ワンドロ以外の作品も後々あげていきます。
「お姉様、あーんしてあげるっ。口開けてっ」
深夜のティータイムを楽しんでいる最中、突然フランが衝撃的なことを言い出した。
その手にはケーキが刺さっているフォークが握られていて、それを私の方に向けている。
え、この子は今なんて言った…? あーん? それってたしか、あの恋人同士がする行為よね? な、なんでそれを私に?
「あれ、どしたの? お姉様?」
フランはキョトンとした顔で首を傾げている。そんな恥ずかしい行為をお願いしたあとだというのになぜそこまであどけない顔ができるのか。あーんっていうのは好き合っている者同士で行う愛を確かめる行為であって決して姉妹で行う者ではないはず。ならばフランは私が好きだっていうこと? だめよフランっ、私達は普通の吸血鬼姉妹なのよっ。
「えっとね、フラン。あーんをしてくれるのは嬉しいんだけど、流石に姉妹でそれをするのは…ねぇ?」
そう、姉妹でこれをするのはおかしいはず。フランの気持ちを、嬉しくないといえば嘘になるけどそれでも受け取るわけにはいかない。ごめんフラン…こんなお姉ちゃんを許して…!
「む〜、お姉様、食べてくれないの…?」
フランが少し頬を膨らませて残念そうに言ってくる。とても可愛い、可愛いけれども姉妹で恋人のような行為をしたらダメなの…
「ちぇ〜、あ、咲夜も食べる? はい、あーん」
「ありがとうございますフラン様、頂きます。はむっ」
いつまでたっても食べようとしない私に痺れを切らしたのか、フランが咲夜にあーんをする。完璧な従者である咲夜なら、仕える主人の妹にそんなふしだらな行為はしないと思っていたのにあろうことか咲夜はあーんを受け入れてしまった。え、咲夜とフランってそういう関係なの? 主人の私の断りもなくフランを手込めにするなんて…
「さ、咲夜! 何してるのよ!」
「んっ、どうされました?お嬢様」
咲夜が口にしていたケーキを飲み込んで、さきほどのフランと同じようにキョトンと首を傾げる。
「ど、どうって、ほら、フランのあーんを…」
「あぁ、お嬢様もして頂きたかったのですね。フラン様、お嬢様もして頂きたいそうです。どうぞご遠慮なく。」
「な、なな、ち、ちがっ…」
咲夜を問いつめようとしたら何を勘違いしたのか、フランにまたあーんをさせようとしてくる。いや、正直フランのあーんは物凄く可愛いから貰いたいけれども、やっぱりそこは姉妹として…あれ、でも従者である咲夜がしているんだから私がしても別に問題では…うー…もうわかんなくなってきた…
頭の中を全力回転させて悩んでいると、ふたたびフランが、フォークにケーキを刺して私に差し出してきた。顔には満面の笑みを浮かべて。あぁもう私はどうすればいいの…!
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お姉様が頑なにあーんを受け取ってくれない。
先日パチュリーに聞いたことなのだけど、あーんというものは相手に自分の親愛を示すことでさらに絆を深めるための行為なのだという。
私はお姉様のことが大好きだし、お姉様もわたしのことを大切な妹と思っているだろうからやってみたのに、お姉様は食べようとしない。
試しに咲夜にもあーんをしてみたけれども、咲夜は実に嬉しそうに受け取ってくれた。咲夜から親愛を寄せられているのだとわかり、とても嬉しい。
咲夜は食べてくれたのにお姉様食べてくれない。お姉様はわたしのことが嫌いなの? ショックを受けて落ち込んでいると、咲夜がお姉様はホントはあーんをしたいんだと言ってくれた。お姉様は慌てて違う違うと言っているけれども、その頬は真っ赤になってて、長年の付き合いから照れ隠しだというのがわかる。
真っ赤になって悶えるお姉様可愛い。食べちゃいたい。あ、姉妹でこういうことを考えるのはダメなんだった。でもお姉様が可愛いのだから仕方がない、お姉様の一挙一動にドキドキして、キスしたいとか思っちゃうのも全てお姉様が悪いんだ。
「お姉様、あーん」
再度フォークを持ってお姉様の口元にケーキを近づけていく。お姉様はまだオロオロして顔を真っ赤にしているけれど、ケーキが口元に近づくと観念したのか瞳を閉じ、口を小さく開いてツンと少しだけ前のめりの体制になった。
いけない、お姉様が可愛い。恥ずかしさに頬を染めてプルプル震えながらケーキを待っているお姉様が可愛すぎる。
わたしの横で咲夜も鼻を抑えながらその光景を眺めている。
なんとかキスしたい衝動を抑えながらフォークを差し出し、お姉様の小さな唇にケーキを触れされる。するとお姉様はケーキを食べるために口をカポッと丸く開き、その口腔にケーキを迎え入れた。
むぐむぐと口を動かしながらお姉様がケーキを咀嚼する。まだ恥ずかしいのか瞳は閉じたままで頬も依然真っ赤だ。
そろそろ本当に我慢が効かなくなってきた、小さく口を動かす小動物のような可愛さ。恥ずかしさに頬を染める姿はわたしの興奮を煽るかのようで。
咲夜も興奮を抑えられないようで鼻を抑えている手の隙間から鮮血が迸っている。
やがてお姉様はこくんと小さく喉を鳴らしてケーキを呑み込む。そのままゆっくりと瞳を開いて、わたしのことを見つめる。
「あ、ありがとフラン…。その、お、美味しかった…わよ?」
たどたどしく、いじらしく、真っ赤になりながら小さな声でお姉様が礼を言う。そしてわたしの我慢もそこで限界だった。
「お姉様っ」
「え、フランっ、ちょっと…んっ!」
椅子から飛び出しお姉様に正面から抱きつく。そしてそのまま唇を奪う。
「ん、んぅ…ちゅぅ…」
「ふぁ…あむ…ん、あ、ふぅ…」
お姉様を唇にわたしの唇を押し付けたあと、お姉様の上唇を咥えてあむあむと挟み込む。
「ん、んん…フ、フラン…だめ…」
お姉様が弱々しく静止の声をかけてくる。それを無視して唇に吸い付き続ける。
上唇の次は下唇、チュルンと下唇をわたしの口の中に誘い込み、唇を切らないように弱く弱く甘噛みをする。
「ひゃうっ、うぅ…ふぁ…ん、んぅ…」
甘噛みを終え、十分お姉様の唇を堪能してからいったん口を離す。お姉様の唇とわたしの唇の間に唾液がいやらしく銀色の橋を渡している。
お姉様を見てみると、目尻が下がりトロンとした目元、上気して火照った肌、真っ赤な頬。そして唇を弱々しく開き、あう、あうと喘いでいる。
「フラン…なんで…こんな、こと…」
トロンとした目のままお姉様が質問をしてくる。その声に力は篭っておらず、弱々しい。
「ごめんなさいお姉様、今までずっと我慢してきたけれども、もう抑えられないの…お姉様が好きなの、姉妹だけど、どうしようもなくお姉様が好きなの…フランの気持ち、受け取ってくれる?」
一世一代の告白、既にキスをしたあとではあるけれども今まで秘してきた気持ちを伝えるのはとても勇気がいる。拒絶されるのが怖くて、声を震わせて、それでもなんとか勇気を振り絞ってお姉様へ告白した。
お姉様はしばらく赤い顔でぼうっとわたしの顔を見ていたけれど、突然目をパチクリさせるとあわあわと慌てだした。
「え、あ、フランが、私のことを好き? え、姉としてじゃなくて?」
「うん、フランとして、お姉様が、レミリアのことが好きなの」
お姉様の質問に即答する。これは断言できる内容だから。
「えっ、えっとねフラン…」
しばらくあうあうと可愛く悶えた後にお姉様は言葉を紡いだ。
「私も、フランのこと可愛いって思うことがあったんだ。笑顔にドキッとしたり、スキンシップにへんに心踊らせたり。今までは妹としての愛情だと思ってきたけど、さっきのフランとのキスで違うってわかったの。
私もフランが好きよ。レミリアとして、フランドール•スカーレットが好き。」
「お姉様…!」
お姉様から1番聞きたかった言葉が聞けた。わたしのことを好きだという言葉。お姉様もわたしと同じ気持ちを抱いていたということに言葉にできないほどの喜びの渦が心の奥から沸き上がる。その奔流に任せて、わたしは再びお姉様の唇を塞いだ。
「ん、んぅ…あむ…」
「はぁっ、はむっ…」
先程のキスとは違い、唇を優しく触れ合わせるだけのフレンチキス。それでも愛し合っているお姉様とのキスというだけでとても甘美なものに感じられる。
「お姉様、その…寝室に行きましょう?この続きが…したいです…」
「え、えぇ。わかったわ…ちょっと緊張するわね…」
わたしとお姉様は鼻血によってできた血溜りに沈む咲夜の脇を通りながら、寝室へと向かった。