突然アジトの壁に丸い穴が開き、何かが中へと入ってきた。
「ば、バカな!エアロスミスには何の反応もなかったぜ⁉︎」
そして突如化け物のようなスタンドとその口の中に男が現れた。
「ブローノ・ブチャラティ、ジョルノ・ジョバァーナ、ナランチャ・ギルガ、パンナコッタ・フーゴ……ということはそこの女がトリッシュ・ウナか。DIO様の命により貴様らを殺す」
「コイツがヴァニラ・アイス…でもどうしてナランチャのエアロスミスに反応させずにここまで来たんだ」
ジョルノの疑問に余裕があるからかヴァニラ・アイスはあっさりと答えた。
「私のスタンドは暗黒空間に繋がっている。私と私のスタンド以外の物が触れれば命はない。そして私自身が暗黒空間に入っていれば誰にも探知されることは決してない」
「なるほど、その能力で静・ジョースターを殺して矢を奪ったわけか」
「私はDIO様のご命令通りに動く!DIO様がそうしろとおっしゃるのなら何でもやるのが私の生きる目的!」
「イカれた忠誠心ですね……」
冷静な男フーゴは思わずツッコんでいた。
「だがこのヴァニラ・アイスのスタンド…厄介であることには変わらないぞブチャラティ」
「あぁ、それに昼間トリッシュが一人の時ではなく今やって来たこと考えるとおそらく奴もDIOと同じ吸血鬼だ。吸血鬼を倒すには頭を粉々にするか太陽光を浴びせるしかない。だが奴を攻撃出来るのは今のように暗黒空間から顔を出している時だけだ」
さすがはもう一人の冷静男ブチャラティ。この短期間でヴァニラ・アイスのことを見抜いていた。
「フーゴ、おまえは下がっていろ。おまえの毒では奴は殺せない。それ以外の人間が死ぬだけだ」
「ちょっと待ってくださいブチャラティ、何故ぼくのスタンドのことを知っているんですか?」
静のタロットカードからスタンドのことを聞いたのは自分一人の筈。そしてナランチャたちとは違い、スタンドをまだ出したこともない。
なのに何故ブチャラティは自分のスタンドのことを知っているのか。
フーゴは不思議でならなかったが、ブチャラティはその問いには答えなかった。
「一人ずつ順番に消してやろう。誰から消されるのか…それを知る術は貴様らにはない」
「だったらこっちに来い!オレが相手してやるぜ!」
そう言ったのはナランチャだった。アジトから出てすぐ前の外に立っていた。
「待てナランチャ!」
「大丈夫だぜブチャラティ、例え暗黒空間だろうとオレのエアロスミスからは逃げられはしねーぜ!それにオレはおまえのスタンドの弱点も分かったからな!」
そう言うとナランチャはエアロスミスを自分の上空に飛ばした。
「良いだろう。まずは貴様から消してやろう!」
ヴァニラ・アイスはスタンドごと暗黒空間に入った。すると姿は全く見えなくなった。
それを確認してナランチャはエアロスミスの弾丸を乱射し、自分はひたすら猛ダッシュした。
ヴァニラ・アイスの姿は見えないが、ナランチャが飲み込まれる様子もない。
しばらくするとヴァニラ・アイスがスタンドと共に暗黒空間から顔を出した。
その一瞬を狙い、エアロスミスの弾丸が発射され全弾がヴァニラ・アイスを直撃した。
「なっ何ィ⁉︎」
「おまえの弱点は暗黒空間に潜ったら周りが見えねーってことだ!それにちょっとでも顔を暗黒空間から出しちまえばオレのエアロスミスは探知出来るんだぜ!だからわざわざ広い屋外にやって来たんだ!オレの作戦勝ちだな!」
「フッ…この程度でこのヴァニラ・アイスに勝ったつもりかァ!」
そう言ったヴァニラ・アイスは弾丸が何発も貫通し血だらけだったが、ピンピンしていた。
「やはり奴は吸血鬼だったか」
「吸血鬼だろがなんだろうがオレのエアロスミスには勝てねーぜ!」
ヴァニラ・アイスが再び暗黒空間に入った。対するナランチャも再びエアロスミスを飛ばして弾丸を撃ちまくり、自身は走り回った。
「ほらほらほらほら!今オレがどこにいるか分かんねーだろ!暗黒空間から顔出して確認してみろ!」
だがいつまでたってもヴァニラ・アイスは顔を出さない。そしてナランチャも飲み込まれてはいない。
「気をつけろナランチャ!ヴァニラ・アイスは何か企んでいるぞ!」
「大丈夫だってブチャラティ、心配すんな!エアロスミス、奴をよーく探すんだ」
エアロスミスは飛び回るのをやめて弾丸を撃ちまくっていた。
「待てよ…まさか奴はコレを狙って……ナランチャ!エアロスミスを動かせ!奴はおまえを狙っているんじゃない、スタンドの方を飲み込もうしているんだ!」
「えっ?エアロスミスを?」
しかしブチャラティが気付くのが一歩遅く、次の瞬間エアロスミスが暗黒空間に飲み込まれた。
そしてナランチャは魂が抜けたように白眼になってその場に倒れた。
「ナランチャ!」
「ダメだ…スタンドを暗黒空間に飲み込まれたら本体が飲み込まれたのと同じ……」
「まずは一人。中々に頭の良い奴だったがこのヴァニラ・アイスの前では無力。私に勝てる者はこの世にDIO様ただ一人だ!貴様らなんぞには負けん」
第19話完。
またお会いしましょう