力持ちの人魚と祝福の風も神様転生   作:峻天

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003 夜天の主と感動の再会

 

1月29日(日)...仲人、翔、アキラ、リインのうみなみ寮で新しい生活が始まって次の日。今の季節は冬であるが、雪が降りそうな気配はしない。

 

 

~仲人 side~

 

ーージリリリリリ

 

「...ふぁ...あ~」

 

目を覚まして欠伸した後、左側にある目覚まし時計を止める。タイマーは午前6時にセットしたけど、ちょっと早いかな? まあ、いいや。

 

温かい布団の誘惑と朝の寒さに負けずベッドから降りて布団を直した後、寝室の北西(ベッドの西)にあるタンスから服を取り出して着替えた。パジャマを畳んでベッドの上に置いた後、タンスからタオルを一枚持ち出して、西隣の寛ぐ私室経由で北の廊下に出る。

 

・・・・・

 

廊下に出て東へ進み、階段東隣の洗面所に入ると翔が居た。彼は顔を洗って寝癖も取って身だしなみを整えている。先を越されたな~。

 

「おっ、仲人。おはよう」

 

「おはよう。翔も早く起きたんだね」

 

「いつもの調子じゃねぇか。転生前...家は隣同士だったから、毎朝一緒に日課のランニングと体操をやっていただろ」

 

翔は僕に気付いて挨拶してきたので、スマイルで挨拶を返した。そして「なーに、言ってんの?」な顔をする翔。そう言われてハッとし、いつもの生活を思い出す。

 

「あっ、そうだった...でも、今日は体操だけかな。現在...まだ海鳴市について把握出来ていないから」

 

「ははっ...そーだな。迷子になったらシャレにならねーし......っと、洗面台から退けるぞ。ほら、顔を洗え」

 

訳があって、今日はランニングしないと聞いて苦笑する翔。そして、洗面台を空けてくれた。早速、お湯で顔を洗ってスッキリさせる。更に少し髪を濡らして、鏡を見ながら寝癖を取る。うがいもして、寝起きの口臭を落とす。歯磨きは朝食の後...遅くても出かける前だけどね。

 

・・・・・

 

「あっ! 仲人と翔...こんな場所で全員揃うなんて、偶然だね」

 

「丁度、寝起きの身だしなみが終わった所か」

 

翔と洗面所を出て下り階段へ向かう途中...三階への登り階段から降りて来たアキラやリインと鉢合わせする。二人共、爽やかな笑顔だ。

 

「「おはよう。アキラ、リイン」」

 

「「おはよう。仲人、翔」」

 

全員スマイルで互いに朝の挨拶をした。うん、皆から眠たそうな感じはしない...昨日の夜はグッスリ眠れたようだね。素晴らしいベッドを用意してくれたセレンさんに感謝だ。

 

「僕と翔は今から庭で体操をするけど、アキラとリインは如何する?」

 

「本来ならランニングもするんだが、海鳴市についてまだ知らねーからな」

 

「うん、私も参加する。運動部だったから毎朝、友達とランニングしてた」

 

「健康的で良いな。私も参加しよう」

 

訊いてみると、アキラやリインは考える事も無く参加すると答えた。その時、アキラが明石裕奈と和泉亜子と佐々木まき絵と一緒にランニングしている様子が頭の中に浮かんだけど、失礼な事にイメージはマンガの絵。本物の明石裕奈達と会った事が無いからソレで仕方ないな...

 

「それじゃ、庭へ行こう!」

 

「「「おう/うん/ああ」」」

 

寮長の決定として皆に言った後、階段を降りて玄関へ向かった。

 

・・・・・

 

「今始めるよ。僕に合わせてね......いちー、にー、さんー」

 

「「「しー、ごー、ろくー、しちー、はちー...いちー、にー、さんー」」」

 

玄関を出て庭(門へ続く石造りの道の東)に着いたら僕と翔、アキラ、リインの一対三で向き合って体操を始めた。体操の内容は体育祭前のラジオ体操と同じに加えて、屈伸等の軽いストレッチだ。

 

・・・・・

 

「あ、決めるのを忘れていたよ...今日の朝食は誰が作る?」

 

体操が終わった後...朝食担当は誰にするか、皆に訊ねた。

 

「んー、今は皆で一緒に作ろうよ。当番決めは、納得出来るまで料理の腕を磨いてからにした方が良いと思う」

 

「私はアキラの提案に同意する。皆に色々教えて貰いたいんだ」

 

アキラは上を向きながら顎に人差し指を当てて思案した後、提案した。リインはお願いも含めて、その提案に賛成する。皆全員で作る...か。

 

「俺もその方が良いと思うな。四月から通う学校でアニメ通り、給食が無いかもしれねぇ。もし、そうなら毎日お弁当作りだぜ」

 

「そうだね...当分の間、三食とも皆で作る形でいこう」

 

翔も賛成なのでアキラの提案を採用し、朝食は皆で作る事になった。給食はあるかどうか、後で聖祥大学付属小学校のホームページを見て確かめよう。

 

僕達四人は玄関に入り、東奥のキッチンへ向かった。

 

~side out~

 

 

~エイミィ side~

 

今、私は時空管理局次元航行艦アースラのモニタールームで、うみなみ寮を監視している。昨日、高い魔力反応があったからね......しかし、眠いなぁ。今まで何回もあるけど、徹夜は辛いわ~。

 

「エイミィさん。モニターを見て下さい」

 

「ん~ん~。庭に子供が四人いるね」

 

ミラ(女性スタッフ)に呼ばれてモニターを見ると、うみなみ寮の庭で体操をしている少年二人と少女二人が居た。朝早いなぁ...今何時だっけ?

 

「高い魔力の元は子供達四人のようですよ」

 

「うん、そうみたいだね~」

 

歳は...なのはちゃんとフェイトちゃんとはやてちゃんと同年代か。黒柳くんといい、わずか一年で高い魔力を持った地球出身の人を七人も見つかるなんて...地球で魔法文化へ進む前兆かな? う~ん...

 

「あれ?」

 

よく見ると、茶髪の少年ははやてちゃんと似ているような...銀髪の少女は何処かで見た事があるようなないような...兎も角、その子達は協調性のある良い人そうで私達と仲良くなれそうだね~。

 

「私は艦長の所へ行くから、引き続き監視をよろしく~」

 

「はい。解りました」

 

ミラに命令した後、歩きながら欠伸してモニタールームを後にした。あ~眠い...後で温かいコーヒーを飲もう。

 

~side out~

 

 

~仲人 side~

 

キッチンで朝食を作る中...僕と翔とリインは包丁を扱う手本を見る為に、キッチン中心にある調理台の前に立つアキラを見ている。彼女は特殊能力の皇帝特権が発動中だ。

 

ーータタタタタタンッ

 

「「「......」」」

 

僕達三人は、アキラの鮮やかな包丁捌きを見て、これが一流の業かと改めて思った。自信が無くなりそうだけど、頑張ろう。

 

因みに、今のでアキラの皇帝特権をコピー習得した。その能力を破棄する気はないから、これで残りはあと5つ。

 

「アキラ。一流の技を体験して如何だった?」

 

「まるで自分じゃない感じ...でも、腕が痛いよ。まだ体が出来ていない子供の身で皇帝特権は無理があるかな」

 

その作業が終わった後、アキラに訊いた。彼女は腕を擦りながら答える。未発達の体では負担が掛かるみたいだ。

 

「そっか。他にも色々、手本を見たいけど...連続使用は止めた方が良いね」

 

「俺はアキラが切ってくれた鮭を焼いておくぜ」

 

僕は苦笑してアキラに応えた後に、翔は鮭の切り身を持ってキッチン南西(シンクの左)にあるガスコンロの元へ向かった。

 

「仲人。私は如何すれば良い?」

 

「リインはアキラに味噌汁の作り方を教えて貰うよ」

 

リインに言った後、IH対応の鍋と卓上IH調理器を東にある電子レンジと炊飯器が乗った下の棚から調理台の上に置く。初心者はIH調理器が一番だからね。注意点が多いガスコンロの使い方は後だ。

 

「解った。仲人は?」

 

「僕はアキラが切った野菜を皿に盛り付けた後、お茶を沸かしておくよ」

 

その後、リインとアキラは味噌汁作り、翔は鮭焼き、僕はサラダ盛り付けとお茶沸かしを行った。ご飯は炊飯器で炊いている。

 

・・・・・

 

朝食が出来て食堂のテーブルに並べた後、皆とその席に座る。セレンさんは居ないが、席の配置はいつものと同じ。昨日の夕食と比べて少し寂しいな...

 

「「「「頂きます!」」」」

 

皆で合掌した後、箸を持って朝食を食べ始める。初めて僕達四人で作った朝食の味は「まぁ、こんなもんだろう」と云う感じ...うん、皆で精進だ。

 

・・・・・

 

「仲人。今日の予定は如何するんだ? リインと一緒に、八神はやての家へ行くのか?」

 

翔が今日の予定について訊ねてきた。予定は決まっている。リインとの関係で長い付き合いになるだろうから、八神はやて達と挨拶しておきたい。

 

「うん、そうだよ。挨拶しておきたいからね......リイン。八神はやて達が住んでいる家の場所は判る?」

 

「ああ、此処から南へ80メートル離れた所にある」

 

地図が無くても探知魔法で場所を特定出来たそうだ。そんなに遠くないのか...ビックリしたけど、リインにとって嬉しい話だね。

 

「思ったより近い場所にあるんだね......仲人、何時に出かけるの?」

 

「時間は......午前9時に玄関で集合しようか......リインは、それまで八神はやてに連絡を頼むよ」

 

「勿論、そうするつもりだ」

 

アキラの質問を聞いて食堂西にある壁時計を見ながら考えた後、皆に集合時間を伝えた。連絡をお願いすると、リインは微笑んで応える。その連絡手段はテレパシーみたいな魔法で、名前は確か...念話だったかな。

 

その後、話題は変わって朝食後の家事当番についての話し合いになる。それで今日、僕とリインは洗濯当番、翔とアキラは朝食後片付け当番で毎日交代すると決定した。

 

・・・・・

 

朝食が終わった後...二階廊下で翔から洗濯物を受け取って僕の洗濯物と一緒にカゴに入れ、今は洗濯場に居る。うみなみ寮の洗濯場は八畳部屋並みで、僕の家より広い。北に上乾燥機下洗濯機のセットが2つ並んであり、そのフレーム色は左が水色で右が桃色。どれが男子用女子用なのか、誰でも判る。

 

「仲人。私とアキラの洗濯物を持って来たぞ」

 

僕と翔の洗濯物を水色の洗濯機に放り込んで設定をしていると、洗濯物を入れたカゴを持ったリインが洗濯場に入って来た。

 

「ご苦労さん。洗濯物を桃色の洗濯機に入れてね」

 

「解った」

 

リインは僕の指示に従って、女子の洗濯物を桃色の洗濯機に入れる。後に僕は洗剤を入れてフタを閉め、水色の洗濯機を起動させた。それから、リインに洗濯のやり方を教えて桃色の洗濯機を起動させる。

 

「洗濯は意外と簡単なんだな。電源を入れてスタートを押すだけとは...」

 

「全自動だからね。設定を済ませたから、今後はそのやり方でOK。次は洗濯物を干すから8時40分になったら、また此処に来よう」

 

「了解した(よし、家事スキルの一つの洗濯は覚えたぞ)」

 

洗濯は簡単だと思い、自信満々で返事をするリイン。う~ん...詳しくは知らないけど、大人女性の洗濯物の一部は洗濯機がダメで、手間がかかる物もあるらしいよ。今は無くても、数年後は大変かな...手洗い洗濯の場合は、桃色の洗濯機の右隣にある流し台を使う。

 

洗濯物を干す準備としてカゴにハンガーの束を置いた後、リインと一緒に洗濯場を後にした。

 

~side out~

 

 

~はやて side~

 

今、洗濯場からの戻りで廊下を歩いている。歩けるって最高やな~。と言っても不安定やから石田先生の許可が出るまで外は車椅子やけどな。まだ一人で階段を登れへんし...

 

≪......え...すか?≫

 

「っ!?」

 

突然、念話が聞こえて少し驚いた。それで足がフラフラしたので、倒れないように壁に手をついて支える。行き成りやなぁ...誰からや?

 

≪聞こえますか? 我が主≫

 

意識を集中して念話を聞き取る。こ、これは...一生忘れられへん声...

 

≪り、リインフォース?≫

 

≪はい! そうです。あぁ...お元気そうで、良かった≫

 

確認してみると、安心したような返事が返ってきた。聞き間違いあらへん...一カ月前、夜天の書と共に天へ消えてしまったもう一人のウチの家族。

 

≪リインフォースなんやね...本当に......今は何処におるん? 一秒でも早く会いたい! 会いたいよぅ...≫

 

≪っ、我が主...落ち着いて下さい。私は其処から北にあるうみなみ寮に居ます。9時になったら其方へ向かいますので、お待ち下さい≫

 

≪うんっ! 解った。ウチで待ってる...車に気を付けてな≫

 

≪はい! 我が主≫

 

リインフォースから、喜び溢れた返事を最後に念話が切れる。向こうでやる事があって、直ぐには無理みたいやな...え~と、うみうみ寮? みなみ寮? 確か、寮は共同生活らしいし...

 

「やっと、皿洗い終わったぞー! はやて...!?」

 

キッチンから出て来たヴィータはこっちを見て驚き、駆け寄ってきた。

 

「えっ? ヴィータ...?」

 

「はい、ハンカチ。そんなに泣いて、如何したんだ?」

 

ポケットからハンカチを差し出して、心配な様子で訊くヴィータ。気が付くとウチは泣いていた。無意識で首にかけている剣十字のペンダントを強く握りしめながら...

 

~side out~

 

 

~仲人 side~

 

「玄関の戸締りは...OKっと」

 

リインと一緒に洗濯物を干す作業が終わった後、出かける準備をして今は皆と玄関外に居る。洗濯物を干す時、リインの目は赤かった(赤い瞳の方ではない)けど...察しがつくので、そっとしておいた。

 

「仲人と翔が作ってくれた【寒くないコート】は凄いね。全然寒くないよ」

 

「ああ、顔や足も冷えないから効果は抜群だ(私の魔力を微小、コートに吸い取られているが...)」

 

アキラとリインは笑顔で感想を言う。出かける前にアイテムクリエイションで【寒くないコート】を更に二着作った...気に入ってくれて何よりだ。因みに、アキラは水色のコートでリインは紺色のコートである。

 

「な? 仲人は北極南極は平気かもって、言ってたんだぜ」

 

「あはは...それは言えてるね」

 

「ふふっ...言い過ぎかもしれないが、可能だろうな」

 

「っ、さ~出発だ」

 

翔の一言で恥ずかしくなったから、笑い合う三人を置いて逃げるように、石造りの道を早歩きで門へ向かった。

 

「あっ、おいっ! 照れんなって」

 

後ろの方で翔が叫んでいる。照れてない! 照れてないっての!

 

門の前に立って振り返ると翔達三人は早歩きで付いてくる。再び集まったら、うみなみ寮の門を出た。

 

・・・・・

 

今は南に向かって、うみなみ寮西隣の道路左側を歩いている。二番目の交差点に着いたところで...

 

「この辺りで80メートルになると思うんだが、左へ曲がるか?」

 

「探知魔法で確かめたら東へ10メートルと出た。間違いない」

 

翔は東へ続く道路を見て訊ねると、リインは探知魔法を使って答えた。

 

「此処から10m......目的地の家は二軒目辺りかな?」

 

「うん。東に並ぶ住宅の表札を一つ一つ確認していこう」

 

東に並ぶ住宅を見ながら呟いたアキラに頷く。其処の外見は、アニメで見た事がある八神はやての家と同じ住宅が四軒並んでいるな...割と僕の家より広い一戸建てのマイホームで、裕福な家族が住める良い家だ。

 

東へ曲がって表札を一つ一つ確認しながら進むと、アキラの推測通り二軒目は八神家だった。その門にあるインターフォンに指差しながら、リインに声をかける。

 

「リイン。そのインターフォンを鳴らして」

 

「...ああ」

 

~side out~

 

 

~リインフォース side~

 

「リイン。そのインターフォンを鳴らして」

 

「...ああ」

 

仲人は我が主の住む家の門に付いているインターフォンを指して言う。うぅ...ドキドキしてきた。うみなみ寮で洗濯の後に、連絡で我が主に念話をかけようとしていた時の比ではない。だから、押そうとする私の人差し指が震えている。

 

「リイン。頑張って!」

 

「勇気は夢を叶える魔法って、誰かが言ってたぜ。頑張れリイン」

 

アキラと翔は応援してくれている。勇気は夢を叶える魔法か...良い響きだ。

 

「緊張したら深呼吸が一番だよ。大丈夫、向こうもリインと同じで頑張っている筈...翔の言う通り勇気を出して、元気な姿を見せてあげるんだ!」

 

「ありがとう。皆......すぅ...はぁ...すぅ...はぁ...」

 

落ち着くまで深呼吸を繰り返す。おそらく仲人の言う通り、我が主も私と同じ気持ちだろう...私だって、主を護る騎士の端くれ。気合を入れて...

 

ーーポチッ

 

インターフォンを押した。

 

・・・・・

 

一秒、一秒が長く感じられる時間。何分か経った後...

 

家の玄関の扉が少し開き、ひょっこりと扉の横から顔を出した我が主。あぁ...良かった...会いたかったです...

 

「リインフォース...?」

 

「はい。我が主...訳あって、こんな姿になってしまいましたが、私...リインフォースです」

 

「~っ!」

 

我が主は、直ぐに扉を開けて私に抱き付いた。此方も抱きしめる。二度と離れないと云う気持ちを込めて、力強く...

 

「ううっ...ひぐっ......おかえり...なさい...」

 

「は...い......ただいま...っ」

 

~side out~

 

 

 

 

 

~仲人 side~

 

涙を流しながら抱き合うリインと八神はやての様子を見て此方は...

 

「俺ぇ...こう云う場面には弱いんだぁ...うっうっうっ...」

 

「うん、うん......私も...ぐすっ」

 

「うぅっ......僕も...」

 

泣いています......良かったね。リイン...八神はやても...

 

「はやてぇ...ひぐっ...」

 

「ううっ......はやてちゃん...ぐすっ」

 

「主はやて...良かったです...」

 

「......(主...)」

 

玄関の中でヴイータとシャマルも泣いていた。シグナムとザフィーラ(人間形態)は微笑んで見守っている。後者には凛とした人と男前な人で、泣くところが想像出来ない。

 

・・・・・

 

何分過ぎたか、誰も判らない時は流れ...皆、落ち着いてきて...

 

「リインフォース...如何してウチと同じ歳になったん? 後ろの人達は?」

 

八神はやては、僕と翔とアキラを見てリインに訊いた。あっ“生きている”八神はやてと、お互い初対面になるね。

 

「うみなみ寮に住んでいる人で、私の友人でもあります。この姿については説明させて頂くと長くなりますが...」

 

「初めまして。八雲仲人です」

 

「俺は、麻宮翔。よろしくな」

 

「八神さん...私は、大河内アキラと言います」

 

リインが話し終わった後に、僕達三人は二.三歩前に進んで、八神はやて達に元気良く自己紹介をした。あれ? 此処...僕の家の匂いと余り変わらないな...懐かしい感じがする。

 

「おおきに! ウチ、八神はやてと言います。よろしゅう」

 

八神はやては笑顔になって自己紹介を返してくれた。関西弁か...僕と翔は滋賀出身の関西人だけど、そんなに関西弁で喋る方じゃない。

 

「八神さん。後ろの人達は守護騎士かな? リインから聞いているよ」

 

「そうなんか。リインフォースの友人やから、ウチにも名前で呼んでええよ......皆、自己紹介を頼むで」

 

そう言うと、はやては明るい顔で答えた後、後ろへ振り向いて守護騎士達に自己紹介を頼む。セレンさん、シグナム、ヴィータ...作り話でしか見ない髪の色を本物で見ると新鮮だな...

 

「はい。解りました......私は剣の騎士、烈火の将シグナムだ」

 

「あたしは鉄槌の騎士ヴィータだ」

 

「私は湖の騎士シャマルです。怪我したら気軽に声を掛けてね」

 

「我は、盾の守護獣ザフィーラ」

 

守護騎士達は横一列に並んで此方に自己紹介をした。しっかり統制がとれてるね...流石だ。

 

「仲人君、翔君、アキラちゃん、立ち話なんやし...家に上がってええよ。リインフォースはウチの家族やから、自分の家と思って好きなようにしても構わへんで」

 

「ありがとうございます。我が主」

 

「「「お邪魔します」」」

 

礼をした僕達四人は、はやてに付いて行って八神家の中に上がった。

 

・・・・・

 

八神家のリビング...曲線ソファで西の左からヴィータとはやて、曲線ソファで北の左(曲がる所)からリインとアキラと僕、テーブル東で左から翔とザフィーラ、テーブル南で左からシャマルとシグナムが居る。此処は玄関の東隣にある事と南の窓から庭が見える所も、うみなみ寮リビングと同じだ。

 

「ねぇ、はやて。ザフィーラは如何して犬に変身したの?」

 

「あ~、アキラちゃん。ザフィーラは犬じゃなくて狼なんよ...本人は日常、その姿が一番落ち着くって言うとった」

 

「そうなんだ...」

 

狼に変身したザフィーラを見たアキラの質問に、苦笑して答えるはやて。彼は狼でも、戦闘時でなければ威圧しないから犬と間違われるかもしれない。

 

「リビングに八人一匹いると賑やかだな。それより...はやてと仲人は兄妹かと思うほど、似ていて驚いたぜ」

 

「「へ!?/ふぇっ!?」」

 

「「「「「確かに...」」」」」

 

「今更だが、うみなみ寮で仲人と初めて会った時から思っていた」

 

翔の呟きで、僕とはやては呆気にとられた。アキラと守護騎士達は僕とはやてを交互に見て同感する。はやてを良く見たら、妹と瓜二つだ...アニメのはやては、妹の似顔絵をアニメ風に加工したようなものかな?

 

「えらい偶然やね...お兄ちゃんと呼んでもええか~? それとも...ウチにお姉ちゃんと呼ぶ?」

 

「いや...血は繋がってないし、歳は同じだから仲人で」

 

「ははは...残念や~」

 

お兄ちゃんか...妹は“兄さん”と呼んでいたけどね。しかし、遺伝子は如何なっているんだろう? 100%な訳ないよね? 異世元...平行世界だから有り得る。

 

「ゴホン...はやて、守護騎士の皆。リインに訊きたい事が沢山あるよね?」

 

「「「「「うん/ええ/ああ」」」」」

 

咳払いして訊ねると、はやてと守護騎士達は真剣な顔になって頷いた。気になる事で、大変重要な話だからね。

 

「リイン。説明は君に任せるよ。複雑で大変そうだけど...大丈夫?」

 

「...頑張ってみる」

 

リインは顔を縦に振って応えた後、はやてと守護騎士達に此方側の事情を説明した。転生について、世元・平行世界について、セレンさんを含む最高神について、うみなみ寮について、等々...

 

「「「「「......」」」」」

 

説明を聞いたはやてと守護騎士達は半信半疑な様子で沈黙していた。矢張りそうなるよね...世界の真実とか、神様に会ったとか、非常識極まりない話だから...実際に体験しないと、妄言とも云う作り話と捉えてしまう。

 

「...じゃあ、こっち側のリインフォースは如何なったん?」

 

「異世元へ転生させたと、セレンさんから伺っています。今頃は...あっちの我が主と再会を果たしているかもしれません」

 

「なんか、入れ替わりやなぁ...けど、幸せに生きていけるなら...それでええ。こっちも負けないぐらい、幸せになろうな。リインフォース」

 

「はい! 我が主」

 

はやては笑ってリインに抱き付いた。西のソファと北のソファが繋がっているから、そうするのも楽だね。

 

「主じゃなくて、はやてと呼んで欲しいなぁ~。折角、人間になれたんやし」

 

「我が主......は...はやて」

 

「うんうん。ウチも呼び名をリインと愛称や~」

 

照れながら、はやてと呼ぶリイン。笑顔でリインと呼び返すはやて。僕と翔とアキラと守護騎士達は微笑ましい目で見守っている。和むな~。

 

・・・・・

 

「はやて。足の具合は如何ですか?」

 

「リハビリ中やけど、自分で歩けるようになったで。四月から学校に復学出来るから嬉しいわ~」

 

はやては明るい顔でリインに答えた。大体、一ヶ月で下半身の神経が完治する見込みらしい。良かったね。そう聞いたリインは安心する。

 

「はやて。私も四月から学校に通いますので、丁度良いですね」

 

「はやて。私や仲人や翔も一緒だよ」

 

「ホンマ!? 住所は近いから5人で出発やな~。後から、なのはちゃん、フェイトちゃん、すずかちゃん、アリサちゃんと合流して9人や~」

 

リインとアキラから聞いて「待ち遠しいな~」と、はしゃぐはやて。もう一度小学校に通うなんてネガティブな細かい事は、気にしないでおこう。

 

「賑やかで、安心出来て楽しそうだな。男子は俺と仲人だけだが...」

 

「そうだね...」

 

翔の言う事に苦笑する。確かに、2:7と男女比率の差が大きいね...

 

・・・・・

 

楽しい話に夢中で何時の間に、時間は正午を迎えた。

 

「皆の昼食を用意したいんやけど、食材が足らへん...まいったなぁ...」

 

「昼食なら大丈夫。僕に任せて......アイテムクリエイション」

 

困っているはやてに大丈夫と言い、特殊能力でドラえもんの秘密道具【グルメテーブルかけ】を作り出した。

 

「神様から貰った不思議な力やね...そのオシャレな布一枚は、何なん?」

 

「これは【グルメテーブルかけ】と言って、ドラえもんの秘密道具だよ。食べたい物を自由に出す事が出来るんだ」

 

はやてに答えながら【グルメテーブルかけ】を中心のテーブルに敷く。

 

「ほぇ~。凄いなぁ...ドラえもんって、誰なん?」

 

「えっ? 知らないの? 有名なマンガとアニメだよ。はやて」

 

「このキャラクターがドラえもんだ!」

 

翔はアイテムクリエイションでドラえもんの絵を描いた紙を作って、はやてに見せた。その紙を持った彼女は首を傾げる。

 

「耳が無い青い狸? う~ん...ウチもマンガやアニメが好きやけど、これは見た事あらへんなぁ...」

 

「仲人、翔。この世元にドラえもんと言うアニメは無いみたい」

 

「そのようだね...」

 

はやての様子を見て言ったアキラに同感する。ドラえもんは好きなアニメなんだけど、この世元には存在していないのか...とても残念。しかし、アキラがドラえもんを知っていると云う事は、魔法先生ネギま!の世元にも、そのアニメが有ったんだね...

 

「その使い方は凄く簡単。食べ物をイメージして食べ物の名前を言うだけ。飲み物も出せるよ......はやて。やってみて」

 

「...ん~。オムライスとコーンスープ」

 

はやては僕の説明に従ってイメージし、食べ物の名前を言うと...

 

「「「「「「おお!?」」」」」」

 

【グルメテーブルかけ】の上にオムライスとコーンスープがポンッと、出て来た。はやてとリインと守護騎士達は驚く。ははっ...面白い反応だね。僕もこれを初めて見るけど、本当に凄い。

 

「...と云った感じだよ。皆さん、ドンドン好きな食べ物を注文しよう」

 

「なあなあ、アイスも出せるよな?」

 

「うん、今まで気に入ったアイスも出せるよ」

 

「ヴィータ。その気持ちは解るが、デザートは昼食の後だ」

 

目を輝かせたヴィータに苦笑して答えた。後にシグナムも苦笑しながら注意する。ヴイータはアイスが大好物のようだ。

 

「ザフィーラ。今回だけでも人間モードにしてくれねぇか?」

 

「む...了解した」

 

翔のお願いに応えて、空気を読んだザフィーラは人に変身する。その後、皆は【グルメテーブルかけ】を囲んで、次々と食べ物を注文していった。

 

・・・・・

 

テーブルの上に、皆の食べ物が揃ったところで...

 

「皆さん。コップ持った?」

 

「「「「「「「「ええ/おう/うん/ああ」」」」」」」」

 

周りを見て確認する。うん、全員コップ持ってるね。

 

「新しい出会い、はやて達とリインの再会を祝って......乾杯!」

 

「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」

 

こうして今日の昼食は、はやて達の再会を祝うパーティーとなった。因みに、ビール等のお酒を飲む者はいない。守護騎士達は、主であるはやてがお酒を飲める歳になるまで、待っているそうだ。

 

~side out~

 

 

22世紀TOKYOにあるマンションの一室、野比家では...

 

「はーっくしょん!」

 

ドラえもんとセワシとドラミは、一家仲良く昼食を食べている中...ドラえもんは、くしゃみをした。

 

「大丈夫? ドラえもん」

 

「大丈夫だよ。セワシ」

 

「何処かで、噂でもしているのかしら?」

 

その噂は、仲人達からである。そんな事、彼等は知る筈も無い。

 

「かもね...一昨日、ドラえもんの活躍で逃亡中の時間犯罪者を捕まえる事が出来たから目立ったし...」

 

「あれは、セワシを助ける為に必死だったんだ。結果が重なっただけだよ」

 

照れながら言うドラえもん。事件があった日...セワシは犯罪者に捕まったらしい。彼を助けるはずみで、犯罪者のタイムマシンを壊したとか...

 

「ウフフ...二人共、無事で良かったわ」

 

微笑んで言うドラミ。まぁ...その通りだ。セワシもドラえもんも無事に帰ってこれたのだから...

 

「アハハ...そうだね。探してやっと会えたドラえもんは、体が青色になっていてビックリしたけど...」

 

遠い目をして笑うセワシ。話にあったように一昨日、大変危険な目に遭ったものの...野比家は今、平和な毎日を過ごしている。

 

・・・・・

 

この世元にドラえもんのマンガやアニメが存在していない理由...それは架空ではなく実在しているからであった。そんな事実、仲人と翔とアキラはまだ知らない。

 

ドラえもんを描いていないが、作者のFFFさんは居るかも...?

 

 

つづく...

 

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