッタリのハンカチをプレゼントする、という思い故のチョイスが被ってしまうという事故。しかも勝負という形式を取った故お互いに何を贈るのか確認し合わなかった事も災いしてしまったため、光の提案した勝負にノリノリだった茜の声は暗い。

特に彼女は以前助けられたことへのお礼も兼ねていたので、きょうだいの中でも特に張り切っていた。そのため他の面々よりもこの結果に対する落胆は大きいのだ。

 

「……ごめんねって、何を謝る必要があるのですか。前にも言ったでしょう。これまで私をいたわってくれた人物などごく僅かだった。それが今日は、これだけの人間に感謝され贈り物を貰っている。こんな状況で何故私が謝罪されなければならないのです?」

 

しかし対するブレンは、表情や言葉こそ呆れたようなものであったが、その声はとても優しかった。

もしこれが仮に彼の大嫌いな相手―――例えば蛮野など―――なら、

 

「本当にね!あれだけ自信満々だったのに…それがこの結果とは!いやぁーがっかりですよ!」

 

といった具合に思い切り嘲笑いながら煽りまくり、その後折檻を食らうのだろう。だが、ロイミュードの中で最も人間らしい感性を持っているといっても過言ではない今のブレンは、自身へと向けられている善意を素直に受け取り、感謝し、そして必要以上に気に病んでいる茜を気遣うことすら出来た。

 

(全く…以前の私からは想像も出来ない変化ですね。仁良光秀などと融合していたのが嘘のようだ)

 

それが『ロイミュード』という種族として正しい変化なのかは、ハートも他のロイミュードもいないこの状況では確かめようが無い。

だが、ブレン個人としては「嫌ではない」というのが正直なところだった。それもきっと、その変化のきっかけとなった人間たちが、櫻田一家こういうやつらだからなのだろう。

 

「ブレンさぁん…」

 

「ああもう、いちいちそんな事で泣かなくてもいいでしょう!勝負と言っていましたが、私にしてみればどれも等しく嬉しい。だからチョイスが被ったとか、そんな事を気にする必要はありません」

 

「……うん。分かった」

 

これではどちらが気遣われているのか分からないな、と思いながらも、ブレンはこの状況を心地良く思うのだった。

 

 

 

(……どうしよう、なんかいい雰囲気になってるけど…ここでルール違反バレたらヤバいよね)

 

ちなみにこの後、自分から勝負を言い出したにも関わらずルールを破って台所用便利グッズを購入してきていた光に、葵が「ルールを守る大切さ」についてお話(・・)し、光はパーティーが終了するまでとても大人しく(・・・・)していたが、それは別の話。

 

 

 

 

 

「ブレン、ちょっといい?」

 

パーティーが終了してから数時間後。洗い物を終えたブレンは、何やら真剣な様子の奏に呼び出され、彼女の部屋の前にいた。ドアは閉まっているので中は見えないが、それ以前に入口付近には葵、修、総一郎までも立っており、仮にドアが開いていたとしても中を覗くことは難しいだろう。

 

「なんですか一体…まさかそろそろ出て行けと!?嫌ですよ!私行く先も所持金も無いんですから!」

 

「言わねえよ…何だろう、さっきの茜への対応を見て一瞬でもイケメンだと思ったオレの感動を返してくれ…」

 

「実はね、ブレンくんにもう一つサプライズがあるんだよ」

 

苦笑いしながら葵がブレンに説明する。

 

「サプライズ?」

 

「うん。まあ話すよりも実際に会った方が早いかな」

 

そう言うと葵はドアノブに手をかけ、入口を開ける。そしてそれに合わせて集まっていたメンバーも、中の様子がブレンの位置から見えるように移動した。

おかげで「会うとは誰に?」というブレンの疑問は、口にするよりも早く解消する事となった。

 

「……ブレン?何故、お前がここにいる?」

 

「……………は?」

 

ただし、その代わりに多くの疑問が彼の頭の中に浮かび上がることとなったのだが。

 

 

 

すっかり見慣れた奏のベッドにちょこんと腰かけていたのは――――――『死神』だった。




城下町のブレン様!

「ネタが切れたから新キャラを出すというのが人間のルールではないのか?」
「誰ですかこのバカに余計な知識吹き込んだのは!?」

チェイス参戦に便乗する者たち―――

「ここは…始は、バトルファイトはどうなったんだ?」
「あの魔法石の世界の時と同じだ!「助けて」って声が聞こえた…」
「イヤッホウ!王国なれどもパーリナイッ!こいつぁ盛り上がって参りましたね!」
「最後のライダーですらないじゃない…」

混沌の果てに迎える結末とは―――

「私や栞も、葵ねえたちみたいにもっとセリフが欲しい!」
「だ、そうだ。…この世界は櫻田家の世界。物語を壊す乱入者ども、今度はオレに破壊される番だぜ」
「もう悪夢は終わりにしよう。フィナーレだ!」

次回、『なぜ彼らは安易にメタネタに走ったのか』!
お楽しみに!(この予告はフィクションです。実際の内容とは一切関係ありません。)
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