ラブゴースト!~歴史へ成る少年~   作:次郎鉄拳

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前回のラブゴースト!

「実体化の方法だな!」

「方法は、わかりますか?」

「いいもの? ガン、何を作ったの?」

「ゴースト専用バイク型メカ。名づけて『ゴーストライカー』だ!」

「……バイクってどうやって運転するの」

「うぇっ!? ブニってなった! キッモ!」

「あいつは物理攻撃を通さないみたいだな!」

「お困りのようなら俺が力を貸すけど?」

『カイガン! けんぷファー! 受け取る、臓物! 性別、トランス!』

「うへぇ……数日寝れば勝手に治るけど……ちょっと痛そうだなぁ」

「音ノ木坂が……なくなってしまうんよ……!」


限界突破!絆のBURNER!

母親の部屋に飛び込んだ少年が見たものは、先ほど自室で見たものより衝撃的なものだった……

数年前に亡くなった父親の仏壇の隣、一回り小さい仏壇が鎮座していた。

部屋の主の母はおらず、いつも簡素にしている部屋がいつも以上に小ぢんまりしているようにも見える。

 

 

部屋を練り歩く。思い出が鮮明によみがえる。

ここ数年うまく思い出せもしなかった母との思い出が鮮明に。

一度瞳を閉じ状況をまとめようとする少年。

その時、部屋の扉が開く。

この部屋に入ってくるのは母しかいないはず。

きっと母は自分に気付いてくれるはずだと一縷の望みを託す。

 

 

部屋に入ってきた母の姿を見た少年はひどく驚く。

美しく伸ばされていて、幼馴染にも羨ましがられていたその髪はバッサリと切られ。

切れ目で少し怖い印象を持たれるが、笑うと垂れて可愛いと母の友人が語っていたその瞳はよどみ……

変わり果てるように姿の変わった母は自分に気付くこともなく、仏壇まで歩んでいく。

小さいほうの仏壇にかがみこんだ母は、ぼそりと、つぶやいた。

 

 

 

「トシロウ……あなたが死んでもう一年が経つのね……」

 

 

 

一年? 死んだ日から?

トシロウの顔には困惑が浮かぶ。

 

 

 

「真姫ちゃんも最近は受け入れちゃったみたい。貴方みたいに賢いから……親として悲しいわ」

 

 

「そうそう、あの子ね? 音ノ木坂学院に進学したらしいのよ。UTXに行くってあんなに意気込んでいたのに……ね」

 

 

 

まってくれ母さん。俺はここにいるよ! こっちを向いてよ!

と、叫ぶトシロウも何のその。

母は遺影の前に手を合わせると立ち上がり、ドアの外へ向かう。

母の手を掴もうと、彼は自身の手を伸ばすがすり抜ける。

 

 

母が扉を閉めた音がやけに大きく響く。

強いむなしさを覚えたトシロウは、改めて自分の状況を整理しようとする。

キーワードとなるのは、『一年』、『仏壇』、『すりぬけ』……

にわかには信じがたいが、まさか――

 

 

――答えを探すために、彼は走る。

音ノ木坂学院といえば近所の国立女子高校だったはず。

真姫がそこに通っているというなら、会いに行けば今の自分が、自分の状況がわかるはず。

その選択が、彼を戦いの運命に誘ったことにも、彼自身は気付くことがない。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

音ノ木坂の廃校がほぼ決まってしまったと希が泣いた一週間後。

学校の経営側から伝えられたというその知らせを覆されるはずもなく、希はその日からあまり眼魂探しに参加できなくなった。

全校生徒に通知する書面や、緊急朝礼を開くための準備などがあったからだ。

 

 

しかし、それと同時にトシロウの今までの戦い、そしてこれからの自分について悩みが噴き出したのだ。

前に一度おいてみた『いつまで戦うのか』だ。

自分は一刻も早く、真姫や母に声を届け、その腕の中に抱かれたい。

恋しさが、彼の焦燥感に火をつける。

 

 

そんなある日の夜、トシロウは、希にその焦りを見抜かれたのか、声をかけられる。

 

 

 

「最近な、トシロウ君も抱え込んでるなって、気になるんよ」

「そうかな?」

「うん、ウチも抱え込むほうだから」

「……そうだね」

「な? だから、一度、トシロウ君の悩み、聞かせてほしいな」

 

 

 

自傷するように苦笑いを向ける希に、彼はポツリ、ポツリと言葉を吐きだしていく。

 

 

 

「俺さ、本当に死んだのかなって、ずっと思っているんだ」

「トシロウ君」

「もしかしたら、これは夢で、いつか目覚めた時、何にも起こっていないんじゃないかって」

「……そうやね。それやったら、とても幸せやね」

「……ごめん、希だってつらいのに、こんな、愚痴なんて話しちゃって」

「いいんよ。気にしないで、家族やん」

 

 

 

お休み。と、一言だけその言葉に返し、トシロウは定位置の押し入れにこもる。

トシロウは、自分が戦う意味をもう一度考えるべきではないだろうかと、深く悩んだ。

それほどまでに、今の彼には、どこか切迫感があったのだ。

 

 

――――翌日の午前、トシロウは、久々に音ノ木坂学院の校門前で、ツナとともに真姫を見守っているのであった。

 

 

 

「トシロウ、戦う理由……やっぱりまだ」

「……ああ、だってさ、わかんないよ。実感とか、そういうの」

「……そうだね、普通なら死んだ人に、死んだ気分はどう? なんてきくことはないからね」

「だろ……?」

「……ゴメン」

「……なんで謝るんだよ」

 

 

 

その時の二人の姿を、教室の窓から見つめる希は、懐に忍ばせていたあるものに、手を触れた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

夕暮れの通学路、地響きとともに眼魔が音ノ木坂に現れる。

その姿はロボットのような、頭にガスマスクみたいなものを付けたナニカ。

下校時間だということもあり、急に姿を見せた異形なるそれに、少女たちは恐れ湧きたつ。

我先にと逃げる少女たちをしり目に、首を回し何かを探す眼魔。

その指に備え付けられた小型のマシンガンが火を噴き、あたりにその弾丸をまき散らす。

幸い、少女たちの中にそれが当たったものは、いないようだ。

 

 

そんな状況の中で一人、逃げられずに視線に捕えられた少女がいた――

――西木野真姫だ。

恐れ、足がすくむその少女を前に、凶器の指を向ける眼魔。

邪魔者は消すという魂胆なのか。一度、眼が光る。

しかし、危機の前には、戦士が現れるものだ。

 

 

 

「真姫っ!」

「っ!? キャッ!」

 

 

 

今まで隠れていた少年(トシロウ)が叫びとともに、眼魔の凶弾から幼馴染の少女をかばおうと飛び込む。

今までの少年であればただすり抜け、何にもならないような行動。

しかし、それは理屈であって、彼が行動を起こす『彼女を助ける』という純粋で強い感情には勝てない――

 

 

――だからこそ、その死ぬ気の覚悟が奇跡を起こした。

彼の腕は、少女に届き触れたのだ。

少女を抱きすくめ、床に転がった少年はすぐに現状に気付く。

自分の体の一部が一時的に実体化をしたということに。

それとともに、今までの焦燥感が霧散するように、急激な安堵が湧きあがってくる。

 

 

 

「トシロウ……? トシロウなのね!? トシロウ!」

「真姫……よかった、怪我がない……」

「トシロウ、どうして……? いるんでしょ? 返事してよ!」

「ゴメン、真姫……今は、君に届かないけど……」

 

 

 

少女の呼びかけから顔をそらし、少年は立ち上がる。

その顔に、先ほどまでの迷いはない。

ゴーストドライバーが腰に現れる。それは、戦う決意の証。

少年は隣に浮かぶツナに語りかける、自分なりに考えた言葉を。

 

 

 

「理由は、見つかった?」

「……やっぱさ、よみがえるため云々とか言ってても、結局こうやって、生きてるようにしか思えない俺には、わかんないよ」

「トシロウ……」

「でも……それでも、確かにわかることだけはある!」

 

 

 

先ほどまでの揺れていた瞳は、しっかりと敵を見据える。

先ほどまでぶれていた脚は、しっかりとその大地を踏みしめる。

先ほどまで惑っていた信念は、たった一つの方向に定まる。

それは――――

 

 

 

「俺が生きてるか死んでるかより、俺が世界のために戦うとか戦わないとかより!」

 

 

「俺は! 大事な幼馴染を泣かせるやつを! 大事な友達を悲しませるような奴を許さないってこと!」

 

 

「真姫が傷つけられそうになって、彼女が泣くなら!」

 

 

「学校で暴れられることで、希が悲しむなら!」

 

 

「俺が迷い続けることで、ツナが苦しむなら!」

 

 

「―――――俺は戦うことをためらわない! とりあえず難しいことはもう少し自分の状況が、わかるようになってからでいい!」

 

 

 

――幼馴染(真姫)を、友達()を、相棒(ツナ)を、助けること――

 

 

今まで、死んだことにいまいち実感を覚えず、戦うこと自体に集中していたために、実はツナにゴーストとしての自身の余命を聞いた時も、いまいちイメージできなかった。

死んだのは確かなのだろう。

蘇れるのも確かなのだろう。

ゴーストとしての余命があるのも確かなのだろう。

だが、わからないから。

それは今目を向ける話ではない。

 

 

目を向けて立ち止まり、惑い、逃げ出して大事な人達を悲しませるかもしれないというなら。

最初から後回しにすればいい。

それに、最初に悩み、目標にしてきた実体化も一時的にできたのだ。

だから、よくない解決法だと知っていながらも彼はそれを選ぶ。

 

 

それが彼の、『大地原トシロウ』としての、ただ一つの『決断』だから。

 

 

 

「――それが、君の選択なんだね?」

「ああ。だから、俺は戦うよ……!」

 

 

 

『アーイ!』

 

 

オレ眼魂を装填し、レバーを引く。

 

 

『バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

 

両掌を、右手が自分のほうへ重なるように、敵のほうへと向ける。

 

 

『バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

 

くるりと両掌を自分の側へ向け、左腕は掌を横に向けながら上空へ。

右手は向きをそのままに左腕をなぞるよう滑らし、自身の胸にかざす。

同時、彼は眼を閉じ、集中を高める。

 

 

『バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

 

左手の薬指と小指を曲げ、拳銃の形を手で作りながら眼前に降ろす。

右の手はそれに合わせ、引き伸ばしたレバーの持ち手にかざされる。

 

 

「――変身!」

 

 

 

『カイガン! オレ!』

 

 

掛け声とともにレバーを戻す。

瞬間、ベルトからオレンジと黒のパーカーが飛び出し、黒いアーマーを纏ったトシロウ……ゴーストにかぶさる。

 

 

『レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ! ゴースト!』

 

 

『ガンガンセイバー!』

 

 

ゴースト・オレタマシイは、ベルトよりガンガンセイバーを取り出し、片手に構え駆け出す。

しかし、オレタマシイのスペックでは、今までの見立てで、中級の眼魔には敵うはずもない。

眼魔が拳を、ゴーストに向かって振りぬく。見事にその拳はヒットし――

 

 

――なかった。ガンガンセイバーを盾に、その拳を耐えたのだ。

今までなら同じ体勢で受けたとしても吹き飛ばされていたであろう……

つまりだ、ゴーストは、成長したのだ。

英雄(ヒーロー)として、そして眼魂(歴史)として。

迷っていた少年は、一歩新たなステージへと、踏み出したのだ。

 

 

ガンガンセイバーを勢いよく右側へ振りぬく。

火花とともに眼魔は怯み、数歩後ずさりをする。

直後、両手で構え、再び今度は下へ振りぬく。

衝撃。

眼魔はバチバチと火花が散る音を鳴らし、先ほどの倍ほど後ずさる。

 

 

 

「ゴースト! オレを使って!」

「ツナ……?」

「感じたんだ、今なら、君にもアレが使える!」

「あれって何か、よくわからないけど……行こう、ツナ!」

 

 

 

眼魔を一度全力で蹴り飛ばす。

それが少しばかり吹き飛んでいく姿を横目に、ゴーストは語りかけるツナの声にうなずきながら、ボンゴレ眼魂を取り出す。

ツナの言うアレが何かは解らない。

しかし、彼は自分を信じる相棒に託されるのだ。心置きなく受け取ろう。

 

 

『カイガン! ボンゴーレ! アサリ・イタリア・マフィアミリー!』

 

 

両手にグローブが展開される。

燃え盛るはクリアな炎。

今までの心の淀みを祓うかのような、今までで一番透き通る炎。

よく見れば、グローブのデザインも少し変わっている。

成長の影響は、ここでも現れていた。

 

 

 

「さぁ、死ぬ気で――」

 

 

 

ゴーストは眼前に掲げた両の拳を目の前で打ち合わせる。

――瞬間――

炎が一瞬、大きくはじける。

彼の決意のその重みを示すような。それの弾け方に、眼魔はあるはずもない怯みを覚えた。

 

 

 

「――命、燃やすぜ!」

 

 

 

気迫に圧倒され、緊迫感によって追いやられた眼魔は指の銃を連射する。

このまま眼魔を暴れさせては音ノ木坂が廃校問題云々ではなく物理的な廃校をしてしまうことになる。

ひとまずは音ノ木坂から離れることが最優先だと判断し、ゴーストはグローブから大きく炎を噴出。

低い高度で滑空しながら銃弾の雨を掻い潜り、時に銃弾を死ぬ気の炎で防ぎながら、眼魔の頭部を右手でつかむ。

 

 

 

「悪いけど……ちょっと空の旅に付き合ってもらうよ!」

「制御はオレに任せて、好きに飛んでいいよ! ゴースト!」

 

 

 

左手に意識を集中。

地面に向けたそこから先ほどの倍ほどの炎が噴き出す。

眼魔をつれ、あっという間に音ノ木坂の上空まで飛び上がったゴーストは、左手で勢いよくストレートを放つことで、眼魔を大きく吹き飛ばす。

――どうやら『素体』である彼自身の成長に伴い、ほかのタマシイでのスペックも増大しているようだと、ツナは確信をする。

 

 

 

「よし、ツナ! あれって何だ!」

「久々にやるのがいきなり空中っていうのも怖いけど、説明するよ!」

 

 

 

ツナの簡易的にまとめた説明の通り、ゴーストは左手から、今まで使用してきた炎を大きく放つ。

途端に彼の姿勢は上下逆さとなり、一瞬だけその視点に恐れる。

しかしツナだってこの恐怖を味わったのなら、自分にだって越えられる。

信じるからこそ、彼は簡単にその恐れを超えた。

 

 

 

「細かい制御はオレがやるよ。思う存分に撃つんだ!」

「わかった、だったら全力全開でやっちまおう! オオメダマだ!」

「ああ!」

 

 

 

そう叫ぶと、ゴーストはレバーを四度往復させる。

それは通常のダイカイガンよりも出力の大きい『オオメダマ』と呼ぶもの。

通常なればここまで死ぬ気の炎を放出したうえで使えるようなものでもないが、今の彼らにはそれを成し遂げるだけの気力がある。

いつだって、意志の強い物が奇跡を起こし続けるのだ。

 

 

『ダイカイガン!』

 

 

姿勢が定まる。ブレも落ち着く。

右手を空中から落ちつつある眼魔に向ける。

眼魔はどうやら先ほどの拳でどこか逝かれてしまったらしく、普段はできるはずのホバリングもままならない。

 

 

『ボンゴーレ!』

 

 

――右手が光る。

それは炎を放出する合図。

ツナが調整した出力は、今のゴーストにとって最適なもの。

大空の中で、彼らはまさに『死ぬ気』の炎を放つ。

 

 

『オオメダマ!』

 

 

 

「X――BURNER!」

 

 

 

二人の心がシンクロする。

叫ばれた技名とともに、先ほど纏っていた透き通る炎が輝く。

今の眼魔には死刑宣告と同義。

襲い掛かるその炎を一身に受け、眼魔は爆散もなく、消え去る。

素体となっていた機械も、同じく、ちりとなり――喪われた。

 

 

 

「ツナ……ありがとう……」

「いいよ……こちらこそありがとう」

「これからもよろしく」

「ああ、こちらこそよろしく!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

空中での爆発――ゴーストと眼魔の戦いの結末を確認した希は、地面にへたり込んでいる真姫の元まで歩む。

真姫は、彼女が近づいてきたことに気付き、涙で濡らした顔を上げた。

 

 

 

「西木野さん」

「あなたは……東條先輩……?」

「名前、知ってるんやね」

「先輩は、生徒会役員ですから……それで、私に何か……?」

 

 

 

そっけない態度の真姫。

彼女は余韻を壊されたくなかったのだ。

喪ったと知ってたのに、死んだと気付いてしまったのに。

それでも自分を守ってくれた大事な幼馴染がいるとわかり、余韻に浸っていたかったのだ。

 

 

 

「そんなツンツンせぇへんでええやん?」

「東條先輩には関係ありません」

「西木野さんに大事な預かりものがあるんやけどなぁ」

「……? なんですか」

 

 

 

希が制服の内側から差し出したのは一つの封筒。

宛先には丁寧な字で『西木野真姫様へ』と書かれている。

受け取った真姫と、同じ目線にしゃがみこんだ希は、ほにゃりと笑みを浮かべる。

 

 

 

「ウチな、あるものがみえて、それと話せるんよ」

「……?」

「それでな、西木野さんが大事に思ってる人から、代わりに伝えてくれってお願いされたんや」

「……なにそれ、いみわかんない」

 

 

 

実にあほらしい話だ。

と、真姫は笑い飛ばしてやりたい衝動に駆られる。

そのうえで目の前でほにゃりとするこの先輩を殴りつけてやりたい、とも。

なにが代わりに伝えてくれだ。

冗談もほどほどにしてほしいと怒鳴り飛ばしてやりたい――

 

 

――と、ここまで頭を噴火させそうになった真姫は思いとどまる。

そういえば同級生たちは目の前の先輩のことをなんて噂していたのだろうか。

『スピリチュアル先輩』とか、『不思議先輩』だったか。

なんとなく耳には入れていたため想起することは可能である。

確か、幽霊や、そういうのが視える……だったであろうか。

つまり――

 

 

 

「……信じていいんですね?」

「そうするか、どうするかは西木野さん次第やで」

「……わかりました」

 

 

 

――目の前の少女の噂を信じて、そのうえで、手紙を見ようと彼女は決める。

封を切った真姫が直後、文面に目を通すと同時に泣きはじめる。

希は彼女の背中に手をあて、涙が収まるまで、あやすのであった……

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「なるほど、アレが今代の守護者なんだね、パッキー」

「ああ! シン様が力を貸す理由はないと思うけど、一応眼魂たちの総数が減っているから急がないとまずいんだぜ!」

「僕が力を貸さないってなんでおもうんだよ。あの子良い子じゃないか」

 

 

 

木の陰から戦いを見守っていたであろうパンダのぬいぐるみが顔をのぞかせる。

どうやら二人の人物の声がするあたり、眼魂の一人で有ると考えられる。

シン様と呼ばれた高めの声の人物の言葉に、パッキーと呼ばれた少々あくどい面をのぞかせる声が応答する。

 

 

 

「流石は魔王様だぜ、実は男でもホイホイ食っちまうなんてなぁ、ハーレムが拡大するぜ!」

「パッキー?」

「冗談だよシン様。アイツとツナってやつは、例えるなら俺とシン様みたいに信頼関係が築けているんだ。だから俺様達の助力も要らないとは思うんだよな~」

「いつパッキーと信頼関係築いたっけ……」

「ガビーン! そりゃあねーぜシン様ぁ~!」

「冗談だよ。何はともあれ、彼らに力を貸すのは眼魂としての僕らの義務、例えるなら――キラキラの学園生活を約束する生徒会みたいなもの!」

「シン様、それはちょっと違うんじゃねーの?」

「違くないさ! だって、彼のキラキラの日常生活を約束するってことだろう?」

「はぁ……それでいいぜ、シン様……」

 

 

 

時は春。音ノ木坂の廃校問題が全校生徒に公開されるまで、あと数日。

 





・けんぷファー眼魂
記された歴史は、遠い宇宙人の代理戦争に巻き込まれた一人の少年と、その関係者の奮闘。
一年足らずと短い期間の歴史であるにもかかわらずこうして記されたのは意味がある。
少年の奮闘で、この地球での代理戦争は終わったのだ。
代理戦争自体は過去にも幾度となく行われていたことが、多くの記述で見受けられるが、その時を境に記録されなくなったのは、大きな転換点だと考えられる。
当時の少年、瀬能ナツルは存命である。



・ボンゴレ眼魂
いつ眼魂として覚醒したのかは不明であるが、覚醒の際に必ず記録される守護者のことを認知していないことには何かしらの原因がある。



・ゴースト・ボンゴレタマシイ
XBURNERという死ぬ気の炎を超出力でまさしくバーナーのように放出する技をもつ。
どうやら肉体、気力に大幅な負担をかけるために今までのトシロウには使わせていなかったようである。



次回【魔王降臨!キラキラ学園!?】
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