黄金なる遺産   作:数取団乱闘生

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第12話「ボスの娘 トリッシュ・ウナ」

パッショーネの本部で一人の少女がやって来た。

名をトリッシュ・ウナ。何を隠そうボスの一人娘である。

組織で唯一ボスの正体を知り、トッピオが二重人格の産物であるものということも知っている。

ボスは自分の正体を知られない為に遠くへ飛ばしていた(殺しては周りに不信感を抱かれると思った為)。

だが数年かけてトリッシュはパッショーネの本部を突き止めてやって来たのだ。

「あんな奴が父親だなんて認めない。一発ぶん殴らないと気が済まない!」

 

だがパッショーネの本部にはもうボスはいない。

いるのは不死身の吸血鬼DIOだけである。

「ジョースターの血を継ぐものはまだいる。東方仗助、次はコイツを矢にするか。だがその前に生まれ変わったザ・ワールドの能力を確かめてみるとしよう」

そう言うとDIOは自らの血を床に円を描くように垂らした。

すると円の中心から人がヌルッと出てきた。

「久しぶりだな。わたしのザ・ワールドレクイエムは死者の魂を呼び出し、わたしの血を与えることで吸血鬼として甦らせることが出来る。しかし条件があるのだ、一つはこのDIOを知っていること。そしてもう一つはわたしに敵意が一切ないことだ。その二つを満たしているのはおまえぐらいだった、ヴァニラ・アイスよ」

「有り難き幸せ。このヴァニラ・アイス、必ずやDIO様のご期待に添えてみせます。

「ならさっそくだがヴァニラ・アイス、東方仗助を聖なる山で殺して矢にしてここへ持って来い。吸血鬼のおまえはわたしと同じく日中は外に出ることは出来ない。だがわたしはこの命令を取り下げるつもりない」

「例え地中を掘り進めてでもその命、必ず守らせていただきます」

早くもヴァニラ・アイスは部屋を出て行った。

「やはりヴァニラ・アイスを復活させたのは正解だったか。奴は誰よりも扱いやすい」

 

「……」

実はそのやりとりを盗み聴きしていたトリッシュ。

そして理解した。自分の父親はすでにあの男に殺されているのだと。

ボスはもうあの男になっている。しかし元々ボスを知らない連中はそれに気付かない。それを利用してあの男はここにいる…ということを。

「誰かに…伝えないと……」

何故がそう思ったトリッシュは入った時と同じくこっそり本部を出ると、組織で一番信用出来る人のところへ向かっていた。

 

「ブチャラティ、実は昨夜にまた同じ痛みに襲われた。しかも今まで一番強い痛みだった。もしかしたらまたDIOが矢を手に入れたのかもしれない」

他の四人に聴かれないようにひっそりとジョルノが言った。

「だとしたらジョナサン・ジョースターかもしれない、DIOが手にした矢は」

「ジョナサン?でもそれはDIOに身体を乗っ取られたんじゃ……」

「ジョセフや承太郎の時よりも強い痛みだったというのなら間違いないだろう。身体がDIOになったのなら残された頭が矢になった可能性が高いな。そして奴はジョナサンの矢で強大な力を手に入れた…と考えるのが自然だろう」

「……」

ジョルノが考え込む中、今度は全員に聞こえるようにブチャラティが言った。

「オレたちは今から4本目の矢を回収に向かう」

「なんだいきなり?またボスからの命令か?」

「いや、オレの独断だ。オレが調べたところによればジョースターの血を継ぐ人間である東方仗助が先日突然失踪したらしい。もしかしたら聖なる山に行ったのかもしれない」

残りの四人にはジョルノやDIOのことは話していないが、ジョースターと矢のことはある程度説明はしていた。

「てことはブチャラティ、まさかオレたちもその矢の力を使おうってことか!」

かなり嬉しそうにナランチャが言った。

「まぁそうなるな。おまえたちも既に知っていると思うがジョルノにはスタンド能力がある。だからオレたちも共に戦う為にスタンド能力を身につけようと思う」

「その言い方じゃ矢を使えばスタンド使いになれるのか?」

「確証はない。だが12年前に日本で矢を貫かれた者がスタンド使いになったという事例がある」

「マジかよ!やったぜ!」

誰よりもジョルノのスタンド能力に憧れがあったナランチャはかなり嬉しそうだった。

「はしゃぎ過ぎですよ。ガキですね」

「あぁ⁉︎」

フーゴがボソッと言った一言だったが、当然ナランチャが引っかからないわけがなかった。

「誰がガキだとォ?てめぇの方が歳下だろうが!」

「そういうところも含めてガキだって言っただけですよ」

「やめろおまえら。ボスも東方仗助の矢は狙っているに違いない、ボスに取られたら二度とオレたちが触れることは出来ない。だからボスよりも早く見つけ出す必要があるんだ、んな揉めてる暇があったら出発準備でもしておけ」

「チッ、分かったよ。ブチャラティが言うから今日は許してやるぜ」

「ならブチャラティに感謝ですね」

するといきなりアジトのドアが勢いよく開けられて一人の女が飛び入ってきた。

「ぼ、ボスが知らない男に変わってるのよ!これからパッショーネがどうなるか分からないわ!助けて!」

 

第11話完。

 

 

またお会いしましょう

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