その身に宿すはキングストーンⅡ   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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時間あきました
すいませんでした(土下座

時間かけておきながらいつもの出来で申し訳ないですが、どうかご容赦を

ではどうぞ

※誤字脱字見かけましたらご報告を




翌日

浩太郎はグレモリー眷属一行と一緒に冥界でのイベントに参加していた

主役はおっぱいドラゴンこと兵藤一誠

なんでも握手とサイン会らしい

 

兵藤たちの前には長蛇の列ができ、彼は子供一人ずつにサインを握手を渡してく

こう見ているとおっぱいドラゴンって人気なんだなぁ、なんて思っていたり

子供たちはサインを受け取ると「頑張ってねおっぱいドラゴン!」という言葉とともに満面な笑顔を浮かべる

冥界では大人気な兵藤なのでした

 

「スイッチ姫! すいっち!」

「きゃ」

 

兵藤の横でサインと握手を同じようにしていたリアスが小さい悲鳴を上げる

それは子供がリアスの胸を突っついていたのである

 

「くぉぉぉらぁぁぁぁぁ! 部長の触っちゃダメぇぇぇぇぇぇ! それは俺のなのぉぉぉぉぉ!」

 

泣きながら子供に注意する兵藤

残念すぎる

今度はちらりと木場の方を見てみたり

彼はおっぱいドラゴン作中での敵役、〝ダークネスナイトファング〟に扮し、女性ファンにサインと握手をしていた

なんでも敵幹部らしいのだが

 

そして自分もまた、そんなことを思いながらも目の前のファンであろう女性に微笑みとサイン、そして握手を送っている

そう、なんか知らないうちに人気シリーズとなっていたこの作品の第二クール…? 以降に登場するキャラクターとしてどういうわけかRXが〝マスクドライダー〟という名称で登場するらしいのである

立ち位置としてはピンチな時に颯爽と現れて手助けしてくれたり一緒に闘ってくれたりする、そんなキャラらしい

そしてその従者として追従している〝キャットブラック〟とやらに小猫が扮し、浩太郎の横で大きいお友達の応対をしていた

ちなみに人間形態の出演は〝今のところ〟ないらしく、声の方も冥界の声優さんが当てているらしい

それでいいけども

 

サイン会も一通り終了し、浩太郎はふぅ、と一息をついていた

現実でもこういったサイン会は見かけたことがあるが、ああいったアイドルの人たちはこんなことをやっているのか

すごいな、とアイドルの人たちに敬意を評していたとき、スタッフさんが歩いてきた

 

「お疲れ様です、浩太郎様」

「あ、レイヴェル。お疲れ」

 

そう言ってタオルを持ってきてくれたのはレイヴェル・フェニックス

以前ぶちのめしたライザーの妹君だ

理由は不明だが彼女はこちらが冥界でイベントを開くと聞いたときアシスタントとして協力を申し出てくれたのだ

 

「こ、これも修行の一環です。冥界の子達に夢を与える立派なお仕事だと思えるからこそお手伝いを申し出たのです。別に、イッセーさんや浩太郎様、グレモリー眷属のためではありませんわ!」

 

ツンデレか

とまぁ口は悪いけれどこの子、根は真面目だと思っている

 

「…そうだね。できることなら、彼らの夢を守り、希望の光を照らし続けたいと思うけれども…」

 

しかしその思いは、今の浩太郎では未熟でとても実現できそうにない

それでも、あの子供たちが笑っていてくれるなら、きっとこれからも戦っていけるだろう

 

「コウタロウ、そろそろ時間よ」

「了解です。…そういえば、あのおっさんの護衛しないといけないんだっけ」

「えぇ。早く戻らないといけないわ。…レイヴェルもお疲れ様、今日はありがとう」

「い、いえ、勉強のためですから」

 

リアスのお礼の一言にレイヴェルは頬を赤くする

 

「じゃあまた」

「はい。イベントの時は是非読んでください。わたくしでよければ、その、手を貸しますから」

 

短いやりとりをしたあと、浩太郎は眷属一行と一緒に人間界へと帰っていった

…今後イベントをやるとして、自分の立ち位置はどうなるのだろうか

 

◇◇◇

 

イベントを終えてオーディンの日本観光に付き合わされたあと、男組である木場、兵藤、ギャスパーらは戦闘訓練を行っていた

その訓練風景を離れたところで浩太郎は眺めていた

客観的にそういった戦いを見ているとやっぱりみんながどれだけ強くなったのかよくわかる

兵藤も鎧を自在に纏えるようになったし、木場も更に素早くなっている

 

<強くなったわね、グレモリー眷属の子達>

「ここまで色々くぐり抜けているんだ。そりゃあね」

 

内側にいるメリディとそんな会話を繰り広げる

自分はいつぞやのディオドラのようなことがない限りレーティングゲームに参加することはなさそうだし、彼らの特訓に部外者の自分がしゃしゃり出ても仕方ない

 

<けどレーティングゲームって、結構キツいわよ?>

「キツイ? どんな風に」

<そおね。基本的にキングが生きてれば割とどうにかなるゲームだから…取捨選択ね。瀕死の仲間とピンチのキング。貴方ならどっちを助ける?>

「普段なら両方だというんだが。ゲームだものな、そりゃあキングを助けるだろう」

<その割り切りね。ゲームをしていれば、〝見捨てる〟という選択をしなくてはいけないときが必ず来るの。…貴方にはできない選択でしょう?>

「あぁ、俺には出来ないな」

 

そもそも〝見捨てる〟という選択肢自体浩太郎は考えない

助けられるなら迷わず手を伸ばしてしまうだろう

そんなことを考えて、自分はやっぱりキングは向かないと悟る

 

<グレモリーはみんな愛情深いからね。簡単なことに見えてものすごく酷なことよ? 〝切る〟ってことは>

「だろうね。…悪魔ってのは難しいなぁ」

 

時間ですぅと言いながらぴょんぴょん飛び跳ねるギャスパーの合図と共に木場と兵藤も戦闘訓練を終了させる

今回は引き分けに終わったようだ

 

<ところでさ、ジョーは最近どう? 頑張ってる?>

「ジョー? あぁ、飛鳥のこと? そうだ、ね。あんまり実感わかないけど、一家に馴染んでるし、頑張ってると思うよ?」

<あら、いつの間に本名で呼ぶ仲になってるの? 小猫ちゃんが嫉妬しちゃうわよ?>

 

現界していなくともめっちゃニヤニヤ笑ってる姿が想像できる

ちなみにその当の飛鳥は小猫たちと一緒にいる

最近は小さくではあるが素の笑顔を浮かべるようになってきていた

 

<まぁなんでもいいわ。あ、そうそう。オーディンのジジィのことだけど>

「うん?」

<もし面倒なことしでかしたらぶん殴っていいからね>

 

ホントこの人オーディンのオッサン嫌いだなぁ

そんなことを考えながら時間は過ぎていった

 

◇◇◇

 

オーディンのオッサンが来て数日

今日も今日とて護衛である

スレイプニルという八本足の巨大な軍馬にグレモリー一行+浩太郎、オッサン、ロスヴァイセ

そして外に護衛として木場とゼノヴィア、イリナ、バラキエルの一行が空を飛んで追従していた

いつでも敵を迎え打てるようにするためだ

 

「ヤマトナデシコはいいのぉ。ゲイシャガール最高じゃ」

 

満足げにほっほと笑うオッサン

護衛するこちらの身にもなってほしい

ここ最近はスレイプニルに乗り日本各地をオッサンの気まぐれで回っている

あいにくと浩太郎らは未成年、場所によっては入れないがそのときはメリディが顕現してくれて代わりに入ってくれたのだ(物凄く嫌そうな顔してたが)

ちらりと座っている一行を見てみる

兵藤は物凄く深い溜息をついているし、朱乃は…言うまでもない、話しかけたら殺されそうだ

アーシアは浩太郎の肩を枕がわりにしておねむだし、小猫もアーシアと同じように浩太郎の膝を枕にしておねむである

頭を撫でるたびに猫耳がぴょこぴょこ動いて可愛らしい

飛鳥も少しばかり眠気眼でうとうとしている

彼女に関してはついてこないでもええんやで、と言っていたのだが、結局付いてきてしまった

まぁ我々が年齢制限で入れないお店でも自身の術を用いて影からメリディと一緒に潜入してくれていたときは助かったのだけど

 

「オーディンさま、もうすぐ日本の神々との会談なのですから旅行気分はそろそろお収めくださらないと困ります」

「お前は遊び心のない女じゃのう。そんなんじゃから男の一人も出来んのじゃよ」

「別に好きで独り身してるんじゃありません! っていうか今関係ないじゃないですかぁぁぁぁぁ!」

 

北の人らめんどくせぇ

流石に声に出しては言わないが、早いとこ帰ってくれると嬉しいのですけど

そんな時だ

 

―――ヒヒィィィン!

 

ガクンと大きな衝撃が襲いかかる

自分を枕にして寝ていた小猫とアーシアを庇いながら、その衝撃に踏ん張った

とはいえ流石にこの二人も起きてしまったようで

 

「敵、ですか?」

 

体制を整えながら小猫がアーシアを庇うように動いた

 

「何事ですか!?」

「わからん! だがろくでもないことだろうな!」

 

ロスヴァイセとアザゼルがそういった

馬車の外を見ると上空追従組のみんなが戦闘態勢になっている

とりあえず馬車の上にでも乗っかろう、状況が知りたい

浩太郎は飛鳥に小猫たちの護衛を頼み、その身を馬車の上に乗り上げた

同じように窓からリアスや兵藤が顔を出して前方へと視線を向ける

 

するとそこには目つきの悪い男が一人浮かんでいた

身につけてるのはオッサンが真面目なときに着てるローブに似ている気がするが

男を確認したロスヴァイセが驚き、次にアザゼルが舌打ちする

…つまり誰だこの人は

 

「初めまして諸君! 我こそは北欧の悪神、ロキだ!」

 

悪神―――また神か

 

「これはこれはロキ殿。奇遇ですな、こちらの馬車には北欧の主神オーディン殿が乗られておる。それを承知の上で、ですかな」

「いやなに。その主神殿が我らが神話体系を抜けて我ら以外の神話体系に接触してくのが耐え難い苦痛でね。我慢できずに邪魔しに来たのだ」

 

はっきりと言ってくれるこのロキという男

その言葉を聞いて、先程まで冷静な口調だったアザゼルは怒りを交えて

 

「…堂々と言ってくれるじゃねぇか。お前が他の神話体系に触れるのはいいってのか? 矛盾してるぜ」

「他の神話体系を滅ぼすのならばいいのだ。和平が納得できないのだよ。我々の領域に土足で踏み込み、そこで聖書を広げたのがそちらの神話なのだから」

「んなこと俺に言われてもな。そんなもんミカエルか死んだ神に言ってくれよ」

 

アザゼルがボリボリ頭をかき、一つ問うた

 

「とりあえずひとつ聞く。お前の行動は禍の団と繋がっているのか?」

「愚者たるテロリストと我が思いを一緒にされるのは不快極まなりないところだ。―――この場にいるのは私の意志だ、オーフィスは関係ない」

 

しかしやっていることは同じじゃないのか?

 

「…ふぅむ。どうにも頭の固いやつはまだおるようじゃ。こういうふうに自ら出向く阿呆が登場するのではな」

「ロキ様! これは越権行為です! 主神に牙を向くなど―――」

「一介のヴァルキリーが邪魔をしないでくれたまえ。私はオーディンに聞いているのだ。まだこの北欧神話を超えた行いを続けるつもりか?」

「無論じゃ。お主よりサーゼクスやアザゼルと話していたほうが楽しいからの。日本の神道を知りたくての、あちらもこちらもユグドラシルに興味を持ってたようでの。和議を果たしたら互いに大使を招き、異文化交流をしようと思っただけじゃよ」

「―――認識した。愚かなことだ。…ここで黄昏を行おうではないか」

 

ゾクリと敵意と悪意が浩太郎を襲う

ピリピリと肌が焼けるような感覚だ

どちらにしろ、相手が向かってくるのならば、加減はできない

浩太郎が変身しようとしたとき、ドガァァァ!と凄まじい衝撃がロキにぶち当たっていた

それはロキに対してデュランダルを振り抜いたゼノヴィアの攻撃だ

彼女の持つ聖剣からはオーラが迸っているが―――

 

「…先手必勝、だと思ったが、流石に効かないようだ。さすが、北欧の神」

 

彼女の言うように、そこには何事もなく浮いているロキの姿がいる

ゼノヴィアの聖剣さえも受け付けないか、曲がりになりにも神は神、侮れない相手のようだ

木場やイリナも聖剣や光の剣を生み出すがあれらも効果は薄いだろう

 

自分は空を飛ぶ能力がないが、援護程度は出来るはずだ

だから

 

「―――変身!」

 

右手を上につき出しゆっくりと下に下ろし、そのまま両手を開くように動かす

光と共にその姿をロボライダーへと変える

そしてそのまま

 

「ボルティックシューター!」

 

手に顕現させ、容赦なく照準をロキに合わせ引き金を引いた

銃口から放たれる光の弾丸はロキを捉える

最もロキは放たれるだいぶ前に気づいていたようで、すかさずその場を動きその弾丸は回避された

 

「これでも神なのでね! 侮ってもらっては困る!」

 

そう言いながらロキは左手を前に突き出した

そこからは得体の知れないパワーが集まっているのが見て取れる

あれを撃たれてはマズイ

 

<ウェルシュ ドラゴン バランスブレイカー!>

 

カウントが終わったのか兵藤が鎧を纏い、空中へと飛び出した

 

「飛ぶの任せたぞ! ドライグ!」

<あぁ、任せろ>

 

ドライグの<ジェット!>の音声と共に加速した兵藤が一直線にロキへと突っ込む

同時にロボライダーは彼を援護するべくボルティックシューターをもう一度ロキへと構え、絶え間ない連射をして牽制する

しかし流石に動きが早く当てることは難しい

連射に優れてはいるが、流石に弾数は無限ではないのだ(射程は無限なのだが

 

「部長! プロモーションします!」

 

リアスの了承を経て兵藤はクイーンへと昇格、パワーアップを果たす

 

「おっと。ここにはRXのほかに赤龍帝もいたのだったね。いい感じに君も力を身につけている…だけど、神を倒すにはまだ早い!」

 

放たれるロキの波動

そこに兵藤が撃った全力のドラゴンショットに、ロボライダーのハードショットで威力を上乗せする

ロボライダーの助力もあったおかげか若干ながら兵藤が優った

しかし結果は相殺という形に終わり、それによる爆風が仲間たちを襲う

 

「…手の抜いたわけではないのだが。これはまた面白い。とりあえず、笑っておこう。ふはははははっ!」

 

わざとらしく笑ってみせるロキ

あの余裕が気に食わない…何とか吠え面かかせることはできないだろうか

時を同じくしてリアスと朱乃も翼を広げ馬車から出てきた

紅いオーラを纏っており、準備万端といったところだ

 

「…グレモリーだったか。現魔王の血筋だったな。堕天使幹部が二名、天使が一人、悪魔たくさん、赤龍帝も付属、そして殿にRX、か。護衛にしては厳重だな、オーディン」

「お前さんのようなのが来たんじゃ、むしろ正解だわい」

「よろしい、ならば、呼ぼう。―――出てこいっ! 我が愛しい息子よぉ!」

 

彼の叫びに一泊明けて、中空に歪みが現れた

そこからぬぅぅぅ、と姿を現したのは灰色の狼だ

十メートルくらいはあるであろうその巨体

ロボライダーからしたら大きいなぁくらいの感覚しかないが、それ以外の仲間たちが全身をこわばらせて震えている

なんだ、アイツは一体なんなんだ…?

 

<全員距離を開けなさい! あれは神喰狼(フェンリル)よ!>

『!?』

 

メリディの言葉に全員が驚愕し、同時に納得したように身構える

 

「まさか、こんなところに」

「それは…確かにマズイわね」

 

木場とリアスがそれぞれ頷く

未だに理解していない兵藤とよくわかってない浩太郎=ロボライダーに向かってアザゼルが叫んだ

 

「そいつは最大最悪の魔物の一匹だ! 確実に神を殺せる牙を持ってる! 噛まれたらその鎧でも持たないぞ!」

 

マジでか

確実に神を殺す―――神殺しの牙、というわけか

なるほど、みんなが戦慄するわけだ

 

「気をつけたまえ。我が開発した魔物の中ではトップクラスに最悪の部類だ。試したことはないが、他の神話体系でも有効だろう。上級悪魔も伝説のドラゴンでも致命傷を与えられる。…RXはさすがにわからないがね」

 

ロキの指先がリアスに向けられた

 

「魔王の血筋。それを舐めるのもいい経験になるだろう―――ゆけ」

 

嫌な想像はすぐに現実となる

フェンリルが動き出す前にロボライダーが動き出した

 

「バイオ! ライダー!」

 

フェンリルは一泊雄叫びを上げて行動を開始する

その獣の雄叫びは誰もが美しいと思えるほどである

叫んで動き出す寸前にバイオはゲル化しフェンリルの前に飛び出し、その身をもってフェンリルの動きを阻害しようと目論む

傍らにはバイオブレード、もう片方にはサタンサーベルの二刀流だ

しかし力のスペックがダウンしたバイオでは流石に止めきることは出来なかった

サタンサーベルにあらん限りの力でフェンリルは噛み付いているが、ヒビひとつつかないサタンサーベルに改めてこれをくれた影月には感謝の念しかない

だが鬱陶しいと思ったフェンリルはそのままバイオライダーを中空へと放り投げた

 

「のわ!?」

 

空中で体勢を整えながらもゲル化し再度馬車の上へと移動する

その合間にもフェンリルはかなりの速さでリアスに向かっているのだが―――そこにはもう一人のナイトが立ちふさがっていた

 

「俺の惚れた女に―――触んじゃねぇぇぇぇぇぇ!」

 

怒りを込めた龍の一撃

しかし殴られたフェンリルは未だに平気そうな顔をしており…同時に、兵藤の鎧の腹部に風穴が開いていた

 

<…流石ね。殴られる寸前に反撃してたなんて>

 

よく見るとフェンリルの右前足が血に濡れている

噛まれるよりはマシだろうが、それでもかなりの激痛に違いはない

 

「アーシア! 回復頼む! ロボライダー!」

「はい!」

 

馬車の中にいるアーシアにバイオはそう言って、再びバイオはロボへと姿を変える

すかさずボルティックシューターを構え、一気にそれをフェンリルにぶっぱなす

一撃一撃かなりの威力があるはずだし、当たればダメージを与えられるのだが、案の定当たらない

―――この場が空中でなく地上ならRXで思いっきり戦えるのだが、この場ではそれも叶わない

 

「一瞬とはいえフェンリルの動きについてくるとは、あの赤龍帝はここで―――」

「くらいなさいっ!」

 

ヴァルキリーとなったロスヴァイセが幾重にも魔法陣を展開して魔法を縦横無尽に放った

かなりの出力、流石はあのオッサンの付き人だ

しかし術者としてはやはり神であるロキのほうが何倍も上であり、ことごとくその全て防がれてしまう

 

「では、次はこちらの番だ!」

 

ロキが手を横になごうとし、同じくフェンリルも殺気を高めていく

無感情で冷たいその瞳がこちらを貫く

こうなったらイチかバチか、飛び出してリボルケインで攻撃してみようか、と思った時だ

 

<ハーフディメンション>

 

かなりの速さで狼を通過し、そしてフェンリルを中心に空間が歪み始める

そしてフェンリル自身も空間の歪みに囚われて一時的に動きが封じられた

その隙を逃がさない

 

「サンシャインシュート!」

 

叫びとともに放たれる拡散弾

恐らくその気になれば回避できただろうが、動きが封じられている故にその全てが直撃する

ガオォォォ! と咆哮を上げるフェンリル

目立った外傷は見られない

…タフだな

 

「無事か、兵藤一誠」

「ヴぁ、ヴァーリ…!」

 

自分たちを助けてくれたのは白龍皇ヴァーリ・ルシファー

先の攻撃はあらゆるものを半分にする、という技なのだが、それでも僅かに動きが止まっただけだとは

 

「おいおい、おっぱいドラゴンは致命傷かい? ったく、強いんだが弱いんだかわかんねぇやつだぜぇい」

 

筋斗雲にのってこちらにやってくる美猴

しかし、なんで彼らがここにいるのだろう

 

「―――おぉっとっと。白龍皇か」

 

ヴァーリの登場でロキが嬉々とした様子で喜んだ

 

「初めまして、だな悪神ロキ殿。貴殿を葬りにきた」

「くっくく、二天龍と、ブラックサンをこの目で見て満足した。此度は退こう。だがこの国の対談のとき、また邪魔しに来よう。そのときは、必ず主神の喉笛を噛み切って見せよう」

 

ロキがマントを翻し、その場をフェンリルと共に後にする

あたりには静寂が残っていた

ひとまずは、一件落着、といったところ、なのだろうか

 

◇◇◇

 

「…う、うぅん…」

 

馬車の中で回復治療をしていた兵藤が目を覚ます

付近には浩太郎、そして小猫とアーシアの二人が兵藤の回復をしていた

仙術で回復効果を上げ、アーシアの神器(セイクリッドギア)で治療する、というコンボだ

 

「イッセーさん。…よかった」

「えぇ、冷や汗ものでした」

 

アーシアと小猫がそれぞれ安堵したように息を吐く

 

「気づいたか、兵藤。…ひとまず無事でなによりだ。戦闘じゃすまないな、あんまり役に立てなかった」

「何言ってんだよ浩太郎。お前の銃擊でかなり助かってたぜ?」

「…そう言ってくれるよありがたい」

 

飛べない、というのは大きなあハンデだ

この借りは地上で返させてもらおうと改めて心に誓う

 

「ところで、部長たちは?」

「外でヴァーリと話してる」

 

その言葉を聞いて思い出したように兵藤が顔を引き締める

兵藤はゆっくりと体を起こし馬車の外へと歩み出た

その後ろを追うように小猫、アーシアと共に浩太郎も追いかけた

駒王学園近くの公園に、オッサン、アザゼル、リアス…みんな集まっている中に兵藤と浩太郎たちは歩を進める

会話が耳に入ってきた

 

「オーディンの会談を成功させるには、ロキを撃退しなければならないだろう」

 

彼はみんなを見渡して

 

「このメンバーと赤龍帝、ブラックサンだけではかなり厳しいと思う。おまけに英雄派の活動のおかげで冥界も天界もヴァルハラも大騒ぎ。これ以上こちらに人員を割けない」

 

彼の言葉に誰も言い返せていない

確かに、浩太郎と兵藤がいれば苦戦はするだろうが、撃退は出来ると思う

しかし、それでも勝算は低いだろう

そこで兵藤とヴァーリの視線が重なった

ヴァーリは苦笑いし、それに釣られて一行もこちら側に視線を向けた

リアスが言う

 

「イッセー、もう怪我はいいの?」

「はい部長、もう大丈夫です。―――それよりも、お前があいつを倒すのかよ」

 

兵藤が低い声音でそういった

ヴァーリは肩をすくめて

 

「残念ながら、今の俺ではロキとフェンリル、同時には相手にできない。…だけど」

 

そこで彼は少し間を置く

 

「君と、ブラックサン。その二人と僕が手を組めば、可能だ」

 

彼の発言にその場にいる全員が驚いた

それもそうだ、まさかそっちからそんな申し出をしてくるとは思わなかったのだ

驚いて言葉を失う彼らに対し、ヴァーリが言った

 

「此度の戦い、俺は兵藤一誠と共に戦ってもいいと考えている」

 

それは思いもしない、共闘の持ちかけだった―――

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