力持ちの人魚と祝福の風も神様転生   作:峻天

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007 アースラで魔法の勉強

 

午前6時15分...ドラ丸も加わって仲人達五人は、うみなみ寮の外で日課の体操とジョギングを行っている。筋トレは精神世界でセレンとの修行に当てられるので、日課のそれは一日の始まりにおける唯の体慣らしだ。

 

 

~仲人 side~

 

僕達五人は海鳴市内を1㎞位ジョギングしてうみなみ寮に戻った。その門をくぐって庭に入った後、翔は両腕を上げて背伸びしながら呟く。

 

「しかし...不思議だな。セレンさんとの修行が終わって三時間しか寝ていないような感じなのに、目覚めパッチリだぜ」

 

「うん、そうだね。疲れや筋肉痛も全然、感じないから体力全快だよ」

 

「ああ、あの修行が今と関係ない夢だと思ってしまう程にな...だが、昨日より少し強くなった気がするぞ」

 

「うん。この調子だと、普通に鍛えるより早く実力が付きそうだ」

 

「もうセレンさんとの修行が始まったんだね。僕は参加出来ないから、応援しているよ」

 

翔に共感して、アキラやリインと顔を縦に振った。あの修行は時間差に対して漫画のドラゴンボールにあった“精神と時の部屋”みたいで、一日に全回復するオマケ付きだし......応援ありがとうね。ドラ丸。

 

「なぁ、ドラ丸。セレンさんに気法を教えて貰っているんだが、実感が湧かねぇんだ。未来の俺達は如何なっているのか...教えてくれねぇか?」

 

「う~ん......ナコト達は気法を上手く扱えているから、諦めないで努力してね。始めたばかりは、それで当たり前でしょ」

 

「そうだな。時間は沢山あるからドラ丸の言う通り、根気良くやるとしよう」

 

ドラ丸は暫く考えて、気法に自信がない翔の質問に答えた。尤もな話でリインは頷く。うん、気法だけでなく魔法も武術も料理にも言える事だね。

 

「今から朝食の準備をしなくちゃ...皆、中に入ろう」

 

アキラに頷いて僕達は、うみなみ寮の中に入って朝食の準備をした。今日の朝食の主食はパンである。勿論、翌日の朝食は御飯だ。

 

・・・・・

 

朝食の後...翔とアキラは洗濯で、僕とリインとドラ丸は食器洗いと食堂掃除の家事をした。それが終わった今は...自室でコタツに入り、ドラ丸から貰った建造物設計の本を読んでいる。最低限の知識を身に着け、雲の王国造りを目指して1ヶ月以内に設計図を描くつもりだ。建物を造る秘密道具の【自動万能工事マシン】が修正してくれるから、付け焼刃でも問題ない。

 

ーーコンコン

 

ノック音が聞こえたので、本読みを中断して北のドアを見る。翔かな?

 

「仲人。居るか?」

 

「この声は......リインか。入って良いよ」

 

許可を出すとドアが開き、本と少し細長い箱を持ったリインが入って来た。

 

「む......仲人も本を読んでいるのか」

 

「うん、そうだよ...持っている本とソレは?」

 

コタツの上に積んだ本を見ているリインに訊ねた。本よりも箱が気になる...蓋の面に十字架?の模様が刻まれていて棺みたいだから。

 

「これは、はやて専用のユニゾンデバイスを造る為に必要な物だ。棺は未来の私が造ったそうで...昨日の夜、ドラ丸から貰った」

 

「ユニゾンデバイス......あぁ。主と融合して強化するデバイスで、転生前のリインの体だよね。僕は何をすれば良いの?」

 

リインも、ドラ丸から貰ったのか...翔やアキラも何か貰ったのかな?

 

「製作工程は殆ど終わっていて後は、夜天の書の断片と男女のコピーリンカーコアが必要でな。それで仲人のコピーリンカーコアが欲しいんだ」

 

リインは、説明して頼み込む。翔のコピーリンカーコアでも良かったが、僕ははやてと似ていて高い適合率になると予想される理由でこうなった。女性コピーリンカーコアの方は適合率100%のリインとなる。まぁ...元の体だから当たり前だよね。本の方はユニゾンデバイスの造り方が書かれている。

 

「そう言う事なら、好きなようにして良いよ」

 

「仲人...ありがとう!」

 

理解して了承すると、リインは笑顔でお礼を言った。可愛いから和むなぁ...アキラもはやても皆、女の子は笑顔が一番だよ。

 

「...で、ユニゾンデバイスを造る日は、いつにするの?」

 

「そんなに時間が掛からないから...出来れば今日お茶会が終った後、はやてから夜天の書の断片を貰って直ぐに仕上げたいと思っている」

 

と云う事で、造る予定日は決まった。どんなユニゾンデバイスになるか、楽しみだな~。行き成りの話で、はやてはビックリするかも...

 

「...ところで、仲人。何の本を読んでいるのだ?」

 

リインはコタツの上に積んである本の数々に目をやりながら、僕に訊ねた。

 

「これは、建物に関する設計図の描き方について書かれた本だよ」

 

「設計図...? デバイスの製作なら納得出来るが、なぜ建物を?」

 

首を傾げて、また質問するリイン。翔なら、直ぐに気が付くけどね...説明しておくか。元より、友達にも雲の王国造りを手伝って貰う予定だから。

 

「話せば、長くなるけど...それでも良いかな?」

 

「ああ、長くなっても構わない。余計気になるから教えてくれ」

 

「解った。リインだけ立ったままは何だし、コタツに入ってて」

 

リインは座って、コタツの西側(僕は東側)に入った。それを確認してから、雲の王国についての説明を始める。先ずアイテムクリエイションで雲の王国のイメージ絵を作ってリインに渡し、造る理由と工事の流れについて話した。

 

「遊ぶにしろ、魔法の訓練をするにしろ、雲の上に私達だけの天国を造る...か。夢みたいな話でも、それを可能にする秘密道具は凄まじいな」

 

理解したリインは、雲の王国のイメージ絵を見ながら賞賛した。漫画やアニメのドラえもんは元々、夢いっぱいな話だからね...その通りだよ。

 

「あ、そうそう。水泳特訓の件...覚えてる? 雲の王国にプールを造って、水泳の特訓をする予定もあるから覚えておいてね」

 

「ふふっ、それは楽しみだな。いつになったら、雲の王国造りを始めるんだ?」

 

「ん~、1ヶ月後...3月の始めかな」

 

雲の王国を造り始める予定日をリインに伝える。設計図の作成に時間が掛かるし、友達と一緒に造るなら...はやての障害が完治してからの方が好ましい。だから目安として1ヶ月後だ。

 

談笑して、出かける時間が迫り...リインは本とユニゾンデバイスの棺を持って、自分の部屋に帰って行った。

 

そう云えば天上人が存在し、ドラえもん達も原作通りに雲の王国を造るのなら...天上人の“ノア計画”について調べないといけないな。原作通りに丸く収まるとは限らないし...もし、ドラえもん達の手でキー坊が植物人化していなかったら最悪だ。

 

・・・・・

 

出かける時間の午前9時前になり、僕達四人はうみなみ寮の玄関を下りてドラ丸の方に振り向く。

 

「皆、いってらっしゃい。魔法の勉強、頑張ってね」

 

「うん、行ってくるよ」

 

「おう! 行ってくるぜ」

 

「うん、ドラ丸。留守番お願いね」

 

「私は教える側だがな...留守番頼んだぞ」

 

僕達四人は、ドラ丸に留守番を任せて玄関を出た。次にうみなみ寮の庭から【どこでもドア】を通って、アースラの艦長室へ移動する。

 

・・・・・

 

「あら、おはよう。担当の人が来るまで此処で、ゆっくりしていってね」

 

【どこでもドア】を通った先...アースラ艦長室内の畳の上に座っているリンディさんは此方に気付いて微笑み、お出迎えしてくれた。

 

「「「リンディさん、おはようございます!」」」

「おはよう。リンディ提督」

 

僕達は元気良くリンディさんに挨拶をして、畳の上に座る。それから、お茶を頂いた。なんと砂糖やミルクも付いていたが、入れていない。クロノとエイミィは本局に出かけているようだ。管理局本局の中は如何なっているか、興味あるな。

 

「ねぇ、新しい生活は上手くいっているかしら?」

 

「はい。皆で協力し合っていますから、とても楽しいです」

 

「ふふ...出会ったばかりというのに、すっかり馴染んでいるようね」

 

アキラは明るい顔をして答え、質問したリンディさんは微笑んで感心する。確かに、お互い出会ったばかりと思えない関係だよね。

 

「あ、リンディさん。伝えておきたい事があるのですが...」

 

「...ん、何かしら?」

 

「今日の夕方...リインは夜天の書の断片を使ってユニゾンデバイスを造りますので新しい魔力反応があったら、ソレであるとスタッフの皆に伝えて頂けますか?」

 

不明で混乱による迷惑をかけたくないので前以って話すと、リンディさんは目を見開いてリインに訊ねる。予想通りの反応だ...

 

「ユニゾンデバイスは直ぐに造れるものなの?」

 

「本来なら...数ヶ月掛かるらしいのだが、此方に事情があって仕上げの段階まで進んでいる」

 

リインはそう言い、未来からやって来たドラ丸についても話した。聞いたリンディさんは、またまた驚いてしまう。ドラ丸がうみなみ寮に来るなんて、誰も思っていなかったな~。信じられない事、転生して二日目に...だ。

 

「タイムマシンで未来から来たと信じられない事だけれど、嘘とは思えないのよね......解ったわ。艦内が騒がないように何とかします」

 

リンディさんは暫く悩んだ後、頷いて了解した。ふぅ...これで一安心かな?

 

・・・・・

 

数十分後、担当の人が艦長室に来た。その人の指示に従って検査室まで行き、適正検査を受けた。その結果...ミッド式との相性は良好であり、各種の魔法に対して標準以上らしい。驚く事に、翔やアキラも僕と同じ結果だった。そしてリインとリンディさんは少し驚き、コメントを言う。

 

「幅が広い適正を持つ魔導師は、そんなに多くない。しかし、魔導書から引き継いだ私を含めて四人全員とは...かなり都合が良いな」

 

「ふふ、恵まれているわね。働く為に最低でも射撃魔法と防御魔法と拘束魔法を欠かせないとして、伸ばしたい他の魔法を自由に選べるのだから」

 

「艦長。彼らは周りからの嫉妬に耐えられるのでしょうかね?」

 

「嫉妬は自分勝手で不毛なもの...仲人達は強い子だから大丈夫よ(外見は子供だけど精神年齢は大人だし)」

 

リンディさんは、苦笑して検査担当の男性スタッフに応えた。いくら人の為に頑張っても、嫉妬は消えないだろうなぁ。そう云う問題は、人に才能や資質や特殊なモノを選べない事が原因だよね...

 

検査室で用事が終わった後、リンディさんは仕事があるので艦長室へ戻って行った。僕達は、次の担当であるラステルさん(18)に付いて行って研修室へ移動した。ラステルさんの容姿は、ピンク色の髪が肩まで伸びていて瞳はエメラルドグリーンの女性。時空管理局“海”の所属で、少し明るい紺色の制服を着ている。それにしても、ラステルさんは誰かに似ているなぁ...誰だったかな? う~ん...

 

・・・・・

 

ラステルさんとリインから魔法技術の基礎を学んだ。今は魔導師の誰でも出来る初級魔法の“念話”を教えて貰っている。やり方は頭の中で術式(とても簡単)をイメージ構築した後、相手をロックオン(マルチロックオンも可)して伝えたいメッセージを念じる。なお、ロックオンしない場合は範囲内にいるリンカーコア持ちの人全員に送られる。テスト送信でラステルさんは、僕と翔とアキラにマルチロックオンして念話を送る。

 

≪あ~、あ~、皆さん。聞こえますか?≫

 

≪はい、届きました≫

≪はい、聞こえました≫

≪はい、伝わってきました≫

 

「うん、この調子。上手く出来ましたね」

 

聞こえた僕と翔とアキラは机の上にあるテキストを見ながら術式をイメージした後、ラステルさんにロックオンして念話を返信する。受けたラステルさんは微笑んで応えた。確かに念話は、直ぐ出来るほど簡単だ...

 

「普通は相手を見てロックオンするが、居ない場合は探知魔法が必要になる。魔力反応をキャッチしてロックオンする流れになるからな」

 

「ええ...そう云う事なので、次は探知魔法を覚えていきましょう」

 

リインの補足を聞いてラステルさんは頷く。そして探知魔法の勉強を始めた。初級は魔力を感じ取るだけであるが、レベルが上がるとサーチャーを生成して配置した周りの情報(映像・音声など)を得られる。但し、情報を記録するにはデバイスが必要になるとの事。今は、念話と同じく簡単な初級だけ習得した。此処に居ないリンディさんに念話のテスト送信をしてみようかなと思ったけど、仕事の邪魔になるので止めた。

 

「ラステルさん。聞いた所、探知魔法は凄く便利そうですね」

 

「ところが...感知されないようにする対策はありますので、レベルが高い犯罪者を見つけるのに探知魔法があっても難しいんです」

 

「あと敵に感知されないようにするのも、忘れてはいけないぞ」

 

アキラの感想を聞いたラステルさんは顔を横に振って応える。それに続くようにリインは注意した。捕まえに来たのに、逃げられたら困るよね...うん。

 

・・・・・

 

昼休みになって、迎えに来たリンディさんと一緒に食堂へ移動する。着いたらカウンターで昼食を乗せたトレーを受け取り、翔と隣の席に座った。向かいの席はアキラとリインとリンディさん。

 

「アキラちゃん。魔法の勉強はどう?」

 

「魔法については大丈夫です。貰ったテキストを読んでみたら、英語と似ていてホッとしました」

 

「うふふ、ミッド語はアースの英語と似ているから凄い偶然よね。もう一つ、ベルカ語はアースのドイツ語と似ているそうよ」

 

「そうなのか...初めて聞いたな」

 

リンディさんの話を聞いて驚くアキラとリイン。本当に凄い偶然だね...習っていないからドイツ語とベルカ語は読めない。しかし、秘密道具の【ほんやくコンニャク】を使えば一発だ。...カンニングと変わらない反則だけど。

 

「仲人。ジャガイモと思って食べたら、人参の味だったぜ...」

 

「うん、皿にオレンジ色のポテトがあるけど、ジャガイモ味かもしれないよ」

 

「知らない食材があると、食べにくいな...罰ゲームみたいだ」

 

ポテトを食べてみたら思った通りだった。更に緑色のスープはコーンスープと同じ味だった。おまけにトマトは黄色いし...地球にない食べ物は、どんな味がするか...ドキドキするなぁ。だから翔とアキラは、僕と同じく食べるのを躊躇っている。勿論、好き嫌いはしない。

 

「あらあら...初めてのなのはちゃんやはやてちゃんと同じ反応ね」

 

リンディさんは、僕達の様子を見て苦笑する。そう云う感じで談笑しながら昼食をゆっくり食べて昼休みを過ごした。リンディさんの話を聞いて、ミッドの高級料理で竜の肉が出るらしい。その値段を日本円にすると、数十万円もするから仰天したよ。竜種は稀少で狩りが難しいと理由を聞いて納得した。

 

・・・・・

 

午後の魔法勉強は、ラステルさんと一緒に射撃訓練室(構造は弓道場に近い)で射撃魔法を学んだ。勿論、デバイスを使わなくても簡単に出来るF級射撃魔法である。これは掌の上に魔力弾を1つ形成して撃つだけ。ラステルさんは射撃位置に着いて手本を見せる。

 

「フォトンシューター!」

 

ラステルさんは頭の中で術式を構築し、自分の掌を離れた的に向けて唱える。次に桃色の魔力弾を形成した。桃色...なのはの魔力と同じ色だね...

 

「...シュート!」

 

そしてトリガーを引くように掛け声をあげると、魔力弾が飛んでいき的に命中した。ど真ん中に当たったね...お見事。

 

「...といった感じです。先ずは、大河内さんにやって貰いましょうか(ふぅ~、当たって良かった...外れたら、教える側として面目が立たないもん)」

 

「(え...私? 上手くいくかな...)はい!」

 

こっちに振り向いて的に手差ししながら言い、アキラを指名するラステル。次はラステルさんと入れ替わるようにアキラが射撃位置に着く。頑張れ~。

 

「フォトンシューター!」

 

アキラは見本通りに進めて、ゆっくりと慎重に水色の魔力弾を形成する。何故なら魔力を注入し過ぎると、パンク→霧散して失敗するからである。

 

「...シュート!」

 

そして、掛け声と共に撃つ。的から20㎝離れた壁に着弾した。...惜しい。

 

「あ、外れちゃった...」

 

「でも、センスは悪くないですよ(うぅ、初めての私より上手い...)」

 

「射撃のコントロールは悪くない...が、魔力の注入を早く出来るように練習しないとな。実戦で、時間のロスは命取りとなる」

 

評価は悪くなく、ラステルさんはアキラを褒めた。続いてリインは課題を伝える。魔力注入は、空気を入れて“紙”風船を膨らませるようなものだよね...

 

「そう云えば、仲人は的当てゲームが得意だったよな...いけるか?」

 

「う~ん...30m遠く離れた的当ては、やった事がないから上手く出来るか...分からないよ」

 

「あ、確かに...今まで遊んだ遊園地の的当てゲームは、土地の都合で近距離しかなかったよな」

 

「うん、僕は弓道をやってみたかったけど、生前...通っていた学校に弓道部は無かったしなぁ」

 

「八雲君、麻宮君。こっちに来て下さい」

 

「「あっ、はい!」」

 

翔と話していると、ラステルさんに呼ばれる。その後、僕達四人(リインも練習参加)は射撃位置で横一列に並んで射撃魔法の練習を始めた。午後2時40分まで続き、命中率と魔力弾形成速度が上がった。因みに僕の魔力色は黄色、翔の魔力色は明るい緑色、リインの魔力色は白銀色である。

 

・・・・・

 

授業が終わる前に、リインは一回だけ高レベルの射撃魔法を使う事になった。理由は、今まで魔力弾を1個ずつ撃つ練習で不完全燃焼だからスッキリしないらしい。リインは射撃位置の真ん中に立ち、的の方を睨みつけている。危ないので、僕と翔とアキラとラステルさんは訓練室の端へ移動した。離れた的の場所で、12個の的が上下左右と高速で大きく往復移動している。

 

「刃以て、血に染めよ。ブラッディダガー!」

 

そう詠唱されると、リインの周りに血のように赤い短剣が12本出現した。

 

「...穿て!」

 

掛け声と共に放たれた短剣は、12個の的に全て突き刺さり...

 

ーードドドドドドドドドドドドォーン!

 

「「「「っ!?」」」」

 

連続爆発で衝撃波と轟音が発生し、僕と翔とアキラとラステルさんは思わず目を瞑って耳を塞いだ。暫くして...煙が晴れると何も残っていない。どうやら的は全て跡形も無く消し飛んだようだ。リインを見ると「気・分・爽・快っ☆」でスッキリした様子...は、破壊マニアなのかな?

 

「す、凄い...」

 

「なんっつー、威力だ...」

 

「私の防御魔法でも、あれは防げないかも...(艦長から聞いたけど、デバイス無しで其処まで出来るなんて...恐ろしい子)」

 

その様子を見たアキラや翔やラステルさんも呆気に取られている。後でリインに訊いてみたら、あれは古代ベルカ式AAA級射撃魔法と言われた。たとえ回避しても追いかけてくるらしいので、AAA級防御魔法を使えるように頑張らないと勝ち目が無いかも...

 

・・・・・

 

授業が終わって、僕達四人はラステルさんと一緒に艦長室へ戻った。

 

「次は、防御魔法と拘束魔法を教えますね。また明日会いましょう」

 

「「「はい、ラステルさん。ありがとうございました!」」」

「今日はお疲れ様...明日も、お互い頑張ろうな」

 

「ラステル、お疲れ様。明日も魔法の指導をお願いね」

 

「はい! ...それでは、自分の仕事に戻ります」

 

ラステルさんは、リンディさんに敬礼して艦長室を出て行った。彼女の仕事は、アースラの武装隊小隊長で、魔導師ランクはA+だそうだ。階級は二尉(中尉)

 

「ふふ...皆、今日はお疲れ様。桃子さんが働いている翠屋でフェイトちゃん達と楽しんできてね。車に気を付けるのよ~」

 

「はい! また明日、来ますね。さようなら」

「「「さようなら」」」

 

僕達四人は【寒くないコート】を着てリンディさんと別れの挨拶をした後【どこでもドア】を通って、うみなみ寮の庭に戻った。

 

・・・・・

 

うみなみ寮の庭に戻った後...翔達三人を待たせ、僕はうみなみ寮の裏口を通って【どこでもドア】を洗濯場に置いた。うみなみ寮の裏口は、東北にあって洗濯場とつながっている。勿論、その鍵も持っている。

 

翔達三人の所へ戻り、うみなみ寮の門を出て八神家へ向かう。家の玄関で、シャマルや車椅子に乗ったはやてと会って元気良く挨拶をした。彼女は歩けるのだが...医師の許可が出るまで、外出は車椅子だ。シグナムは神谷の剣道道場で、ヴィータは敬老いきいきサロンのゲートボール参加で家に居ない。いつも通り、ザフィーラは留守番。

 

「昨日、仲人君が作った白い【寒くないコート】は効果抜群やな~、顔に冷たい風が当たっても、寒くあらへん。北極南極でも平気とちゃうか?」

 

「ブッ...それ、仲人も言ってたぜ」

 

「そうですね。可能かもしれませんよ」

 

はやても僕と同じ感想で、翔は吹いてしまった。皆と苦笑してリインは、はやてに敬語で応える。はやても、そう思うんだね...

 

「えっと...翠屋で、なのはやフェイトが待ってるよ。早く行こう」

 

「そうやね~、アキラちゃん。シャマル、出発進行や~」

 

「は~い。はやてちゃん」

 

「ははっ、ノリノリだね...」

 

笑顔でアキラに応え、斜め前に手を挙げてシャマルに指示を出すはやて。そんな様子に苦笑して翔と先頭に立つ。シャマルははやてが乗った車椅子を押し、6人で翠屋がある海鳴駅前商店街へ向かった。

 

~side out~

 

 

東北へ続く国道■■号線の歩道を移動中...リインは、今日の朝に仲人と話し合った事を思い出して、はやてに訊ねる。

 

「はやて。この世元に居た私...リインフォースが残した夜天の書の断片を持っていますか?」

 

「うん! 形見みたいなものやから、お風呂以外は肌身離さず持っとる」

 

はやては笑顔で頷き、胸...夜天の書の断片がある所に手を当てながら、リインに答える。命の次と云えるくらい、大事にしている様子だ。

 

「ありがとうございます...大事にしているのですね。なのは達とお茶会の帰りに、うみなみ寮に寄って行きませんか?」

 

「リインは、新しいユニゾンデバイスを造るって。直ぐ出来るらしいよ」

 

「「え?」」

 

リインは微笑んで応え、続いてアキラは目的を伝えた。聞いたはやてとシャマルは目を見開く。行き成りユニゾンデバイスと出会えるのだから、驚いて当たり前である。そんな話が無い場合、二年後になるらしいが...

 

「リインty「ちゃん付けは止めろ!」...うぅ~残念。ユニゾンデバイスが直ぐ出来るって本当なの?」

 

「リインちゃん」と呼ぶ前に、リインに睨まれてシャマルはションボリする...が、直ぐ立ち直ってリインに訊ねる。リインは守護騎士に、ちゃん付けで呼ばれたくない。特に、シャマルには...

 

「ああ、今は仕上げの段階まで進んでいる。詳しい事は...長くなるからうみなみ寮で話そう」

 

未来とか、ドラ丸についても説明する事になるから、話が長くなってしまう。よってリインの言う通り、説明は後回しだ。

 

「どんな子が生まれるか、ウチは楽しみや~。可愛い子だったらえぇな~」

 

「うん、私も楽しみだよ」

 

はやてとアキラは可愛いもの好きなので、とてもウキウキしている様子。

 

「うふふ...妊婦さんみたいになってますよ~はやてちゃん」

 

「あっ!? アカンわ~、ウチはまだ結婚しとらんのに...」

 

シャマルにツッコミを入れられて顔を紅くするはやて。その様子を見てアキラとリインは苦笑した。確かに...「どんな子が生まれるか、楽しみ」と云う発言は、妊婦さんみたいだ。

 

なお、先頭にいる仲人と翔は仲良く談笑していて、女性陣の会話を聞いていない。...とまぁ、仲人達六人はこんな調子で翠屋との距離を縮めていく。

 

 

~なのは side~

 

学校が終わって今は、親友のフェイトちゃんやアリサちゃんやすずかちゃんと一緒で、うちが経営している翠屋にいる。奥の席で、はやてちゃんや新しい友達のアキラちゃん達が来るのを待っているの。早く来ないかな~。

 

「ねぇ、なのは。昼休みの時...新しい友達について言っていたわよね...その中に入る男の子は、どんな人なのかしら?」

 

「仲人君と翔君は、優しい人だよ。ふざけて悪戯はしない良い子なの」

 

「その二人はしっかりしているから、何となく頼れる人かな」

 

アリサちゃんが訊いてきたので、フェイトちゃんと答えた。仲人君や翔君は私と同じ年でも精神は大人だからフェイトちゃんの言う通り、しっかりして頼りになる感じなんだけどね。アキラちゃんやリインフォースも、そうなの。

 

「へぇ~。人の迷惑も考えないしつこいアイツと違って、仲良くなれそうね」

 

「うん、そうだね。アリサちゃん(黒柳君の性格...なんとかして欲しいな)」

 

アリサちゃんは興味を持ち、すずかちゃんは笑顔で頷いた。うん、きっと仲良くなれるよ。今気が付いたけど、仲人君や翔君と会うまで男の友達が一人もいなかったの...学校では、黒柳君の所為で中々男の子と話せないし...

 

・・・・・

 

「いらっしゃいませ......あら、はやてちゃんとシャマルさん」

 

「「こんにちは~桃子さん」」

 

フェイトちゃん達三人と話している中...声が聞こえて翠屋の入口を見ると、はやてちゃんとシャマルさんが来ていた。その後ろに四人...あ、アキラちゃん達なの。そう云えば、住んでいる所ははやてちゃんの家の近くにあると聞いた...うん、一緒に来る流れになって頷けるね。

 

「私は、はやてちゃん達を此処へ案内してくるね」

 

「「「うん、いってらっしゃい!」」」

 

フェイトちゃん達三人にそう言い、席から降りて翠屋の入口へ向かった。

 

~side out~

 

 

つづく...

 

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