「コレが空条承太郎の力を受け継ぐ物なのか…?」
ブチャラティが黄金に光る矢を見てボソっと呟いた。
「おい待てブチャラティ、これがその空条承太郎だってのか?オレはてっきり10年前に行方不明になったって言うから骨でもあるのかと思ってたが…」
「オレもミスタと同じ意見だ。ブチャラティ、おまえまだオレたちに何か隠しているんじゃないのか?」
アバッキオとミスタは矢を見て不審に思いブチャラティを問いただす。
「隠しているわけじゃない。正直オレにもよく分からない。だがその空条承太郎という男は普通の人間には奇妙な能力を持っていたらしい。それがこの矢と関係があるような気がしてオレはならないんだ」
「奇妙な能力?」
「なんでも背後に何かが表れるらしい」
「どういうことだそりゃ」
「悪霊のようなものが側に現れ立つということからその能力を″スタンド″と呼ぶ」
またしてもブチャラティが突拍子もない話を大真面目に話している。
でもそれは珍しいことじゃない。
第一ここに連れてきたのもその空条承太郎が吸血鬼のDIOを倒した後に失踪し、この山で死んだという話を信じてのことなのだから。
前にもこのようなことがあった……。
時を遡ること1か月前。
ブチャラティが幹部になる直前のこと。
突然ボスからの直々の連絡がブチャラティに入っていた。
「何だったんだボスからの連絡は、仕事の話か?」
「いや。幹部の一人であるポルポが死んだらしい。それで幹部候補を何人か集めてその中の一人を幹部に昇進させるとうことだ」
「マジかよブチャラティ!とうとう幹部にまでなるのか!そりゃブチャラティは街のみんなから支持を得てるからな。同然だろ?」
「それで他の候補は誰なんです?」
早くも浮かれるナランチャとは対照的に冷静なフーゴ。
「プロシュートとペッシだ」
「はぁ⁉︎ 奴ら暗殺チームだろ?しかも何でよりによってその二人なんだ?ブチャラティ、おまえ騙されてんじゃねーのか?」
暗殺チームとはボスからはあまり信頼されていないチームとして有名だった。
そんな中から幹部が選ばれることなどあり得ない。ミスタは当然その話を疑った。
「ならオレに行くなというのか?」
「あぁ。暗殺チームと違っておまえがボスから毛嫌いされる理由はないかもしれないが、そんな100%罠だと分かってる場所にわざわざ行く必要はないぜ」
「悪いなミスタ、おまえの命令はオレはきけない」
そう言うとブチャラティは出て行ってしまった。
「お、おいブチャラティ!」
「大丈夫だって、ブチャラティならプロシュートとペッシぐらい倒せんだろ?」
「そういう問題じゃなくてだな……まぁナランチャ、おまえに言っても無駄か」
「どういう意味だよそれ!」
「ブチャラティが幹部としてやっていけるかどうかは、直属の部下のぼくたちにも責任があると思いますけどね」
言い争うミスタとナランチャに向かって冷たい目で冷静に言ったフーゴ。
「……まぁそうだな…」
フーゴの一言で冷静になったミスタとナランチャはそれっきりしばらく口を開かなかった。
そして結局ブチャラティはその場所へ向かい無事に幹部となるのだが、プロシュートとペッシもその場には居なかったという。
ブチャラティはその場に行くだけで幹部になれたのだ。この突拍子もない話を信じられる者にだけ幹部にならせようというボスの魂胆なのかは分からないが。
あの時もブチャラティは間違っていなかった。だから今回もそうなのだろうか……。
と心の中で思うミスタだった。
「ボスの目論見はそのスタンドってことなんですか?」
相変わらず一人クールなフーゴが尋ねる。
「おそらくそうだろう。そのスタンド使いは12年前の日本を最後に目撃されていない。それも空条承太郎が失踪した時期と一致する。ボスはその消えたスタンド能力を得ることでさらにこのパッショーネを拡大させるつもりなのかもな」
話についていけないミスタやナランチャを放ったらかしにして話を進めるブチャラティとフーゴ。
「とにかくオレたちはその矢を回収するのが仕事なんだろ?お伽話はどうあれそれは変わりないことだろ」
今まで黙っていたアバッキオが口を開いた。
「そうだ、だから今から来た道を帰るぞ」
「マジかよ〜 またあの長い道を帰るのか?」
またぐずりだしたナランチャ。
「仕方ないだろう……待て、あそこに誰かいる」
ブチャラティが気付き、一同がその方向を見ると一人の老人が歩いていた。
「こんな山奥にあんなじいさん一人で来たのか?」
「アレはジョセフ・ジョースターだ、間違いない」
ブチャラティはそう言いながら写真を一同に見せた。確かにその写真には同じ老人が写っている。
「それでこの老人はなんなんだ?」
「ジョセフ・ジョースター。1920年9月27日生まれ。空条承太郎の祖父にあたる人物だ。かつて柱の男なるものから世界を救ったもう一人の英雄と言われている」
「1920年?てことはあのジジイ91歳なのか⁉︎」
英雄談より年齢に食い付いたナランチャ。
「またそんな話か……」
ミスタとアバッキオはもはやついていけなくなっていた。
「ここに来たということは…後を追うぞ」
そんなことはお構いなしにブチャラティはジョセフの後を追った。
一同もその後に続いた。
第2話完。
またお会いしましょう