ソードアート・オンライン〜黒の剣士と神速の剣士〜   作:ツン

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第27話 神速と神速剣

 

先日新たに開通なった75層の主街区は古代ローマ風の造りだった。

名前は《コリニア》。

すでに多くの剣士や商人プレイヤーが乗り込み、また攻略には参加しないまでも街は見たいという見物人も詰め掛けて大変な活気を呈していた。

しかしその大半は別の目的で訪れていた。

転移門の前にそびえ立つ巨大なコロシアムでデュエルが行われるのだ。

そして現在、キリト、アスナ、カゲヤ、サキは転移門の前にいた。

 

「火噴きコーン10コル!10コル!」

 

「黒エール冷えてるよ〜!」

 

コロシアム入り口には口々にわめき立てる商人プレイヤーの露店がずらりも並び、長蛇の列をなした見物人にあやしげな食い物を売りつけていた。

 

「……ど、どういうことだこれは……」

 

「さ、さあ……」

 

「あそこで入場チケット売っているのはkobの人間じゃないのか?なぜこんなイベントになっているんだ?」

 

「さ、さあ……」

 

「ま、まさかヒースクリフの奴これが目的だったんじゃあるまいな……」

 

「いやー、多分経理のダイゼンさんの仕業だねー」

 

「あの人しっかりしてるからね〜」

 

アスナとサキはあはは、と笑いながら言う。

 

「さて、俺たちは観客席にいるから頑張れよ。キリト」

 

カゲヤはそう言うとサキと一緒にコロシアムの中へ入っていく。

その後、キリトとアスナはダイゼンにコロシアムの控え室に案内された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だったな、キリト」

 

控え室で落ち込むキリトにカゲヤが声をかける。

 

「あと少しだったのになぁ……」

 

キリトは椅子に座り項垂れながら悔しそうに言う。

キリトとヒースクリフのデュエルはヒースクリフの勝利で終わった。

キリトのソードスキルが全て防がれ、技後硬直を課せられた隙にヒースクリフに決定打を撃ち込まれたのだ。

 

「さて、そろそろ時間か。それじゃあ、行ってくる。」

 

「頑張ってね。カゲヤ君」

 

「ああ」

 

「私たちも観客席に行こうか」

 

「そうだな」

 

カゲヤは闘技場へ、キリトたちは観客席へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始を告げるアナウンスが響き、カゲヤは闘技場へと向かう。

カゲヤとヒースクリフはほぼ同時に闘技場の中へと入る。

その瞬間、歓声が一際高まる。

中央に達したところで2人とも立ち止まる。

 

「すまなかったなカゲヤ君」

 

「別に構わないさ。観客がいようがいまいが変わらないからな」

 

「そう言ってもらうと助かるよ。それともう1つ。カゲヤ君の相手は私ではなく別の者にしてもらうことになった」

 

「別の者?」

 

「ああ。来たまえ」

 

ヒースクリフが言うと控え室から1人のプレイヤーが出てきた。

 

「確かヴィクトだったか?」

 

「おや?知り合いだったのかね?」

 

「いえ、3日前に少し揉めまして……」

 

「今はそれはおいておこう。早く始めないと外野が煩くなりそうだからね。では、お互い神速の名のつくスキルを持つ者同士頑張りたまえ」

 

そう言うとヒースクリフは控え室へと戻っていった。

ヴィクトは素早くウインドウを出すとカゲヤにデュエルの申請を送る。

カゲヤは即座に受諾する。

勝負内容は《初撃決着モード》。

カウントダウンが始まると共に2人は少し距離をとり剣を抜き構える。

 

「この間はすいませんでした」

 

「もう気にしていないから大丈夫だ。それにサキからお前を許してやってと言われたからな」

 

「そうですか」

 

しばしの静寂ののちヴィクトが口を開いた。

 

「カゲヤさんに1つ頼みがあります」

 

「なんだ?」

 

「全力で戦ってくれませんか?あなたとは真剣に勝負したいと思っていたので」

 

「別に頼む必要はない。最初からそのつもりだ」

 

「ありがとうございます」

 

再びの静寂。

カウントダウンは残り10秒をきっていた。

数字が0に近づくにつれ両者とも集中力が高まる。

そしてカウントダウンが0になり『DUEL!!』の文字が弾けた。

その瞬間2人の姿は消え、気付いた時には鍔迫り合いになっていた。

カゲヤは神速スキル《3倍速》を、ヴィクトは神速剣スキル《AGIブースト》で敏捷値を300上げる。

その代わり、ヴィクトは装備のVITとDEX0にし武器の攻撃力を150まで下げた。

2人は同時に剣を弾くと距離をおき、2人とも静止する。

先に動いたのはヴィクトだった。

 

「ハァッ!」

 

ヴィクトは一気にカゲヤに近付くと短い気合いと共に突きを放つ。

カゲヤは回転して突きを避け、背後に回ると上段からの斬り下ろしを放つ。

ヴィクトは横に跳び避けると再び地面を蹴り剣を右下から左上に斬り上げる。

カゲヤはヴィクトの放ってきた攻撃を斬り上げで上に弾くと素早く剣を振り下ろす。

ヴィクトは剣を頭の上で水平に構えると左手で剣の腹を支えカゲヤの剣を受け止める。

数秒間鍔迫り合いになった後カゲヤが少し腰を落とし、左手でヴィクトの腹めがけて拳を振るう。

ヴィクトは咄嗟に後ろへ跳び回避するが、カゲヤは先読みし一気に距離を詰め右上から左下へ剣を振り下ろす。

 

「くっ……ラァッ!」

 

ヴィクトは仰け反って剣を避けるとその状態のままカゲヤの腹に向けて水平斬りを放つ。

カゲヤは後方へ跳び回避すると更に下がり距離をとる。

ヴィクトは体勢を立て直し剣を構える。

ほぼ同時にカゲヤも剣を構える。

2人は動かず、相手の出方を伺う。

数秒たったところで先にカゲヤが動き、少し遅れてヴィクトも動いた。

 

「シッ!」

 

気合い共にカゲヤは水平斬りを、

 

「フッ!」

 

ヴィクトも気合い共に上段からの斬り下ろしを放つ。

2人の剣がぶつかりお互いの後方へ抜けると同時に振り返る。

先にカゲヤがヴィクトに剣を右上から斜めに斬り下ろすがヴィクトはそれを右に弾き右から左下へ剣を振るう。

カゲヤはすぐに剣を戻し剣先を地面に向け垂直に持ち攻撃を防ぐと左からの水平斬り、右からの斜め斬り下ろし、そして斬り上げを繋げて放つ。

ヴィクトはカゲヤの攻撃を全て弾くと、負けじと突きを3回放ったあと回転斬りを放つ。

カゲヤは突きを全て避け回転斬りをバックステップで避けると突きを5回放ち、左上からの斜め斬り下ろし、右上からの斜め斬り下ろし、そして左からの水平斬りを繋げて放つ。

ヴィクトは突きを全て弾き、2回の斜め斬り下ろしを避け水平斬りを後ろに跳び回避する。

「一気に決める!!神速剣スキル《クイックネス・ソードスキル》」

 

神速剣スキル《クイックネス・ソードスキル》。

ソードスキルの発動時間を速くし、更に技後硬直(スキルディレイ)を短くする。

これでヴィクトはカゲヤとほぼ同じ状態になった……なるはずだった。カゲヤが加速状態を使わなければ。

カゲヤは一瞬で集中力を極限まで上げ、加速状態に入る。

しかし今回は浅く入っているため、カゲヤの外見に変化はないが纏う空気は変わっていた。

 

「来い……」

 

カゲヤの言葉と共にヴィクトは地面を蹴り、片手剣スキル3連撃技《サベージ・フルクラム》を放つ。

カゲヤは全て避けると片手剣スキル3連撃技《シャープネイル》を撃ち込む。

ヴィクトは技後硬直(といっても1秒もないが)から解放されカゲヤの放ったソードスキルを全て弾き、片手剣スキル4連撃技《ホリゾンタル・スクエア》を放つ。

カゲヤはさっきと同様にソードスキルを避けると片手剣スキル6連撃技《カーネージ・アライアンス》を放つ。

ヴィクトはカゲヤのソードスキルを全て弾くと片手剣スキル7連撃技《デッドリー・シンズ》を放つ。

片方がソードスキルを放ち、もう片方がソードスキルを弾く。そして弾いた方がソードスキルを放ち、片方がソードスキルを弾く。その応酬が繰り広げられる。

そして、ソードスキルを放つたびに連撃数も上がっていく。

 

「アストラル・ブレイカー!!」

 

数回のソードスキルの応酬を行った後、ヴィクトは神速剣スキル16連撃技《アストラル・ブレイカー》をカゲヤに放った。

しかし、カゲヤは神速剣のソードスキルを全て受け流す。

 

「スピーディー・フルクラム」

 

最後の一撃を剣で受け流すとカゲヤは神速スキル18連撃技《スピーディー・フルクラム》を放つ。

だが、このソードスキルもヴィクトは次々と弾いていく。

しかし、

 

「どうした?遅れているぞ」

 

「!!くっ……!ハァアアア!!」

 

ヴィクトは無理矢理カゲヤのソードスキルを弾くと神速剣スキル26連撃技《スターリィ・アクセル》を撃ち込む。

しかし、今度はカゲヤも同時にソードスキルを放った。

 

「ハッ!」

 

カゲヤはソードスキルが終了した瞬間に次のソードスキルの発動モーションに移りコンマ数秒でソードスキル、神速スキル26連撃技《インフィニット・サイクロン》を放つ。

ソードスキルとソードスキルが高速でぶつかり合う。

最後の一撃、ヴィクトは右上からの斜め斬り下ろし、カゲヤは左下からの若干斜めの垂直斬り上げを同時に撃ち込む。

2つの剣は激しくぶつかり、そしてヴィクトの剣が上方へと弾かれた。

ヴィクトは剣が弾かれたことによってソードスキルが強制終了され、 それと同時に体勢を崩した。

カゲヤはその隙を逃さず振り上げた剣を素早く振り下ろし、ヴィクトの無防備体へ撃ち込む。

ヴィクトはカゲヤの攻撃を防御できずもろに受けて地面に倒れた。

その直後、デュエルの終了を告げるシステムメッセージが出現しもの凄い音量の歓声が上がった。

 

「流石ですね。やはり俺では敵いそうにない」

 

ヴィクトは立ち上がりながらカゲヤに言う。

カゲヤは剣を鞘へ納めると応える。

 

「俺が強いのは全て神速スキルのお陰だからな。そんなに威張れないさ」

 

「カゲヤさんは神速スキルが無くても強いと思いますよ」

 

「そんなことはないさ」

 

カゲヤはそう言うと身を翻し、控え室へと戻って行く。

ヴィクトも踵を返し、控え室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闘技場の観客席のとある一角。フードを被った4人のプレイヤーがいた。

 

「どう思う?」

 

「まだ確信は持てないな」

 

「でも、ヒースクリフの最後のあの速さは引っかかるね」

 

「確かに……」

 

カゲヤとヴィクトのデュエルが終わると同時に1人が口を開き、他のプレイヤーが応える。

 

「確証はないがヒースクリフは黒だろう。だが他にもいる可能性があるからな……」

 

「カゲヤ君はどう?」

 

「まだわからないな。どっちが本来あるべきスキルかわかればはっきりするはずだ」

 

「ならどうする?」

 

「次のフロアボスで確かめよう。恐らくそこではっきりするはずだ。それにちょうどクォーター・ポイントだからな」

 

「確かにうってつけだな」

 

「よし。じゃあ戻ってみんなに報告しに行こう〜」

 

「そうだな」

 

4人のフードを被ったプレイヤーは静かに立ち上がると誰にも気づかれることなく闘技場を出て行った。

 




今回はユニークスキルとソードスキル紹介!
まずは神速剣スキル
・《AGIブースト》
AGIを50ずつ上げることが出きる。ただし、200からは他のステータスを下げなければならない。
・《クイックネス・ソードスキル》
ソードスキルの発動時間が速くなり、技後硬直が短くなる。
・神速剣のソードスキル
神速剣スキル16連撃技《アストラル・ブレイカー》
神速剣スキル26連撃技《スターリィ・アクセル》

続いて神速のソードスキル
神速スキル18連撃技《スピーディー・フルクラム》
神速スキル26連撃技《インフィニット・サイクロン》


カゲヤ「スキルが多くてややこしいと思うが次回もよろしくな」
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