その身に宿すはキングストーンⅡ 作:桐生 乱桐(アジフライ)
相変わらずの出来なのでいろいろとお察し
誤字脱字を見かけたらご報告お願いします
ではどうぞ
―――ふぅーははは! ここが貴様の墓場だ乳龍帝ッ!!
―――何を! この乳龍帝、キサマら闇の軍団に負けるはずがない!
そう返し画面の中の兵藤そっくりの人物はその身を変えた
それは現実の兵藤の禁手そのものだ
今現在、グレモリー眷属、イリナ、アザゼル、そして梓馬浩太郎の一行は兵藤家地下一階の大広間で一本の特撮作品を鑑賞している
その作品とは〝乳龍帝おっぱいドラゴン〟
…うん、誰が元ネタかは想像しやすいが、我が友人兵藤一誠が主演である
とは言っても彼本人が演じているのではなく、彼に背格好が似てる別の役者にCGを用いて兵藤の顔をはめ込み合成してるのだ
「…始まってすぐに冥界で大人気らしいですよ。この作品」
「冥界レベル高ぇなおい」
浩太郎の膝上に座っている小猫が尻尾をフリフリと揺らしながらそんなことを呟いた
っていうかいつの間に兵藤が主役の作品が仕上がっていたんだ
あらすじはこう
伝説のドラゴンと契約した若手悪魔〝イッセー・グレモリー〟、彼は悪魔に敵対する邪悪な組織と戦う正義のヒーローだ
おっぱいを愛し、おっぱいのために戦う戦士、邪悪な悪事を働く輩を倒すために、おっぱいドラゴンは今日も戦う…!
そんな話だ
契約という話を聞くと〝龍騎〟を思い出すがこの世界はあんな欝展開ではなさそうだ
本人はどう思ってるんだろうか
ちなみに著作権とかはグレモリー家が仕切っているようで、この作品のおかげでだいぶ稼ぎ始めたようだ
おまけにグッズも発売されたとかなんとか
「この番組の鎧、本物にそっくりだね。すごい再現度だよ」
木場が頷きながらもくもくとポップコーンを食している
まぁ確かに再現度がすごいだろう、造形とか怪人のデザインをした人のセンスが光る
―――行くぞ、邪悪な怪人よ!
そう言ってドラゴンキックとか言いながら飛び蹴りを使う乳龍帝
なんだろう、ライダーキックに似てる気がする
いや、飛び蹴りなんだから多少似るには仕方ないだろうけど
―――おっぱいドラゴン! 来たわよ!
―――スイッチ姫!
駆けつけたのはドレスを着込んだリアス―――の、背格好が似てる人だ(顔はやっぱりはめ込み合成である)
乳龍帝がスイッチ姫に駆け寄りなんでかスイッチ姫の胸にタッチする
するとなぜか乳龍帝の姿が赤く輝き、その力を取り戻していた
なんだこの展開
「味方側によ、スイッチ姫っていうキャラがいるんだよ。んで、ピンチになったらスイッチ姫の乳を触ることで、無敵におっぱいドラゴンになるのだ!」
ノリノリで解説するアザゼル
ヒロインの胸触ってパワーアップするヒーローなんか聞いたことないよ
そんなアザゼルの頭をリアスがどこからか持っていたハリセンでぶっ叩いた
まぁ叩かれても仕方ない
「グレイフィアに全部聞いたわよ。す、スイッチ姫の原案はアナタだって。…おかげで私が、こ、こんな目に…!」
拳を握ってプルプルと震えていた
顔を真っ赤にして怒りに耐えている様子だ
まぁ恥ずかしいだろう
「いいじゃねぇか。ガキどもから支持を得るようになってお前の人気が高まったという話だぜ?」
とんだ羞恥プレイである
「もう冥界を歩けないわ…」
「ははは…俺もっス…」
リアスは顔を赤くし、兵藤が苦笑いを浮かべる
冥界の子供たちが二人を指してあ、スイッチ姫だ! とかおっぱいドラゴンだ! と喜んで駆け寄ってくる姿が目の浮かぶ
そしてもうひとり、嘆いてる人(?)がいる
<もうどうでもいいじゃないか。…俺とお前は乳龍帝だ…>
かの伝説のドラゴン、ドライグその人だ
<―――くっくくく。かつてはあんなに恐れられた伝説の赤き龍が今となっては! あっはは! こんなの笑っちゃうに決まってるじゃない!>
そんな風に浩太郎の中で爆笑するのは先代ブラックサンでもあるメリーディエース・ルークス、通称メリディだ
五万年という永すぎる寿命を全うし、現在は浩太郎の中にあるキングストーンにいるお方だ
時たまトレーニングに付き合ってくれる気さくな人だ
<いいじゃないドライグ。なかなかできない経験よ、今の生を噛み締めておきなさいな>
<ふ、ふふふ。あぁ、本当に飽きないよ。これから先もコイツとは付き合いがあるのだからな…ふふふふふ>
声のトーンがすごい低い
大丈夫かな、さすがに心配になってきたぞ
「でもでも、幼馴染がこう有名になるのって鼻高々でもあるよねー」
イリナがきゃっきゃとはしゃぎながら呟いた
この子はこの番組をエンジョイしているようで何よりだ
ちなみに彼女は天使であるが、持ち前の明るさでオカルト研究部に溶け込んでいる
一応部員ではあるしね
「そういえばイッセー君って小さなころ特撮ヒーロー大好きだったよね。私も付き合って遊んでたわ」
そう言って彼女は笑顔を見せた
彼女に頷くように笑いながら兵藤が
「そういえばやったなぁ。あの頃のイリナは男っぽくてやんちゃばっかりしてた記憶があるぜ。それが今じゃ美少女なんだから、成長ってわかんないよ」
「もう! イッセーくんったらそんな風に口説くんだから。…そんな風にリアスさんたちを口説いていったのね! お、恐るべし潜在能力だわ、あぁ! 堕ちちゃう! 堕天使に堕ちちゃうぅぅぅ!」
なんかイリナの羽が白、黒と点滅していった
ウルトラマンのカラータイマーみたいだ
天使が欲に負けたり悪魔の囁きを聞くと大変だと断片的に聞いていたがこうなるのか
それを見てアザゼルが笑い出す
「堕天歓迎だぜ、ミカエル直属の部下だ、特別待遇で席を用意してやる」
「やぁぁぁっぁ! 堕天使ボスが私を勧誘してくるのぉぉぉぉぉ! お助けくださいミカエル様ぁぁぁぁぁ!」
涙目で天井に祈りを捧げるイリナ
彼女には申し訳ないが、見てて愉快だ
「けどイッセーさんが有名になるってなんだか嬉しいです」
「だな、眷属のいい宣伝になる」
浩太郎の隣に座っているアーシアや、彼女の隣に座っているゼノヴィアもそれに同意する
まぁ確かに結果を言えばこの番組は成功だといえるだろう
そんななかなんとなく浩太郎は天井を見上げ、ふと思う
「どうしたんですか浩太郎さん」
「いや、なんだろ、つい最近は普通に平凡な人生を過ごすんだなぁって思ってたんだけど」
そう言って浩太郎はあたりを見回した
兵藤を巡ってどちらがデートするかを静かに言い合ってるリアスと朱乃、隣で楽しそうに談笑しているアーシアとゼノヴィア、未だに笑いながら勧誘しているアザゼルに必死に祈って対抗するイリナ、そしてそんなみんなを見て笑っている木場…この部は本当に賑やかだ
「人生って、何が起こるかわかんねぇな、と今改めて思ってたんだよ」
そう言って浩太郎は膝上に座っている小猫の頭を撫でた
撫でられた彼女は、目を細めて手を受け入れ、小さく微笑んだ
◇
そんな翌日のことである
いつもどおりオカルト研究部のメンバーと一緒に学校へと歩いていく道すがらだ
不意に目の前の電柱の影から、妙な人影が姿を現した
今時珍しい、黒いローブを着込んでいる
体型から察するに、女性だろうか
彼女は浩太郎の前に歩いていた
浩太郎は仲間や友達を守るべく、前に出る
目の前の女は言った
「―――梓馬浩太郎、ですか」
「そうですが、何か」
「ご無礼ながら―――確かめさせてもらいます!」
彼女はローブを脱ぎ捨てその身をさらした
黒い髪にポニーテール、服装は忍び服のようなものを着込んだ彼女は両手にはなんか十手のようなやつが握られていた
新手の敵か
一気に詰め寄ってきた女は浩太郎へと攻撃を仕掛けてきた
右へ左へと体を動かし、その攻撃を裁き、一度バックステップで距離を取った
その隙を縫うように木場やゼノヴィアがそれぞれ獲物を携えてその女性へと駆けた
しかし女性は二本の十手のような獲物で器用に二人の攻撃を捌き切ると、再度こちらに攻撃を仕掛けてくる
だが今度はこちらも受け手には回らない、相手の攻撃をいなし、避け捌く
両手を交差して上段を狙った攻撃に身を下げて回避し、彼女の腹部に掌底を打ち込む
多少ひるんだその一瞬、相手の首筋に浩太郎はサタンサーベルを突きつけた
僅かな沈黙
浩太郎は一つ聞いた
「…なんでお前には殺気がない。俺たちを殺しに来たんじゃないのか」
「仮に殺しに来るなら、こんな堂々と来ませんよ。ようやく会えました。ブラックサン殿!」
彼女は獲物を仕舞うと唐突に満面の笑顔を作り、ずざざ、とその場に膝まづいた
頭に疑問符を浮かべ、わけがわからない、と周囲に助けを求めるがリアスらもよくわからないといったふうに首を振るだけだ
女性は続けた
「私は十三代目霞のジョー! 先祖代々、ブラックサン様に仕えてきた家系です! ようやく―――ようやく出会うことができました! ブラックサンさま!」
輝くようなその笑顔
―――拝啓お母様、また面倒なことになりそうです―――
SAOが終わるまでは書かない予定でしたがあっちのほうが難航してるのでちょっと書きました