仮面ライダードライブ THE SECOND GENERATION   作:ターコイズ

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遅くなりました。では、どうぞ。


第2話 戦う理由とはなにか

仮面ライダーダークドライブ・タイプネクストへと変身し、ロイミュード150と174を撃破する事に成功した蒼介。

だが、勝利をしたというのに、ダークドライブは何故か浮かない表情をしていた。

もっとも、仮面で顔が隠されている為、表情まではわからないが、そういった雰囲気を漂わせていた。

 

「………」

 

自分の右手を見つめるダークドライブを心配に思ったのか、結衣はダークドライブの目の前に立ち声を掛ける。

 

「蒼介………?」

「………」

 

結衣の言葉に何も反応を示さないダークドライブ。

さすがにベルトさんも不審に思ったのか、彼に言葉を掛ける。

 

「蒼介、どうかしたのかね?」

「………いや、何も」

 

ベルトさんの言葉に、漸く反応をしたダークドライブは、シフトランディングパネルからシフトネクストスペシャルを取り外し、イグナイターを押して変身を解除する。

 

《NICE DRIVE!》

 

ドライブドライバーからそう音声が鳴り、ダークドライブは蒼介をへと戻る。

変身を解除した蒼介だったが、先程漂わせていた雰囲気と同じ様に、浮かない表情をしていた。

そして、徐にネクストトライドロンへと近づくと、ドライブドライバーとシフトブレスを外して、車内に放り投げ、ネクストトライドロンに背を向ける。

 

「蒼介、投げるなんて酷いじゃないか!」

 

ベルトさんは投げられた事に抗議をするが、蒼介は気にする事もせず、ベルトさんに言い放つ。

 

「ロイミュードは倒したんだ。もう用は無いだろ」

 

蒼介はそう言うと、そのまま歩き出す。

そんな蒼介にベルトさんはもう一度声を掛ける。

 

「まだ、戦いは終わっていないよ、蒼介」

 

ベルトさんがそう言うと、蒼介は立ち止まる。

結衣は心配そうに蒼介を見守る。

 

「だったらなんだ。俺に何の関係がある」

 

蒼介は先程と同様に、冷めた様にそう言う。

 

「関係あるさ。現に君は、ロイミュードと戦い、これを撃退した。仮面ライダーとなって」

 

ベルトさんも変わらず冷静に言葉を返す。

ベルトさんのその言葉に蒼介は振り向く。

その表情には少しばかりの怒りが込められていた。

その表情を見ても、ベルトさんは一切動じない。

まるで蒼介の言葉を待っている様に。

 

「巻き込んだのはそっちだろうが。何勝手に俺も関係者にしてんだよ、ふざけるな」

 

蒼介は冷静を装いそう言ったが、その声は明らかに怒りに震えていた。

 

「だが、あの時変身していなければ、君は、それに篠宮結衣も確実に殺されていただろう」

「くっ………!」

 

ベルトさんの言っている事は正論だった。

あの時変身していなければ、蒼介も結衣も確実にロイミュードに殺されていた。

それに、2人が狙われたのは、明らかに蒼介のせいだった。

自分で蒔いた種だ。

それに気付いた蒼介は、何も言い返せなかった。

すると、この空気に耐え切れなくなったのか、結衣は蒼介とベルトさんの間に入る。

 

「と、とりあえずさ!話だけでも聞こう?ね?」

 

出来る限り明るく振る舞い、蒼介を宥める結衣。

そんな結衣を見て、蒼介は渋々ながらも了承した。

 

「ったく、わーったよ。ベルトさん、話を聞くだけだ」

「OK、では、ネクストトライドロンに乗りたまえ。私の基地へと案内しよう」

 

蒼介と結衣がネクストトライドロンに乗り込むと、ネクストトライドロンは2人を乗せ、どこかへ走り出した。

 

 

 

 

 

「どういう事だっ!仮面ライダーがいるなんて聞いてないぞ!」

 

とある廃工場内に、怒号が響く。

 

「言ったよな!?仮面ライダーは地下でお寝んねしてるってよ!説明しろ!ハイドロ!」

 

先程から声を荒げて怒鳴り散らしているのは、137だ。

隣には196もいる。

137は予想外の事態に驚きを隠せず、ハイドロに詰め寄る。

 

「そんなに怒らないでよ、137。僕も驚いているんだ」

 

ハイドロは137の怒りに、自分の言葉とは裏腹に涼しい顔で返す。

 

「そう怒るなよ、137」

 

ヴォルケーノは笑顔で137を落ち着かせる。

 

「クソッ!」

 

137はそう言うと、少し落ち着いたのか、ハイドロから離れ、鳶職の男性へと姿を変える。

そんな137にヴォルケーノは諭す様に話し掛ける。

 

「いいか?これはチャンスだ、137」

「チャンスだぁ?」

 

ヴォルケーノの言葉に137は首を傾げる。

 

「この機会に、進化体へと進化するんだ。おそらく、あの仮面ライダーは急場仕上げの未熟者だ。進化体になったお前なら、必ず勝てる」

 

ヴォルケーノがそう言うと、137はニヤリと笑う。

そしてヴォルケーノとハイドロに背を向ける。

 

「ま、そうだな。見てろ、あの野郎を倒すのは俺だ!行くぞ、196!」

 

そう言い残すと、137は196と共に廃工場を後にする。

それを見届けたハイドロは呆れた様にヴォルケーノに声を掛ける。

 

「はぁ、相変わらずヴォルケーノの焚きつけ方は荒っぽいねぇ」

「ああいう奴にはこういうやり方が1番効くんだよ」

 

ハイドロの言葉に、ヴォルケーノは笑顔でそう返す。

すると、彼等の前に、ソニックが現れる。

 

「おお、ソニックじゃねぇか」

「いいのか、ヴォルケーノ」

「ああ?何がだ?」

 

ソニックの言葉にヴォルケーノは首を傾げる。

 

「137と196は、確実に仮面ライダーに倒されるぞ」

 

ソニックの言葉にヴォルケーノとハイドロは目を丸くする。

 

「そいつはどういう事だ?ソニック」

 

ヴォルケーノは興味深そうにそう言う。

 

「今にわかる。奴は、ダークドライブは急場仕上げではあるが、簡単に倒せる相手ではないからな」

 

ソニックの言葉にヴォルケーノはニヤリと笑う。

 

「だったら、かなり面白い事になるなぁ」

 

ヴォルケーノの言葉を聞くと、ソニックは再びどこかへと消えていった。

 

「んじゃま、仮面ライダーのお手並み拝見と行きますか」

「だね」

 

ヴォルケーノとハイドロはそう言葉を交わすと、廃工場を後にする。

 

 

 

 

 

蒼介と結衣を乗せたネクストトライドロンは、目的地へと到着し、停車する。

2人は到着した場所を見て、目を丸くした。

 

「ここって………」

「学校………?」

 

ネクストトライドロンが2人を連れて来たのは、蒼介と結衣の通う城南大学だった。

 

「なんで学校に………」

「まさか、学校に基地があるってのか?」

 

2人が驚きを隠せないでいると、ネクストトライドロンの車内からベルトさんが2人に話し掛ける。

 

「私は先に基地へ向かっているよ。もうすぐ迎えが来ると思うから、そこで待っていてくれ」

「え、ちょっとベルトさん!?」

「待てよ、どういう事だ!」

 

ベルトさんは2人の質問に答えず、ネクストトライドロンを走らせ大学の敷地内へと進入していった。

 

「迎えって、誰だよ………」

「さ、さあ………?」

 

2人が大学の校門前で待っていると、2人の前方から1人の女性が走ってくる。

 

「おーい!」

「おい結衣、あれって………」

「沙織先輩!?」

 

2人の目の前に現れたのは、ショートボブの茶髪に赤縁のメガネを掛けた城南大学3年生、高嶋沙織だった。

 

「待ってたよ、鐵君」

「待ってた………?」

「蒼介を………?」

 

沙織の言葉に、蒼介と結衣は首を傾げる。

 

「ま!とりあえず話は後々!行くよ!」

「え、ちょっと!」

「うわっ!」

 

沙織は蒼介と結衣の手を握ると、学校内へと入って行き、普段学生が使う事は無い特別棟と呼ばれる校舎に入って行く。

 

「沙織さん、何でこんなとこに?」

「特別棟って何も無いんじゃ?」

「いいからいいから!」

 

困惑する2人を気にもとめず、沙織は特別棟をどんどん進んで行く。

そして、とある教室の前で止まる。

 

「まずはこっちだね」

 

沙織はそう言うと、教室のドアを開け中に入る。

蒼介と結衣もそれに続く。

 

「みんなー!遂に連れて来たよ!」

 

沙織のその言葉に、その場にいた3人の男性が作業の手を止め、沙織の方を向く。

そして沙織は蒼介の手を引き、みんなの前に立たせる。

 

「はい!鐵蒼介君です!」

「遂にこの時が!遂に!仮面ライダーの復活!そして!ダークドライブの誕生!」

「は、はぁ?」

 

そう言って蒼介の目の前に現れたのは、黒髪のマッシュルームヘアの青年だった。

 

「彼は笹本孝雄!ここの3年生!」

「どうも!笹本孝雄です!よろしく!鐵蒼介!またの名を!仮面ライダーダークドライブ!」

「え、いや、あの………」

 

孝雄の熱烈っぷりに蒼介はタジタジとなる。

それを見兼ねた、綺麗に切り揃えれた黒髪に、紺のスーツに赤のネクタイ姿の男性が孝雄の首根っこを掴み、蒼介の目の前から退かせる。

 

「どわああ!ちょっと!倉山さん!何するんですか!」

「馬鹿野郎、鐵が困ってるだろ」

 

倉山と呼ばれた男性は咳払いを1つすると、スーツの内ポケットからある物を取り出し蒼介に見せる。

 

「自己紹介が遅れたな。俺は倉山浩司、刑事だ」

 

そう言って浩司は警察手帳を見せる。

 

「刑事………?なんで刑事さんが?」

「ああ、ちょっとある人に頼まれてな。今回の件が終わるまで、ここで活動してくれってな」

 

浩司はそう言うと、警察手帳を内ポケットにしまう。

すると、結衣がゆっくりと蒼介の隣に立つ。

 

「えっと、私、篠宮結衣って言います。よろしくお願いします」

 

そう言ってお辞儀をする。

それを見た孝雄は頬をひくつかせる。

 

「まさか!蒼介君!君の彼女かい!?」

「ななななな!何言ってるんですか笹本さん!?そそそそそ蒼介とはべべべべべ別にそんなんじゃ!」

「きー!何よ結衣ちゃん!私なんてぜんっぜん出会いも無いのに!」

 

孝雄の発言に大騒ぎをする孝雄、結衣、沙織を見て、蒼介と浩司は深い溜息を吐く。

 

「悪いな、鐵。なんか、騒がしくて」

「いや、まあ、いいんじゃないすか?賑やかで………」

 

蒼介は出来る限り笑顔を作ってそう言う。

すると、部屋の1番奥からパンパンと手を叩く音がする。

全員がそれを聞き取り、話を辞め、奥を見る。

そこには白衣に身を包んだ坊主頭に、優しそうな雰囲気を漂わせる男性が立っていた。

 

「全く、みなさん、騒がしいですよ」

 

その男性は、優しそうな笑顔を浮かべてそう言う。

 

「すいません、大井川教授」

「え、先生がなんで………?」

 

彼の名は大井川悟。

この城南大学の教授だ。

 

「私がここの責任者ですからね、鐵君。この重加速研究サークル、どんよりサークルのね」

 

重加速研究サークル、通称どんよりサークル。

それが彼らの所属するサークル名だ。

 

「なんで大学に、そんなサークルが?そういうのは、特状課とかの仕事じゃ?」

 

結衣は悟にそう聞く。

確かにそうだ。

2年前は警視庁の特状課が重加速についての研究等を行っていた筈だ。

更に、特状課は世界を救い、1部の人間からは伝説とまで言われていた部署だ。

それが何故、大学のサークルに成り下がってしまったのだろうか。

 

「それは、私がある人物と、クリム君に頼まれたからだよ」

「クリム君………?」

「って誰?」

 

蒼介と結衣には、クリム君という人物に心当たりがなかった。

 

「ああ、ごめんね。君達にはベルトさん、と言った方がわかるかな?」

「一体、なんで………?」

 

蒼介が理解に苦しんでいると、沙織が、

 

「まあ、詳しい話はクリムに聞こっか!」

 

そう言うと彼女はどんよりサークルから出て行く。

2人は慌ててその後を追っていった。

 

 

 

 

 

どんよりサークルを出た沙織は、今度は2人を特別棟の地下へと案内する。

 

「こっちこっち!」

「え、特別棟って地下があるの!?」

「いつの間にこんなもん作ったんだよ………」

 

2人は驚きつつもしっかり沙織の後を追う。

そして3人は1つの扉の前に辿り着く。

沙織は扉に手をかけ、開く。

 

「ここが、クリムの基地だよ!」

 

扉の向こうには、ネクストトライドロンが真ん中に置かれていて、その周りには様々な機械が備え付けられたガレージの様な場所があった。

 

「蒼介、結衣。ようこそ、ドライブピットへ!」

 

専用の台座に取り付けられたベルトさんがそう言って2人を歓迎する。

ドライブピットへ入った蒼介と結衣は興味深そうにピット内を見渡す。

 

「すごい!学校にこんなとこがあったなんて!ねえ!蒼介!」

「あ、ああ………」

 

結衣と蒼介はここへ来た本来の目的を忘れているのか、ピット内の設備を見て興奮していた。

 

「って、そうじゃなくて!」

 

蒼介は本来の目的を思い出したのか、そう言う。

蒼介の言葉に結衣もそうだったと言いながら、2人はベルトさんの方を向く。

 

「んで、一体何がどうなってんだ?ベルトさん」

 

蒼介がそう聞くと、ベルトさんは咳払いを1つして、話し始める。

 

「まずは、ロイミュードの事からだね。3年前、蛮野天十郎の手により、この世界に108体のロイミュードが造り出された。だが、この108体のロイミュードは泊進ノ介/仮面ライダードライブとその仲間達、詩島剛/仮面ライダーマッハ、チェイス/仮面ライダーチェイサー、そして特状課のメンバーの手によって全て撲滅された」

「じゃあ、なんで………?」

 

蒼介の言葉にベルトさんは再び話を進める。

 

「詳しい事は私にもわからない。ただ、何者かが、蛮野の研究データを盗み出し、再びロイミュードを108体、いや、158体を造り出したのだ」

「え、3年前より増えてる!?」

 

158体という数字に結衣は驚きを隠せない。

 

「つまり、蒼介。私が君に頼みたいのは、このロイミュード達の撲滅だ。これは、君にしか出来ない事だ」

「いや、その泊進ノ介って人は?詩島剛は?チェイスは?その人達に頼みゃいいだろ?」

 

ベルトさんの頼みに蒼介はそう返す。

確かにそうだ。

かつてロイミュードと戦った者達がいるのであれば、その者達にもう一度頼めば良い話だ。

 

「その通りなのだが、そうはいかないのだよ」

 

蒼介の言葉にベルトさんは困った様にそう言った。

 

「まず、チェイスは、以前の戦いで命を落とし、もうこの世にはいない」

「………」

「そんな………」

 

蒼介と結衣はチェイスの話を聞き、言葉を失う。

 

「そして、進ノ介と剛についてだ」

 

ベルトさんはそこで1度言葉を切る。

 

「造り出されたロイミュード158体の内、50体は、現在アメリカで活動を始めてる。進ノ介と剛はこれを撲滅する為、アメリカへと渡った」

 

そこまで話したところで、結衣がある事に気付く。

 

「ちょっと待って?ベルトさんは前の戦いで、泊進ノ介さんと一緒に戦ってたんだよね?」

「そうだが?」

「じゃあ今泊進ノ介さんはどうやって戦ってるの?ベルトさんがいないと変身出来ないんじゃ?」

 

仮面ライダードライブとは、ドライブドライバーこと、クリム・スタインベルトがいて初めて変身でき、ロイミュードに対抗する事が出来る。

だが今ドライブドライバーはこの場にある。

なら泊進ノ介はどうやって戦っているのか。

 

「心配はいらない。進ノ介には現在、私が密かに開発したドライブドライバーのスペアを託してあるからね」

「なるほど………」

 

ベルトさんの返答に結衣は納得した様に頷く。

そしてベルトさんは再び蒼介の方へと向き直り、先程の話の続きをする。

 

「だから蒼介、今日本でロイミュードに対抗出来るのは君しかいないんだ。頼む、私と共に戦ってくれ!」

「俺にはそんな義務はない。それに、そんな事して俺に何の得がある?」

 

ベルトさんの頼みをあっさり断る蒼介。

それもそうなのかもしれない。

誰が好き好んで命懸けの戦いに身を投じるだろうか。

蒼介にはそんな事をする義務も理由もないのだ。

 

「得ならあるかもしれないよ、蒼介」

「………!は?な、何言ってんだよ、適当な事を」

 

ベルトさんの言葉に蒼介は何かに気付きながらも、それを必死に隠そうとしているのか、やや早口気味でそう返す。

 

「わかっているんだろう、蒼介。何故目をそらす」

「うるせえよ………」

 

ベルトさんの言葉に蒼介は明らかな怒りを込めてそう言う。

 

「いつまでそうしているつもりだ?」

「黙れよ………」

「ちょ、ちょっと、ベルトさん?」

「クリム!?ちょっと落ち着いて!」

 

段々と蒼介を追い詰めて行くベルトさんを結衣と沙織が止めるが、ベルトさんは止める事なく言葉を続けた。

 

「一体いつまで、同じ場所で立ち止まっているつもりだ?」

「黙れ!!!」

「「!?」」

 

ベルトさんのその言葉に蒼介は激怒する。

蒼介は鬼の様な形相でベルトさんを睨み付ける。

 

「そ、蒼介?落ち着いて?」

「クリムも!言い過ぎだよ!」

 

そんな2人を結衣と沙織が宥めるが、蒼介の怒りは収まらなかった。

 

「あんたに……」

 

蒼介はそこまで言うと、1度俯き、右の拳を強く握り、再び顔を上げこう言い放つ。

 

「あんたに何がわかる!!!」

 

蒼介のその悲痛な叫びに結衣は悲しそうな顔をする。

結衣にはわかっていた。

ベルトさんが言った戦う事により蒼介が得る物が何なのかを。

そしてそれが蒼介にとってどういう物なのか、それをわかっているからこそ、そして蒼介がその物に対してどの様な感情を持っているかがわかっているからこそ、蒼介のその叫びが痛いくらいに心に響いた。

 

「何にも覚えてないんだ!!グローバルフリーズがあったあの日、何があったのかも!仮面ライダーが戦っていたって事も!なんにもだ!!わかってんだよ!俺の抜け落ちた記憶が仮面ライダーやロイミュードに関係してる事が!でもその記憶を思い出したら、俺は俺でいられなくなる!そんな気がしてならねぇんだ!」

「蒼介………」

 

蒼介はそこまで言うと、1度言葉を切る。

かなりの勢いで言い放ったのだろう、肩で息をしていた。

そこまで言う程に、彼にとっての過去の記憶とは、重いものなのだろう。

蒼介が自分の抜け落ちた記憶についての思いを知らなかったベルトさんと沙織は何も言わなかった。

いや、言えなかった。

蒼介の自分の抜け落ちた記憶への思いも知らずに、戦いの為の理由にしようとしていた事に罪悪感を覚えていた。

だが沙織の表情は罪悪感を覚えていると同時に、何かに気付いている表情にも見えた。

 

「………くっ!」

 

蒼介はバツの悪そうな顔をして、ピットから出て走り去る。

 

「蒼介!」

「大丈夫、私が行くよ」

 

結衣は蒼介を追い掛け様とするが、沙織がそれを制止して、自分が蒼介を追い掛けて行った。

 

「悪い事をしたね………。蒼介にも、君にも………」

 

蒼介と沙織が去った後、ベルトさんは結衣にそう言う。

だが結衣の表情には、先程の悲しさも、ましてや怒りも無かった。

 

「大丈夫だよ、ベルトさん」

「後がないとはいえ、私も焦り過ぎてつい熱くなってしまった」

 

ベルトさんは先程の自分の発言に後悔をしていた。

だが結衣は笑顔でベルトさんに語り掛ける。

 

「私、思うんだ。きっと蒼介は、過去の事をちゃんと思い出さなきゃいけないんだって」

「何故、そう思うんだい?」

 

結衣はそう聞かれると、ベルトさんの方をしっかり見てこう言う。

 

「だって、それを含めて蒼介なんだもん。どんな過去でも、絶対に失くしちゃいけないんだよ。それがどれだけ辛いものでも、それがあって、今の自分が作られるって思うから」

「………」

 

結衣の言葉を聞きベルトさんは、今蒼介がこうして自分を見失わないでいられるのは彼女のおかげなのだと感じていた。

支えてくれる人がいるから、人は人でいられる。

強くなれる。

かつて共に戦った進ノ介や剛、チェイスもまた、そうだった様に。

 

「君は、強いんだね、結衣」

「え、もうなによベルトさん!照れるじゃん!」

 

結衣はそう言いながらベルトさんを思いっきり叩く。

 

「痛!!痛いじゃないか、結衣!」

「え!?痛覚あるんだ!?」

「当たり前じゃないか!」

 

結衣とベルトさんはそんなやり取りの後、笑い合っていた。

 

 

 

 

 

ピットから出た蒼介は、中庭にあるベンチに座っていた。

 

「だぁー!くそ!」

 

そんな事を言いながら蒼介は空を見上げる。

 

(立ち止まってても意味が無いのはわかってる、わかってるんだ。でも………)

 

心の中でそう言いながら蒼介は自分の右手を顔の前まで上げて、それを見つめる。

記憶を取り戻す事が怖い。

自分が自分でいられなくなるかもしれないから。

だか、それと同じくらい怖いものが蒼介にはある。

2つの恐怖の間で蒼介は揺れていた。

更に、蒼介はわからなかった、そのもう1つの怖いものが。

そのわからなさが、更に恐怖を引き立たせているのだ。

そんな事を考えていると、足音が聞こえて来て蒼介はその方に向く。

 

「大丈夫?」

「沙織さん………」

 

現れた沙織を見て、蒼介は先程の事を思い出してバツの悪そうな顔をする。

自分の弱い部分を見せたのだ、少しばかり気まずさを感じていた。

 

「さっきはごめんね?君の気持ちも知らずに………」

「いや、別に………」

 

申し訳なさそうにそう言う沙織に、蒼介は少し面倒くさそうに目をそらしてそう言う。

 

「もう1つの怖いもの、何かわかった?」

「え………?」

 

蒼介は目を見開いた。

見抜かれていたのだ、沙織に。

記憶を取り戻す事の他に怖いものがあるという事を。

 

「わかったからって、何も変わりませんよ」

「そうかな?それがわかった時、君は決心がつくんじゃないかな?」

 

沙織の言葉にイラついたのか、蒼介はベンチから立ち上がり、沙織の横を通り過ぎる。

その間際に一言だけこう言った。

 

「どうでしょうね」

 

蒼介はそう言い残すと、去っていった。

 

 

 

 

 

「よし、やるぞ、196!」

「ああ!」

 

137と196は突如街へと現れ、建物を破壊していく。

 

「「「きゃああああ!!!」」」

「「「うわああああ!!!」」」

 

街が破壊されていき、人々は逃げ惑う。

その様子を見て137は高笑いをする。

 

「はっはっはっは!!良い気分だ!!力が漲ってくる!さらに!」

 

137はそう言うと重加速を発生させ、人々の逃げ惑うのを阻止して、恐怖心を倍増させる。

そしてそれを見ていた137に変化が表れる。

段々と体が赤く発光していく。

 

「おお!遂に進化体に!」

 

その様子を見ていた196は攻撃の手を止め、興奮気味にそう言う。

そして137の体の発光が最高潮に達したその時、137の体は進化体へと進化する。

 

「これで!仮面ライダーを倒せる!」

 

137の体は、先程までの無機質なモノと打って変わり、赤黒い体色に、鷹を思わせる体へと変化した。

 

「まず手始めに!」

 

137はそう言うと、1つのビルに目を向ける。

すると、137の目が鋭く輝く。そして右手に羽を模したナイフが現れ、それをビルへと投げて突き刺す。

その直後、ビルは爆発を起こし、ビル内に次々と火が起こる。

 

「これが俺の力か!」

 

そう、137の新たなる力は発達した目で建物等の1番脆い部分や、ガス管等を見抜き、そこをピンポイントでナイフで破壊する力だ。

その異常に発達した目から、今の137は言うなれば、アイズロイミュードといったところか。

 

「すげぇじゃねぇか!137!」

「さあ、もっと暴れるぞ!」

 

アイズと196はそう言うと、別の場所へと移動していった。

 

 

 

 

 

アイズが進化体へと覚醒し、人々を襲わんとしている頃、蒼介はアイズが現れた場所とは別の場所を1人歩いていた。

だがその表情はとても暗く、明らかに迷っているのが目に見えていた。

自分はどうすべきなのか、どうしたいのか、そして、初めてロイミュードと戦い、誰かを救った時に感じたもやもやはなんなのだろう。

そんな事を考えながら歩いていたその時だった。

 

ドンッ!!!

 

「っ!?」

 

突如、少し遠くに見えるビルが爆発したのを目にする。

 

「あれは、まさか!」

 

蒼介は、無意識のうちに走り出し現場を目指した。

 

 

 

 

 

その頃、ドライブピットでもアイズが暴れている事を街をパトロールしていたシフトカー達がベルトさんに伝えていた。

 

「何!?ロイミュードが街を!?」

「えっ!?」

 

一緒にいた結衣も驚きを隠せない。

 

「行かなければ!結衣!私をネクストトライドロンへ!」

「うん!」

 

結衣はベルトさんを専用台座から取り外し、ネクストトライドロンのハンドルの右側にある専用台座に取り付ける。

 

「結衣はここにいたまえ」

「私も行くよ!」

 

結衣はそう言うとネクストトライドロンの運転席に乗り込む。

 

「な、何を言っている!危険だ!」

 

ベルトさんは同行するという結衣を説得する。

 

「君にもしもの事があったら蒼介はどうなる!彼の傷は更に深くなるぞ!」

 

ベルトさんの説得を聞いた結衣はしばらく考え込む様に俯く。

ベルトさんはそんな結衣の様子を見ていた。

すると結衣はふと顔を上げる。

 

「大丈夫。私、わかるんだ。蒼介が助けに来てくれるって」

 

結衣のその言葉には、蒼介への信頼で溢れていた。

ベルトさんはそんな結衣の言葉を聞き、彼女の同行を許可した。

 

「わかった、しっかり捕まっていたまえ!」

 

ベルトさんがそう言うとネクストトライドロンは結衣を乗せ、現場へと急行する。

 

 

 

 

 

その頃、蒼介はアイズが暴れていた場所へと到着していた。

周りのほとんどの建物が破壊されていて、なんとか避難した人々が次々と救急車に運ばれていた。

更には消防隊も出動していて、建物に取り残された人の救助や、鎮火にあたっていた。

 

「なんだよ、これ………」

 

蒼介は周りを見渡してそう言う。

そして自分の右手を見た後、強く握り締める。

 

「俺が、迷ってるから………。俺が、立ち止まってるから………」

 

蒼介がそう言っていたその時だった。

先程のアイズの攻撃で爆発したビルが、再び爆発を起こす。

蒼介はビルの周りの人集りへと駆け寄る。

ビルは燃え盛っていて、消防隊が鎮火を行っていた。

更に、救助された人々が次々と救急車へと運ばれていた。

だがその中に、担架に乗せられようとしているのを拒否している女性がいた。

 

「待って!まだ中に子どもが!!」

「落ち着いてください!危険です!」

 

どうやら女性の子どもがまだビルの中に取り残されているらしい。

だがこの状況で救助に向かうのはきびしかった。

だから、消防隊の男性は女性をなんとか落ち着かせようとしていたのだが、女性は聞く耳を持たず、今にも燃え盛るビルの中に突っ込もうとしていた。

その様子を見ていた蒼介は、自分の気持ちを抑え切る事が出来なくなった。

 

「なんだよ、なんなんだよ!!くそが!!」

 

そう言うと、人集りを抜け、ビルへと駆け出す。

 

「待つんだ!」

「どけ!」

 

消防隊の男性が2名蒼介の前に立ち塞がり、蒼介を止めようとするが、蒼介は2人の消防隊を強引に押し退けビル内へと突っ込む。

 

「くっ!こりゃやばいぞ!」

 

ビル内へと入ったものの、かなりの勢いで炎が燃えていて、人を探すのには骨が折れそうだった。

 

「おい!!誰かいないのか!?おーい!!」

 

蒼介は女性の子どもを探しながらビル内を進む。

しばらく進むと、微かに声が聞こえてきた。

 

「た、助けて………。お母さん………」

「っ!?」

 

その今にも消えそうな声を蒼介は聞き逃さなかった。

蒼介は声のした方へと走り出す。

 

「いた!おい!大丈夫か!?」

 

蒼介は女性の子どもと思われる女の子を発見する。

 

「もう大丈夫だ!行くぞ!」

 

蒼介はそう言うと、女の子を抱きかかえ、出口へと駆け出す。

そして出口が見えてきたその時だった。

出口の上にあった鉄骨が、今にも崩れ落ちそうだったのだ。

これが崩れ落ちてしまえば、蒼介も女の子も助からない。

だが、蒼介の目は、全くと言っていい程諦めていなかった。

 

「こんな、ところで!!」

 

蒼介はそう言うと、一気に駆け出す。

それと同時に鉄骨が崩れ落ちるが、蒼介はありったけの力を込めて出口に向かって飛ぶ。

 

「うあああああ!!」

 

蒼介と女の子は、鉄骨が落ちて来る寸前でビル内へと飛び出す。

2人がビル外へと出た瞬間、鉄骨は落下し、出口を塞いだ。

 

「大丈夫ですか!?」

「あっぶねぇ………」

 

消防隊の何人かが蒼介と女の子に駆け寄る。

女の子はその中の1人に抱えられ、救急車へと運ばれていった。

そして、もう1人の消防隊も蒼介を抱えて、救急車へと乗せようとするが、蒼介はそれを拒否する。

 

「俺はいいから!それより………!」

 

蒼介はそう言うと、先程の女の子の母親の下へと行く。

母親は既に担架に乗せらており、救急車に乗り込む手前だった。

 

「退いて!おい!あんた!」

 

蒼介は担架を押していた救急隊を退かして、母親に語りかける。

 

「子どもは無事だ!」

「え………?」

 

蒼介の言葉に、母親は目を見開き蒼介を見る。

 

「大丈夫!だから安心してくれ!」

 

蒼介がそう言うと、母親は目に涙を浮かべて蒼介の右手を強く握る。

 

「あ………」

 

蒼介はそんな声を漏らすが、母親はこう言う。

 

「ありがとう……!ありがとう……!本当にありがとう……!」

 

母親は蒼介にそう告げると、救急車へと運ばれていった。

そして救急車は走り出して行き、その場に残された蒼介は、握られた右手を見ていた。

 

「母親………親………っ!?」

 

すると、蒼介は頭を押さえ、その場にうずくまる。

 

「ぐっ!なんだ………!」

 

すると、蒼介の脳内に、ある情景が浮かび上がる。

燃え盛る夜の街、逃げ惑う人々、そして降りしきる雨。

その中で、血を流し倒れる男女、それに駆け寄る、蒼介自身………。

 

「これは………!」

 

蒼介は、あの時の事を思い出した。

3年前、最初の、グローバルフリーズの時にあった事を………。

 

 

 

 

 

3年前のグローバルフリーズの日。

 

「っ!叔父さん!叔母さん!」

 

蒼介は降りしきる雨の中、倒れる自分の育ての親である叔父と叔母を発見する。

蒼介はまず叔母である、鐵友恵へと駆け寄る。

 

「叔母さん!叔母さん!?」

 

だが、友恵は蒼介の言葉に何も反応を示さない。

 

「そんな………」

 

友恵の命の炎は、既に消えていたのだった。

すると、

 

「蒼、介………」

 

友恵と少し離れたところで倒れていた蒼介の叔父、鐵正樹が蒼介の存在に気付き、声を掛ける。

 

「叔父さん!」

 

蒼介は友恵をゆっくりと寝かせると、次に正樹へと駆け寄る。

 

「叔父さん!」

「蒼介、友恵は………?」

 

正樹には、すぐ近くにいた友恵がどうなったかがわからなかった。

それはつまり、

 

「叔父さん、目が………?」

「ああ、もう、見えないよ………」

 

もう何も見えていなかった。

そんな正樹に蒼介は友恵の事をこう伝えた。

 

「………大丈夫、気を失ってるだけだ」

 

嘘をついた。

言えなかった、友恵がもうこの世にいないという事を。

 

「そうか………。俺は、もう駄目みたいだ………」

 

正樹もまた、自分がもう保たない事を悟っていた。

 

「そんな!しっかりしてよ!叔父さん!」

 

蒼介はそう言うが、正樹はそれを無視して別の話を始める。

 

「蒼介、お前には、悪い事をした………」

「え………?」

 

正樹の言葉に蒼介は訳が分からず、首を傾げる。

 

「お前の父親についてだ………」

「父さんの事………?」

「お前の父さんは、死んでなんかいない。どこかで、生きてる。お前にその事を、伝える事が出来なかった」

「なんで、そんな事を………」

 

蒼介は依然として理解出来ずに困惑するばかりだった。

 

「姉さん、いやお前の母さんについても、なんで死んだのか。それも教えてやれなかった。教えてはいけないと思っていた。でも!こんな事が起こってしまった以上、お前は知らなくちゃいけない!自分の、両親の事を………」

 

正樹はそこまで言うと、蒼介の右手を握る。

蒼介はそんな正樹を見て、こう言った。

 

「ああ、わかった!でも、これだけは言わしてくれ!」

「なんだ…?」

 

すると、蒼介は目から大粒の涙を零す。

涙は止まることがなく、正樹の顔に落ちる。

 

「俺の、親は、叔父さんと、叔父さんだ!!俺は、2人の息子だ!!」

 

蒼介がそう言うと、正樹はとても嬉しそうな表情を浮かべて、涙を流す。

 

「ああ、そうだな。お前は、俺たちの息子だ………!そして………」

 

正樹はそこまで言うと、蒼介の右手を、残された力を振り絞り、更に強く握る。

 

「お前は、俺たちの、ヒーローだ!お前はいつか、世界を変える!俺と友恵は、お前を、鐵蒼介を、しん、じ、てる………」

 

そして、正樹は蒼介の右手を離し、その手は力なく地面へと落ちる。

 

「叔父さん………?叔父さん!叔父さんっ!!!!うあああああ!!!!」

 

蒼介は、ただただ叫んだ。

大事な人を亡くした悲しみを叫びに込めて、叫んだ。

喉が潰れる程に。

だからこそ、気付いていなかった。

後ろから忍び寄る、黒い影に………。

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

うずくまっていた蒼介は、顔を上げる。

 

「思い出した………。少しだけど………。なんで、こんな事、こんな大事なこと、忘れてたんだ………」

 

蒼介はそう言うと目を瞑り、自分の右手を強く握り締める。

自分を本当の息子だと言ってくれた叔父と叔母を思って、強く握り締める。

そして、ゆっくりと目を開き、前を見据える。

その瞳には、確かな1つの決意が感じられた。

 

「俺は………俺は………!」

 

そう言ったその時だった。

再び、別の場所で爆発が起きた。

恐らく、アイズと196が破壊活動を再開したのだろう。

蒼介はその方向を見て、ゆっくりと歩き出そうとすると、後方から奇妙なクラクションが聞こえたきて、その方を見る。

 

「蒼介!」

 

到着したネクストトライドロンから結衣が降りて来て蒼介に駆け寄る。

 

「結衣………」

「うん!」

 

結衣は、蒼介の顔を見ると、何かに気づいたのか、笑顔を見せる。

蒼介も笑顔で頷き、ネクストトライドロンへと歩み寄り、車内からシフトブレスとシフトカーホルダーを取り出し、自身に装着する。

 

「蒼介………」

 

ベルトさんは、蒼介のその行動に驚きの声を漏らす。

そして蒼介はベルトさんを取り外し、しっかりと向き合う様に持つ。

その様子を結衣はしっかりと見守る。

 

「ベルトさん、俺は怖かった。自分の記憶を取り戻す事が。でも、それと同じくらい怖いものがあった。でも、それが何かわからなかった。だから、戦う事を受け入れられなかった。でも、わかったよ、それが何か」

「教えてくれないか?」

「誰かを失う事、そして、失って流す誰かの涙だ。俺がかつてその涙を流した様に」

 

蒼介は言葉を紡ぎながら、あのグローバルフリーズの日の事を思い出す。

 

「思い出したよ、少しだけだけど。なんであんな大事なこと、忘れてたんだって」

「蒼介………」

 

記憶少しだけだが思い出した蒼介に、結衣は嬉しそうな、不安の様な、そんな声を漏らす。

 

「今でも怖い、記憶を取り戻すことが。誰かの涙が。でもさ、戦うよ、俺」

「いいのかね………?」

 

蒼介の言葉に、ベルトさんは確認する様にそう問う。

 

「ああ。記憶を少し思い出したから、ちょっと怖さが薄れた。だから、もう一つの怖さの為。誰にも、泣いてほしくないから、大事な人を、守りたいから!だから!俺に力を貸してくれ!ベルトさん!」

 

蒼介の心からの言葉を聞き届けたベルトさんは、力強く返事をする。

 

「当たり前だ!蒼介!」

 

ベルトさんの返事を聞いた蒼介は、ドライブドライバーを腰に装着する。

そして、どこかから、シフトネクストスペシャルが現れ、蒼介はそれを左手で掴む。

 

「行くぜ!ベルトさん!」

「OK!START YOUR ENGINE!」

 

2人はそう言葉を交わすと、蒼介は右手でドライブドライバーのセントラルフェイスの右隣にあるイグニッションキーを捻る。

エンジン音が鳴り響き、待機音声が流れ始める。

そして左手で持っていたシフトネクストスペシャルを右手で持ち、右腕と左腕を交差させ、力強く、魂から叫ぶ。

 

「変身!!」

 

その言葉と同時に、シフトネクストスペシャルをシフトブレスのシフトランディングパネルに装填する。

 

《DRIVE!TYPE NEXT!》

 

電子音が流れた後、蒼介は両腕をハンドルを切る様に大きく回し、もう一度両腕を交差させ、大きく横に広げる。

すると、蒼介の体は黒のアーマーに包まれていく。

そしてシフトブレスからの信号をキャッチしたネクストトライドロンが、タイプネクストタイヤを生成して、蒼介へと射出され、そのまま蒼介の体にたすき掛けの様に装着され、黒のアーマーに青のラインが走り変身を完了させる。

 

「行くぜ!」

 

蒼介は、仮面ライダーダークドライブ・タイプネクストへと変身を遂げる。

今ここに、真の意味で、人類を守る為に仮面ライダーが復活したのだった。

ダークドライブはネクストトライドロンに乗り込むと、アイズと196の下へと走り出す。

 

「行ってくる!」

「行ってらっしゃい!」

 

結衣と言葉を交わし、ダークドライブは現場へと急行する。

そして、結衣も現場に走り出す。

 

 

 

 

 

現場に到着すると、ダークドライブはネクストトライドロンから降りて、アイズと196を見据える。

そしてアイズと196もダークドライブの姿を捉える。

 

「来たな!仮面ライダー!」

「ぶっ倒してやる!」

 

アイズと196はダークドライブへと駆け出す。

それを迎え打つべく、ダークドライブも駆け出し、応戦する。

まず、196に右ストレートを放つと、いつの間にか後ろに移動していたアイズに裏拳を放ち、後ろからの攻撃を阻止する。

更にそこから右脚でアイズに蹴りを放ち、そのまま回し蹴りの要領で前にいる196にダメージを与える。

だが、やはり2対1という事もあり、徐々に押され始める。

そして、アイズは右手に羽を模したナイフを幾つも生成し、ダークドライブに投げ付ける。

 

「喰らえ!!」

「どわああああ!」

 

ダークドライブは後方に倒れそのまま転がる。

なんとか体制を立て直し、ベルトさんに指示を仰ぐ。

 

「ベルトさん!なんかないのか!?」

「ならば、NEWシフトカーの出番だ!カモン!ワイルドタイガー!」

 

ベルトさんがそう言った瞬間、どこからか、黄緑と白で彩られたスポーツカー型のシフトカーが現れ、アイズと196にダメージを与えた後、ダークドライブの左手に収まる。

 

「タイヤ交換行くぜ!」

 

ダークドライブはそう言うと、シフトブレスからシフトネクストスペシャルを取り外し、イグニッションキーを捻り、ワイルドタイガーをレバーモードに変型させ、シフトブレスに装填して、操作する。

 

《タイヤコウカーン!WILD TIGER!》

 

ネクストトライドロンから新たに、黄緑と白で彩られたタイヤが生成、射出され、シフトネクストタイヤの代わりに装着される。

さらに、ダークドライブの右手に黄緑色のガントレットが同時に装着される。

仮面ライダーダークドライブ・タイプネクストタイガーにタイヤ交換したダークドライブは、

 

「さあて!突っ走るぜ!!」

 

そう言うと、イグニッションキーを捻り、ワイルドタイガーを3回操作してシフトアップを行う。

 

《TIGER!TIGER!TIGER!》

 

そう電子音が流れた後、ダークドライブの体は黄緑の光を帯びる。

そしてマスクの下のディスプレイにタイマーが現れ、5分を計測し始める。

 

「ワイルドタイガーの能力は、右手に強力なガントレットを装着させ、シフトアップにより5分間のみ身体能力を100倍に増幅させるファイブミニッツハンドレッドパワーだ!」

 

ベルトさんの説明を聞くと、ダークドライブは一気に駆け出しアイズと196に迫り、怒涛のラッシュを加える。

 

「なんだ!こいつのこの力は!」

 

ダークドライブの怒涛のラッシュになす術もなく、追い詰められていくアイズと196。

だが、ハンドレッドパワーには限度があり、残り10秒である事を知らせる電子音が鳴り響く。

 

《能力終了、10秒前》

「とどめだ!」

 

ダークドライブはそう言うと、イグニッションキーを捻り、シフトブレスのイグナイターを押す。

 

《ヒッサーツ!》

 

そしてワイルドタイガーを操作する。

 

《FULL THROTTLE!TIGER!》

 

電子音が流れたその瞬間、ダークドライブの右手に装着されたガントレットが巨大な腕へと変型する。

 

《GOOD LUCK MODE!》

 

電子音が流れ、ダークドライブは勢いよく右腕を突き出した右ストレートを2体のロイミュードに向けて放つ。

 

「はあああああ!!!」

 

ダークドライブの気合いの入った声と共に、カウントダウンが開始される。

 

《3!2!1》

 

ワイルドタイガーによる強力な右ストレート・タイガーネクストボンバーが2体のロイミュードに当たるその直前、アイズは196を身代わりにして、自分はタイガーネクストボンバーから逃れた。

そしてタイガーネクストボンバーが196の体に直撃すると同時に、ディスプレイのタイマーが0になり、能力の終了を知らせる。

 

「うおりやあああ!!」

《WILD TIGER!OVER & OUT!》

「ぐああああ!!」

 

その電子音の後、196の体はそのまま爆発し、コアも砕けていった。

 

「くっそ!仮面ライダー!!」

 

アイズはダークドライブを睨み付けそう叫ぶ。

ダークドライブは再びシフトネクストスペシャルを装填し、タイプネクストへと戻る。

 

「お前を、倒す!」

 

アイズはそう言うと、ダークドライブへと駆け出そうとするが、先程のハンドレッドパワーでのラッシュによるダメージから体が言う事を効かない。

そんなアイズにとどめを刺す為、ダークドライブはイグニッションキーを捻り、イグナイターを押す。

 

《NEXT!》

 

電子音の後に、ネクストトライドロンが自動で動き出し、アイズに特攻を仕掛け、アイズを空中へと打ち上げた後、アイズの周りを何度も走り、青い巨大なエネルギーフィールドを形成し、アイズの逃げ場を無くす。

ダークドライブは飛び上がり、エネルギーフィールドに進入、そして右の拳に青色のエネルギーを纏い、大きく振り被る。

 

「これで、終わりだ!!でやああああ!!!」

 

ダークドライブはアイズに必殺の右ストレート・ネクストボンバーを放つ。

それを受けたアイズは断末魔を上げ、コアもろとも爆発した。

 

「ぐああああ!!」

 

そして、ネクストトライドロンとダークドライブは地面へと降り立ち、勝利を収めた。

 

「良くやったぞ、蒼介!」

「ああ、ありがとう、ベルトさん」

 

2人がそんな会話をしていると、結衣がこちらへ走って来る。

 

「蒼介!!」

「結衣!」

 

結衣の姿を確認したダークドライブはシフトブレスからシフトネクストスペシャルを取り外し、イグナイターを押して変身を解除する。

 

《NICE DRIVE!》

 

変身を解いた蒼介は結衣にこう言う。

 

「結衣、ありがとな」

「………うん!」

 

蒼介の言葉に、結衣はとびっきりの笑顔で答える。

そして蒼介はベルトさんへと視線を移す。

 

「ベルトさん」

「なんだね?」

「これから、よろしな」

「こちらこそ、よろしく頼むよ、蒼介!」

 

2人のそのやり取りの後、3人は笑い合っていた。

これからの戦いはきっと今日よりも過酷なものとなるだろう。

だが、きっと鐵蒼介は挫けない、折れない、大事な人が、守りたいものがある限り、必ず。

彼の戦いは、まだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

「ソニックの言った通りだったな」

 

遠目からダークドライブの戦いを見ていたヴォルケーノは楽しげにそう言う。

 

「そして、あれが仮面ライダーの正体とはね。驚きだよ」

 

同じく遠目から見ていたハイドロは、蒼介の顔を見て驚きの表情を浮かべていた。

 

「まあ何にせよ、これから楽しくなりそうだ!なぁ?ソニック!」

 

ヴォルケーノはダークドライブの正体にあまり気にする事無く、後ろを振り向きソニックに話を振る。

 

「ああ?どうしたんだお前」

「え?」

 

ソニックを見たヴォルケーノだったが、彼の様子がおかしい事に気付きそんな声を漏らす。

それを聞いたハイドロもソニックの方を見る。

ソニックは相変わらずロイミュードへと変身したまんまだったが、明らかに穏やかではないことがわかる。

 

「ダーク、ドライブ!!!」

「「………」」

 

そんなソニックを見て2人は特に何も言う事は無く、その場を後にした。

その後もソニックは蒼介を睨み付けながら、拳を強く握り締めるのだった………。




それではまた次回。
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