Fate/Craft Order   作:雪蛍

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そろそろいろいろ作るよ!

 

 

 

 

 

「陽が…暮れていくねアーチャー…」

 

「ああ…」

 

体育座りの男が2人、沈み始めた太陽を空虚な瞳で見つめている。

彼らの周りには、原木や木材、石など多様なブロックが散乱している。

 

「アーチャー…大丈夫?」

「ああ…すまないなマスター。 もう大丈夫だ…だが…私は大切な何かを、失ってしまった気がする…」

 

顔を伏せ縮こまってしまうアーチャー。

「………君は、何も悪くないよ。 悪いのは……そう、聖杯だよ。 あんな知識を寄越すから君は……」

 

「……」

 

ユウは言葉を途中で切った。

やめておこう、今何を言ってもアーチャーの心の傷を癒すことなんてきっとできない。

例え正気ではなかったとしても、アーチャーのあんな姿…見たくはなかったし、彼も自分に見られたくはなかっただろう。

 

「……」

 

ユウはアーチャーから視線を逸らし、寂しげに地面に立っているドアを見る。

ドアだ。

ドアだけが、地面に立っている。

アーチャーが自慢げに立てた奴だ。

そしてドアを設置したアーチャーは何が楽しいのかそのドアをガチャガチャと開けては閉め、開けては閉めを延々繰り返して笑っていた。

正気の沙汰ではない。

 

そう、アーチャーはあの時正気を失っていた。

聖杯の知識を自分の物にする為の危険な賭け。

それに自分達は確かに打ち勝った。

しかしその勝利がまさかあの悲劇の引鉄になるなんて、思いもしなかった。

 

ーハハハ、マスター見ろ! こんなに沢山の原木ブロックが手に入ったぞ!ー

 

冬木への至り方を聞いた筈が、突然ドアの作り方を説明しだしたアーチャーは、理解が追いつかないマスターを置き去りにして何処かへと走り去った。

そして数十分後、両手に沢山の立方体を抱え彼は満面の笑顔でユウの元へと帰ってきた。

この時既にアーチャーの意識は流れ込む聖杯の知識に乗っ取られていたのだ。

 

ーさぁマスター。 先ずはこの原木をこうして…そらっ、これが木材ブロックだ!ー

 

そして身体を乗っ取られた暴走アーチャーの初心者クラフト講座(悪夢)が始まる。

混乱して何の反応も返せないユウに構わず、アーチャーは持って帰ってきた原木ブロックから木材ブロックを精製して求めてもいないのにあれこれ作り出した。

ーこれが作業台だ! 中々に立派な出来栄えじゃないか。 夢が広がるなマスター!ー

 

明らかにテンションのおかしいアーチャーの説明によると、どうやらこの作業台とやら(ユウにはただの四角い木の箱にしか見えない)があれば何でも作れるらしい。

ユウの中の『物を作る』という概念が木っ端微塵に砕け散った。

 

3×3のマスに決められたブロックをはめる

 

あれ?

物を作るってこんな簡単なお仕事だったっけ?

ーさぁお待ちかねのドアを作るぞマスター! 木材をこことこことここにはめて……出来たぞマスター!シラカバ製のドアだ! やったなマスター!ー

無限の?マークを頭に咲かせるユウの肩をバシバシと嬉しそうに叩きながらアーチャーは嗤う。

よく見るとアーチャーの目はグルグルしていた。

 

ーここなんてどうだろう……おお! 素晴らしいじゃないかシラカバドア! 見てくれマスターこのドア、開くぞっ!ー

 

至極真剣に作ったばかりのドアを置く場所を吟味し、時間をかけて選んだ場所(ただの地面)にドアをそっと置くアーチャー。

少し離れてドアを眺めると、満足そうに頷いた。

そしてテンションゲージが振り切れたのかドアの開閉を繰り返し心底楽しそうに彼は……笑った。

 

ーハハハ! ドアを開けて閉めるのがこんなにも楽しいことだとは知らなかった! マスターもどうだ? こっちに来てともにシラカバのドアを開け閉めしようではないか! あはははははははは…ははは…はは…は……ー

 

高らかに笑っていたアーチャーの声が段々と尻すぼみになっていく。

そしてとうとう笑うことをやめ、暫く静かになったと思ったら唐突にその場から少し離れて、彼は無言のまま体育座りで塞ぎ込んでしまった。

プルプル震える肩がとても切なげでした。

英霊のプライドとか威厳とか、色々ロストしてしまったようだ。

ユウはそっと彼の隣に座り、優しく肩を叩いた。

そして景色が赤く染まるまで、2人はただただそこに座り続けた。

 

 

ぐぅぅぅ………

 

ユウのお腹が大きな音を立てる。

そういえばかなり長い間、何も食べてなかった。

どんなに緊急な事態であっても人間である以上、空腹からは逃れられない。

 

「お腹、減ったな…」

 

お腹をさすりながらユウが小さく呟く。

その呟きを耳にしたアーチャーがピクッと反応を示す。

「空腹、か…私はともかくマスターにとっては深刻な問題だな。 ここからの脱出方法が分からない以上安定した食料の供給は早めになんとかしなければならないか…」

 

伏せていた顔を上げたアーチャーは聖杯?に乗っ取られる前の頼りになる感じに戻っていた。

なかったことにした、とも言えるかもしれないが。

「そうだね。 戻ることも大切だけど、その前に空腹で倒れちゃうなんて嫌だし…」

ユウの言葉に頷きながらアーチャーは1度大きく息を吐いて、ゆっくりと立ち上がり周囲を見渡す。

「とりあえず、 この辺りを探索してみよう。 こんなカクカクした世界でも何か食べられる物くらい存在しているだろう」

 

「うん、暗くなってからじゃ面倒だからね。 幸いアーチャーの知識で色々と作ることはできるんだ。 ブロックとかも集めようか」

 

「うっ!?…そう、だな…」

 

ユウの無自覚な言葉に一瞬消したい記憶が蘇るが、なんとか押し殺してアーチャーはそれに同意する。

確かにあれは酷い悪夢だったがこの世界に暫く止まる上では、非常に認めたくはないが………有用ではある。

 

認めたくはないが…

 

絶対に認めたくは…

 

「ほら、いつまでも唸ってないで行くよアーチャー。 早くしないと夜になっちゃうよ」

 

「ま、待てマスター! サーヴァントなしの単独行動は危険だ!」

 

「ソウダネー今デハソンナキケン二出会イタイクライダヨー…」

 

また鬱モードに入り始めたアーチャーを置いて歩き出すユウ。

1人勝手に歩き出したユウに焦りアーチャーが何か忠言を呈しているが右から左へスルー。

敵サーヴァントと邂逅とかやってみたいわこんちくしょう。

敵魔術師はどうやって作るんです?

材料は石と木材で足りますか?

この世界に魔術的な危険なんて絶対にないだろう。

ユウはそんなことを考えながら、早速近くにある土ブロックを叩いて壊し始めた。

もう大分この世界に慣れてしまったことが…悲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界にも月はあるんだね。 勿論カクカクしてるけど…」

 

空に浮かぶカクついた月を見上げるユウ。

辺りはすっかり暗くなり、もう遠くまで見渡すことはできない。

 

「そうだな。 しかし夜になる前に色々と調達できてよかった。 これだけ集まれば何日かは過ごせるな…」

 

日が暮れるまでに2人で頑張って集めた物資を地面に並べアーチャーが一息つく。

彼らの目の前には結構な量のブロックやら食料が転がっている。

ちなみに集めた物は…

 

土ブロック…結構

原木ブロック…かなり結構

砂ブロック…少量

石ブロック…ちょっぴり

 

豚?肉…2日分くらい

牛?肉…1食分くらい

何かの種…1個

赤いお花…1個

以上!

 

 

アーチャーに教えてもらい作業台で松明を何個か作り、それを地面に立てて辺りを照らしながらユウも満足そうに頷く。

 

「うんうん。 特に肉が手に入ったのが嬉しいな。 まさかこんな所で肉なんて上等な物にありつけるなんて…最悪草とか食べることになるかも、とか考えてたから…でも、ちょっと可哀想だったかな…」

 

松明を立て終えアーチャーの正面に座りながらユウは殺してしまった牛?や豚?達のことを思い出す。

木の棒で数回叩くだけでポックリ逝くし、逝ったと思ったら次の瞬間にはスーパーに並んでいるような加工された肉に姿を変える彼ら。

相変わらず理解できない。

しかし、もうユウ達は取り乱さなかった。

もう、ここはそーゆー世界なんだと深く考えるのをやめる作戦が功を奏したようだ。

 

「せめて無駄なく糧にして、感謝を忘れずにしなければな。 まぁ…それでも彼らからすれば理不尽なだけだが

…」

 

アーチャーは言外にあまり気にするなとユウに伝えながら、集めてきた石ブロックを作業台へと持っていく。

 

「うん、そうだね…そうするよ。 それにしても、石についてはうっかりしてたね」

 

罪悪感を感じながらも食料になった牛?や豚?に感謝しつつ作業しているアーチャーの隣に立つ。

「ああ、かなり時間を無駄にしたな…これさえ予め作っておけば、石ブロックももっと集められただろうに…」

 

溜息をつきながらアーチャーは素材集めが終わった後に思い出して作った木製のピッケルを取り出してユウに渡した。

渡されたピッケルを珍しそうに眺め、ユウはとりあえず分かった事を確認する。

 

「土にはシャベル、木には斧…そして石にはピッケルだったっけ? この辺は元の世界と同じなんだね。 違う所はどんな道具を用意しても…」

 

「結局は叩くだけ、ということだな」

ユウの認識が正しい事に頷き、残りをアーチャーが口にする。

この世界では、物を壊すという行為は全て叩くことで解決できるようだ。

土も木も石も動物も、叩いていればいつか壊れる。

ただ、その強度は元の世界の常識と同じで土よりも石の方が遥かに強度が高い。

土は素手でも比較的短い時間で壊せるが、石だとかなりの時間を要してしまう。

それを解消するのがユウが言っていた道具達。

土はシャベル、木は斧、石はピッケル。

対応した道具を使うことで硬度が高い石でも壊す時間がかなり短縮できるのだ。

しかし作業風景はかなり以上だ。ピッケルや斧はともかく、シャベルは掬う道具なのにそれで土を叩くのだから。

ピッケルや斧だって別に力を込める必要はない。

持ってコンコンと叩くだけでいいらしい。

謎すぎる。

この知識をアーチャーは引き出せた筈なのだがうっかり忘れていて、2人で随分と長い時間ぽこぽこと石を素手で叩き続けることになってしまった。

 

「明日はこのピッケルを使ってもっと沢山の石ブロックを集めることにしよう。 木よりも石で作った道具の方がさらに効率が良くなる」

 

「なるほど…じゃあこの世界では石が一番強いのかな?」

 

「いや、それは流石にないだろう。 常識的に考えて石よりも強くて使い勝手のいい素材はある、と思うが…微妙に元の世界の常識が踏襲されているのに肝心の部分で全力でそこから逸れるからな…断言はできんか…」

 

歯切れが悪くなるアーチャー。

その様子に疑問を感じたユウが尋ねる。

 

「アーチャーはこの世界のこと全部理解できたんじゃないの?」

 

令呪1画を使ってまで聖杯の知識を手に入れたのだから、このカクカク世界のことを全て理解したんだとユウは思っていた。

 

「いや、どうやらそこまでこの知識は万能ではないらしい。 材料となるブロックも今私が認識している物が全てだとするとあまりに少なすぎる気がする。 それこそ今話したように石よりも強い素材…例えば鉄や鋼などがあったとしても不思議ではない。 それに…」

とアーチャーは探索の時に体験した不思議な感覚を思い出す。

それはマスターと2人で延々石を叩き続けていた時のこと。

やっとの思いで壊した石の奥に黒い斑点のある石ブロックを見つけた。

それは石よりも硬く、壊すのに更に時間がかかってしまった。

それでも諦めずにポコポコと叩き漸く壊すと、出てきたのは石ブロックではなくなんと石炭だった。

その瞬間、アーチャーの頭にポーンとアナウンスが流れたのだ。

 

ー石炭、解禁でぇーす♪ー

 

と。

幻聴だと思いたかったが無理だった。

何故ならそのアナウンス後、石炭の使い道や石炭を必要とするアイテムのレシピがアーチャーの頭に浮かんだのだ。

「それが、この松明…」

 

「ああ。 実際ここに帰ってきてから浮かんだレシピ通りに作業台に木の棒と石炭を組み合わせたらそれができた。 以上のことから推察すると…」

・アーチャーが手にした知識は完全ではなく一部、もしくはかなりの部分が欠けている。

 

・まだ知らない素材は恐らく沢山あって、アーチャーが新しい素材をその目で確認するとその素材を使ったアイテムのレシピが追加される。

 

ということになる。

「後はまだ成功はしていないが、まだ私がレシピを確認していないアイテムがあったとして、それを作れるかどうか…」

 

「どういうこと?」

 

アーチャーの言っていることが理解できず、ユウが首を傾げる。

「ふむ…簡単に説明するとこの木のピッケル、木材3つと木の棒2つで作ることが出来る。 それを私は予め手にした知識から知っていた。ここまでいいな?」

 

アーチャーの確認にユウは頷く。

木を使った道具の作り方はアーチャーが教えてくれた。

 

「では仮に私がこの木のピッケルのレシピを知らなかったとして、偶然この素材をレシピ通りに作業台に配置した場合、成功とみなされ木のピッケルが出来るのか…それともレシピを知らない為失敗とみなされ何もできないのか…この違いは大きい」

「確かに…それがアリなら、適当に作業台に材料を組み込んで何か作れるかもしれない」

 

「まぁこれの確認を取るのはかなり難しい。 それにあと1つ、試したいことがある 」

 

「それは?」

 

「…いや、今はまだいいだろう。 あまり一遍に詰め込みすぎてもマスターに負担がかかる。それに…」

 

ぐぅぅぅ…と空気を読んだかのようなタイミングで音を出すユウのお腹。

うっ、と照れながらユウはお腹を隠す。

「早く肉を焼かなければ今にもマスターが餓死してしまいそうだ」

 

ククッと可笑しそうに笑いながらアーチャーが作業台から何かを取り出す。

 

「できたぞマスター」

 

「おお…これがかまど?」

 

確認しなければならないことはまだまだ山のようにあるが、今は空腹を解消するのが最優先事項だ。

アーチャーの手にあるソレを物珍しそうにユウが覗き込む。

「そうだ。 これで手に入れた肉を焼くことができる。 他にもできることはあるが、まぁ今日はいいだろう。 私としてはもっと手の込んだ物をつくりたいのだが今は焼けるだけでも僥倖か…」

 

残念そうにアーチャーは顔を顰める。

 

「アーチャーは料理が好きなの?」

 

「好き、というのも違う気がするが。 まぁ人に出せる程度の物を作れる自負はある。」

 

何か小難しいことを言いながらできたかまどを設置し始めるアーチャー。

素直に得意だ、の一言で済ませればいいのに…難しい性格だなぁとユウは苦笑してしまう。

それを口にするとまたアーチャーがあれこれ小難しいことを並べ立て拗ねてしまいそうな気がするので、黙って肉を何個か用意する。

 

「これで…ここに石炭を置いて…よし、マスター、肉をここに置いてくれ」

 

「分かった」

 

アーチャーの指示に従いユウはかまどに肉を置く。

数秒後、アーチャーもユウも何もしていなのに勝手にかまどの内側に火が灯った。

 

「松明の時も思ったけど、なんで勝手に火がつくんだろうね?」

 

その不思議光景に首を傾げるユウ。

アーチャーもお手上げと言わんばかりに肩を竦め首を振る。

 

「こればかりは私にもなんとも…もうこういうものだと無理矢理納得するしかないな」

 

「そう、だよね…火をおこす手間が省けてラッキー♪って思っとくのが正解だよね」

 

「ああ…不本意だがな…」

 

この世界で起こる不思議現象や不思議は必要なこと以外、見なかったことにするか深く考えないのが2人が今日1日で見出した攻略法だ。

いちいち気にしていては身がもたない。

ユウは何故火が勝手につくのか考えるのをやめて、肉が焼けていることを素直に感謝してご飯が出来上がるのを待つことにした。

 

ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…

 

「!?」

 

静かな空間に突然大きな音が鳴り響いた。

その音のあまりの大きさにビックリしてユウは飛び上がった。

 

「な、何っ!? 今の音!?」

素早く辺りを確認する。

自分達以外の何かがたてた音なのか。

だとしたら…ひょっとすると敵襲!?

来て欲しいとは思ったがまさかこんなタイミングで!?

しかしユウも一介の魔術師。

突然の敵襲程度で取り乱したりはしない。

迎撃態勢を取るべくアーチャーの側に駆け寄る。

 

「アーチャー! 今の音、一体どこか…ら…?」

 

結果からいうと、敵襲なんて、なかった。

 

「ま、まさか…サーヴァントの私が空腹に!?」

 

音の発生源はアーチャーのおなかでした。

 

 




ぼくがかんがえたかっこいい設定集


ふぇいと…頑張るけど細かいところはスルーしちゃう。ぽいことは書く。



まいくら…バニラだよ。





ちょっと細かいこと(オリジナル設定というかルール?)


・ブロックは叩くと壊れます。



・硬いもの程時間がかかります。



・壊したブロックはまんまのおおきさでそこらへんに転がります。


・拾った人が邪魔だなって思うとちっちゃくなります。



・設置したい場所におくと元の大きさに戻ります。



Q&Aこーなー

Q,どうやって沢山のブロックやアイテムを持ち運んでるの?

Aあまり気にしちゃいけません。作者はなんかアニメポ◯モンのあのボールみたいな感じでイメージしてます。

が、スタックとかそういう量の話になると…ポケットに入ってるんじゃないの程度の感じで流して欲しい…

Q,他のサーヴァントは?
A,いるよ




結局、サーヴァントとほのぼのマイクラ生活が書きたい!という見切り発車だから、いろいろごめんなさい。
サーヴァントとと仲良くしたいのです。

許してね。




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