私を庇ってその命を散らした玲。

彼女の遺した手紙は良くわからなくて私に1つの可能性を与えてくれた。

そんな、有り得るかも知れない話。

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手紙。

――――――――――――――――――――――

拝啓、悠稀様。

春から約二百の日を費やして今日という日を迎えました。

この手紙を書くと決めたのが三日前。

この気持ちを持ったのは凡そ約百の日を迎えた所だったでしょうか。

貴方に伝えたい気持ちがありました。

けれど、終ぞ私の口から告げる事が出来ませんでした。すいません。

この手紙は、文は貴方にどうやって渡せましたか?

靴箱?手で?気付いたら鞄の中?それとも―――――誰にも渡せずに机の中で悠久の時を過ごして私自身がこの手紙を読んでいるのでしょうか。

なんて言うくらいには勇気がない私が手紙を書けたのはかなり勇気が必要だったんですよ?

貴方はこの手紙を読んでどう思っているのでしょうか、嬉しい?恥ずかしい?それとも......迷惑......でしたか?

......あはは。

この手紙が貴方に届く事を願って、そろそろ本題に行きますね。

 

私、古峠 玲は貴方、小鳥遊 悠稀の事が大好きです。

 

......恥ずかしいですね。

御返事待ってます。

 

玲より。

 

――――――――――――――――――――――

 

クシャ、左手で持っていた手紙に力が伝わってその紙に皺を付けた。

右手は何時の間にか溢れ出した涙を拭うのに必至になっていた。

泣き崩れそうになるのを家族や友人に支えられ、その場にしゃがみこみそうになるのをどうにか堪えた。

然し、どうにか抑えようと堪えていた嗚咽も漏れ出してその涙が、ついに顎の先にまで伝った。

私はどうにか嗚咽を数分、いや、数十分かも知れない、それ程の時間を書けて嗚咽を収めた。

けれど、しゃっくりのようにたまに出る嗚咽は許して欲しい。

カスっ......カスっ、と革靴の、底が、硬い床を弱々しく擦りながら私はスライドドアの前に、漸く辿り着いた。

本当ならとっくにこの中に居なければ行けない人間、こんな弱く愚かな私に惚れた君が私のどこを好きになったかは知らない。

右手がその取っ手に触れて、スッ、と弱々しく開いた。

「......こっちよ悠」

私は、母に呼ばれ端が滲む視界の中物にぶつからない様に、今度は底を、引き摺る事はない様に慎重にその床を踏んだ。

数歩あるいてその部屋に置かれたベッドに横たわる姿が私の視界を二度、いや、三度滲ませた。

それからの事は良く覚えていない。

何やら白衣の医師と黒服で眼鏡の男がが玲の両親と私の両親に話をしていたところだった。

―――玲は私を庇って死んだ。

だから、貶されてもおかしくは無かった。

いや、ありとあらゆる言葉で、罵られて......けれど、そんな事は無かった。

悲しんでいないとかそんなんじゃ無かった。

私には分からなかった。

玲の身体が運ばれる時になって玲の両親が私に純白の封筒を差し出した。

「......これは?」

玲の母親が不思議そうに困った様にでもどこか、嬉しそうに。

「手紙よ、玲からの」

と言った。

 

――――――――――――――――――――――

拝啓、悠稀様。

玲さん......すいません。

私はどうやらもう無理の様です。

なにが、とは言いづらいのですが、その時になればわかります。

コレを書いたのは三日前です。

ふふ、不思議ですよね、何かと三日前です。

初めてのデートの約束も三日前。

あの手紙を書こうと決めたのも三日前。

......手紙見ました?

見てないのなら、見ないでくださいね?だめですよ?

ええと、コレは、わからないと思うんですけど......契を結ぼうと決めたのも三日前なんですよ?

ふふ、ごめんなさい、わからないですよね?

変な事言ってごめんなさい。

 

私は貴方と居れて楽しかった。

今迄のどんな時よりも、けれど、お別れです。

泣いてもいいですけど、また泣かないでください。

強く生きて、私の分まで。

大好きですよ。悠。

ふふ、口付けでもしたい。

コレを書いた次の日に凄く強請りますからね。

......覚悟していてください!

 

また、逢いましょう。さようなら。

玲より。

――――――――――――――――――――――

「......ああ、また逢おう玲......」

 




Thank you for reading!!


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