ソードアート・オンライン〜黒の剣士と神速の剣士〜   作:ツン

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第2話 遊びが終わを告げ、デスゲームが始まる

気付くと俺たちは始まりの町の中央広場にいた。

周りには沢山のプレイヤーがいた。

恐らく俺たちと同じ様に強制転移させられたのだろう。

その顔には動揺と混乱が映し出されており、「どうなってるんだよ!」「説明しろよ!」と口々に叫んでいた。

キリト達は訳がわからないといった様子で呆然としてると、何処からか「上を見ろ!」と誰かが叫ぶ。

それを聞き俺たちを含めたほぼ全てのプレイヤーが上を見た。

100メートル上空、第ニ層の底を真紅の文字《Warning》と《System Announcement》が浮かび上がり、その直後身長二十メートルぐらいはある真紅のフード付きローブを纏った巨大な人の姿をした何かが現れた。

不意に巨大なローブの右袖が動き、それに続いて左袖もゆるゆると掲げられた。直後、低く落ち着いた、よく通る男の声が、遥かな高みから降り注いだ 。

 

 

「プレイヤーの諸君、私の世界へよるこそ。

私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。

プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。

繰り返す。これは不具合ではなく《ソードアート・オンライン》本来の仕様である。

諸君は今後、この城の頂を極めるまでゲームから自発的にログアウトすることはできない。

また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止あるいは解除もあり得ない。

もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号粒子が発する高出力マイクロウェーブが諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる。

より具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み、以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。

この条件はすでに現実世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果……残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界からも永久退場している。

だが、諸君が向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。

現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。

諸君のナーヴギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。

今後、諸君の現実の体はナーヴギアを装着したまま2時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。

諸君には、安心してゲーム攻略に励んでほしい。

しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって《ソードアート・オンライン》は、すでにただのゲームではない。

もう一つの現実と言うべき存在だ。

今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。

ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される。

諸君らがこのゲームから解放される条件はだった1つ。

先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着きそこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。

その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう。

それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。

諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントが用意してある。

確認してくれ給え」

 

……ん?ちょっと待って。プレゼントなんて聞いてないよ。

 

そう思いながらウインドウを出してアイテムストレージを見る。

すると1番上に《手鏡》というアイテムが表示されていた。

俺はそれをタップして取り出した。

《手鏡》を見ると、自分(といってもSAOキャラのだが)が映っていた。

それを見ていると周りのプレイヤー達が次々と青白い光に包まれていた。

そして俺たちも青白い光につつまれ、プレイヤー全員が青白い光に包まれた。

青白い光が収まり周りを見ると顔が変わっていた。

俺はまさかと思い《手鏡》を見た。

残念ながら俺の予想ははずれなかった。

《手鏡》にはSAOキャラの自分ではなく、現実世界の自分が映っていた。

横を見るとクラインとキリトも顔が変わっていた。

クラインの顔は、まぁこんな状況でも見ると本当に面白かった。

キリトは中性的な整った綺麗な顔だった。

 

現実世界ではモテるんだろうなぁ〜

 

俺の顔は、良く家族などに中性的でほんの少し格好いい顔と言われているが自分では何処にでもいる平凡な顔だと思っている。

体型まで現実と同じなのはキャリブレーションをやったからだろう。

そう思っていると茅場先生は話し始めた。

 

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。

なぜSAOおよびなーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と。

私の目的はそのどちらでもない。

それどころか今の私にはすでに一切の目的も、理由も、持たない。

なぜなら、この状況こそ私にとっての最終的な目的だからだ。

この世界を創りだし、鑑賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。

そして今、全ては達成せしめられた。

 

以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

茅場先生が説明し終わると、一時の静寂が訪れ、そして……

 

 

「嘘だろ……なんだよこれ!嘘だろ!」

「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!」

「こんなの困る!このあと約束があるのよ!」

「嫌ああ!帰して!帰してよぉぉぉ!」

 

 

悲鳴、怒号、絶叫、罵声、懇願、咆哮が中央広場を染める。

泣きながら叫んでいる者もいれば、まだ何が起きたのか理解出来ずに呆然としてる者もいる。

だがそんな中、動く影があった。

正直、俺はこの事を知っていたから動けるけど、他のプレイヤーが動けるのは意外だった。

そう思いながら横を見るとキリト達はいなくなっていた。

慌てて周りを見渡すとキリトがクラインを路地裏に連れて行くところだった。

俺はキリトのところへ走って行く。

 

「周辺のフィールドは狩りつくされるだろう」

 

路地裏の近くまで来るとキリトの声が聞こえた。

 

「2人とも何の話してるの?」

 

そう言うと2人は俺に気付きこちらを見た。

 

「カゲヤか。ちょうどいい。お前も俺たちと来てくれ。俺とカゲヤなら危険な場所も全て知ってる。レベル1でも安全な道も知ってる。だから今のうちに次の村を拠点にしたほうがいい」

 

「でもよぅ…」

 

クラインは気弱な声で言う。

 

「俺は他のゲームでダチだったヤツと徹夜で並んでこのゲームを買ったんだ。あいつらはまだ広場にいるはずなんだ。置いてはいけねぇ」

 

クラインの言葉にキリトは考え事をしていた。

しかし、次のクラインの言葉によりそれは阻まれた。

 

「悪ぃ、お前らにこれ以上世話になるわけにはいかねぇよ。だから気にしねぇで次の村いってくれ」

 

だが、その言葉にもキリトは暗い顔をしたままだった。

 

「俺だって前のゲームじゃギルドの頭張ってたんだ。お前らに教わったテクでなんとかしてみせらぁ!」

 

クラインは自信満々にそう言いきった。

 

「そうか……カゲヤは……」

 

「勿論、キリトと一緒に行くよ」

 

「わかった。ならクラインとはここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ」

 

「おう」

 

クラインは俺とキリトに向かって返事をする。

本当はクラインも来て欲しいんだろうな。ずっと顔暗いし。

キリトはクラインに背を向けるとそのまま外へと通じる通路を歩いて行く。

 

「キリトー‼︎」

 

不意にクラインがキリトを大声で呼び止めた。

少し離れていたが結構うるさかった。

だが、クラインは呼び止めたのはいいものの何を言おうか悩んでいるようだった。

そして決まったのか次の瞬間声が出てきた。

 

「おい、キリトよ…お前、案外可愛い顔してやがんな」

 

まさかの発言に俺は吹き出しそうになったが頑張って堪えた。

だが、次の発言で俺は我慢出来ず吹き出してしまった。

 

「結構好みだぜ?」

 

さすがのキリトもその発言には思わず振り向いた。

だが、さっきの言葉で心が和んだのか笑みを浮かべてクラインに言った。

 

「クライン!お前もその野武士面のほうが似合ってるよ!」

 

言い終わるとキリトは外へと通じる通路を走って行った。

俺もキリトを追いかけるように走る。

その途中で振り返りクラインに手を振りながら言う。

 

「またな!クライン!」

 

「死ぬなよ!カゲヤ!」

 

それを聞くと俺は前を向きキリトを追った。

 

キリトは町の外に出る門のところで待っていた。

 

「カゲヤはよかったのか?」

 

「問題ない。それにキリトについて行った方が安全だからな」

 

俺はキリトの横に立って言う。

 

「そうか。次の村まで突っ切るけど大丈夫か?」

 

「問題ない」

 

「わかった」

 

キリトは走ろうとしたが、俺はキリトの名を呼んで止めた。

 

「絶対クリアするぞ!」

 

「ああ!勿論だ!」

 

「よし!じゃあ、死ぬまで付き合えよ‼︎」

 

「ああ‼︎」

 

そう言って俺たちは次の村に向かって走り出した。

 

 

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