ソードアート・オンライン〜黒の剣士と神速の剣士〜   作:ツン

41 / 41
第41話 ボス攻略へ

 

75層コロニア市のゲート広場には、すでに攻略チームと思しき一見してハイレベルと判るプレイヤーたちが集結していた。

俺とアスナがゲートから出て歩み寄っていくと皆ぴたりと口を閉ざし緊張した表情で目礼を送ってきた。

中には右手でギルド指揮の敬礼をしている連中までいた。

俺は大いに戸惑って立ち止まったが隣のアスナは慣れた手つきで返礼し俺の脇腹を小突いた。

 

「ほら、キリト君はリーダー格なんだからちゃんと挨拶しないとだめだよ!」

 

「んな……」

 

ぎこちない仕草で敬礼する。

今までのボス攻略戦で集団に属したことは何度もあったが、このように注目を集めるのは初めてだ。

 

「よう!」

 

景気良く肩を叩かれて振り返ると、刀使いのクラインが悪趣味なバンダナの下でにやにや笑っていた。

驚いたことにその横には両手斧で武装したエギルの巨体もあった。

 

「なんだ……お前らも参加するのか」

 

「なんだってことはないだろう!」

 

憤慨しそうにエギルが野太い声を出した。

 

「今回はえらい苦戦しそうだって言うから、商売を投げ出して加勢に来たんじゃねぇか。この無視無欲の精神を理解できないたぁ………それと」

 

そう言うとエギルは後ろにいる複数のプレイヤーを親指で指差して言った。

 

「あいつらも来てるぜ」

 

エギルの指差した方にはジョンと複数のプレイヤーがいた。

ジョンは目が合うと大きく手を振ってきた。

周りにいたプレイヤーは軽く会釈する。

ジョン以外名前も顔も知らないプレイヤーだったが軽く会釈をし返す。

その後、ジョン達は何処かへ行ってしまった。

 

「エギルは知り合いなのか?」

 

「あぁ、店で何度か話したことがあるぞ」

 

エギル達と話をしていると転移ゲートから新たな数名が出現した。

真紅の長衣に巨大な十字盾を携えたヒースクリフと、血盟騎士団の先鋭だ。

彼らの姿を目にすると、プレイヤーたちの間にふたたび緊張が走った。

 

「欠員はないようだな。よく集まってくれた。状況はすでに知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが諸君の力なら切り抜けられると信じている────解放の日のために!」

 

ヒースクリフの力強い叫びにプレイヤーたちはいっせいにときの声で応えた。

俺の視線を感じ取ったようにヒースクリフはこちらを振り向くとかすかな笑みを浮べ言った。

 

「キリト君、今日は頼りにしているよ。《二刀流》、存分に揮ってくれたまえ。それと、ジョン君たちも頼りにしているよ」

 

低くソフトなその声にはわずかな気負いも感じられない。予想される死闘を前にしてこの余裕はさすがと言わざるを得ない。

 

「では、出発しよう。目標のボスモンスタールーム直前の場所までコリドーを開く」

 

言って、腰のパックから濃紺色の結晶アイテムを取り出すと、その場のプレイヤーたちから「おぉ……」という声が漏れた。

ヒースクリフは結晶を握った右手を高く掲げると「コドリー・オープン」と発声した。

クリスタルは瞬時に砕け散り、彼の前の空間に青く揺らめくひかりの渦が出現した。

 

「では皆、ついてきてくれたまえ」

 

俺たちをぐるりと見渡すとヒースクリフは紅衣の裾をひるがえし、蒼い光の中へと足を踏み入れた。

その姿は瞬時に眩い閃光に包まれ消滅する。

間を置かず、4人のKoBメンバーがそれに続く。

いつの間にか転移門広場の周囲にはかなりの数のプレイヤーが集まってきていた。

ボス攻略作戦の話を聞いて見送りに来たのだろう。

激励の声援が飛ぶ中、剣士たちは次々と光のコリドーに飛び込み、転移していく。

最後に残ったのは俺とアスナだった。

俺たちは小さく頷きあうと手を繋ぎ、同時に光の渦へと体を躍らせた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。