その身に宿すはキングストーンⅡ   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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くっそ短い
くっそ微妙
くっそ無理やり

見事な三銃士

こんだけ待たせといてあれですが、楽しんでいただけるか…はわかんないです

誤字脱字見かけましたらご報告ください





準備が進んでいく中、浩太郎は兵藤家の特訓スペースでトレーニングをしていた

相手はもちろんメリーディエースである

しかし未だに彼女は現役バリバリだ、まったくもって勝てる気がしない

 

「ぜぇ…ぜぇ…いや、流石にシンドいぜ…」

「そぉね、今回はこんなところでやめときましょうか」

 

ぶっ続けでおおよそ四時間弱、思いっきり動いて思いっきり休むというのが彼女の特訓スタンスだ

並みの悪魔では悲鳴すら上げれないだろう

…いよいよ自分も人間やめてきたな、と思わずにはいられない

とてとてとこちらに小走りで歩み寄ってきた飛鳥からペットボトルをもらい、蓋を開けると彼女はそれを口につけゴクゴクと飲み干していく

そんな中、前々から少し気になっていたことを浩太郎は聞いてみることにした

 

「…なぁ、メリディ」

「うん? どうしたの?」

「いや、本人がいない場でこんなこと聞くのもアレなんだが…朱乃さんのことを聞きたくてな。俺にはあのバラキエルって親父さんがそう悪い人には見えなくて」

「あ、それ私も気になってましたメリディ様。会ったのは本当につい最近ですが、娘想いのとてもいい殿方にしか見えなくて…」

 

飛鳥と浩太郎の疑問にメリディはふむぅ、とペットボトルを口にくわえたまま腕を組んで考え込む

しばらくしてメリディはペットボトルを改めて手に持って

 

「…あんまりこういうのって話すものじゃないけど。いいわ、話してあげる。その代わり、他言無用よ」

 

メリディの言葉に二人はうんと頷いた

おっほん、とメリディはひとつ咳をして話し始めた

 

◇◇◇

 

朱乃の母親は、日本のとある有名な寺の巫女さんだったらしい

名を姫島朱璃という

どうやら朱乃は母方の性を名乗っているようだ

朱乃の母が居る寺の近くにあくる日、敵勢力に襲われて重傷を負ったバラキエルが飛来して、彼を姫島朱璃が匿ったのが縁だったようだ

その時バラキエルと親しい関係となった彼女は、その子供を身に宿す

 

それが朱乃だ

 

当然バラキエルは朱乃の母と生まれたばかりの娘をおいていくわけにもいかず、付近に拠点を構えそこから堕天使幹部として活動していたようだ

だが、その幸せも長くは続かなかった

母の親類は黒い翼を持つ堕天使幹部に娘が洗脳されたと勝手に勘違いしある有名な術者たちをけしかけたのだ

それらはバラキエルの力で退けることはできたのだが、その中にはやられて恨みを持つものもいた

 

そして恨みを持った術者たちは堕天使と敵対しているモノたちに、バラキエルらが住んでいる場所を教えたのだ

 

偶然にもその日、バラキエルは留守にしていた

敵対勢力は躊躇いなく朱乃とその母を襲撃したのである

危険を察知し駆けつけたものの―――母は朱乃を庇って、その命を落としてしまったのだ

 

「まぁその日から、朱乃は堕天使に対していいイメージを持たなくなったのよ。んで、それから数年後に堕天使とのハーフでもある朱乃は住む家もおわれて、天涯孤独の身になって各地を放浪して、リアスと出会った。…まぁ、ざっくり説明するとそんな感じね」

 

壮絶な過去に、飛鳥も浩太郎も黙ったままだった

そんな彼らにメリディは付け足す

 

「けどね。リアスの眷属になって、悪魔として第二の人生を歩んだ彼女はまぁ前に比べれな明るくなったわ。堕天使へのイメージも赤龍帝のボウヤや浩太郎と出会ってだいぶ緩和してきた。してきたけどね、母親が亡くなったという事実はあたしらじゃどうにもできないわ。あの子も心のどっかでは理解してると思うけど。…そいつを素直に受け入れられるほど、まだあの子は強くはないわ」

「…それを後押しするのは、俺たちの仕事じゃあないな」

「えぇ。赤龍帝の子に任せるわ。私たちは悪神倒すためにこもってトレーニングしてましょう」

 

飲み終わったペットボトルを握りつぶし、置いてあるゴミ箱へとそれを捨てる

それを合図に飛鳥を遠ざけ、メリディに向けて視線を向ける

 

「今度は変身して行くわよ、いいわね」

「あぁ、問題ない」

 

二人は互いに頷き合うと、それぞれ構え、叫ぶ

 

 

『変身!』

 

 

それぞれBLACK、BLACKRXへと姿を変えた両者は、全力で己の力をぶつけ合う

もうじき悪神ロキとの決戦、それまで、決して手は抜かない―――

 

◇◇◇

 

なんだか寝付けない浩太郎はベランダに出てなんとなく夜空を見上げていた

思いっきり動いて思い切り休む、のが彼女の方針なのだけれどやはり思い切り動くのは疲れるものだ

今頃兵藤とかはぐっすり寝ているだろうか

しかし、もうじき決戦である

 

「…まっさか、マジモンの神様と戦えるなんてねぇ」

 

普通に生きていた頃は考えもしなかった

そこでふと、考える

もしも〝あの時〟この力に目覚めることがなかったら

今も変わらない、あの平々凡々とした日常を遅れていたのなら

変わりのない、それでいて平和な日々を送れていたら

 

夜の闇を見上げながら、くすりと笑う

 

きっとそれも楽しいだろう

だけど、戻りたいとは思わない

〝この力〟に目覚めたからこそ、今の出会いがあるんだ

リアスや、朱乃、ゼノヴィア、イリナ、アーシア、ギャスパー、兵藤…そして、小猫

色々な人との出会いを、覚えてる

 

「浩太郎さん?」

 

ベランダで一人物思いにふけっていると、誰かから声をかけられた

声の方に顔を向けると、そこには小猫が立っていた

最近の彼女は浩太郎の家だと基本的に猫耳と尻尾を隠すことなく生活している

流石に浩太郎の両親がいる時は隠してはいるのだが

 

「…眠れないんですか?」

「そんなところだね。トレーニングんとき動きすぎたのかなー」

「…普通、それだと眠くなると思うんですけど」

 

小猫のツッコミを苦笑いで返して、小猫が隣に歩いてくる

悪魔といえど女の子、小猫は寝巻きのままだったので、彼女に自分のはんてんを肩にかけてあげる

肩にかけられたそのはんてんをきゅ、と握り、若干頬を染めて浩太郎のそばに少しだけ寄り添ってくる

 

「…もう少しで、決戦ですね」

「そうだね。…けど、まさかただの人間が、悪神とはいえ、神様ぶん殴れるとは思わなかったよ」

「…浩太郎さんを人間のカテゴリに含めていいんでしょうか」

「ひどいな。心は人間のつもりだよ。心はね」

 

きっと体はもうだいぶ人間をやめてしまっているだろう

それでも、〝まだ人間でありたい〟

少なくとも、心は

 

「…だけど、ちょっと怖いです」

「怖い?」

「はい。…悪神とはいえ、神は神。おまけに龍殺しの牙を持つフェンリル。…イッセー先輩たちは言わずもがな、いくらRXでも、直撃をもらえば浩太郎さんもきっと大怪我を負います。…もちろん、一瞬の油断が私にとっても命取りです…。私程度が、戦えるか…不安で―――」

「大丈夫」

 

不安を呟く小猫の言葉を遮り、浩太郎が改めて小猫へと向き直る

僅かに震える彼女の肩に触れて、真っ直ぐに彼女を見つめて

 

「俺は死なない。もちろん、兵藤だって死なせないし、君を含めたオカルト研究部のメンバーだって守りきる。だから…えっと、なんだ。とにかく大丈夫!」

 

途中から言葉が思いつかなくなり、勢いで浩太郎は親指を立ててサムズアップをしてみせた

そんな浩太郎を見て、思わずくすりと笑いを零してしまった

肝心な時に格好つかない人…

だけど、嫌いじゃないです

己の心の中で、そう思う

 

だから―――

 

「浩太郎さん」

「うん?」

「…浩太郎さんのことは、心から信じてます。だけど、私はやっぱりどこか臆病で、震えちゃってるんです。…だから、私に勇気を、くれませんか?」

「勇気?」

「はい…。勇気、です」

 

そう言うと、不意に小猫は頬を朱色に染めて、自分の体をつま先立ちの姿勢にし、己の両目を閉じた

…え、と一瞬判断が鈍った

いや、これもしかしなくてもアレですよね!? と頭の中がオーバーロードしてスタンになりそうな気分だ

 

<どうするの? ここで応えなかったら男がすたるわよ?>

(やかましぃ! 黙ってろくださいメリディさんんん!)

<前は彼女から〝させた〟のに、逃げたりなんかしないわよね?>

 

物凄く心が痛い

思えば運動会だかの時に、唇に柔らかい感じがしたのはやはりあの子らなのですね、と今改めて完全に自覚する

数秒熟考して後に、浩太郎は覚悟を決めた

あぁ、そうだ

生きている限り、守り抜いてみせると、心に誓う

 

浩太郎はくい、と少しだけ小猫の顎に触れ、軽く引き寄せる

体勢は低く、彼女が苦しくないように

時間にして数瞬、けれども体感時間は永劫に近い時

二つの影が、重なった―――

 

◇◇◇

 

「オーディン。会談はもうすぐみたいだが、準備は出来ているか?」

「この声はシャドームーンか。…珍しいの、お主がここを訪ねてくるなど」

「暇つぶしだ。最も、本心はロキと戦うRXを見学しに来た」

「手伝ってはくれんのかの? お主がいれば千人力じゃと思うのだが」

「あいにくだがそんなつもりはない。…古臭い考えに縛られて引きこもってる北の連中の中から、表に出てきたお前が気になったのだ。わざわざ主神が表に出てきたんだ、協力体制をしている、オカルト研究部のところに向かったお前をな」

「…年寄りじゃからの。たまには若いもんの意見も聞きたくなる。それに、わしのところの若い連中の未来を考えると、そろそろ新しい道も用意してやらねばいかんからな」

「その意気やよし。必ず成就させてみせろオーディン。そのためにわざわざ日本の神と話し合いにきたのだろう? わざわざ観光とかいうていにしてな。まぁ、会談の件については安心しておけ。連中がなんとかしてくれるだろうさ」

「言われずともわかっとるわい。ワシはやるときはやる漢じゃよ?」

「だといいのだが、な」

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