理由は一だと一(漢数字)とー(伸ばす記号)がややこしいからです。
今までの奴も書き直します。
ショットガンの残弾を数え終えると、和哉は棚の物陰から様子を確認する。
入口の前に男が二人。
獲物はバールと猟銃。
一人はさっき、和哉がクロスボウで手傷を負わせた奴だった。
(入口に二人もいると厄介だな。一人だけなら倒して逃げることもできるけど、二人だとそれも難しい)
そう思いつつ、背後にいる圭に目を移す。
圭は和哉の背後で怯えながら辺りを見渡していた。
(とにかく今分かってることは、早く此処を脱出しないと、俺の命が無いってことと、祠堂の身が危ないってことか)
最悪、人を殺すことを頭に置き、和哉はショットガンを握り締める。
「祠堂、よく聞いてくれ」
まだ怯えてる祠堂の肩を掴み、和哉は子供に言い聞かせるように言う。
「兎にも角にも、まずここを出ない限り俺達は危険だ。だから、俺の後をしっかり付いて来てくれ。それと、俺の言う事には従ってくれ。いいな?」
「う、うん」
「いいか?どんなことでもだぞ?」
念を押すように言うと、圭は頷く。
「よし、来てくれ」
クロスボウを背負い、ショットガンを手に和哉は姿勢を低くし移動する。
圭はその後を、同じように姿勢を低くし移動する。
「………ストップだ」
小声で圭に言い、二人は動きを止める。
見ると、スキンヘッドの男が鉄パイプを手にこちらへと向かっていた。
圭は息を殺し、じっと身を潜める。
そして、男が二人を視界に入れようとした時
「ふんっ!」
和哉は飛び出し、ショットガンのストックで男の鼻っ面を殴る。
「うごっ!?」
男は鉄パイプを落とし鼻を押さえ、蹲る。
そこに和哉は追い打ちを斯けるように蹴り飛ばし、男は気絶した。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
荒くなった呼吸を整え、和哉は圭を見る。
「行くぞ」
圭は無言で頷き、和哉の後に続く。
物陰から通路の様子をうかがっていると、銃声が聞こえ近くで火花が散り、金属音が鳴る。
「見付けたぞ!ガキ二人だ!」
今度はツナギを着た男が、手にM37エアウェイトを手に撃って来た。
(くっ!威力ならこっちの方が上………でも、ショットガンなんかで撃ったら、確実に…………)
ショットガンを握る手が自然と震える。
覚悟を決め、ストックを肩に当て、狙いを付ける。
その時、男の頭上の棚にある物を見て、和哉はそちらに狙いを移し、引き金を引く。
「ひゃっ!」
激しい轟音に圭は短い悲鳴を上げる。
弾は男の頭上で金属音を響かせ、火花を散らす。
(くそっ!外れた!)
すぐさまフォアエンドをスライドさせ、空薬莢を排莢し、新たに弾を装填し、もう一度引き金を引く。
今度は狙い通りの所に当たり、和哉は心の中でガッツポーズをする。
和哉が狙っていたのは、棚を支えていた支柱で、その棚には大量のペンキの缶が積まれていた。
支柱を無くした棚は崩れ、上からペンキの缶が落ちて、男の頭に当たる。
暫く、大きな音が響き、音が鳴り止むと和哉はそっと棚の陰から様子を見る。
見ると、男は様々な色に染まり、気絶していた。
和哉はすぐさま駆け寄り、男の手からM37エアウェイトを取る。
(残弾は………三発か)
残弾を確認し、それをズボンのベルトに差して棚の間を進む。
(このまま裏口から出た方がいいな)
店の奥へと移動し、裏口へと繋がる道を探す。
生存者に注意をしつつ移動してると『STAFF ONLY』と書かれた扉を見付ける。
「祠堂、あそこの扉だ。あそこから外へと出るぞ」
この店では従業員は裏から入り、そこの扉から出入りすることを和哉は知っており、そこに入れば外へと出られる。
扉へ近づこうとした時、和哉は後ろから来る男に気付かなかった。
「きゃあ!」
圭は巨漢の男の手に捕まり、連れてかれようとする。
「祠堂!」
慌てて助けようと腰の銃に手を伸ばすと、後ろからもう一人、学ランを来た男が和哉を襲う。
男は和哉を木の棒で殴り、倒すとそのまま頭を掴んで、近くに置かれてるガラス板に投げる。
和哉はガラスを盛大な音を出しながら砕き、倒れる。
「イツッ……………!!」
砕いた拍子に、額を切り、そこから血が流れる。
学ラン男は、そのまま和哉に跨り、首を絞める。
「お前に顔面殴り飛ばされた恨みを晴らさないと気がすまねぇ」
男の手を掴み引き剥がそうとするが、うまくいかず、徐々に和哉は意識を失い欠け始める。
「あの女の事は気にすんな。俺が可愛がってやるからよ」
その言葉を聞いた瞬間、和哉は学ラン男に殺意が湧いた。
(そんなこと………させるか…………祠堂は………俺が守る!)
失い欠けた意識を無理矢理覚醒させ、近くに落ちてるガラス片を素手で掴み、そのまま学ラン男の首に突き刺す。
「……ああ………!」
首を絞める力が弱まり、ガラス片を引き抜くと学ラン男は首を押さえ苦しみながら倒れる。
床には徐々に血黙りが出来、和哉はそれを呆然と眺める。
自分がしたことにショックを受けていたが、すぐに圭のことを思い出し、銃を抜き構える。
「動くな!」
そう叫ぶと、巨漢男はナイフを手に声を出す。
「そっちこそ動くな!動いたら、この女の顔に傷がつくぞ!」
ナイフを圭の顔近くまで近づけ、脅し返す。
「祠堂を離してくれ…………俺に引き金を引かせるな………」
和哉は懇願するように言い、銃を向ける。
その時、巨漢男の背後に忍び寄る影に和哉は気付いた。
「伏せろ!」
咄嗟に引き金が三回引かれた。
だが、弾は巨漢男には当たらず、背後に飛ぶ。
「へっ、何処狙ってやがる」
「馬鹿!後ろだ!」
「え?」
巨漢男が短くそう言うと、巨漢男の首の後ろの肉を何かが噛みつく。
それは犬だった。
だが、血濡れで顔の肉は剥がれ落ち、目は白く濁って、生気を感じられなかった。
和哉はいち早くその犬が三匹向かってきていることに気付き、咄嗟に犬に向かって発砲。
しかし、一匹だけ弾の当たりが悪く、絶命せずに男に襲い掛かった。
「ああああああああああ!」
巨漢男は野太い悲鳴を上げ、圭を離す。
圭はすぐにその場を離れ、和哉に抱き付く。
和哉は圭を抱きしめつつ、犬が巨漢男を食らうのを見つめる。
そして、扉に目を移すと、店員の恰好をしたゾンビの姿が半開きの扉から見える。
「…あ……あ……」
巨漢男の絶命しかかってる息遣いを聞き、和哉は口を開いた。
「裏口は無理だ。正面を突破するぞ」
圭は無言で頷き、犬が巨漢男を食らってるのを見ないようにする。
正面入口まで着くと、そこに見張りに立ていた二人の男の姿は無かった。
一瞬不思議に思ったが近くでグチッ……グチャッ……と何かを噛む音が聞こえ、何が起きたのかを察した。
そのまま入口前に置いたままの物資を手にし、パトカーまで戻り、すぐにその場を離れた。
そして、二人は自分たちの敵がゾンビだけではないという事を理解し、和哉は初めて人を傷つけ、殺したと言う傷を心に負った。