ソードアート・オンライン〜黒の剣士と神速の剣士〜   作:ツン

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第40話 不幸な知らせ

キリトside

 

 

「偵察隊が全滅!?」

 

2週間ぶりにグランザムの血盟騎士団本部に戻った俺たちを待っていたのは、衝撃的な知らせだった。

ヒースクリフは顔の前で骨ばった両手を組み合わせ、眉間に深い谷を刻んでゆっくり頷いた。

 

「昨日のことだ。75層迷宮区のマッピング自体は時間は掛かったがなんとか犠牲者を出さずに終了した。だがボス戦はかなりの苦戦が予想された……」

 

それは俺も考えないではなかった。

なぜなら、今まで攻略してきた無数のフロアのうち、25層と50層のボスモンスターだけは抜きん出た巨大と戦闘力を誇り、どちらの攻略においても多大な犠牲が出たからだ。

クォーター・ポイントごとに強力なボスが用意されているなら75層も同様である可能性は高い。

 

「……そこで、我々は5ギルド合同のパーティー20人を偵察隊として送り込んだ」

 

ヒースクリフは抑揚の少ない声で続けた。

 

「偵察は慎重を期して行われた。10人が後衛としてボス部屋入り口で待機し最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉じてしまったのだ。ここから先は後衛の10人の報告になる。扉は5分間以上開かなかった。鍵開けスキルや直接の打撃等何をしても無駄だったらしい。ようやく扉が開いた時は……」

 

ヒースクリフの口許が固く引き結ばれた。

一瞬目を閉じ、言葉を続ける。

 

「部屋の中には何も無かったそうだ。10人の姿も、ボスもきえていた。転移脱出した形跡も無かった。彼らは帰ってこなかった……念の為、基部フロアの黒鉄宮までモニュメントの名簿を確認しに行かせたが……」

 

その先の言葉は出さず、首を左右に振った。

俺の隣でアスナが息を詰め、絞りだすように呟いた。

 

「10………人も………なんでそんなことに………」

 

「結晶無効化空間……?」

 

俺の問いをヒースクリフは小さく首肯した。

 

「そうとしか考えられない。アスナ君の報告では74層もそうだったということだから、おそらく今後全てのボス部屋が無効化空間と思っていいだろう」

 

「バカな……」

 

緊急脱出不可となれば思わぬアクシデントで死亡する者の可能性が比較的に高まる。

死者を出さない、それはこのゲームを攻略する上での大前提だ。

だがボスを倒さなければクリアも有り得ない……

 

「いよいよ本格的なデスゲームになって来たわけだ」

 

「だからと言って攻略を諦めることはできない」

 

ヒースクリフは目を閉じると、きっぱりとした声で言った。

 

「結晶による脱出が不可な上に今回はボス出現と同時に背後の退路を絶たれてしまう構造らしい。ならば統制の取れる範囲で可能な限り大部隊をもって当たるしかない。新婚の君たちを召喚するのは本意ではなかったが了解してくれ給え」

 

俺は肩をすくめて答えた。

 

「協力はさせて貰いますよ。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状況になったらパーティー全体よりも彼女を守ります」

 

「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君の勇戦を期待するよ。攻略開始は3時間後。75層コロニア市ゲートに午後1時集合だ。では解散」

 

それだけ言うとヒースクリフとその配下の男たちは一斉に立ち上がり、部屋を出て行った。

 

 

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