力持ちの人魚と祝福の風も神様転生   作:峻天

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005 時空管理局からの勧誘

仲人達四人は現在、次元航行艦アースラの艦長室でリンディ達七人とお茶を飲みながら寛いでいる。人数は合わせて11人なので...今朝、八神家に居た時より、二人多くて賑やかだ。

 

 

~仲人 side~

 

砂糖とミルクたっぶりのお茶を飲み、湯吞が空になったところでリンディさんは真剣な表情になり、此方に向いて口を開く。

 

「私から貴方達にお願いがあるのだけれど、良いかしら?」

 

「はい。お願いとは何でしょうか?」

 

真面目な話になると予想出来るので、僕達四人は気を引き締めて、僕は代表してリンディさんに応える。お願いって...何だろう?

 

「魔導師になって管理局で働かない? 勿論、学校があるから、なのはちゃんやフェイトちゃんと同じ嘱託魔導師になるわ」

 

「「「えっ!?」」」

 

管理局で働かないか? とリンディさんの勧誘を受けて僕と翔とアキラは目を見開いた。普通、子供に向かって訊く内容じゃないよ...

 

「私は先週、嘱託魔導師試験に合格したの。人を助ける力があって役に立ちたいから」

 

「私は義母さんとお義兄ちゃんみたいになりたくて、執務官を目指して頑張っているんだ」

 

なのはとフェイトはリンディさんに合わせて言った。強い力を持つ者は責任があると云うが、まだ幼いのにそんな自覚があるから尊敬するよ。

 

「生前、闇の書として色々不幸にしてきた罪を償う為に、魔導書から引き継いだ経験や力を以って皆の役に立てたい。よろしく頼む!」

 

「リインフォースも、はやてちゃんや守護騎士達と同じで、責任感が強いのね...ありがとう。歓迎するわ」

 

リインの決意を聞いてリンディさんは悲しそうな顔で応えた。はやて達も管理局で働くようだ。悲しい過去があっても、前向きに頑張る姿勢は立派だと思う。僕にそんな経験は無いから、そんな気持ちが分からないけど...

 

「リンディさん。先ずは、管理局について教えてくれませんか? 警察みたいな組織だと理解していますが...それ以外について、僕と翔とアキラは知りません」

 

「そうね...警察と同じ役割は合っているわ。詳しく言うと...」

 

リンディさんはクロノと連携して管理局について説明した。警察や消防や自衛隊や裁判や行政など、まとまった大きな組織と想像以上だった。各次元世界に犯罪や凶悪生物やロストロギアの暴走など事件が多く、対抗出来る魔導師が足りない人手不足状態らしい。そりゃあ...複数の次元世界を重ねた立体的だと、キリがないよね...本当に。

 

「あの、ロストロギアは何ですか?」

 

「失われた技術で出来た古代文明の遺産及び異世界からの未知な物の事だよ。次元世界を歪めて惑星を消滅させる強力な物もあって制御が困難な為、危険なんだ」

 

「お、恐ろしい...」

 

ユーノは応えて説明すると、質問したアキラは恐怖を感じて震えてしまった。アニメで見たジュエルシードや闇の書もそう云う力を秘めていたし、実物となるとミスは許されない重い責任がある。それでも、成し遂げたなのは達は本当に凄いと改めて思ったよ。僕達にも務まるのかな...覚悟が要るし。

 

「だから悲劇が起こる前に食い止める。それも我ら管理局の使命だ」

 

「仲人君や翔君やアキラちゃんは、高い魔力を持っているから訓練して立派な魔導師になれば...対処が楽になり、被害を抑えられると云うわけ」

 

「高い魔力を持つ者は少なく貴重で、信用出来る犯罪者なら司法取引で雇用する位なのよ。働く十歳前後の子供も少なくないわ」

 

リンディ達管理局側は気が重い様子で語った。犯罪者も雇うなんて...まぁ、訳あって仕方なく犯罪を犯した根は悪くない人なら心配ないかな。

 

「事情は解りました。僕にも手伝わせて下さい。ただ...」

 

「神様から貰った力はあっても、俺達は魔法を知りませんので教えて下さい」

 

「私もお願いします。なのはのように自分の力を役に立てたいです」

 

僕と翔とアキラは決意し、頭を下げて魔導師を志願した。畏まった姿勢だからか、リンディ達はその様子を見て戸惑ってしまう。

 

「そ、そんなに固くならなくても...」

 

「ありがとうね~仲人君、翔君、アキラちゃん。......あっ、そうだ! 黒柳君と同じ様に、神様から凄いデバイスを貰わなかったかな?」

 

「「いえ、貰っていません」」

 

「私も貰っていません。えっと...デバイスって何ですか?」

 

デバイスある? とエイミィは期待の眼差しで質問してきたので、僕達三人は顔を横に振って答えた。アキラはデバイスを知らないので訊ねる。

 

「デバイスは魔法を使う為の補助機器なんだ。具体的に言うと...」

 

親切にユーノは説明した。魔法を使うには術式を構築する必要があって、初級な基本魔法は簡単だから初心者でも自分で出来る。しかし、高度になっていくに比例して術式は拡張するので頭を鍛えないと難しい。仕事と術式構築を一緒にするのは精神的に疲れるので負担を軽くする為に、デバイスは術式構築を任せる補助機器だそうだ。ストレージ、インテリジェントなど種類は幾つかあるらしい。アニメで少し知っているけど、改めて勉強になったよ。

 

「私のデバイスはこれ。レイジングハートは助けてくれる大切な相棒なの」

 

『皆さん、初めまして。レイジングハート・エクセリオンです』

 

「バルディッシュ、挨拶をお願い」

 

『イェッサー! ...バルディッシュ・アサルトです。お見知りおきを』

 

なのはは紅い宝石を、フェイトは金色の宝石を此方に見せ、頼むと二つの宝石は光り、声が聞こえてきた。アキラは興味深そうにそれを見詰めている。宝石は思ったより小さいなぁ...1.5㎝くらいかな。

 

「仲人。アイテムクリエイションで自分のデバイスを作ってみようぜ」

 

「あっ!? ちょっと待って!」

 

翔に応えようとしたら、慌てたリンディさんが割り込んできた。行き成りでビックリしたよ...何か問題でもあるのだろうか?

 

「アイテムクリエイションで作るデバイスは恐らく、ロストロギアの類に入るわ。黒柳君のデバイスも例外ではないし、増えると厄介なのよ」

 

止めて欲しい理由を言うリンディさん。成る程...それは一理あるね。

 

「あ、管理局はロストロギアに対して慎重だから、勤務中にアイテムクリエイションを使わない方が良いですよね?」

 

「ええ。プライベートならバレないように気を付ければ、何も言わないわ」

 

自分なりの注意すべき事を言うと、リンディさんは微笑んで頷く。今まで考えていなかったけど...これから趣味や非常時以外、アイテムクリエイションを使わないようにしよう。アキラやリインの能力は大丈夫みたいだ。

 

「魔導書の力を引き継いだ私は必要ないが、一般のデバイスでは仲人や翔やアキラの力を完全に発揮出来ないだろう。となるとデバイスマイスターに依頼して作って貰うしかないな」

 

「その件については私に任せて、知り合いのマリーさんと相談してみるよ。先ずは、適正検査とデータ収集しないとね。準備するから明日になるけど、都合は大丈夫?」

 

リインは思った事を口にすると、エイミィは手を挙げて乗り出してきた。確かにデータが無ければ話にならないか。明日は...うん、予定は無いね。と云うか...今は学校も仕事も無いから、ニート生活と変わらない。

 

「明日は空いています。僕達は四月まで学校はありませんから」

 

「そうね...学校に行く日まで、平日の勉強時間はアースラで魔法の勉強。それで如何かしら? あ、人材の確保や育成も私達の仕事の内だから気にしないでね」

 

「良い提案ですね。私は平日だけでも有意義に過ごしたいから、助かります」

 

「僕も、アキラに同意します。平日の昼間は大人も子供も働いているのに、時間を持て余すのも何ですし...」

 

「俺も、アキラや仲人に同意します(平日にダラダラ過ごすのは、性に合わねぇよ...)」

 

アキラはリンディさんの提案に賛成した。続けて僕と翔も賛成する。平日の昼間は遊ぶ気にもなれないよ。魔法を教えてくれるのなら有り難い。

 

「なら、私は教える側でいこう。家事を色々教えてくれる代わりだ」

 

「ふふ、やる気満々ね...此方で手配します」

 

リンディさんは微笑んで了解し、僕と翔とアキラは三月末までアースラで魔法の勉強をする事になった。リインは家事を教えて貰う代わりに魔法を教えるとの事。クロノとユーノも手が空いたら手伝ってくれるらしい。なのはとフェイトは学校があるし、アルフは教えるのが苦手なので応援しているだけ。気持ちは嬉しいよ...勉強、頑張ろう。

 

・・・・・

 

「明日、勉強が終わったら翠屋に来ない? 紹介したい友達がいるの」

 

「皆でお茶会をする予定なんだ。勿論、はやても来るよ」

 

「わぁ...楽しそう。私も行きたいな」

 

「今まで私は、人と触れ合う余裕が無かったからな。良い機会だ」

 

なのはとフェイトの誘いに応えてアキラとリインは行きたいと言った。また友達が増えるから楽しみだね。えっと...金髪の子と紫髪の子だったかな。

 

「翠屋と云うと昨日、セレンさんからシュークリームを頂いたぜ」

 

「うん、あれはとても美味しかったね。僕はまた食べたいな」

 

「にゃはは...ありがとう。もう食べた事があるんだね......もしかして、セレンさんは水色の長い髪で着物を着たお姉さんかな?」

 

なのはは昨日の事を思い出して訊ねてきた。特徴は合っているから、セレンさんと会った事があるんだね。彼女は不思議な雰囲気だったから、そう予感したのかも...

 

「そうだよ。背が高くてビックリした? 僕や翔も同じだったけどね」

 

「うん、お父さんもお母さんもビックリなの。とても綺麗な人だったよ」

 

なのはは羨ましそうだった。女性として当然だよね...うん。

 

「翔、アキラ、リイン。明日は魔法の勉強が終わったら、翠屋へ行こう」

 

翔とアキラとリインは頷き、明日の予定は決まった。因みにリンディさんから海鳴市の地図を頂いたので、翠屋の場所は分かる。本当に助かったよ。

 

・・・・・

 

皆で楽しく談笑している内に、帰る時間が迫った。リンディさん曰く、楽しいと時間が経つのは早いわね~。だけど、暇を見つけて機会を作れば良い。

 

僕達四人は帰る支度(【寒くないコート】を着るだけ)をした後...

 

「行き先は、うみなみ寮の庭......リンディさん。お世話になりました。明日も、よろしくお願いします」

 

「ええ...【どこでもドア】でアースラに来る場合は、艦長室に繋げて頂戴。また明日ね。仲人君、翔君、アキラちゃん、リインフォース」

 

【どこでもドア】を開けた後、振り返って挨拶すると、リンディさんは微笑んで返事をした。続けてなのは達も此方に手を振って“またね~”と言い、僕達うみなみ寮メンバーも手を振って返事をする。

 

そして【どこでもドア】を通って、うみなみ寮に戻った。

 

~side out~

 

 

【どこでもドア】が閉まり、消えて行く所を見送った後...リンディは「ふぅ~」と一息ついて湯吞にお茶を淹れる。問題事が無くなって、肩の荷が降りたと云う感じだ。

 

「フェイト。あの子達、あの馬鹿と違って良い人で良かったね。あたしは気に入ったよ」

 

「うん、そうだね。別人だけどリインフォースもいてビックリしたなぁ...仲人や翔やアキラは魔法勉強にやる気満々だし、私も負けていられないよ」

 

「私は友達が増えて嬉しいの~♪ 仲人君は、はやてちゃんと似ていて兄妹かなと、思っちゃったの」

 

「あはは、僕も思ったよ。翔は何となくクロノに近かったし、アキラは励ましてくれたから優しかったなぁ...」

 

なのは達四人は満足した様子で、仲人達四人の話題で盛り上がっている。如何やら、良い印象を持ったようだ。この調子ならお互い親友と呼べるまで、そう遠くはないだろう。因みに、アルフが言った馬鹿は黒柳琢磨の事だ。

 

「ユーノ君。アキラちゃんの事が気になる? 将来有望で可愛いもんね~」

 

恋愛に関心を持つエイミィは、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべてユーノに尋ねた。最早、好少年をからかう悪いお姉さんである。

 

「そ、そんな事...ないよっ! 僕は、片想いの子がいるから......あっ!」

 

ユーノは赤面して両手を前に振りながら慌てた。片思いはいると、うっかり口が滑ってしまう。エイミィはそれを聞き逃さなかった。

 

「ほほ~ぅ、片想いねぇ...それは誰かな~? なのはちゃんかな~?」

 

「エイミィ...勘弁してあげてくれ。ユーノは困っているじゃないか」

 

呆れたクロノはユーノをからかうエイミィを止める。それを見たなのはやフェイトやアルフはユーノの片想い相手が気になりつつも、苦笑した。

 

「うふふ...不明な魔力反応があって一時はどうなるかと思ったけれど、良い収穫だったわ~」

 

「Sランク級の魔力持ちを四人ですもんね~。リインフォースは守護騎士クラスで強いと思いますし、仲人君と翔君とアキラちゃんは素人だけど真面目だから経験を積めば、きっと...」

 

なのはやフェイトと並ぶ魔導師になれると確信したエイミィは伝えると上機嫌だったリンディは真剣な表情に変わって頷く。彼等が立派な魔導師になったとして、強力なレアスキルがあるから脅威だと思うが...

 

「そうね。魔法勉強の約束をしたし、早く一人前になって嘱託魔導師試験に合格出来るようにサポートするわ。将来...正局員になってくれれば、万々歳だけどね」

 

管理局の正局員になる為には、何通りかある。①陸士訓練校を卒業するか、②嘱託魔導師を3年以上務めるか、③特別推薦を受けるか。其処で、仲人達四人や黒柳琢磨やなのはとフェイトとはやては②に当てはまると云うわけだ。尚、守護騎士達四人は③となる。実はリインも充分③に入るが、学生になるから②だ。

 

それぞれの立場と予定を纏めると...なのはとフェイトと黒柳琢磨は小学生兼嘱託魔導師。仲人達四人とはやては四月に小学四年生入りで、嘱託魔導師志望。守護騎士達四人は6年間の保護観察(闇の書事件に関わる処遇)を受け、四月から管理局正局員になる。他にユーノは管理局本局にある無限書庫の司書長候補で、アルフは自宅警備員の上に嘱託魔導師。

 

 

~仲人 side~

 

僕に続いて翔達三人が通った後に、【どこでもドア】を閉める。

 

「...なぁ、仲人。リビングの所に、電気が入ってねぇか?」

 

「? ......あっ、本当だ...おかしいな。出かける前に電気の消し忘れはないか、チェックをした筈なんだけど...」

 

翔はリビングがある方に指差ししながら、訊ねてきた。その方を確認して怪訝な表情を浮かべる。共に確認したアキラとリインも同じ様子だ。この場合、考えられるのは...

 

「泥棒...かな? 最近、空き巣が出ているとセレンさんから聞いたし」

 

「よくも、まぁ...人の家に上がり込んで図々しいな」

 

セレンさんの注意を思い出して、不安そうに言うアキラ。逆にリインは肝が据わっているなぁ...実戦経験者の余裕かな?

 

「先ずは、確認しないと...事実が無ければ、警察に通報出来ないからね」

 

「それもそうだな。気付かれないように窓から覗いてみようぜ」

 

翔の提案通り、リビング外側の窓に近づいて先に僕は恐る恐ると窓の中を覗く。こっちも、まるで泥棒だけど...気にしない。

 

リビング外側の窓を覗いて......北のソファに、黄色い何か...

 

「う、うそ!?」

 

愕然して目を擦り、自分の目を疑った。何で“彼”がうみなみ寮に?

 

「仲人...そんなに驚いて如何したんだ? 大声を出したら見つかるぞ」

 

「っつ...ごめん......中に黄色いドラえもんがソファに座って本を読んでいるんだ」

 

「「はあ!?」」

 

見た内容を小声で言うと、訊いた翔はアキラと一緒で怪訝な表情になった。信じられない事だから、無理もないよね...まさか、実在していたなんて...

 

「よく分からないが、ノラえもんは確か...この前、はやてに見せた絵の青いタヌキか?」

 

首を傾げたリインは、思い出して訊いてきた。タヌキは映画版でよく言われるから仕方ないとして、ノラえもんと呼び間違いは酷いなぁ...

 

「うん、今見たのは絵と違って体が黄色く耳があるドラえもんだよ。あとタヌキじゃなくてネコね」

 

「「う、うそだろ!?/う、うそ!?」」

 

リインに訂正も兼ねて教えた後、窓の中を覗く翔とアキラを見ると、予想通り僕と同じ反応だった。まぁ、それは兎も角...

 

「取り敢えず、中に入って彼に訊いてみよう。泥棒ではなさそうだし」

 

翔達三人は頷き、玄関に入ってドラえもん?が居るリビングへ向かった。

 

・・・・・

 

「あっ、帰ってきたんだね。こんにちは」

 

リビングに入ると、ドラえもん?は此方に気が付いて挨拶した後、北のソファから降りて近寄ってきた。近くで見ると顔が大きいなぁ...

 

「こ、こんにちはで良いのかな...もしかして、君はドラえもんかな? タイムマシンで22世紀から来たりする?」

 

「初めて会うのに、良く知っているね。ナコトが言っていた通りだ...僕はドラ丸。ドラえもんじゃないよ...彼は七英雄で有名だけど」

 

訊いてみると、ドラ丸は矢張りという顔をして人(ロボット)違いと答えた。七英雄って...ザ・ドラえもんズの事だろうか?

 

「ちょっと待て! ナコトって仲人の名前と同じ子孫なのか?」

 

「いや、本人だよ。子孫は居るけど...カケルやアキラやリインも元気さ」

 

ドラ丸は顔を横に振って、翔の質問に答えた。2112年以降と考えると、110歳を超えているのに元気だなんて、長生きだなぁ...しかも、全員だ。だから、聞いた僕達四人は驚いている。名前がカタカナになっているのは事情がある。それは人生に関わる事らしいので、教えてくれなかった。

 

「ドラ丸は何の用があって、この時代にやって来たの?」

 

「それはね、生活のお手伝いに来たんだ。うみなみ寮は広くて大変でしょ? 君達は将来、管理局の仕事と学業の両立で家事をする余裕がなくなると思う。ナコト達から“自分の時間を増やしてあげて欲しい”と頼まれたからね」

 

アキラは質問すると、ドラ丸は笑顔で胸を叩くアクションを取り“任せて”と答えた。ドラえもんと違って未来を変えにやって来たわけじゃないんだね。

 

「未来からと聞いて、気になったのだが...その時代で管理局とアースの関わりは、如何なっているんだ?」

 

「説明すると長くなるよ、それでも構わないかい?」

 

ドラ丸の確認に僕達四人は頷いた。そして僕と翔は北のソファに、アキラとリインは南のソファに、ドラ丸はテーブル東の円柱椅子に座った後...ドラ丸はリインの質問に応えて説明を始める。実際にはアニメと違い、第97管理外世界を地球ではなく“アース”と呼んでいるようだ。

 

話によると、22世紀で管理局とアースの関係は今と変わっていないらしい。高度な科学技術があるのに何故かというと、管理局法に基づく管理世界の定義は別次元世界へ渡る手段が公になっているか否かである。恒星間航行の技術が発達して宇宙人と交流があるアースだが、未だ別次元世界の存在を知っていない。したがってアースは管理外世界のままという事。

 

「リンディ達管理局は遠い宇宙からやって来たと思っていたが、違うのか...次元世界って何なんだ? 平行世界みたいなもの? 判らねぇ...」

 

「管理局側は、次元世界を平行世界と云われているけど...実は違うんだ」

 

混乱している翔に応えてドラ丸は、次元世界について説明する。別の次元世界は別の宇宙...つまり、宇宙は複数あるという事。アースラを始め次元航行艦は次元の壁を越え別の宇宙へ移動するが、ワープと異なるので宇宙XYZ座標の差は大きくない。例えば宇宙A座標10,10,10から次元航行て別の宇宙へ移動しても宇宙B座標10,10,10近くと云うわけ。転移魔法での恒星間移動は次元移動より消費魔力と座標数値が膨大なので、遠くても月くらいまでしか出来ない。案外、リンディさんの故郷ミッドチルダは火星より近かったりする。それで、平行世界と勘違いしやすい。

 

「おー、分かり易い説明で理解出来たぜ...ありがとな。ドラ丸」

 

理解出来てスッキリした翔は、ドラ丸にお礼を言った。宇宙は複数あるなんて...世の中は広いな~。幾つあるんだろう? 気になったから...

 

「はい、質問! 宇宙は全部で幾つあるか、判るかな?」

 

「ん~、宇宙の数は1000個ジャストと、僕の時代のセレンさんから聞いた事があるよ」

 

訊ねると、ドラ丸は思い出す素振りを見せて答えた。へぇ~、1000個ピッタリなのか...切りが良いね。

 

後の補足説明で、此処は第352宇宙、ミッドチルダは第241宇宙と聞いた。第352宇宙......あっ、昨日セレンさんと初めて会った得...聞いた記憶があるな。

 

「ねぇ、ドラ丸。さっき子孫は居ると言ったよね...未来の私は誰と結婚したの?」

 

「あ、アキラ!?」

 

爆弾発言な質問をするアキラ。流石にも冷静なリインは動揺してしまう。勿論、僕と翔も同様だ。結婚は人生の中で重要なポイントだからね。

 

「ごめん、それは教えられないんだ(相手は直ぐ近くに居るんだけどね)」

 

ドラ丸は顔を横に振って断った。余計に個人の未来を教えるつもりはないようだ。まぁ...そうだね。気になる気持ちを抑えよう。

 

・・・・・

 

「ドラ丸。二階の北東にある和室は空いているから、好きなように使って良いよ。布団とか必要な物は持って来た?」

 

「うん、それなら【四次元ポケット】の中に入っているよ」

 

腹部に付いている【四次元ポケット】を叩いて、僕の質問に答えるドラ丸。22世紀の秘密道具だけでなく、未来の僕と翔がアイテムクリエイションで作った物も沢山あるらしい。しかも、今の【四次元ポケット】は未来の僕が作った物で制限が付く空間障害を無視するので、従来のより優れている。

 

「なら、大丈夫だね。今日からよろしく」

 

「よろしくな。手伝いも良いけどよ...皆で楽しく過ごそうぜ」

 

「困った事があったら、相談にのるよ。よろしくね」

 

「家族が増えて嬉しいな......ドラ丸。頼りにしているぞ」

 

「うん、こちらこそよろしく。平日の留守番は引き受けたよ」

 

新しい家族が増えるので、僕達は笑顔でドラ丸に握手した。子守りロボットで子供に傷をつけないようにしてあるからか、彼の手は温かくクッションみたいに柔らかった。後で、どら焼きは好きか? と訊いたら、抹茶どら焼きが好きと言われた。珍しいどら焼きだから、海鳴市内のお店に売っているといいけど...もし無かったら、通販で頼むか。無駄に食器が溜まるから【グルメテーブルかけ】はダメだ。

 

~side out~

 

 

入浴待ちの際、自室で仲人はコタツ東側に入りノートパソコンのインターネットで、マンガやアニメやゲームについて調べた。魔法少女リリカルなのはは勿論、ドラえもん、ドラゴンボール、ドラゴンクエスト、幾つかの他作品は無かった。必ずとは云えないが、過去や未来や全宇宙の何処かでドラえもんのように実在しているかも知れない。驚いた事に、マンガの魔法先生ネギま!は在った。ただし、大河内アキラと云うキャラクターは別のキャラクターに差し替わっている。その名前は小山内コハクで、容姿は黒髪ショートヘアの大河内アキラ、性格や水泳部エースの設定も同じ。

 

「むむ...(この事実を知ったら、アキラはショックを受けるかもしれないぞ...う~ん、困ったな...本当に)」

 

仲人は心配になって頭を抱えている。マンガの魔法先生ネギま!は大人気だ。つまり、それを隠し通すのは困難である。本屋は勿論、コンビニや売店の週刊雑誌(偶に、表紙でネギの絵が大きく出る)やクラスメイトの会話など、知る機会は多い。

 

「ふぅ~(悩んでいても仕方ない。いつか...知ったアキラは立ち直って、そのマンガが好きになる良い結果へ向くと祈ろう)」

 

ーーコンコン

 

仲人は一息ついて、ノートパソコンをシャットダウンする丁度その時、北の扉にノック音が聞こえた。

 

「仲人。入って良いかい?」

 

「その声は...ドラ丸か、入って良いよ」

 

仲人は入口に向かって許可すると、扉は開きドラ丸が入ってきた。

 

「何の用かな?」

 

「渡したい物があるんだ......はいこれ」

 

ドラ丸は【四次元ポケット】の中から数冊の本を取り出して、仲人はそれを受け取り表紙を確認する。

 

「なになに...建造物設計の基礎?」

 

「仲人は夢の国“雲の王国”を造る気でしょ? 必要な秘密道具は揃えてあるから、後は【自動万能工事マシン】に入れる設計図だけだよ」

 

ドラ丸は残りの本を出しながら言うと、意表を突かれた仲人は目を見開く。

 

「それって...未来の僕から聞いたの?」

 

「うん、忙しくなる前にさっさと完成させてねと言われたよ。子供の内には遊園地に負けない遊び場だけど、これからは魔法訓練場が必要になるって」

 

「確かに、自分の訓練場を持てば自由に使えて便利だよね。よーし...早く知識を身に着けて、どんどん建物の設計図を描き上げるぞ!」

 

ドラ丸の話を聞き、製作意欲が湧いて気合が入る仲人であった。頑張り過ぎて寝不足にならないか心配だが、彼は体調管理が出来るので何も言うまい。

 

「今から、タイムマシンの入口を仲人の机引き出しから僕の部屋の押し入れに変えるね」

 

「あっ、良かったら...君のタイムマシンを見せて貰っていいかな?」

 

「興味があるんだね...いいよ~」

 

ドラ丸は笑顔で、仲人のお願いにOKした。そして二人は、南西にある仲人の机引き出しの中に入って行く。タイムマシンの入口を移動させる理由は言うまでもなく、机の引き出しが使えないと勉学で不便になるからだ。

 

・・・・・

 

白色とマゼンタ色等の模様が混ざったシアン色の時空間...仲人とドラ丸は、タイムマシンの右翼の上に乗っている。ドラ丸のタイムマシンの外見は少し小さい8人乗りのスペースシャトルだ。その色はメタリックシルバー。

 

「シャトル型で、立派なタイムマシンだね...椅子と装置が付いた板かと思ったよ」

 

「板...空飛ぶじゅうたん型だね。あれは旧世代のタイムマシンだよ。これは次世代さ」

 

自慢気なドラ丸は、感激している仲人に応える。旧世代はタイムマシンが発明されたばかりの時期に活躍した物で、オープン型が多い。次世代は改良を重ねて安全性を高めた物。落下防止の為にフレームで覆っている。因みにドラミのチューリップ型タイムマシンは次世代である。

 

話が終わった後...仲人は時空間を出て自室に戻った。それからドラ丸はタイムマシンの中に入ってコンソールを操作して出入口の座標を、仲人の机引き出しからドラ丸の部屋の押し入れに変更した。

 

 

つづく...

 

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