「いいか! 学校の廃校を救うにはだ、学校全体のイメージアップではなく、もっと他にやることがある!」
「それが……大賢者パッキーという名前に心当たりがなくて」
「やぁ、さっきはパッキーがごめんね。僕は咲良シン」
「僕に任せてもらえれば、キラキラの生活は約束するよ!」
「スクールアイドル! キラキラの彼女達が、皆の学園生活をキラキラにするんだ!」
「怒られる前提でサボるのも大概にしてほしいものね」
「……えりちは、この学校が、好き?」
「ウチもやることはやらなって思ってるだけなんよ、お互いさま」
「君ならば僕の――クルセイダースの、僕らの力を扱える」
『カイガン! クルセイダース! ティンクル・星降る! 魔族来るー!?』
「正直今のお前じゃシン様の半分の力すら引き出せないんだぜ」
「あのねッ――スクールアイドル! やらない!?」
シンの眼魂が覚醒してから数日。
前回の戦闘でクルセイダース眼魂を使うことで自身が如何にまだ未熟で有るのかを感じさせられたトシロウ。
しかし、彼自身の肉体は既に死を迎えているために身体能力が成長することはない。
戦闘のコツを練習しようにも、割と眼魔との戦い以外で戦闘を行うことができないために勘を鍛えることもままならない。
結局成長するためにまずは、今の彼が力を合わせる眼魂たちの力の確認を行うことになるのであった。
「ツナの眼魂を使ったときの能力って死ぬ気の炎をグローブで使えるようになるってことくらいなのかな?」
「うーん……実はほかにもできることはいろいろあるんだけど、オレの戦い方が必然的にああいう方向性に絞られるんだよね」
ツナ――ゴースト・ボンゴレタマシイ――を使用した際に自動展開されるボンゴレグローブはツナ自身がどうやら使用していたものらしい。
死ぬ気の炎だが、これは自身の持つ気力、精神力をオーラ――炎――という形で灯すものであり、物質としての炎ではないため熱を持っていないらしい。
「ああいう戦いって、要するにグローブで炎ぶわーって出して飛び回る方法?」
「ああ。死ぬ気の炎をロケットブースターのように使っているっていう感じなんだ」
「へぇ……じゃあガンガンセイバーとは相性がよくないの?」
「よくなくないこともないけど……オレは昔から銃とか剣とかは使ったことがないかな。友達は使ってたけど」
どうやら死ぬ気の炎は特殊な銃の弾丸の代わりとして、剣にまとわせ切れ味を弄る方法として、その他もろもろに用途は多い。
しかし、ツナ自身がそういうものを使うことがほとんどないために、ボンゴレタマシイの方向性は今の機動性をより上昇させる課題のみに収まった。
「そういえばXBURNERのことも再確認しておかないとなぁ」
「ああ、そうだね。あの技は一応オメガドライブでも撃てるはずなんだ」
XBURNER――ボンゴレタマシイ現状最高火力の必殺技。
ツナの詳しい原理説明によると、片手で体制を調節しやすい『柔』の炎と呼ばれる機動性の高い炎を放ち、そのうえで加速力と攻撃力の高い『剛』の炎を放射してぶつける技ということらしい。
何を話してるのかいまいち理解しきれていないトシロウに、苦笑の声を上げながら追加の説明を加えていく。
「つまり、前回滑空に使っていたのが柔の炎、攻撃に使っていたのが剛の炎って感じ。逆さになっても落ちなかったのは、柔の炎で体制を調整していたからなんだ」
「なるほど! 理解できたぞ」
「結構これ、反動も大きいし腕が痛くなるってことで最初のほうは使わせなかったんだけどね」
今のトシロウなら問題ないさ。と笑うツナにつられ、トシロウは笑顔になる。
XBURNERは、過去のツナも一人で撃つのは簡単ではなかったらしい。
絆の一撃というのはなかなかにいい響きだなと、彼は実感した。
「超直感っていうのもあるけどあれは能力じゃなくて体質に数えられてるみたい」
「そっかぁ、それは残念かな。んじゃあ、俺自身の眼魂は……どういう能力してるんだろう」
オレ眼魂――トシロウ――の秘めた力はそれの真実を知るものにしかわからない。
しかしながら使用者本人であるトシロウも、彼の相棒であるツナも、最近味方となった眼魂たちもそれを知らないために能力を把握できないのだ。
その真実が解明されるのはいったいいつなのだろうか。それをわかる方法は、近いのか遠いのか……
「パッキー、大賢者ってやつなんだろ? 何か知らないかな?」
「そんなん俺様が幾ら偉大な大賢者だからって知るわけないだろ。俺様もお前が守護者だってつい最近知ったばかりなんだぞ」
「マジかぁ……結局何ができるかわからないから今まで通りするしかないのかなぁ」
「まぁそんな落ち込まないで。もしかしたらこれから、僕ら以上に眼魂を知る太古の眼魂が、力を貸してくれるかもしれないんだからさ」
太古の眼魂とはまさしくその言葉の通り『古き歴史を印した眼魂』である。
特に古き存在は神話、創世の歴史まで記されているとかいないとか、シンは説明をする。
それだけ古き存在の中には自身の能力を見てわかる者もいるかもしれないと、トシロウは期待を馳せる。
「それじゃあ次はナツルかな?」
「俺は前に説明したようにツァウバーが使える。炎しか出せないけどな」
「そもそもツァウバーってさ、シンたちの使う魔法とは違うの?」
「そもそもだけど、僕らの魔法とナツルの使っていた魔法は根本のシステムが違うんだ」
「……しすてむ?」
「と、いうよりも俺のはそもそも『
ツァウバーとはあくまでもけんぷファーとして『
けんぷファーの武器はナツルの説明によると三種類存在するとのこと。
「要するに武器を手に直接展開するってこと?」
「そ。まさしくボンゴレタマシイとかヤッタータマシイの奴とおんなじなんだ」
「へぇ……ほかの二種類とかなにか形状は決まってるの?」
「いや、少なくとも俺の知っている限りでは全員バラバラな形状してた」
短剣の二刀流、日本刀、鎖鎌、長い剣とかあったな。と思い出すように話すナツルに対し、トシロウはひらめいたような顔で問いかける。
「あのさ、一応記されてるのはけんぷファーの歴史だろう? つまりナツルって剣や銃とかも使えるの?」
「……どうだろ。試してみる価値はありそうだけど……」
「いや、それ以前にけんぷファータマシイになった時の女体化現象に耐えられるの?」
「……」
「いや、そこで黙ってうつむくなよ」
またもや失念をしていたけんぷファータマシイの唯一の欠点である女体化現象。
幼い頃、幼馴染である真姫に合わせようと母親たちが悪ふざけで自身に行った女装が、原因でトラウマ再発の危機に陥っていることを知っているものは彼以外にはいない。
「ゴースト、お前そのままじゃあいつまでたっても最適な判断できねーぞ。戦う気あるの?」
「パッキー、言い過ぎだよ。確かに前回戦闘の時みたいな状態は悪手だけれども……」
「シンがなんだかんだ辛辣すぎるんだが」
「クックック……さすがは魔王様だ。フォローを入れるふりをしてより厳しい言葉で追いつめるなんて」
「パッキー?」
「ゴメンナサイ」
しかしパッキーとシンの言うことは事実。
自身の体が女性となるのはあくまでも一時的なもの。
それを毎度ためらっていれば前回のような大きな痛手を負う羽目になってしまう。
自身の選択一つで死にはせずともそれに関する苦しみを負う羽目になると、ついこの間誓ったばかりだというのに。
あまりにも情けない体たらくである自身に歯がゆさを禁じ得ないと、トシロウは反省を抱いた。
「そういえば、女性化のほかにも気になることがあったんだトシロウ」
「ああ、思い出した、トシロウの脚すごく火傷で爛れてたよね」
「あー。なんかさ、この体になってから殴られたりするより熱とかのほうが痛いんだ」
二度とあの技を撃ちたくない。とけんぷファータマシイを初めて使ったときの痛みを思い出し、顔をゆがめるトシロウ。
その状況を聞いて納得するような声をパッキーが上げる。
「そりゃあゴーストの体は物理攻撃が通りづらいぜ。だって物理をくらっても死にはしないもんな」
「あー……痛みがすぐに治まるのはそういうことなのか」
「その代り、炎と祓いと純正の流水は厳禁だけどな。浄化の意志が込められている攻撃だから長時間くらうと一瞬で散っちまう」
シン様達の魔法を受けないだけ感謝しな。と、笑うパッキーにトシロウ達は皆、疑問の声を上げる。
シンの魔法には、その浄化の作用が存在するのかと。
「そりゃああるに決まってるじゃん。シン様の使う魔法っていうのはな――プミュ!」
「はいはい、パッキーの役目はここまで、僕が説明するよ。僕らクルセイダースの魔法はね、守護天使の力を借りて行使するんだ」
「守護天使?」
「そう、火、水、雷、光、闇の各属性をつかさどるそれぞれの守護天使の力さ。僕は闇の守護天使『アヴァンシエル』の加護を受けてるんだ」
天使とはすなわち天界……祓いの力を授ける場所の者。
つまりその加護を受けるということは行使する魔法全てに浄化の役割が備わっているという。
しかし反面、魔法行使には精神力などを消費するため、戦う意志さえあれば弾数に制限なく行使できるけんぷファータマシイとは、大きく勝手が違ってくるのだ。
「まぁ、先日パッキーが指摘したように、僕らの力をトシロウではまだうまく扱えないんだけどね。たぶん数発魔法を使うだけで倒れるかもって」
「なんだよそれぇ……俺にはまだまだ先の話なのかなぁ……」
「まぁまぁ、頑張っていけば成長してもっと力をうまく扱えるよ。僕も最初から魔法をうまく使えたわけじゃないんだし」
最後はガンかな――と、きょろきょろ部屋を見渡すトシロウ。
しかしなぜだかガン――ヤッター眼魂――の姿が見えない。
その顔の動きで何を探しているのか理解したツナは、当のガンからの伝言を伝える。
「ああ、ガンなら――希とガンガンセイバーの最終調整入れてくる――って言って出かけてたよ?」
「ああ、そうか。もうそろそろ完成するんだったっけ」
「何々、何が完成するんだって?」
「ああ、それは――」
喜々としてトシロウが説明をしようとしたその時、手に持った自身の眼魂が震える。
眼魔出現の合図だ。
「――話はあとだ、急ごう!」
「場所は……神田明神!」
「またかよ! 最近音ノ木坂に近いところで頻繁に出過ぎだっての!」
家を飛び出すと同時にマシンゴーストライカーを起動し、乗り込むトシロウ。
ここ数回の使用である程度運転の方法を理解した彼は、やすやすと駆り現場へ向かう。
「変身!」
片手でバイクの重心を調節しながらオレ眼魂を装填しレバーを往復。
ゴースト・オレタマシイに変身し、神田明神へ急いだ。
『カイガン! オレ!』
***
東京神田明神の脇、男坂口の広場のような場所。
ここで三人の少女たちが、筋トレ、ダンスの練習などを行っていた。
彼女達は、自らの通う学校を護るために立ち上がった、スクールアイドルを目指す少女たちである。
先日真姫を誘った穂乃果を筆頭に、園田海未、南ことりという幼馴染二人で作られた、出来立てほやほやのアイドルグループだ。
そんな希望へ向かう少女たちを、男坂口の階段から眺める一人の陰。
紅い髪、釣り目の麗しき少女――真姫だ。
彼女は、練習の風景を見ながら、先日穂乃果に誘われた時のやり取りを思い出していた。
真姫が――喪うことを受け入れなければならないときもある。と、アイドルへの誘いを突き放した時に彼女から返された言葉……
「……まだ喪っていないから、諦めない……ね」
つぶやく言葉とともに脳裏に浮かんだのは、前に希から受け取ったトシロウからの手紙。
トシロウを喪い、故に喪うことへの拒絶そのものを諦めてしまった自身を叱るような、
それは、あの日喪ったころからトシロウは変わっていなく視え、トシロウらしい言い方で。
その所為か、真姫はこれまでであれば嗤い、無視していたはずの穂乃果のことを気にしているのであった。
「……トシロウ、私は……どうしたらいいのよ」
他人よりできることが当たり前で、他人と比べられることも故に多く、しかし比べられた結果は全て自分をほめる者ばかり。
そんな彼女にほぼ唯一というほどに真正面からどこが悪いか、何が悪いかを教えてくれた少年。
母も、父も、そんな彼に心打たれたのか、自分と話したりしてくれるようになった。
そんな、自分や家族を変えてくれた少年が、隣にいない。
相談できない辛さ、解決がわからない困惑。様々なものを抱えながら、彼女は練習風景を見守る。
そんな風景を粉々に壊すように、一体の眼魔が現れる。
ヒトデのような体、穴の開いた胴体と、腰に携えるクナイ。それはさながら『
キョロキョロとあたりを見渡し、穂乃果たちを見つけるとゆったりと彼女たちの方向へ、静かに歩く。
活きのよさそうな人間だ。幸いにも最初に送りこまれたこの場所でここまでの素材に出会えるとは……
眼魔は喜びという感情を抑えながら迫ってゆく。
この女たちを傷つけ、嬲り、啼かせればそこからいい恐怖が生まれそうだと。
抑えきれない期待が眼魔の進む足を速めてゆく。
しかし、眼魔にはたった一人視界に入らなかった人間がいた。
真姫だ。
彼女は男坂階段の端のほうにいたため、眼魔の視界に映らなかったのだ。
だからこそ、離れている故に真姫は気付けた。練習に集中する少女たちの後ろの空間が変にゆがんでいるように見えることに。
だからこそ叫べた。彼女たちの背後が何かしら危険を孕んだものであると察することができたのだから。
「高坂先輩! 後ろ!」
「――あ! 西木野さん! 来てくれたんだ!」
「!? 穂乃果! 危ない!」
真姫の叫ぶ声に、気付かれた!? と、焦った眼魔はその姿を現す。
だが、当の穂乃果は真姫のほうへ集中してしまっている。
真姫のほうを怪訝な顔で見た海未も、ことりも、出現した化物に対する反応に一拍遅れてしまう。
気付けば真姫は走っていた。
穂乃果のほうへ、柄にもなく、人のために。
穂乃果が眼魔の姿に気付いたときに、眼魔が穂乃果へ腕のクナイを振るった。
「!? キャッ!」
「グゥ! ニゲラレタカ!」
しかし間一髪。穂乃果へ向かってダイブした真姫のおかげで、その切っ先はかすることもしなかった。
それを確認した眼魔は急いで姿を消し、その場から撤退した。
真姫は自身の行いに戸惑う。
確実に今までであれば助けることもしなかったのに。困惑の中浮かぶのは幼馴染の顔。
ああ、なるほど。と真姫は理解する。
あの幼馴染なら、トシロウなら、絶対に助けていたに違いない。
「私も大概、バカみたいね」
「……西木野さん?」
自身の納得の仕方にあきれるようにほくそ笑んだ真姫と、それを見て怪訝な顔をする穂乃果。
眼魔の襲撃も何のその、どこかおかしな空間がそこにはあったのである。
どうせ、あの時みたいにあの化物を倒すため、現れるに違いないであろう正義感溢れるおバカな幼馴染に向けて一言、真姫は胸のうちでつぶやいた。
ありったけの罵倒と、自分の行動への感謝を込めて。
――アナタの所為よ。バカ――
***
真姫の予想通り、神田明神の正面から逃げようとした眼魔にゴーストの駆るバイクの前輪が刺さる。
刺さるタイヤに悶絶する眼魔と、それによってバイクから投げ出され盛大に緩やかな坂を転がっていくゴースト。
両者痛みにゴロゴロとのたうち回る中、先に立ち上がったのは物理的なダメージに対して脅威の耐久力、回復力を誇るゴーストであった。
「お前俺のバイクの方向に立つなよ! まだ突然のカーブができないんだぞ!」
「ソウイウハナシデハ、ナイダロウガ! ナラバナゼ! キサマハバイクデ、ツッコンデキタ!」
「お前ら眼魔が街で暴れて危ないことしてるからに決まってんだろ! とっちめてやる!」
「マダマチデハ、アバレテイナイダロウ! キメツケハ、ヨクナイッテ、オソワラナカッタノカ!」
「まだってことはやるんだろ! 問答無用だやってやる! こい!」
問答としては下の下ですらないようなやり取り。
一方的に会話を打ちきりゴーストはベルトに収納されたガンガンセイバーを取りだそうとするが……
残念ながらその呼び声にこたえず、ガンガンセイバーは現れない。
静寂が戦場を襲う。
「……オマエ、ナニヲシテルンダ?」
「……まて、いったん待って。リテイクするから」
「アッアア、イイダロウ。マッテヤル」
「こい! ガンガンセイバー!」
「……コナイナ?」
先程からのゴーストの意味不明な行動に、困惑の声を上げる眼魔。
ゴーストはそれに釈明をするかのように、再びガンガンセイバーを呼び出そうとするが、当然答えない。
彼はすっかり忘れていた。
ガンガンセイバーは、今ガンと希が最終調整のために持ち出しているということを……
「――ナンダカヨクワカラナイガ、コレハイイキカイダ! クラエゴーストッ!」
「ちょっ……うわっ!?」
眼魔はいち早く混乱から立ち直り腕を振るい、ゴーストへクナイを飛ばす。
失念故にすっかり気が抜けていたゴーストは微動だにできず直撃。
吹き飛ばされながら再び緩やかな坂をゴロゴロと転がり落ちてゆく。
「いってぇ……!」
「あのさ、一つ聴きたいんだけど……ガンガンセイバーは希たちが持ってるの、まさか……忘れてた?」
「……あっ」
ツナの指摘によりようやくガンガンセイバーの居所を思い出したゴースト。
しばし倒れた体勢で呆然としながらも、ゆっくりと、フラッと立ち上がる。
立ち上がった彼が握る拳は震えていて、やり場のない彼の全身からの怒りを表しているようであった。
「もう許さねぇ……絶対に……お前を許さないからなぁ!」
「オレワルクナイヨネ!? オマエガ、ワスレテイタダケダヨネ!?」
「うるさいうるさいうるっさぁぁぁぁぁぁい! もう怒ったぞ! 怒ったぞぉ!」
「ナンダコノ、リフジンナヤツ! オマエホントウニゴーストカ!? ベツジンノニセモノダロウ!?」
眼魔の正論を、地団駄を踏みながら一刀両断するゴースト。
逆ギレを誘発し、自棄我武者羅になった彼はボンゴレ眼魂をセット。
眼魔にしては常識的な訴えもむなしく、死刑宣告だけをまき散らしてゆく。
「俺は本物のゴーストだ! だから眼魔は倒す! ただそれだけだぁ!」
「ソノハツゲンマデノ、カテイヲモウイチド、オモイカエシテミルガイイ!」
「断る、そして潔く死ね! 吹き飛べ! 骨まで砕けろ!」
「ヤハリコイツ、ムチャクチャダ!? コンナヤツニドウホウガ!?」
『カイガン! ボンゴーレ!』
「死ぬ気で! お前の命を! ボコボコに! 燃やす!」
「ソンナリユウデ、サレテタマルカ!?」
「受け入れろ! お前の
「イマサダメト、イッタトキ、ナンテジヲウカベタ!?」
ゴーストはグローブに炎をともし、飛び込むように低く滑空。
眼魔の懐に突進し、その角みたいな触覚で頭突きをぶつける。
てっきり拳で殴られるものだと考えていた眼魔は激痛と困惑を感じる。
改めて、今のゴーストはヤバイ。そう実感した。
「拳でいくと思ったか! そんな優しくないぞ!」
「オマエ、マジデオソロシインダケド!?」
「眼魔に容赦なんているか! 懺悔しろ! 詫びろ! 主に俺に!」
「コイツナンナノ!?」
「お前を仕留めるゴースト様だ!」
八つ当たりといっても過言ではない、容赦を棄てた攻撃の嵐が眼魔を執拗に襲う。
気付けば眼魔の暗具はいたるところがボロボロとなり、其れに今しゃべる余裕を与えれば、土下座で詫びを入れて許しをこうくらいには悲惨な具合になってしまっている。
ここまでくるといっそのこと、一思いに一撃で倒すことのほうが温情に思えてしまうのが、構図の異様さである。
「ゴースト! 待たせたな!」
「ガンさん! それに希も! 完成したんだ!」
「ガンガンセイバーの変形分離機能バッチリ調整したで!」
そこに駆けつけてきた希とガン。
希の腕ににぎられているのは自身が待ち望んだガンガンセイバー。
ゴーストは心に決めていた。
――この眼魔にガンガンセイバーでフィニッシュを決めてやる――
それが完全な逆恨みを超えた暴虐とは本人が気づいていないのもなかなか罪深い。
「ガンガンセイバーの片刃が外せるようになってるから、それを反対向きに差し込みなおすんや!」
「おお、すごい!」
「持ち手の部分を曲げて銃だ!」
「おおぉ!」
変形機能で盛り上がり始めたゴーストたちを見ながら、眼魔は退散を目論む。
しかしそうは問屋が卸すはずもない。
動きだした眼魔の足元にガンガンセイバーのガンモードによる射撃が飛ぶ。
「言ったろ……? お前の末路は俺が決めるって」
「アノ、アノ、ユルシテモラウッテ、デキナイデスカネ?」
「お前は俺が絶対に許さん!」
「デスヨネー!?」
叫ぶ眼魔をしり目に、再び形を整えながら取り外した刃の部分を持ち手の底に差し込むゴースト。
その武器の形状はナギナタか。
ロッドにも見えなくはないが、刃が見えるためにナギナタか他の武器なのだろう。
やけくそになった眼魔が突進を仕掛ける。
ゴーストはガンガンセイバーの柄にあたる部分で攻撃を受け流す。
受け流されることによって体勢がずれた瞬間を狙い、持ち手の目玉をゴーストドライバーにかざす。
『ダイカイガン!』
ゴーストはナギナタを頭上でぐるぐると振り回し始める。
歌舞伎等で見るような動きは威圧感を与え、眼魔の怯みを誘発する。
『ガンガンミナー! ガンガンミナー!』
その勢いのままゴースト自身も眼魔に向かい、回転しながら前進を始める。
だんだんと回転のスピードの上がっていくそれに、相討ち覚悟でクナイを構え突っ込んでゆく眼魔。
ゴーストが最後の一回転を終えるとき、ナギナタのトリガーを押し込む。
『オメガストリーム!』
遠心力による威力上昇ですさまじいスピードを纏った刃が、わずかに眼魔の攻撃の届かない範囲から切り裂く。
ダイカイガンによるエネルギーを纏った刃は止まることなく振り切られ、それとともに眼魔は悲痛な叫びをあげ、爆散した。
「――あー、スッキリしたー!」
「ひっどい戦いを見た」
「ゴーストサイテーだな」
「なしてや! ちゃんと戦っただろ!?」
「ウチもあれはないと思うんやけどなぁ……」
やいのやいのとはしゃぐトシロウ一同。
それを静かに見守る緋色の眼魂のことを、風が一度撫でた。
・ガンガンセイバー
今回ガンと希によって改造を受けた結果分離と変形を駆使して生まれたのがガンモードとナギナタモード。
ナギナタは当初の予定ではロッドにするつもりだったらしいがガンガンセイバーを変形分離する以上刃は避けられないとして断念したらしい。
現在分離した刃を独立して使うためにさらなる改造を行っている最中である。
・クルセイダース眼魂
謎多い眼魂。
魔王なのになぜ天使の加護を受けられるのか、魔王とは敵としての主な代表役職のイメージが強いがなぜ英雄のような存在になっているのか。
ただわかるのは、今のゴーストには手に余る力を保持していること。
それと、シンとパッキー以外にも多くの男女がこの眼魂に収められているということ。
次回【一切伐採!抜刀斎!?】