ソードアート・オンライン〜黒の剣士と神速の剣士〜   作:ツン

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第28話 話し合い

 

 

翌日

 

キリト、アスナ、カゲヤ、サキの4人は血盟騎士団のギルド本部へと来ていた。

キリトとアスナは攻略のため一度本部に顔を出しに、カゲヤはヒースクリフに呼ばれサキはその付き添いで来ていた。

 

「しかしいきなり訓練だなんて大変だな」

 

ギルド本部のとある一室で目的の時間まで待っていたカゲヤが口を開く。

 

「まさか訓練があるなんて思ってなかったよ」

 

「今日は一緒にいられると思ったのに……私もついていこうかな……」

 

「すぐ帰ってくるさ。ここで待っていてくれ」

 

「うん、気をつけてね」

 

キリトは寂しそうに頷くアスナに手を振ってギルド本部を出て行った。

 

「そろそろ時間になるから俺も行ってくる」

 

「私はアスナと一緒にこの部屋で待ってるね」

 

「わかった」

 

カゲヤはそう言うと部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い螺旋階段を昇り鋼鉄の扉の前まで来るとカゲヤは一息ついて扉をノックした。

中からの返答と同時にカゲヤは扉を開け、机の前まで行くと座っているヒースフリフに向かって言った。

 

「話というのは?」

 

ヒースクリフは机の上で両手を組み合わせながら言う。

 

「先日のカゲヤ君のデュエルを拝見して手合わせ願おうと思ってね。どうかな?」

 

「お断りさせてもらう」

 

ヒースクリフの提案にカゲヤは即座に拒否した。

 

「理由を聞いてもいいかね?」

 

「理由は2つ。1つは神速スキルでは神聖剣の防御を抜くことは不可能だからだ」

 

「ほう。それで2つ目は?」

 

「プレイヤーがGM(ゲームマスター)に勝つのは不可能に近い。そうでしょう?茅場先生」

 

最後の言葉と共に2人とも沈黙し、円形の部屋が静寂に包まれる。

少し経ったあとヒースクリフがフッと笑みをこぼし口を開いた。

 

「よく気付いたね、カゲヤ君。……いや、祐也君と呼ぶべきかな?」

 

「先生はいつから気付いていたんですか?」

 

ソードアート・オンライン(このゲーム)のチュートリアルが終わった1時間後だったかな」

 

「GM権限ですか……」

 

「まぁ、そんなところだね。……それで、君は何故、私の正体がわかったのかね?」

 

「最初に疑問に思ったのは先生が《神聖剣》を使った時です。そして、先日のキリトとのデュエルで確信しました」

 

「そうか……やはりあの時システムのオーバーアシストを使ったのは失敗だったか」

 

ヒースクリフは苦笑しながら言うがカゲヤは表情を厳しくして言った。

 

「先生、次のフロアボスの討伐戦、HPを半分以上減らすようにしてください」

 

「何故かね?」

 

「オーバーアシストを使ったことで先生の正体に気が付いたプレイヤーがいる可能性が高いからです。現に何人かローブ姿の怪しいプレイヤーがいましたよ」

 

「そうか。では、気を付けておくとしよう」

 

カゲヤは一息吐くと話題を変えてヒースクリフに話しかけた。

 

「それとずっと先生に聞きたかったんですが何故神速スキルを俺に渡したんですか?」

 

「メッセージ通り、ソードアート・オンライン(このゲーム)を完成させるのに協力してくれた感謝の気持ちだよ。それとも気に入らなかったかね?」

 

「いえ、自分の作ったスキルを使えるのは嬉しいですが……俺が言いたいのは何故、神速剣ではなく神速を渡したのかです。神速スキルはSAOには出さないはずのスキルだったはずですが?」

 

「確かに出さない予定だったが、作ったのに使わないのは勿体無いと思ってね」

 

「神速剣でもよかったんじゃないですか?神速が元になっているんですし……」

 

「細かいことはいいじゃないか。それに神速スキルのお陰であのスキルが早い段階で習得できたんだ。神速剣では無理だったと思うが?」

 

「それもそうですが……あのスキルあまり使い勝手が良いとは言えません」

 

「どういうことだね?」

 

ヒースクリフは不思議そうな顔をして聞く。

 

「ソロなどの単独行動なら使えますが、パーティーやレイドの場合は攻撃範囲が広すぎて味方に当たってしまいます」

 

「確かにそうだね」

 

「それにあのスキルはもう使うことはないかもしれないですから」

 

「確か、守るため以外には使わない、だったかな?」

 

「はい……」

 

「まぁ、使うか使わないかは君次第だ。私はとやかく言うつもりはないよ」

 

そこまで話し、一息入れると今度はヒースクリフが話題を変えた。

 

「前置きはここまでにして本題に入ろう。カゲヤ君、ギルド、血盟騎士団に入ってもらえないかな?」

 

「お断りします」

 

今回のヒースクリフの提案にもカゲヤは即座に拒否した。

 

「いくら先生が作ったギルドでも入ることは出来ません」

 

「やはり信用できないのかね?」

 

「ええ。信用出来るとすれば先生、サキ、キリト、アスナぐらいですかね」

 

「そうか。もし入る気になったらいつでも声を掛けてくれたまえ」

 

「俺がギルドに入ることは無いですよ。先生も知っているでしょう。俺は、『ポーン』……」

 

カゲヤが話している途中でメッセージの着信音が鳴りカゲヤは口を噤む。

カゲヤの視界には《メッセージ:1件》とシステムメッセージが表示される。

 

「私のことは気にせず確認したまえ」

 

そう言うヒースクリフにカゲヤは軽く頭を下げると素早くウインドウを開きメッセージを確認する。

 

「どうしたのかね、カゲヤ君」

 

メッセージを見た途端カゲヤの表情が少し厳しくなるのを見てヒースクリフは眉をひそめながら聞いた。

 

「サキからのメッセージだったんですが、内容が少し穏やかじゃありませんでした」

 

「何かあったのかね?」

 

「アスナが血相を変えて飛び出して行った、と書いてありました。恐らくキリトに何かあったんだと思います」

 

カゲヤは素早く身を翻して扉へと歩く。

 

「キリト君達は今、迷宮区前にいるみたいだね。ここから約5キロメートルの距離だ」

 

「話の途中にすいません、先生。行かせていただきます」

 

「早く行けたまえカゲヤ君。間に合わなかったら元も子もないからね」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うとカゲヤは勢いよく扉を開け全速力で階段を駆け下りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸運を祈っているよ。カゲヤ君」

 

カゲヤが出て行った後、1人部屋に残ったヒースクリフがぽつりと呟いた。

 

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