ラブゴースト!~歴史へ成る少年~   作:次郎鉄拳

3 / 11
前回のラブゴースト!

「眼魂ってアレどうやって見つけるの」

「オレ……どの歴史がまだ眼魂として残ってるのか、知らないんだ」

「言葉も通じないんなら実力行使だな!」

『カイガン! オレ!レッツゴー! 覚悟!ゴ・ゴ・ゴ! ゴースト!』

「むやみに彼女を襲ったことを……俺に倒されて悔いろ!」

「ウチは東條希っていうんや。君の名前は?」

「へぇ……あれが眼魂の守護者かぁ……」


勝利のポーズ!メカニック!?

朝。どこからか漂う味噌汁の匂いでトシロウは眼を開く。

閉じられた扉を『通り抜けて』、一人で朝食を取る少女に声をかける。

 

 

 

「おはよう、希」

「おはよう、今日もいい天気や」

「ほんとだ、陽がいい感じ」

「起きたんだ、おはようトシロウ、希。」

「おはようツナ。」

「おはようツナ君」

 

 

 

他愛のない日常の一コマ。

場所は東條家、希の自宅である。

あの後、希の提案で彼女の家に彼らが厄介になることになり、希の家を拠点にして眼魂を探索していくことになったのだ。

 

 

希があの日、神田明神にいたのは、彼女のバイト先であったから。

そして、希は幼少時代から霊などが見えているということ。

現在独り暮らしゆえに家のスペースがあるから、見捨てられないのでお礼も兼ねて住んだらどうだ、とも。

 

 

一週間の幽霊生活で色々と限界だったトシロウはそんな誘いにホイホイと乗っかる。

ツナはツナで、この一週間誰にも視えず、触れず、聞こえない状態で限界だったトシロウのことを考え、快諾をする。

こうして希、トシロウ、ツナの二人と一体の奇妙な同棲生活が幕を開けたのである。

 

 

 

「それじゃあ気を付けてね!」

「うん、行ってきます。トシロウ君も気を付けてや?」

「もちろん!」

「予定通り夕方なったら、神田明神前に集合やよ」

 

 

 

はーい! と、元気よく返事をするトシロウに、苦笑いをしながらも希は学校へ登校する。

その間に、彼とツナは眼魂を探して街を練り歩く。

その後、夕方になれば希が合流し、希特有の『視える』体質とともにまた探す……

と、同棲開始から早三日、未だに眼魂探しの進展はない。

 

 

いや、全く進展がないわけでもない。

希曰く、誰かに見られているような感覚がする。

ツナ曰く、希と出会った日にも何者かに見られていた気がする。

と、多少なりとも、眼魂関連の何かであろうものが近くにいることだけは、それとなく理解をしている。

しかし、そこで話が止まっているのも、今の悩みである。

 

 

トシロウが深くため息をついたその時、ポケットの中で眼魂が震える。

眼魔出現のサインだ。

トシロウとツナは顔を見合わせ、眼魂が示す方向へ走り出す。

目指す場所はここから少し遠い。

いつもより速度を速め、彼らは現場へと向かった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

眼魔の出現現場、上野駅前。

姿をさらした眼魔は、身体のいたるところに機械のジャンクパーツらしき姿を持っていた。

露出したコード、古ぼけた釘やネジ。

眼が光り、バチバチと電気がはじける音とともに太っているようにも見える巨体が揺れる。

さながらそれは、『機械豚(オーク)』。

眼魔は、その腕に携えている鈍く黒々と光る……

 

 

 

「オマエタチハ、ニエダ! ワレラノヤボウノタメ、オソレ、サケビ、オノノケ! ニンゲンドモ!」

 

 

 

銃を、上空に向けて数発、引き金を引き、火を拭かせた。

近くにいて、何かのコスプレショーか、なにかと期待した市民たちはこぞって悲鳴を上げ、逃走を始める。

眼魔はゆっくりと、力強い歩き方で市民たちの後ろから、銃を構え、自身の真上に発砲する。

眼魔の付近には誰もいないため、幸いにもその弾丸が当たることはない。

しかし、その叫びは確かにそれにとって心地のいいもの。

強い快感を覚え、眼魔はうっとりと市民たちの空気に酔いしれる。

与えられた使命の中にある至福の時間。

自身の持つ銃を撃ち、その音に合わせて上がる悲鳴を音楽に聞きたてるこの時間。

故に、それを邪魔する無粋な存在は、全身全霊をもって、排除する。

 

 

『カイガン! オレ!』

 

 

そう、今、眼魔が排除するべき相手は、使命として仕留めるよう命じられた邪魔者(ターゲット)

眼魔はただ、何も言わずに銃を構える。

 

 

『レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ! ゴースト!』

 

 

 

「そこまでだ!」

「ブスイナヤツメ!」

 

 

 

双方の声とともに、ゴーストにとって幾度目かの戦闘が始まった。

眼魔は散弾銃という近・中距離に作用する有用な武器を持つ。

対するゴーストは素手。武器など何もなく、このままでは戦うこともままならない。

 

 

 

「うわっ! 無理無理無理! 近づけない!」

「フハハハハ! ドウダゴースト! キサマモエモノヲ、カツイダラドウダ!」

「あったら、そんなの! 苦労しないっての!」

 

 

 

できるだけ銃撃に当たらないようにゴーストは逃げる、逃げる、逃げる、逃げ出す。

さすがに今のゴーストでは、散弾銃に対処できるほどの余裕を持った行動ができないのであろうか。

物陰に隠れ、どうする、どうする。と、うんうんうなり始める。

 

 

 

「オレを使って、グローブの炎進力(えんしんりょく)で背後に回って、アイツを直接攻撃すればいいじゃないか」

「……ああ! それだ!」

 

 

 

ゴースト・オレタマシイの身体能力では、相手の銃を撃つ速度のほうが速い。

しかし、ボンゴレタマシイでならば、その炎を利用した速度で、おそらく相手よりも早く攻撃を仕掛けられる。

そうと気付いた彼は、眼魂を入れ替え、レバーを引き、戻し、タマシイの入れ替えが行われるタイミングで、眼魔に向かって走り出した。

 

 

『カイガン! ボンゴーレ! アサリ・イタリア・マフィアミリー!』

 

 

パーカーが同化すると同時に、ゴーストが背後に構えた両手から炎が噴き出す。

同時にゴーストは滑空、速度を急速に上昇させ、大きく旋回するように眼魔の後方へ廻る。

当の眼魔はゴーストの速度を目で追えず、見失ってしまったようである。

これ幸いと死角外から一直線に眼魔へ加速、炎を纏った拳で全力の一撃を加えようとした……が

 

 

 

「アマイゾゴースト! オレノカラダニ、チョクセツシカケテクルコトハ、ソウテイズミダ!」

「なっ! これっ……ぐあぁぁぁぁ!?」

 

 

 

眼魔のボディを殴りつけた瞬間、その体がピカピカと点滅するように光り出す。

徐々に光が収束し、バチバチと爆竹の破裂に似た音を響かせる。

直後、ジジジジと突如小さく鳴る警告と同時に、ゴーストの体に痛みが走る。

眼魔はその体で直接発電し、グローブを通しゴーストを感電させたのだ。

 

 

体中を襲う痛みに即座に離れるが、ゴーストからはプスプスと焦げる音が鳴り、煙が薄く立ち上る。

その身体にはしびれが追撃とばかりに襲い掛かり、力が抜けた彼は膝をついてしまう。

このままでは眼魔の持つショットガンで吹き飛ばされてしまいかねない。

震える右手を無理やり動かし、レバーを引く、戻す、そして拳を地面に置く。

 

 

『ダイカイガン! ボンゴレ! オメガドライブ!』

 

 

 

「死ぬ……気のぉ! ッ突破ァ!」

 

 

 

震え、かすれる声で気力を振り絞り、叫ぶその声とともに、地面から氷が勢いよく突き出し、眼魔を襲う。

仕留めたと油断する眼魔が悪いのか、当然氷に足を取られ、そのまま即座に全身が凍らされる。

まずは即時撤退。このままではやられてしまうと判断したツナの指示によって、トシロウはしびれの影響で震える体を引きずりながら、その場を必死にはなれるのであった。

 

 

そんな戦いの一部始終を見ていた影が一つ、ぼそりと声を漏らす。

 

 

 

「……こりゃあちょっと、のんびりしてられないなぁ……と、いうことは、ここで俺の出番かな?」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「イデデデ! 痛い痛い痛い!」

「アホ! バカ! 無茶したらダメって言ったやんな! なんでボロボロになって帰ってくるんよ!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! 次は気を付けるのでそれで叩くのやめてください!」

「希! それ以上やるとトシロウが、強制的に成仏させられちゃうよ!」

 

 

 

場所は神田明神。トシロウと合流をした希が視たのは、息絶え絶えに焦げてボロボロになったトシロウの姿である。

念押ししたにもかかわらずこの結果。

おそらく眼魔とやり合い、結果はわからないまでも逃げてきた感じがありありと浮かぶ状況から、どうなったのかは想像にたやすい。

自分よりも実質3才もまだ若いというのにこんな無茶をするなんて……と、希は手に持った祓い棒でトシロウをビシバシとたたく。

どういう原理なのかわからないが、祓い棒は霊体のトシロウにも物理的に作用するらしく、実際に人をたたくときと同じような音、感触を感じるらしい。

しかしその代償は、その『祓い』という特性上発生する『強制的鎮魂』、即ち成仏の強制だが。

 

 

 

「あっ……そう、やね。ごめんなトシロウ君」

「ああ……いや、俺が無理したのも悪いからさ……お互いさまってことで……」

 

 

 

互いに平謝りする連鎖状態に陥った二人。

この状況では話が進まない。と、ツナは危惧し、二人を収めようと声をかけ……

 

 

 

「まったく、情けないなぁ! ゴースト君!」

「っ! 誰だ!」

 

 

 

……る前に、何者かがトシロウの背中に声をかける。

トシロウが振り向いて声の主を探すが、誰も見当たらない。

ツナに話を振ると、おそらく眼魂の一人ではないか。と推察をする。

そんな二人をしり目に、希があるものを見つけた。

 

 

 

「トシロウ君、そこにある……帽子、だとおもうんよ」

「……あっ! いた!」

「アッ! 見つけるの早いって! もう少しさがしててほしかった!」

「君は……まさか!」

 

 

 

希の指示でトシロウが捕まえたのは赤いバンダナを『つば』の上に巻いた黒い帽子。

二人の連携に不満げなのか、帽子から抗議の声が上がる。

まるで顔があれば、口をとがらせるように文句を言う『それ』が、何者であるか気付いたツナがそのモノに宿った歴史……その名を呼ぶ。

 

 

 

「その黒い帽子、赤い仮面のバンダナ、そして、帽子に描いてあるYのマーク! 『ヤッターマン一号』じゃないか!」

「そう! 俺は正義のヒーロー! ヤッターマン一号!」

「ヤッターマン一号……? だれだ……それ」

「トシロウ君も? うちも分からないんよ……」

「ポペー!!」

 

 

 

ツナの紹介に意気揚々と名乗りを上げるヤッターマン一号は、直後二人の疑問によってトシロウの手から落下した。

この場に擬音を表現することができるのであれば、ズドーン! と、立体的な文字が一号の真上に表示されたに違いない。

その様子を見守るツナの雰囲気には苦笑というものが振りまかれている。

ツナは双方へ助け舟を出すように話を続ける。

 

 

 

「まぁ、トシロウはともかく、希は知らなくても仕方がないのかもね。ヤッターマンっていうのは、数十年前に世界中で活躍した正義のヒーロー二人組のことなんだ」

「ああ、インチキ商売していたドロンボーって奴らを、懲らしめていたんだ。それと、アイツらを利用していた自称『泥棒の神』ってやつもな」

「へぇ……カッコいい……! マジのヒーローなんだ!」

「そんな褒めるなよゴースト君!」

「ヤッターマン一号はメカニックとしてもとても優秀で、彼自身が自分の創り上げてきた仲間たちは、オーバーテクノロジーの塊って言われてもおかしくないかな」

「すげぇ! バイクとか、そういうのも作れるのか!」

「トシロウ君も男の子やもんなー」

 

 

 

ヤッターマン一号の説明をツナがするたびにトシロウの憧れは湧いていく。

それもそうだ。彼自身は西木野真姫という優秀な少女の幼馴染ではあるが、同時に年相応の少年としての一面も当然抱えている。

ロボット、メカ、ヒーローには無条件で心を許してしまうお年頃というやつなのである。

 

 

そんな彼の様子を微笑ましく眺める希。

この一週間少しでようやく見ることのできた、彼の心からのはしゃぎように自身のことのように喜ぶツナ。

そんなトシロウの心からのおだてに気分がよくなり、調子に乗っていく一号。

戦いの直後の光景だというのに、大変和やかで、一瞬これが敗北後の反省会なのか疑いたくなってしまう。

そんななか、トシロウが自身の現状に気付き、声を上げた

 

 

 

「メカっていえば今回の眼魔! アイツの対処法で最初悩んでたんだ!」

「……おお、そうだ! すっかり忘れてたぜ!」

「まったく……トシロウってば」

「一号さんもおだてられるとよわいんやな……」

 

 

 

そう、自身の現状というのは先ほど自身が撤退した、機械豚の眼魔。

問題は二つ。一つ目は奴のもつショットガン、二つ目が電気を放出してくるボディだ。

遠距離対策と、直接攻撃の方法を考えなければ倒せない相手。

これまでの戦いがオレタマシイによる身体能力、ボンゴレタマシイによる炎進力のゴリオシであったが故の悩み。

そんな悩みをあっさりと一号が叩ききってしまう。

 

 

 

「それ俺がいればなんとでもできるぞ」

「ウソッ!?」

「あ、そうやね。一号さんってメカニックやからああいう類の相手は得意なんよ!」

「正解! いやぁ、希ちゃんだっけ? 賢いなぁ!」

「一号さん! お願いします、力を貸してください!」

「頭下げるのはっや!?」

 

 

 

一号の言葉にあっさりと彼に向かって頭を下げるトシロウに、一同は苦笑をする。

しかし、トシロウの願いは媚びる故ではなく、直情的で真摯なもの。

そんな若い少年に熱い気持ちをぶつけられて無下にできるほど、ヤッターマン一号という者は薄情ではない。

ヒーローはいつだって、子供たちの夢の象徴なのだ。

 

 

 

「高田ガン」

「えっ……?」

「俺の名前だ。これから一緒にやっていくってのに、いつまでも『一号さん』って言い方は呼びづらいだろ?」

「おっ……俺は、大地原トシロウです! よろしくお願いします、ガンさん!」

「……おう、任せな!」

「トシロウ、その帽子をゴーストドライバーにかざすんだ」

「おう……こうか?」

 

 

 

ヤッターマン一号……高田ガンの宿る帽子を、ツナの指示に従いベルトにかざす。

すると、帽子の姿がぼやけ、中心に眼魂が浮かんだ。

全体的に青を基調とし、上部が黒く塗られた眼魂……

 

 

 

「『ヤッター眼魂』やね!」

「……よし、早速リベンジ行きます、ガンさん!」

「トシロウ、いいタイミングで眼魔が出たよ。さっきの場所と同じようだね」

「じゃあ、ウチは約束通り、家に戻っとるから、気を付けて」

「ああ、行ってくるぜ!」

 

 

 

トシロウは、ゴースト・オレタマシイへ変身し、まっすぐ先ほど戦闘を行った場所へ舞い戻る。

もう彼はどうやって勝つかと悩む様子はない。

新たな仲間が、信じろ。と告げるように安心を与えてくれるから。

いざ、再戦…………!

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ゴーストが神田明神より走り出すと同時、ゴーストによって生成された氷が爆発。

その煙の中から、先ほど凍らされた機械豚の眼魔が怒り狂うように叫び猛り、ゴーストを探す。

その表情に見えるは怒りの一つ。

怒りに任せた破壊衝動は発砲という形で火を噴き、上野駅付近にあるビルの一部を破壊する。

 

 

 

「デテコイィィ! ゴーストォォォォォォォ!」

「そんなにお望みなら相手してやるよ、豚野郎!」

 

 

 

叫びの呼び声にこたえるようにゴーストが現れる。

それを視認した眼魔は、ゴーストを殺すことで頭を埋め尽くされる。

先ほど戦った時までの冷静に悲鳴を楽しんでいたそれであればすぐに気付いたであろう。

ゴーストが、なぜ先ほど痛い目にあわされたにも関わらず、余裕たっぷりで現れたのかを。

しかし、怒りによってあっさりと思考が制限される、所詮はものに取り付いて生まれただけの中級眼魔。

その怒りによって曇った思考が、敗北の礎だ。

 

 

 

「本邦初公開、新しい力に開眼だ!」

 

 

 

『バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

 

ゴーストは先ほど仲間になったヤッター眼魂をベルトにセット、カバーを閉じる。

オレタマシイのパーカーが外れ、ベルトから、青いパーカーが飛び出す。

それを確認したゴーストは、レバーを引き、戻す。

 

 

『カイガン!』

 

 

青いパーカーが裏返り、白色基調となってゴーストに重なる。

 

 

『ヤッター!』

 

 

頭部は黒く、帽子のようになり、ゴーストの顔面は眼を追おう赤い仮面が表示され、その中心から『Y』を示すように線が一本伸びる。

 

 

『勝利! 正義! ひとっとび!』

 

 

そして、赤いマフラーがはためくように、顔部分のパーカーに巻き付く。

 

 

 

「ヤッターマンがぁ、いる限り!」

 

 

 

セリフに合わせ、ゴーストは帽子のつばをなぞるように頭部のパーカーフードのふちをなぞり、腕を胸の前で組む。

 

 

 

「この世に悪は、栄えない!」

「グァァァァァァァ!」

「トォッ!」

 

 

勢いよく眼魔を指さすと同時に、銃を構えたそれがゴーストに向かい、突進をする。

ひらりと飛び上がることで突進を交わしたゴーストは、腰にぶら下げたけん玉を取り外し、球の部分を銃へ向けて振るう。

糸が伸び、球の重さを利用し銃に巻き付き、眼魔の動きもそれにつられて停まる。

 

 

 

「ケンダマジック!」

「ヌガァ!」

 

 

 

けん玉の持ちてから電流が走り、銃を通って眼魔の腕に衝撃が通る。

痺れは通らずとも、衝撃により思わず手を離した銃をゴーストが引っ張り、遠くへほおり捨てる。

 

 

 

「これ、すっげぇ便利!」

「だろ! さぁ、あんまり時間もかけていられないだろ? オメガドライブってやつを使うんだ!」

「ああ! ……ん?なんだこれ、底のほうに目玉が描いてある」

 

 

 

声に従い、レバーを引こうとしたところでゴーストは、手持ちのけん玉の底部分に目玉のマークが描かれていることに気付く。

何か意味があるかもしれない。と、好奇心によってその目玉をベルトにかざしてみると……

 

 

『ダイカイガン!』

 

 

音声が鳴る。

おお。と、子供のように喜ぶゴーストめがけて、全身であたりに来る眼魔のことなどお構いなく。

新しいおもちゃで遊ぶ無邪気な少年そのままの姿でけん玉を振るう。

 

 

 

「ゴースト、その持ち手にあるレバーをおしこめばいいと思うぞ!」

「お! ほんとだ、おもちゃが本物みたいですっごい面白い!」

 

 

 

けん玉が眼魔に巻き付くと同時に声が指示を出す。

ゴーストが指示に従い、けん玉についているレバーを押し込むと同時に、先ほど流した電流よりもはるかに強い輝き、音が眼魔を襲う。

 

 

『オメガフラッシュ!』

 

 

音声と同時に一段階輝きが上がり、同時に眼魔は爆散。

突然の爆音に先ほどまでのはしゃぎようが嘘のようにぽかんとするゴーストをしり目に、元になったであろう豚のおもちゃが、転がっているのであった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「これで、二人目の眼魂」

「あとどれくらいの眼魂が残っているのかはわからないね」

「そういえばさ、ツナ」

「なんだい、トシロウ」

 

 

 

眼魔を倒し、希が待っていてくれる今の拠点、自身の新しい家へ向かう途中。

日は既に落ちきり、あたりは街頭で派手に照らされている。

そんな道の最中、ヤッター眼魂を抱えながら、トシロウはツナにむきあい、ずっと聞けなかったことを、問いかける。

 

 

 

「俺って、あとどのくらい、この世界で、こうして、このままで、いられるのかな?」

 

 

 

その問いは、自らの、『ゴーストとして』の余命。

少年は、目をそらしていた現実から、二人目の仲間に出会えた瞬間、向き合わなければならないと、気付いたのだ。

 






・ゴースト・ヤッタータマシイ
腰に備え付けられているけん玉状の道具『ケンダマジック』を用いて戦うフォーム。
ケンダマジックからは高圧の電流が流れ、様々な用途で使うことができる。
ヤッターマン一号こと『高田ガン』が人格意識として存在する。




次回、【決めるぜ!覚悟の武装!】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。