その身に宿すはキングストーンⅡ 作:桐生 乱桐(アジフライ)
更新くっそ久々ですがご容赦を
「おっぱいメイド喫茶希望です部長!」
「却下」
発言して即刻却下された兵藤の意見
今日の部活動は学園祭で催す出し物についての話し合いだ
ロキとの戦いも大事だが、自分はあくまでも今は学生、こういうのも大事なのだ
そんなわけで今日だけは学園に通えることになっている
で、兵藤の意見はメイド喫茶(おっぱい)
わかりやすい
「けど、それが通ると他の男子に二人の胸を見られてしまうことになるね?」
木場が呟く
「ハッ!? しまった、己の欲望に忠実になるあまり、それを失念していた…! く、これではおっぱいお化け屋敷も無理か…!」
「お前欲望にどストレートすぎんだろ」
「ドスケベ先輩…」
兵藤の失意の言葉にソファに座っている浩太郎と彼の膝を枕にして横になっている小猫につぶやかれた
そんな小猫を浩太郎は優しい手つきで頭を撫でており、なんだか一層仲良くなってるように見える
そのソファの隣では何やらうーって言いそうなアーシアもおり、わずかながらに涙目だ
「あのね、イッセー。確かにそういうエッチなのはポイント高いでしょうけど、生徒会が許さないでしょうし、まず教員の方々も却下するわ」
「…おっしゃるとおりでございます」
「しっかし、それだと今年は何にしますか?」
去年と同じはリアス的に同じことをしたくないとのことなので無し、エロも言わずもがな
しかしよく考えてみればほかのクラスもメイド喫茶はやるみたいではあるし、他のクラスと同じのもしたくない、とはリアスの談
かといって部員全員に聞いては見たが、特にいい案も出るはずもなく
「…オカルト研究部の女子で、誰が一番人気者、とか…?」
ふと兵藤が呟いたその言葉に、何名かの女性が視線を合わせた
「わぁ、二代お姉様のどっちが上か気になりますぅ」
兵藤の言葉に続いてギャスパーがそんな言葉を漏らす
すると我先にと言わんばかりにリアスと朱乃が口を揃えて言い張った
『私が一番に決まってるわ(私が一番に決まってますわ)』
言うやいなや二人の間にはバチバチと火花ができるくらいににらみ合っていた(笑顔のままで
「あら部長。なにかおっしゃいました?」
「あなたこそ、何か言ったかしら?」
そこからいつもの痴話喧嘩、もとい口喧嘩に発展し、そのまま人気投票(仮)はご破産となった
しかし朱乃の調子もだいぶ戻ってきている
それ自体はいいことだ、浩太郎の知らないところで兵藤が頑張っているのだろう
だがこのペースで本当に修学旅行前に決まるのか疑問である
そこでふと今まで隅っこで本を読んでいたアザゼルに視線を向ける
こちらの会議を珍しく静観していた彼は窓から外の夕暮れを見て、ぽつりと呟く
「…黄昏、か」
その言葉を聞いて、各々が真剣な表情になる
小猫も起き上がり、乱れた着衣を整えた
ここからは―――決戦だ
「ラグナロクにはまだ早い。気張っていくぞ、お前ら」
『はい!』「あぁ」
彼の言葉に返し、時間が過ぎる―――
決戦の時は来たれり、だ
◇◇◇
既に日は没し、時間は夜
決戦の時間である
浩太郎らはオーディンと日本の神様が会談するという某所の高層高級ホテルの屋上に陣取っている
周囲のビルの屋上にはシトリー眷属の面々が配置されて、そのまま待機していた
ちなみに匙は遅れてくる、とのことだった
アザゼルは会談での仲介役を担っているために、ここにはいない
そして霞のジョー…もとい飛鳥も浩太郎の自宅で待機してもらっている(本人は行きたがっていたが)
戦えないアザゼルの代わりに、バラキエルが浩太郎らと共に屋上待機、ロスヴァイセも鎧のまま待機してくれている
そしてはるか上空にはタンニーンも控えている
とは言ってもそのままでは大騒ぎになるので人間には視認できない術をかけている
ヴァーリらは少し離れたところで、同じくそのときを待っているらしい
「…時間ね」
リアスが腕時計を見ながら呟いた
会談が始まったようだ、これであとは敵が来るのを待ち、ロキを叩き潰すだけだ
「小細工なしか。恐れ入る」
ふとヴァーリが苦笑いする
<その男気だけは認めるわ>
次にメリディの言葉で、何となく浩太郎は察し、身構えた
―――もしかすると、だ
バヂッと空間が歪む
そこからフェンリルとともに、堂々と悪神ロキが歩いてきた
なるほど、正面から真っ向に向かってきたのは、よほど己に自信があると見える
「目標確認、作戦を開始する」
バラキエルが耳につけている小型通信機からそうつぶやくと、ホテル周辺を包み込むように結界魔法陣が展開される
生徒会長を始めとしたシトリー眷属の面々が我々とロキ、フェンリルを含めて戦場に転移させるための魔法陣である
ロキは特になにもしない、不敵に笑んでいるだけだ
やがて光に包まれ、気づいたときには大きく開けた土地に移動していた
特撮とかでよく見かける採石場の跡地である
リアスらは全員いるし、バラキエルもロスヴァイセも同じく、ヴァーリらも少し離れたところに転移していた
「逃げないのね?」
リアスが皮肉めいた声色で問いかけた
ロキはふぅん、と鼻で笑い
「逃げる必要などない。どっちみち抵抗してくるのだ、返り討ちにしてそのあとでオーディンを消せばいいだけのこと」
「危険な考えにとらわれているな、貴殿は」
バラキエルが呟きつつ、黒い十枚の翅を展開させる
「それはそちらが先だろう。各神話の協力など…。元は三大勢力が手を組んだことで、何もかも歪み始めたのだよ」
「…会話は不毛だな」
バラキエルが手に雷光を纏わせ、臨戦態勢を取る
同時に、カウントを終えた兵藤も禁手化する
<ウェルシュ ドラゴン バランスブレイカー!>
赤い閃光を放って、兵藤が赤き竜の鎧を身に纏った
<バニシング ドラゴン バランスブレイカー!>
ヴァーリも白い閃光と同時、白き龍の鎧を纏う
そして最後に、浩太郎が構えを取る
「―――変身!」
太陽を掴むように右手を天へかざし、ゆっくりと下に動かし、その手を右に払い、己の左手で拳を握った
全身を包み込むみたいに黒い輝きが浩太郎の全身から発せられ、一瞬の光の後、その変身を完了させる
「俺は太陽の子! 仮面ライダー、BLACK! アール、エックスっ!」
両手を動かし、戦意を向上させるように一連の動作をする
こればっかりは変身し終えたあとに条件反射でやってしまうのだ
それらをまって、兵藤、ヴァーリと共にロキの前に出た
その光景を見てロキは歓喜する
「素晴らしいっ! 二天龍とブラックサンが協力するなどとっ! これほど高鳴ることはないっ!」
まず先にヴァーリが動く
ジグザグに動いて接近を試みる
兵藤も同じようにブーストを吹かし、RXも跳躍して接近していく
「赤と白、そして黒! これほど楽しい戦いができるのは、恐らく我が最初だッ!」
喜々としてロキは全身を覆うように広範囲の魔法陣を展開させた
防御式だろうか、と思ってたらそこから追尾性の高いレーザーのようなものが幾重にも重なって放たれた
一度着地してRXは両手を交差させる
「―――バイオッライダーッ!」
光と共に青い色の戦士へと変え、その攻撃全てをすり抜けさせる
ロボでも問題はなかったかもしれないが、ここで機動力を削ぐのは頂けない
そのまま液状化し自分の体を兵藤の鎧の背中へと持っていき、彼の背を足場とした
突然のことで若干動揺した風に見えたが、すかさず気持ちを切り替えて、兵藤はさらに加速を増していく
それに食らいつき、バイオライダーはバイオブレードを取り出し身構えた
兵藤を狙ってくる攻撃を剣で防ぎ、距離が近くなっていくと先にバイオライダーが飛び出した
「トォアッ!」
一撃
バイオブレードの一太刀でまずロキをおおう魔法陣を叩き壊す
そのあとで後方に思い切り跳躍して兵藤とヴァーリの攻撃に巻き込まれないように距離を取る
まず最初に叩き込んだのは兵藤の一撃
食らう直前にロキはすぐさま防御術式を組み上げて防いでいたが、その僅かに止まった隙にヴァーリが覚えたての北欧魔術をぶっぱなした
採石場の半分位を包み込むほどの規模である
<あらあら。張り切ってるわね>
「下手したらこっちも巻き込まれるぞ、ったく」
ロキの立っていたところを見るとそこにはクレーターのような大きな穴が空いていた
これでも手加減はしているのだろうが、やりすぎでもある
「―――ふははははっ!」
しかしこれしきでは終わらない
宙を浮かぶは悪神ロキ、ローブは多少破れてはいるが、本人は全くの無傷
その様子を見てか、おもむろに兵藤はハンマーを手にとった
手頃なサイズにして身構える兵藤を見て、ロキはぴくりと顔を動かした
「…レプリカのミョルニル。オーディンめ、それほどまでに会談を成功させたいかっ…!」
ロキから見て取れる感情は怒りだ
人間の時では振れることすらできなかったミョルニルだったが、禁手となっているあの状態だと思い切り振れるみたいで、ブーストを吹かしロキに向かって振り下ろす
まぁ当たらなかったが、地面には大きなクレーターがあった
「…あれ、あれって雷生むんじゃなかったか」
<…そのはずだけど…>
怪訝に思ってるバイオライダーを尻目に、ふはは、とロキが笑い出す
「残念だ、それは力強く、かつ純粋な心の持ち主にしか使えないと聞く。君は邪な心があるから、雷が生まれないのだ。本来ならば重さもなく、羽のように軽いと聞くぞ?」
驚愕の真実
つまり兵藤一誠という人間にはただの鈍器でしかなったのだ
神の兵器といえども、性欲が強い彼にとっては重いトンカチにしかならなかった
「さぁ、そろそろこちらも本格的な攻撃に移ろうかッ!」
ロキが指をパチリと鳴らす
するとそれまで様子を見ていただけのフェンリルが一歩前に踏み出してくる
ついに動くようだ
「神を殺す牙、我がしもべフェンリル。キサマらがこの獣に勝てるのならば、かかってくるがいいッ!」
ロキがフェンリルに指示を出す瞬間、リアスが手を上げた
「―――にゃんっ」
黒歌が笑むと同時、周囲の魔法陣が展開して地面から大きな鎖が現れる
グレイプニルだ
予定より少々早めに届いたのはいいけど持ち運ぶのに難儀していたために黒歌が独自の領域にしまい込んでいたのだ
それらをタンニーン、バラキエル始め、リアス一行らの仲間とヴァーリの仲間たちで協力してフェンリルの方へと投げつける
「はははははっ! 無駄だ無駄! そんなものの対策など昔に―――」
ロキの笑いも虚しく、ダークエルフによって強化されたその鎖は意思を持つかのようにフェンリルに絡みついて、その動きを拘束する
フェンリルがその時、苦しそうにウォォォンと雄叫びを上げた
「…捕縛完了だ」
バラキエルがそう呟いた
これで一応は敵はあとロキ単体だけだ
フェンリルだけならあとはリアスらの眷属だけでどうにかなるかもしれない
しかしロキはまだ笑っている
何かを隠しているのか
「…少々スペックは落ちるが」
両腕を広げ、そこから空間が歪み始める
その歪みからヌゥン、と何かが出てきた
灰色の毛並みに鋭い爪、そして無感情な双眸
そしてフェンリルのような―――牙
「スコル、ハティ!」
ロキの声に呼応し、二匹のけものが吠える
夜空の雲を晴らし、月の光に照らされたその狼に驚きを隠せなかった
唯一ヴァーリだけが妙に楽しそうにしている
<ヤルンヴィドに住んでる巨人族の女を狼に変えてフェンリルと交わらせたわね。厄介なもん作ってくれて>
「おうともさ。その結果がこの二匹さ。親よりスペックは落ちるが…その牙は健在、貴殿らを葬るには十分だ」
メリディの言葉にロキが余裕たっぷりといった様子で返す
まさか子供がいたとは思わなんだ
「さぁ、スコル、ハティ。親を捉えたのはあの者達だ。その牙と爪で存分に食い散らかすといいッ!」
風を斬る音と一緒に二匹の狼が向かっていく
一匹はヴァーリたちの方へ、もう一匹はグレモリー眷属の方へと
「メリディッ!」
<仕方ないわねッ!」
言葉の途中でメリディが浩太郎の体からメリディが権限する
メリディがヴァーリチームの方へ、バイオライダーはそのままグレモリー眷属の方へと跳躍して駆けつける
完全にロキはあの二人に任せるしかない
なんとか間に挟むようにその身を滑り込ませ、バイオブレードを振り抜ける
しかし素早い動きの前にはその刃は空を斬る
「…流石に早いな」
バイオブレードを構えながら次なる動きをまつ
ゲル化しても追いつけるかどうかのレベルだ
ヴァーリチームに向かっているメリディは手馴れた動きで子フェンリルにいなしているようだ
しかし庇いながらでの戦いは、流石に彼女もしんどいようで、少々動きづらそうにしていた
その一瞬のことだ、不意に子フェンリルが素早く移動し、バイオライダーの視界から姿を消した
「っ!」
バイオライダーはRXへと姿を戻し、その姿をマクロアイで追いかける
付近ではロキと兵藤、ヴァーリが激闘を繰り広げている
ヴァーリチームの方では同じように高速移動で姿を消した子フェンリルにメリディも警戒心を顕にしていた
次の瞬間、ロキの方で戦闘していたヴァーリの方に変化が起きた
「ぐはっ!?」
視線を向けると鎖で繋がれていたハズの親フェンリルが自由となりヴァーリに噛み付いていた
―――もしかすると
不意に子フェンリルが視界に入ってきた
その口元には、さっきまで親フェンリルを拘束していた鎖
迂闊だった、仲間を守ることに意識を向けていたせいで親の方を完全に失念していた
「ははは! まずは白龍皇を屠ったぞ!」
「ヴァーリッ!」
兵藤はヴァーリを救出すべくフェンリルへ突貫した
対するフェンリルはどうということもなく、堂々とその突貫を迎え撃つ態勢を取る
「待て! 兵藤っ!」
静止するもすでに遅し
フェンリルは前足をなぎ、兵藤の鎧ごと切り裂いてしまった
彼の体から鮮血が迸る
「そやつらはやらせん!」
タンニーンが業火で兵藤らを支援する
普通なら焼き尽くされるであろう業炎を、フェンリルは逃げることはなかった
サイズは似たようなものだ、単純な大きさなら、ドラゴンであるタンニーンの方が有利だとは思うのだが
しかしフェンリルは咆哮ひとつ上げるだけでその業火をいとも容易くかき消してしまう
刹那フェンリルの姿は消え、同時にタンニーンの体から血液が戦場に舞った
「ぐ、ぅおおおおおっ!!」
神速の速さで動き回り、タンニーンを切り裂いているのだ
援護に向かおうにもこちらはこちらで子フェンリルが邪魔で思うように動けない
「こなくそっ!」
邪魔をしてくる子フェンリルの攻撃をサタンサーベルで受け止める
最悪浩太郎自身は神でもなんでもないので噛まれてもすごい痛いだけで済むだろうが、部位によればこっちもたたではすまないだろう
幸いにも一応兵藤らは〝フェニックスの涙〟を所持している
しかし傷をおっただけの兵藤はまだ大丈夫だが、現在進行形で噛み付かれているヴァーリはそうはいかない
どうしたものか
「ついでだ、こいつらの相手もしてもらおう!」
そう宣言したあと、不意にロキの足元から影が広がりそこから巨大な蛇のような、ドラゴンが姿を現した
数は五体、なんであれは、と訝しげにRXが睨む
「ミドガルズオルム…。 あんなんまで量産してたなんてね」
メリディから告げられる言葉
ミドガルズオルムとはフェンリルに対抗する術を教えてくれたドラゴンだと聞いているが…量産なんてできるのか?
いや、そんなことを考えている場合ではない、どんどん戦況が劣勢になってきている
「守ったら負ける! 攻めて!」
「こんにゃろ!!」
リアスと美猴の声色
グレモリー眷属とヴァーリチームの面々だ
それらに混ざってこちらも子フェンリルとの戦いを繰り広げる
「雷光よ!」
バラキエルの一撃が子フェンリルを捉える
しかしこいつらはダメージを食らってもどこ吹く風と言うように平気な様子で攻撃行動を再開してくる
戦闘意欲はこちらを軽く凌駕しているだろう
「はぁ!」
木場が同じような速さで動きに追いつき、子フェンリルに一撃を決め、僅かに隙が生まれた
その隙をゼノヴィアが突こうと接近したが、振るわれた前足で吹き飛ばされてしまった
「ぐわ!」
「ゼノヴィア!」
RXは吹き飛ばされた彼女を受け止める
イリナはRXにフェニックスの涙を投げ渡し、その後でこちらを守るように光の槍を生み出し、牽制するように目の前の子フェンリルに投げつけた
RXは渡されたフェニックスの涙をゼノヴィアへと振りかける
ゼノヴィアは傷が塞がるのを確認すると改めてデュランダルとアスカロンの二つの剣をRXの隣で構えなおす
「ギャスパー! あいつの視界を奪って! その隙に小猫はアイツの体のどこでもいいから、仙術での打撃を打ち込んでちょうだい!」
リアスがそう指示を飛ばす
ギャスパーと小猫がそれに応えるように動き出した
初めはギャスパーだ、まずその体を無数のコウモリへと変化させ、子フェンリルの目に集まっていき、その視界を奪っていく
わずかだが視界を奪い、隙が生じた子フェンリルに小猫が一撃を打ち込む
足に一撃入れただけだが、問題はない
仙術を練ったその一撃は致命傷には成り得ないかもしれないが、サポートとしては十二分だ
「行くぞゼノヴィア!」
「あぁ! 行こう浩太郎!」
ゼノヴィアの持つ二刀からのオーラの波動が放たれる
彼女の隣でRXはサタンサーベルを取り出し、その波動をサタンサーベルに乗せた
聖剣のオーラを宿したサタンサーベルをRXは振りかぶり、子フェンリルを斬りつける
確かなダメージを与えたと思ったが、まだ倒れない
タフだな、だがまだ終わりではない
「木場ぁ!」
「うん、任せて!」
そこからさらに木場が子フェンリルの足元に聖魔剣を大量に出現させ、体の自由を奪い一時的に拘束する
そして駆けてくる木場と一緒に連撃を叩き込んでいく
ついでに追い打ちとして朱乃が落雷を叩き込んでくれた
どうやらこっちの子フェンリル戦はこちらが優勢みたいだ
一方で
まず量産型ミドガルズオルムを相手取るタンニーン
彼は口から吐き出す高威力の火炎で焼き尽くし、さらにそこにロスヴァイセの援護もあり、順調に量産型オルムを殲滅していっている
どうやらこっちの心配する必要はなさそうだ
「そちらにも!」
合間を縫うように回復のオーラを後方支援担当のアーシアが飛ばす
地味ながらもその効果は絶大であり、おそらくフェニックスの涙だけではダメージをリカバリーしきれない
しかし休む暇もなくオーラを送っているので、さすがの彼女の顔にも疲労の顔が見て取れる
なんとかして早いとこケリをつけなければ
「よっと」
メリディの拳が子フェンリルの顔を殴打する
それに続くように巨大化させた如意棒を振るいさらに追い打つ
「にゃはははっ!」
黒歌が何らかの術で子フェンリルの足元をぬかるみか何かに変えたみたいだ
思うように動けず動きを封じられたその子フェンリルに接近するものが一人
アーサーである
(―――アーサー、ね)
内心でメリディが呟く
そんな彼女をスルーし、アーサーがコールブランドで子フェンリルを切りつけていく
「まずは、片目―――次に爪、そして牙…! この剣ならば、子供のフェンリルごとき空間ごと削り取れるはずです」
立て続けに攻撃を受け続け、さすがの子フェンリルも激痛で悲鳴をあげていた
流石、と言ったところだ
まずヴァーリが負傷しても全く気にすることなく戦いを続けることは、まず兵藤らグレモリー眷属は真似できないだろう
しかし逆にそれはヴァーリを信じているから、ということも考えられるが…考えすぎだろうか
「―――兵藤一誠、梓馬浩太郎」
不意にヴァーリの声を二人は捉える
そこにはまだフェンリルに加えられたままのヴァーリの姿があった
「ロキと、その他は君らと美猴達に任せる。この親は、確実に俺が殺そう」
「―――行けるのか?」
RXが一言、そう問いかける
対してヴァーリは―――
「無論だ。…このヴァーリ・ルシファーを舐めるなよ」
そう言い返し、ギリリ、と鋭い睨みをロキにかます
そして静かに何かを口ずさみ始め、彼の体から神々しいオーラのようなものが発せられた
「我、目覚めるは…」
<
ヴァーリとは違う声が聞こえる
そして同時に理解する、なるほど、これがこいつの
「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり―――」
<
「無限を妬み、夢幻を想う―――!」
<
「我、白き龍の覇道を極め―――」
―――汝を無垢の極限へと誘おう―――!