警察署に戻ると和哉はすぐにパトカーを降りて、警察署内に入ろうとする。
すぐに血を洗い流して、人を殺してしまったことを忘れたいからだ。
「待って!」
そんな和哉を圭は呼び止め、近づく。
「額怪我してる!それに手も切れてるしすぐに手当てしないと!」
「……いい。放っておいてくれ」
「放って置けないよ!」
「いいから放っておいてくれ!」
圭を突き飛ばすような形で押し退け、扉に手を掛ける。
「………悪いけど、少し一人にしてくれ」
背中越しに圭にそう言い残し、和哉は警察署内に入る。
「何してるんだよ、俺は……………」
早く人を殺してしまったことを忘れたいがために、圭に八つ当たりをしてしまったことを反省し、取り敢えず血を洗おうとトイレへと向かった。
手で水を救い、数回顔に当て、血を落とし、鏡で額の傷を確認する。
(傷自体は酷く無いが………やっぱり出血が酷いな。取り敢えずタオルで止血しておくか)
タオルで額を押さえながら会議室に戻ろうとした時、右手に痛みを感じた。
「そう言えば、こっちも切ってたっけ」
手の平を開き、傷を見つめる。
それと同時に、人を殺したことと、その時の感触を和哉は思い出した。
その瞬間、吐き気を感じ、すぐさま胃の中身を全て吐いた。
胃の中身を全部吐いても吐き気は治まらず、苦い胃液のみを吐き続ける。
「はぁ……はぁ……はぁ……俺…………人を殺しちまった…………」
口元を袖で拭い、人を殺したことを後悔した。
そして、トイレの壁に立て掛けてるショットガンとクロスボウ、洗面台に置いてある拳銃を見る。
すると再び吐き気が込み上げて来て、胃液を吐き出す。
「はぁ……はぁ……はぁ…………もう寝よう」
そう言い立ち上がった瞬間、立ちくらみを感じ、和哉は壁を背にその場に座り込む。
(どうしたんだ………そっか………血………流し過ぎたんだ…………)
そう理解すると和哉はそのまま意識を失い、目を閉じた。
圭SIDE
「三藤君…………戻ってこないな」
帰って来たら急に何処か行っちゃうし、それになんかイラついてたみたい。
私、知らないうちに三藤君が嫌がることでもしちゃったのかな…………
そう思いながら私は呼んでいた本を閉じ、部屋を出る。
「三藤君……何処だろう?」
辺りを見渡しながら上の階から順に探していく。
「何処にもいない………」
あれだけ探して見つからなかった。
でも、まだ探してない所なんて……………あった。
男子トイレだ。
あそこだけは探してないや。
だけど、男子トイレに入るのは抵抗が………………………
でもそんなこと言ってる場合じゃないよね。
もし倒れてたりしたら大変だもん。
自分にそう言い聞かし、一階のトイレの中を入口から覗く。
見ると、壁にはショットガンとクロスボウが立てかけてあり、洗面台には拳銃が置いてあった。
「…………三藤君?」
名前を読んでみるが返事が無い。
いないのかな?
でも、銃があるしいるはず………………今度は入口からではなく、中に入って奥の方も見る。
すると、壁にもたれかかっている三藤君が居た。
「三藤君!?」
慌てて駆け寄り、脈を調べる。
……………脈はある。
多分、血が出過ぎて気絶したんだと思う。
すぐに止血しないと!
落ちてたタオルを引き裂き、包帯状にして頭に巻く。
「部屋に運ばないと」
後は安静させようと担ぐが、やはりと言うか重くて運ぶのに苦労した。
布団に寝かせ、額と掌の手当てをする。
幸い傷は酷くなかったから、痕は残らないと思う。
「うっ……ゔゔゔゔ……」
三藤君は苦しそうに呻き声を上げた。
「大丈夫………大丈夫だから………」
そう言い、私は怪我をしていない方の手を取り、優しく握りしめた。