仲人達四人は現在、八神家ではやて達五人と再会のパーティーを楽しんでいる。アイテムクリエイションで作った【グルメテーブルかけ】で出した料理を美味しく召し上がったり、簡単ゲーム黒ひげ危機一髪(玩具のタルに玩具の短剣刺し)をしたり、色々だ。黒ひげ危機一髪のゲームは3回してシグナムと翔とザフィーラは脱落したが、罰ゲームは無い。
~仲人 side~
「う~ん...その食器、如何しよう...」
僕は今、悩んでいる。再会パーティーが終わった後、残った【グルメテーブルかけ】で食べ物と一緒に出た食器を如何するか...だ。
「仲人君。その食器、予備品にするからウチが引き取るで」
「はやて...助かるよ。ついでに【グルメテーブルかけ】もあげる」
はやてが食器を引き取ると言ったので、あげる事にした。意外な欠点があって【グルメテーブルかけ】を乱用出来ないな...
「私が食器を片付けます。はやてちゃんは、リインちゃん達とゆっくりしていってね」
「シャマル! その呼び方は止めてくれ...私と同じ精神年齢の人に、そう呼ばれると惨めなのでな」
リインは赤面してシャマルに抗議した。守護騎士に“ちゃん”付けで呼ばれたくないようだ。うん、とある事情で大人から子供にされた挙句...大人同年代の友達に、そう呼ばれたら恥ずかしくて凹むよ...本当に。
「うふふ...リインちゃん。照れちゃって...可愛いわ~」
「うぅ~~~っ」
「シャマル。弄るのはこの辺にしておけ。あんな姿になってしまったとは云え、リインフォースは私と並ぶ立派な騎士だぞ」
頭を抱えて唸るリイン。それから、いつもの悪い癖に呆れたシグナムは、リインをからかってクスクスと笑うシャマルを止めた。シャマルの性格が分かったような気がする...近い内、アキラにも被害が出そうだね...
「......」
いつの間にか狼に戻ったザフィーラは、リビング内の邪魔にならない場所に居座り、黙々としている。この調子じゃ...影が薄いって、言われそうだ。
「あっ、シグナム。あたしも手伝う!」
「私とシャマルで充分だ。ヴィータは、主はやてとゆっくりしていろ」
「解った。悪りぃな」
シグナムとシャマルは、テーブル上の食器を片付けてキッチンに入って行った。ヴィータは変わったウサギのぬいぐるみを抱いて、はやての隣に座る。ウサギのぬいぐるみか...生前、妹が集めていたミッフィーのぬいぐるみを思い出したよ。男なのにおかしいだろうが、僕は好きだ。ミッフィーは可愛いからね。...この世元にも在るかな? 今度、調べてみよう。
「その【グルメテーブルかけ】は凄く便利やけど、非常時以外使わんほうがええな。でないと料理を疎かにしてしまうで!」
はやては【グルメテーブルかけ】を見て注意するように言った。確かに...その通りだな。ドラえもんが「秘密道具に頼り過ぎると、ダメになるよ!」とのび太に注意する話と同様だ。
「うん、そうだね。料理は愛があって、作るのも楽しいし」
「ははは、アキラちゃん。その通りや! 誰かの為に作るなら燃えるで!」
アキラはニッコリと頷いて言うと、はやては笑って応えた。料理は愛情か...考えていなかったけど、良い話だね...本当に。
「はやて。私も料理が出来るようになりたいので、アキラや仲人や翔に教わっています」
「そうなんか...えらいな~リイン。暇があったら、ウチも教えたるで!」
「はい! ありがとうございます」
はやてに笑顔で褒められたリインも笑顔で、お礼を言った。リインは早く料理を色々覚えたいようだ。僕も協力するからね...頑張れ!
「間違っても、シャマルと同じになるなよ? あれは酷くて、食いたくねぇ」
ヴィータは苦い顔をして言った。そんな顔するなんて...シャマルの料理って、一体...?
「なぁ、ヴィータ。どれぐらい酷いんだ?」
首を傾げた翔はヴィータに訊ねた。アキラとリインも、気になっている。
「あいつ、料理は出来るんだが...独創的で、レシピ通り作らねぇんだよ」
「「「「......」」」」
「はっはっは...」
聞いた僕と翔とアキラとリインは、黙ってしまった。はやては遠い目をして、笑っている。最後に、ザフィーラは目を逸らして、聞かなかった事にする始末であった。う~む...シャマルにも、ちゃんと教えた方が良いかな?
「話題を変えようぜ......そう云えば、此処もリインの家になるよな? ...だったら毎週土曜日、うみなみ寮から帰って泊まれば?」
「あっ、それは家族と一緒に居る時間が増えるから、良い提案だね」
「と、突然やね...」
アキラは笑顔で、翔の提案に賛成した。聞いたはやてとヴィータはキョトンとする。休日帰省と云うヤツね...僕も、その提案に賛成だ。
「それは、とても嬉しい話だが...家事が大変になるのではないか?」
「あはは...大丈夫。一日程度じゃ、気にする事でも無いよ」
戸惑うリインに、苦笑して問題ないと答えた。それに合わせて翔とアキラは、笑顔でウンウンと頷く。
「仲人...翔...アキラ...ありがとう!」
「ウチにも、お礼を言わせて貰うで。ありがとうな~」
「いつもあたしは、はやてと一緒に寝てっけど...土曜日はリインフォースに譲る。気にすんな」
「...我の方も...心遣いに感謝する」
リインとはやては、幸せ一杯な笑顔でお礼を言った。続いてヴィータとザフィーラも応える。これで、リインは毎週土曜日にはやての家へ帰ると決まった。リインはもう一つの家族が居て羨ましいな~。前世へのホームシックになりそう...
・・・・・
ーーピンポ~ン
「ん? お客さんやな......ウチは玄関へ行ってくる。皆は待っていてな」
「あっ、はやて。あたしも付いていく」
皆と話しているとインターフォンが鳴った。はやては玄関へ行き、ヴィータも付いて行く。お客さんって...誰だろう?
「この魔力反応は......クロノ・ハラオウンか」
「なぁ、仲人。クロノ・ハラオウンって、確か...黒い服を着た時空管理局の執務官だよな?」
リインは魔力を感じ取って呟いた。聞いた翔は、僕に訊ねる。クロノ・ハラオウン......あっ、思い出した。翔の言う通り、執務官の少年だ。
「うん、間違ってないと思うよ。しかし...此処に何の用だろう?」
「十中八九、私達の事だろうな...闇の書の関係で時空管理局は、はやてや守護騎士達を見ている。その傍に私達...得体の知れない魔力が4つ集まっているんだ。彼らは、そんなの見過ごせまい」
管理局が来る理由を考えている僕に応えて、リインは予想していた事を伝えた。そう云う事か...成る程。もしかしたら...管理局は昨日から、僕達の存在に気付いていたかも...
「ねぇ、時空管理局って何? 皆の話が分からないから教えて」
「世界の平和を守る警察と似た組織かな...知っているのはこれだけだよ」
時空管理局を知らないアキラの質問に自分なりの見解で答える。アニメで知った知識だから詳しくは知らないよ。合っているとは限らないし...
「まぁ...知りたい事は、ハラオウン執務官に訊くと良い」
「それもそうか...本職の人に訊いた方が分かり易いよな」
リインは苦笑しながら言った。翔は頭を掻きながら同意する。確かに...その方が、正確な情報を得られるね。
・・・・・
「お客さんを連れて来たで! 皆に用があるらしいんよ」
「突然の訪問ですまない。僕は時空管理局の執務官、クロノ・ハラオウンだ」
暫くして、はやてとヴィータは戻って来た。続いて黒い服を着た黒髪の少年が入って来て僕達うみなみ寮メンバーに自己紹介をする。何年か年上らしいけど、身長は僕達とあまり変わらないような......それより、疲れた顔をしているね。大丈夫かな?
「初めまして。八雲仲人です」
「俺は麻宮翔だ。よろしく」
「どうも、私は大河内アキラです」
「私はリインフォースだ。闇の書問題で世話になったな」
「!?」
僕達うみなみ寮メンバーは自己紹介を返した。リインの名前を聞いたクロノは目を見開く。あっ...管理局にとっては、リインが亡くなった事になっているから驚くか。
「き、君は本当にリインフォースなのかい? そうだとして、何故子供に?」
半信半疑な様子でリインに確認するクロノ。まぁ...其方にとって謎が多いから、それで仕方ないな。
「ああ、間違いなく本人だ。この姿については、後で説明する。それより...私達に何の用か、訊いて良いか?」
「解った...昨日から不明の魔力反応が4つあって様子を見ていたんだが、はやて達に接触して来たところ、無関係ではないと判断した。それで、君達の事情を聴きたいので本艦まで来てもらいたい。都合は大丈夫だろうか?」
クロノは説明し、僕達うみなみ寮メンバーにお願いして来た。本当に昨日から、こっちの存在に気付いていたんだ...思ったより対応が慎重だね...以前、地球で大きな事件が2つあったと考えたら、それで当たり前か...本当に、ご苦労様です。
「此方の都合は大丈夫だよ......僕はクロノの誘いを受けるけど、皆は?」
「おう、俺も行くぜ」
「うん、私も行くよ。色々、知りたいから」
「私も行く。正直言って、もう少しはやてのところに居たいが、事情をしっかりと伝えた方が良いからな」
確認すると、皆は僕に賛成した。リインだけ、渋々と云った感じだが...
「と云う訳で、よろしくお願いします」
「皆、ありがとう。ご協力感謝する」
僕達うみなみ寮メンバーに頭を下げるクロノ。円滑に事が進んだからか、彼は安堵の表情だった。こっちは断る理由が無いからOKしたけど...もし断ったら、如何する気だったんだろう?
・・・・・
管理局の所へ行く事になり...僕達うみなみ寮メンバーとクロノは八神家玄関を下りて、こっちを見送るはやて達五人の方へ振り向く。
「仲人君、翔君、アキラちゃん、リイン。またウチに遊びに来てな。明日は平日の月曜日やから、勉強時間が終わる15時過ぎになってからやけど...」
「はやても、うみなみ寮に遊びに来てね。寮長として歓迎するよ」
「ゲームとか遊べるものは今、うみなみ寮に置いてねぇから...その日まで用意しておくぜ」
「勉強で分からないところがあったら、私に訊いてね。教えてあげるから」
「はやて。良かったら、うみなみ寮に泊まりに来て下さいね......将来、魔導師の道へ進まれるのでしたら、元夜天の書管制人格として協力します」
「母さんや僕も、はやての歩行リハビリを応援しているよ。無理はせず、頑張れ!」
「おおきに ! 皆、車に気を付けてな......バイバイ、さいなら~」
「皆、またなー」
「ふふ...またね~」
「風邪に気を付けるんだぞ......また会おう」
「...またな」
「「「「「さようなら~」」」」」
それぞれ、最後に言いたい事を話した後...クロノを加えた僕達五人は、はやて達五人とお互い手を振りながら、別れの挨拶をして八神家を出た。
・・・・・
八神家の門を出たところで、リインはクロノを呼ぶ。
「クロノ。此処から近いうみなみ寮の庭で転移魔法を行おう。囲む塀は高く広いから問題ない筈だ」
「モニターでうみなみ寮を見たが、確かに広く結界を使わなくても住民に見られる心配はないな。其処なら僕の住むマンション屋上より楽でアースラまで行ける」
「じゃあ、うみなみ寮に戻ろうか」
クロノとリインの話し合いによって、転移魔法でうみなみ寮の庭から管理局の所へ行くと決定する。其処で僕は皆の先頭に立って帰路についた。
・・・・・
「皆、準備は出来たよ。魔方陣の上に集まってくれ」
うみなみ寮の庭の真ん中でクロノはデバイスを起動し、転移魔法の青い魔方陣を展開させた後、様子を見ていた僕達四人に呼び掛ける。
「「「「うん/おう/ああ」」」」
魔方陣の上に集まった僕達を確認したクロノは転移魔法を発動させる。すると光に囲まれた......が、直ぐに止んだ。周りを見ると、うみなみ寮の庭ではなく別の場所だった。
「「「おお!?/す、凄い...」」」
艦内のSFらしい未来的な構造を見た僕と翔とアキラは驚いていた。来た事があるリインは何ともない。アースラの中はアニメで見た事があるけど、本物は違うな~。テーマパークのアトラクション以上の雰囲気だし...
「矢張りそうなるか...あんな反応を見ると、初めてなのはを此処に連れて来た時を思い出すな」
僕と翔とアキラの様子を見たクロノは、苦笑して呟いた。
「仲人と翔とアキラは此処に慣れていないんだ。無理もないさ」
「そうだな......おーい! 艦長が待っているから、僕に付いて来てくれ」
「あ...ごめん。今行くよ」
「テンションに乗って我を忘れてたぜ...すまねぇ」
「ごめんなさい」
呼ばれた僕と翔とアキラは我にかえってクロノに謝り、転送ポートルームの出口に立つクロノとリインの元へ歩いた。そして、この部屋を出て艦長室へ向かう。クロノとリインは行動が早いなぁ...
・・・・・
「中は迷路みたいだな。思った以上に広く、初めての人にとって大変だぞ...こりゃ」
「うん、私も思うよ。一応、此処の帰り道は覚えているけど...やっぱり、自信ないかな」
「ははっ...お前も思うか? 僕も、就任当初は何回か迷子になったもんだ。これは侵入者への対策だから仕方ない」
艦内通路を移動中...翔は顔をしかめて呟いた。アキラはそれに頷く。聞いたクロノは苦笑して応える。艦内は複雑な造りになっていて覚えるのに苦労しそうだ...此処で働く人達は慣れるのに時間が掛かったかもしれない。本当に、ご苦労様です。
・・・・・
「艦長。例の子達を連れて来ました」
「どうぞ」
艦長室前に到着してクロノはノック後に告げると、扉の中から女性の声が聞こえてきた。
「なぁ、仲人。艦長の部屋ってアレだよな?」
「うん、内装がSFな雰囲気がするこの艦と、似合わない和風な部屋だったね...確か」
翔が耳打ちしてきたので小声で応える。まさかとは思うけど...部屋の内装が、アニメ通りじゃないよね...
「皆、僕に続いて中に入ってくれ」
僕達四人はクロノに呼ばれて艦長室に入る。部屋の中はアニメ通り、盆栽や畳などある和風な雰囲気だった。しかし...
「「「......」」」
「(一部、前の世元のと違うな......奥に見えるアレは)」
僕と翔とアキラは、呆然としていた。何故かと云うと、奥に鯱の付いた金閣寺があって、後ろに0系の新幹線と東京タワーと富士山が見えたから......何これ? アニメにそんなものは無いんだけど...日本を勘違いしているとしか、思えない。
「クロノ、おかえりなさい。皆さん、いらっしゃい。ささ、こちらへ...楽にしていいわよ~」
畳の上に座っている碧色ポニーテールの女性は微笑んで手招きしてきた。奥の絶景に目を奪われて気が付かなかったが、他に五人...茶髪ショートヘアーの女性と犬耳が付いた橙色ロングヘアーの女性と金髪ツインテールの少女と栗色で違ったツインテールの少女と金髪セミロングの少年も座っていて、興味深そうに此方を見ている。
「「「はい。お邪魔します」」」
「...失礼する」
僕達四人は部屋内の皆に一礼した後、他五人と向き合う場所に座る。クロノは手招きした女性の横に座った。合わせて11人...はやてと過ごした時より多いね。
「さて、話の前に自己紹介しましょうか......私はリンディ・ハラオウン。この艦アースラの艦長を務めています」
「私はエイミィ・リミエッタ。この艦のオペレーターをやっています」
「私...フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」
「あたしはアルフ。フェイトの使い魔さ」
「私は高町なのはと言うの。よろしくね」
「僕はユーノ・スクライアです。あ、地球の人ではなくてミッド出身です」
「初めまして。僕は八雲仲人です」
「俺は麻宮翔。よろしくな」
「私は大河内アキラです。よろしくね」
「私はリインフォース。この前は世話になったな...勇者達よ」
「ふぇ!?」
「「え!?」」
「何だって!?」
「やっぱり...」
「そう...予感はしていたけど、本人だったのね」
自己紹介が進み、リインの名を聞いたなのはとフェイトとユーノとアルフは驚いた。逆にエイミィとリンディさんは驚かず、予感していた事が明らかになって納得した。凄いな...この二人。
「あの、リンディさん。同じ苗字って事はクロノ君とフェイトさんのお姉さんですか?」
「あらあら~アキラちゃん。姉じゃなくて母よ」
「あ、失礼しました...お若いですね。二児の母に見えません」
「うふふ...ありがとう♪」
アキラのお世辞ではない感想を聞いたリンディさんは上機嫌だった。確かに、如何見ても二十代前半と若いね。おばさんと言うよりお姉さんだよ。
「ねぇねぇ、はやてちゃんと友達になれた? 私とフェイトちゃんも、友達になりたいの!」
「うん、会ったばかりだけど、はやては友達だよ。友達になってくれるなら、名前で呼んでも良いかな?」
なのはは笑顔で訊ねて来たので、僕も笑顔で応えた。高町は積極的だな...
「うんうん! よろしくね。仲人君、翔君、アキラちゃん」
「私も良いよ...よろしく。仲人、翔、アキラ」
「「「此方もよろしく。なのは、フェイト、アルフ、ユーノ」」」
「あたしにも、友達になってくれるんだね。よろしく」
「ありがとう。僕は友達が少ないから、とても嬉しいよ。よろしく」
僕達三人となのは達四人はお互い名前で呼び合い、新しい友達が出来た。それを見ていたリンディさんとエイミィとクロノとリインは微笑ましい目で見守っている。
「リインフォースの件も含めて、貴方達について聴かせて貰えるかしら?」
「はい。解りました」
僕達うみなみ寮メンバーはリンディ達七人に、転生から今までについての説明をした。勿論、はやて達五人に説明した時と同じで「此処がアニメと似た世界です」と話していない。
「「「「「「「......」」」」」」」
思っていた通りリンディ達七人は、はやて達五人と同じ様に「信じられない」と云う顔になっている。明らかに常識を超えた説明は疲れるな。解り易いように、考えるのも大変だよ...本当に。出来れば、今回で最後にしたい。
「...神様に会ったなんて信じられないけれど、それを証明する為に、神様から貰った力を見せてくれないかしら?」
「解りました......アイテムクリエイション!」
「「「「「「「!?」」」」」」」
リンディさんに応えて、正座から立ち上がった。そして神様と会った事実を証明する為に、アイテムクリエイションで【どこでもドア】を作り出す。その様子を見ていたリンディ達七人は驚愕した。
「その桃色のドアは、どんな物なの?」
「これは【どこでもドア】と言って名の通り、行きたい場所をどこでも繋げられる...物なんだ......行き先は、何処かの無人島」
質問したなのはに説明した後、行きたい場所を告げて【どこでもドア】を開けた。説明の中で「秘密道具だよ」と言おうと思っていたけど、この世元にドラえもんは無いらしいから、言うのを止めた。
・・・・・
僕達11人は【どこでもドア】を通って無人島の浜辺に出た。勿論、知らないリンディ達七人とリインは驚いていました。
無人島の風景は...南は綺麗な海が広がっていて、奥は何も無い水平線。東と西は、北へ曲がるように続いている砂浜。北は一つの山があって、覆うような森になっている。今の天気は見事な快晴だ。気温は夏に近いから、此処は赤道近くかもしれない。初めて見るけど、未開拓の自然は一味違うな~。空気も美味しいし......あっ、小さいカニが居る。
「リンディさん。俺も、仲人と同じ力が使えます」
「あら、翔君も...有り得ないほど非常識だから神様の力と納得するしかないわね(ロストロギアを作る力...か。怖くて上に報告は出来ないわ)」
リンディさんは神様を信じてくれるようになったが、腕を組んで悩んでいる。何か問題でもあるのだろうか?
・・・・・
「...水柱っ!」
次は水を操る力の確認で、アキラは海に向かって意識を集中し、両手を前に翳して命じると海水はせり上がって高さ30メートル直径5メートルの水柱が出来た。...あっ、水柱の中に熱帯魚の列が見える。
因みに、今のでアキラの特殊能力“水の操作”をコピー習得した。
「透き通っていて綺麗だね。フェイトちゃん」
「うん、そうだね。表面は粗くないから、まるで水槽だよ」
「その力があったら、海に沈んでしまった遺跡の探索が楽になるかも...」
「その力なら、水害での救助活動が楽になるだろうな...」
水柱を見たなのはとフェイトは楽しそうにはしゃいでいる。ユーノとクロノは水を操る力の利点について呟いた。成る程...その使い方なら、人の役に立てるな。聞いたアキラ本人は嬉しそうだ...
・・・・・
「...はぁぁぁっ!」
それから風を操る力の確認で、リインは海に向かって意識を集中し、掛け声と共に拳を振り上げた。すると、リインの前方に竜巻が発生...海水を吸い上げて水の竜巻と化した。アッパーで竜巻って...その動作が、早乙女乱馬とコロンの“飛竜昇天破”とジョー・ヒガシの“ハリケーンアッパー”と似ているな...
因みに、今のでリインの特殊能力“風の操作”をコピー習得した。
「それを見ると思い出すねぇ...海の中にあるジュエルシードを回収する為に、フェイトは無理をしていたあの日を」
「うぅ...アルフ。言わないでよ...母さんの為に必死だったんだから」
「にゃはは...でも、初めてフェイトちゃんと力を合わせて、ジュエルシードを封印出来た良い思い出だよ」
「結果は悪くなかったとは云え、もう命令違反は勘弁してくれよ」
「リンディさんの説教は、結構きつかったなぁ...僕はもう御免だよ」
「あの時...アースラは、プレシア女史の魔法攻撃を受けて大変だったな~。ホント」
「そう云えば、協力者の黒柳君は直撃を受けて重傷を負っていたわね...」
水の竜巻はあの時の再現だそうで、リンディ達七人はジュエルシードを回収していた頃を思い出していた。あれ? リンディさん、さっき何と言った?
「リンディさん。さっき黒柳と言ってませんでしたか?」
「ええ、言ったけど...仲人君は彼と知り合いなの?」
訊いてみると、リンディさんは顔をしかめて僕に訊ねてきた。セレンさんもそうだけど、リンディさんもそんな顔するんだ...
「いえ、セレンさんから聞いただけで、会った事はないです」
「セレンさん......はっ! もしかして、黒柳君も仲人君達と同じ様に、神様と会って転生されたのかしら?」
リンディさんは気が付いたようで、予想していた事を確かめてきた。流石は艦長。洞察力が凄いね...正解だ。
「はい。僕達より一年早く転生したらしいです」
「だとしたら、納得ね...今までいなかった保有魔力SSS+ランクで強力なレアスキル持ちだもの」
「今はSランクに落ちたけどね。彼のデバイスは訓練しなくても、簡単に魔法が使える特殊な物で、その構造は解析出来ないブラックボックスだから...神様が作った物なら納得かな」
リンディさんとエイミィは黒柳の秘密が明らかになって納得したようだ。簡単に魔法が使えるデバイス...ね。アイテムクリエイションで作れると思う。
「あいつは、会ってから今でも僕にKYと呼ぶんだ。訳が分からないぞ」
「クロノはまだ良い方だよ...僕の場合は酷く、淫獣と呼ぶんだ。何でさ!?」
クロノは首を傾げて愚痴るように呟くと、ユーノは涙目で叫んだ。淫獣...淫と書いてエッチ過ぎると云う意味だったかな...確かに、呼び方が酷過ぎる。ユーノは女性に迷惑をかけるような悪い人に見えないのに。クロノに対して、KYの意味は分からないけど...それも悪口なのかな?
「ユーノ君...泣かないで、男の子でしょ。あんな悪口は無視するのが一番だよ。負けないで!」
「うぅ...ありがとう。アキラ...」
友達想いのアキラは、ユーノの両肩に手をおいて慰めている。アキラの言う通りだよ...頑張れユーノ。
「私は苦手だよ。黒柳は寒気がする目で見て、馴れ馴れしく撫でてくるから」
「うん、私もなの...アリサちゃんやすずかちゃんだって嫌がっているし」
フェイトは嫌そうな顔をして言うと、なのはもそれに同意する。確かに“意味も無く”撫でるのは失礼な行為だ。嫌がるのも分かる。
「この様子じゃ、黒柳の評判は良くないみたいだな...セレンさんがあんな顔されたのも頷けるぜ」
「うん、僕もそう思うよ。会うのが怖くなってきたなぁ...」
僕も翔に同意する。黒柳と仲良くなるのは絶望的なようだ。不安になってきたよ...本当に。いつか、会ったら如何しよう...
「リインフォースさん。はやてちゃんも同じで、苦労しているから守ってあげて。ヴィータちゃんやシグナムさんやシャマルさんが現れる前、一人の時は大変だった怖かったと聞いたの」
「なっ!? 四月から学校で守護騎士達は付いて行けないから...その間、私がお守りせねば...(何を考えているのか分からないが、はやてに指一本でも触れさせんぞ。黒柳っ)」
なのはの話を聞いたリインは驚いたが、直ぐに落ち着いて学校生活の際、はやてを守る決意を示した。学校と聞いたなのはは目を見開く。黒柳は、はやてにまで絡んでいるのか...皆と仲良くなりたいなら、嫌がる行為はダメだろうに...
「あれ? リインフォースさんも学校に行くの?」
「ああ、私だけではないぞ。仲人と翔とアキラも一緒だ」
リインは微笑んで頷き、なのはの質問に答えた。
「俺達は四月から私立聖祥大学付属小学校四年生に編入するんだ。丁度良くはやても四月に復学するから賑やかになると思うぜ」
「「わあ~凄く楽しそう」」
リインに続いて翔から聞いたなのはとフェイトは、明るい顔になって喜んだ。心の中で「わーい! 嬉しいな嬉しいな」と叫びながら走り回るという感じだ。まぁ...僕も同じ気持ちだけどね。
「皆さーん! そろそろ、私の部屋に戻りましょうか。立つのも疲れてきたわ...此処は暑いし」
リンディさんは皆を呼びまとめ、僕達は【どこでもドア】を再び通って無人島からアースラの艦長室へ戻る。そして休憩する事になった。この際、リンディさんはお茶に砂糖とミルクを沢山入れていたので、流石にアキラは信じられないと驚いていた。うん、僕も思う。翔は引きつった顔をしていたし。
~side out~
同時刻...うみなみ寮仲人の部屋にある勉強机の引き出しが勝手に開いた。
「こんにちは。僕、22世紀から来たドラ丸...あれ?」
引き出しから出てきたドラ丸と呼ぶ黄色いネコ型ロボットは挨拶するが、部屋内に誰も居ない事に気が付く。
「(仲人はリビングに居るのかな?)」
ドラ丸はキョロキョロと周りを見回した後、北の扉を通って仲人の部屋を出て行った。彼は何をしにタイムマシンで未来からこの時代に来たのか、今は分からない。だが、言えるのは...うみなみ寮のメンバーが、一人増えると云う事である。
つづく...